注目製品○×レビュー
世界初の35mmフルサイズ裏面照射型センサーを搭載

最強のハイエンドミラーレス「α7R II」に弱点はあるか?

ソニーの35mmフルサイズミラーレス一眼カメラ「α7シリーズ」のフラッグシップに位置付けられている「α7R II」。画質と機能の充実度が非常に高く、ミラーレス一眼として現時点では“最強”と言っていいハイスペックモデルとなっている。今回の「注目製品○×レビュー」では、α7シリーズの第1世代モデルや、ライバルとなる他社の高画素センサー機との比較を含めながら、このカメラを実際に使ってみて感じた「いいところ」と「気になるところ」をまとめたい。

※製品特徴は、新製品レポート『“全部入り”のソニー「α7R II」が発表! α7シリーズのトップエンドモデル!』をご確認ください。

α7R IIにカールツァイスブランドの標準ズームレンズ「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」を装着したイメージ。α7R IIを含めα7シリーズの第2世代では、基本的な操作体系を継承しつつ、デザインやボタンレイアウトが見直されている。大きなところでは、シャッターボタンの位置がグリップ側に移動になった

○(いいところ)
画質、AF、機能のすべてがハイレベル!

・フルサイズ裏面照射型センサーを採用し、低感度から高感度までバランスのよい画質
・あらゆるレンズに有効なボディ内5軸手ブレ補正
・オートフォーカスが高速化し、追従性も向上
・4K動画記録に対応

α7R IIの画質面では、35mmフルサイズの裏面照射型CMOSセンサー(Exmor R CMOSセンサー)を世界で初めて採用したのがトピックだ。画素数も、第1世代モデル「α7R」の有効約3630万画素から有効約4240万画素にまで向上。35mmフルサイズセンサーを採用するレンズ交換式のデジタル一眼カメラの中では、2015年10月28日時点で、キヤノン「EOS 5Ds/5Ds R」の有効約5060万画素に次ぐ高画素モデルとなっている。その画質は、次ページ以降の作例を見ていただきたいのだが、非常に精