レビュー

“見て&撮れる顕微鏡”ニコン「ファーブル」を持って子どもと野外観察に出かけよう

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

子どもの頃、顕微鏡でのぞいた世界にワクワクした記憶はありませんか? 筆者も、肉眼では見えない景色に魅入られて身近なものをいろいろ観察しました。そんな心躍る体験を自分の子どもにもしてもらいたいと思い、顕微鏡を用意してみることに。セレクトしたのは、屋外でも気軽にウォッチできる顕微鏡「ファーブル」(ニコン)。「ファーブル」は、プレパラート(スライドグラスに観察物を乗せ、カバーグラスをかぶせるなどしたもの)の準備なしで使用できる「実体顕微鏡」です。さらに、顕微鏡から見える世界を写真に残すことも可能。そんな「ファーブル」を持って、子どもと一緒に観察に出かけてみました。

ファーブル

実体顕微鏡「ファーブル」ってどんなもの?

「ファーブル」は、理科の実験で馴染みのある「生物顕微鏡」とは異なる「実体顕微鏡」と呼ばれるもの。生物顕微鏡の場合、10,000円以下の手ごろなものでも倍率は100倍以上あり、微生物を見るのに適しています。いっぽう実体顕微鏡の倍率は、20〜30倍というのが一般的。「ファーブル」も20倍固定、視野直径11mmなため、プランクトンやじゃがいものデンプンなど理科の実験で行ったようなことをするには少し厳しいことも。しかし、生物顕微鏡のように薄切りにしてスライドグラスに乗せる必要がないので、立体的なものをそのままの形で拡大して見ることができます。手法を凝らせば、生きている昆虫の動向を拡大して見ることも可能。ほかにも、植物を摘むこなく直接観察できる機構やレンズ部分が360°回転するといった、観察の自由度を高める仕組みも施されています。どのような構造なのかをチェックしてみましょう。

ちなみに、「ファーブル」には、対象物を“見る”だけのものから“撮影”できるものまで4モデルがラインアップされています。サイズや焦準範囲、目幅調整範囲、照明の有無などスペックが若干異りますが、倍率はいずれも20倍固定なので、“見る”ぶんにはそれほど差はなさそう。今回は「ファーブル フォト EX」を使用して、観察から撮影までを行います。

「ファーブル」ラインアップ
ファーブル フォト EX

「ファーブル フォト EX」のサイズ(観察時)は、156(幅)×158〜199(高さ)×165(奥行)mm。家庭で使用される生物顕微鏡とそれほど差はなさそう

接眼レンズの幅

実体顕微鏡のほとんどが双眼であるように、「ファーブル フォト EX」も両目でのぞくスタイルとなります。接眼レンズは51〜72mmで変えることができるので、目の幅にあわせて調整しましょう

視力差の調整

接眼レンズのリングを回せば、視力差を補えます

プレート

観察したいものは、プレート(白い部分)に直接置いてOK。プレパラートを準備してセットする必要はありません。また、プレートの裏面にはカップが用意されているので、プランクトンや水生昆虫を見る時に役立ちます(写真右)

ピントを合わせ

本体横にあるノブを回すと、対物レンズと観察物の距離が変動。この距離を調整してピントを合わせます

対物レンズ

対物レンズは3つ搭載されており、そのうちの2つは接眼レンズからのぞいて“見る”用。残り1つは、装着したカメラで“撮影する”用となっています。見るのと撮影するためのレンズが分かれているので、“親が撮影している時に子どもは見て観察”が可能

LEDライト

対物レンズの両サイドにはLEDライトを搭載。暗い所で観察する際に点灯させると、見やすくなります。OFF/1灯/2灯と切り替えできるので、シーンによって使い分けましょう

対物レンズの反対側には、もう1つレンズがある

そして、対物レンズの反対側には、もう1つレンズがあります。撮影したい時には、この部分にデジタル一眼レフカメラを装着。詳細は、ページ下にある「顕微鏡で見えるものを撮影してみよう」で紹介します

屋外で観察してみよう

まずは、“見る”ことから始めてみましょう。「ファーブル フォト EX」は屋外でも楽しめる顕微鏡なので、持ち歩きに便利な構造になっています。

レンズ部分は360°回転する

レンズ部分は360°回転するため、コンパクトにまとめられます。収納時のサイズは、156(幅)×135(高さ)×165(奥行)mm

持ち運びしやすい工夫

本体には取っ手も用意されており、ここを持って運ぶのもあり。また、写真右のように同梱のストラップを付ければ、観察中の移動も容易に! 重量は800gなので、持って動いても苦にはならないでしょう

屋外での観察スタート!
さっそく、小学生の子どもと一緒に屋外で観察してみました。倍率20倍の顕微鏡で、どれほど楽しめるのでしょうか。

プレートを外して観察

プレートの上に観察物を置いてもかまいませんが、屋外ではプレートを外した状態が大活躍。プレートを外せば、地面にあるものを顕微鏡でのぞくことができます。また、ピントを合わせられる範囲は「ファーブル フォト EX」の設置面から上方34.5mm、下方5.5mmとなっているため、大きめのモノはプレート上に乗せるとピントが合わないことも。そんな時は、プレートを外して対物レンズと観察物の距離をかせぐといいでしょう

垂直にして観察

取っ手は持ち運びに利用するだけでなく、写真のように垂直にして観察する際にも活用できます。この形で顕微鏡をのぞけるのは、面白いですね

三脚に装着して観察

本体の底面には三脚穴が用意されているので、三脚に装着可能。木から伸びる枝の葉を、折らずに観察できました

子どもが観察中

20倍固定、実視野は直径11mmなため、葉脈などの細部までは見えませんが、どんぐりや葉っぱの表面が拡大された風景に子どもは大興奮。拡大すると、表面にある気孔や模様のような肉眼では見えないものが見えました。「葉っぱってこんなふうになってるんだ!?」と、子どもは夢中な様子で、公園にあるものを次から次へと観察。好奇心に火がついたようです

顕微鏡で見えるものを撮影してみよう

想像以上に楽しめた20倍の世界ですが、それは顕微鏡をのぞいた人しか味わえないもの。しかし、「ファーブル フォト EX」なら顕微鏡から見える風景を撮ることができます。ただし、「ファーブル フォト EX」とは別に、デジタルカメラやアタッチメントを購入しなければなりません。今回は、デジタル一眼レフカメラを利用します。

D5500

「ファーブル フォト EX」に対応するデジタル一眼レフカメラは、ニコン製品のみ。さらに、その中でもFマウントのものに限られます(推奨されていないものもあり)。今回使用するカメラは「D5500」。ボディだけ使用します

カメラを付けるためのアタッチメント「NSA-L1」

「ファーブル フォト EX」にカメラを付けるには、アタッチメントが必要。デジタル一眼レフカメラを装着する際に用いる「NSA-L1」は、写真右のように4分割できるようになっています。両端の2つは装着に必要なパーツなので常時使用しますが、中央の2つの「中間チューブ」は抜き差ししすることで変倍撮影が可能に。全部装着した場合の倍率は5.2倍、中間チューブを1つ外すと4.4倍、中間チューブなしだと3.5倍となります

「ファーブル フォト EX」にカメラを装着

装着には、ドライバーなどの工具は必要ありません。「ファーブル フォト EX」にアタッチメント「NSA-L1」を取り付け、カメラのボディをドッキングさせたら準備完了

撮影にチャレンジ!
蝶の標本を撮影してみます。どのように写るのでしょうか。

使用する標本

キーホルダーのようになった、この標本を使用します

まずは、「D5500」のバリアングルモニタを利用して撮影。

バリアングルモニタを利用して撮影

アタッチメント「NSA-L1」をすべて付けた状態(5.2倍)で撮ったものが、写真右。鱗粉が写し出されたことはわかるのですが、ブレてしまったようです。バリアリングモニタをタッチした振動が原因かも

振動を与えないために、「D5500」をスマートフォンとWi-Fi接続して撮影してみることに。

スマートフォンとWi-Fi接続して撮影

今度は見事成功! 長く細い毛までしっかりと写っています。肉眼では黄色と青レンジと茶色という風にしか見えない鱗粉も、拡大すると結晶のような形をしているんですね

続いて、アタッチメント「NSA-L1」の中間チューブの数を変えて、異なった倍率の写真を撮ってみました。

倍率を変えて撮影

3.5倍と5.2倍の差はパッと見てわかりますが、4.4倍はそれほど差を感じず。ただし、中間チューブが多いほど長くなるため、カメラ本体を触ってシャッターを切る場合、振動が大きくなります。レリーズを利用したり、リモート撮影できない場合には、中間チューブの数も考慮するといいかもしれませんね

そして、LEDライトを点灯すると面白い発見が!

LEDライトOFF/ON

暗い場所で見やすくするためだけに存在していると思っていたライトですが、点灯すると陰影が出て異なる質感になりました

暗い所ではライトが必須

もちろん、光が当たらない所での観察にはライトが必須。葉っぱが生い茂る植木の根っこを見ようとしたのですが、ライトOFFの状態では何も見えず(写真中央)。2灯点けると、バッチリ写りました

撮影した写真を紹介
ページ上の“見る”ことを紹介した部分で観察したものを撮影しておいたので、紹介しましょう。これらを見て、子どもが大興奮していたわけです。さらに、家の中にあるものも撮影したみました。いずれも、カットしたり水で溶かしたりせず、そのままの形で観察しています。

撮影した写真
撮影した写真

枯れてしまうと美しさには欠ける葉っぱも、顕微鏡を介すと幻想的。特別なものを用意しなくても、普段何気なく食べている砂糖や塩を見るだけでも子どもは大喜びでした。ちなみに、撮影した写真と接眼レンズから見える風景は異なります。円形と長方形という違いだけでなく、色味や画角も別物。個人的には、接眼レンズでのぞいたほうが瑞々しさなどがリアルに見えると思います

今回は試していませんが、「ファーブル フォト EX」を三脚に付けて、レンズ部分を回転させれば横や真上にあるものを撮影することも可能。この角度で顕微鏡をのぞくのは厳しいので、撮影で活用してみてください(写真では、カメラを装着していませんが)

まとめ

倍率20倍固定で見えるものなんて……と甘くみていましたが、実際にのぞいてみると想像以上に興奮します。この手の顕微鏡の観察物として、よく紙幣が紹介されていますが、筆者は「そんなモノ見てどうするの?」と思っていました。しかし、試しに見てみると細かい模様に加えて凹凸もあり、その緻密な造形に夢中に。肉眼で見ているものより顕微鏡で見るほうが美しいことがあるので、次から次へと観察欲は尽きません。それは子どもも同じ様子。とくに屋外で観察できたのが楽しかったようで、休みのたびに「また、行きたい」とせがまれています。

デジタル一眼レフカメラを利用した撮影は、少し子どもには難しいので、パパやママにチャレンジしていただきたい。撮影したものを子どもにクイズ形式で見せて、答えは顕微鏡をのぞかせるというふうにすれば一緒に盛り上がれるはず。近年は、ミクロの世界を写せる“顕微鏡モード”を搭載したデジタルカメラが登場していますが、それは“撮影したものを見て楽しむ”もの。「ファーブル フォト EX」のように顕微鏡で見るスタイルは、子どもの探究心や好奇心を刺激してくれるでしょう。子どもだけでなく親からもよろこばれそうな一品なので、入学祝いなどにもうってつけです。

増谷茂樹
Writer
増谷茂樹
カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。
記事一覧へ
中村真由美(編集部)
Editor
中村真由美(編集部)
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。気づけば15年以上、生活家電の情報を追い、さまざまな製品に触れています。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
本ページはAmazonアソシエイトプログラムによる収益を得ています
関連記事
SPECIAL
カメラ関連製品のその他のカテゴリー
ページトップへ戻る
×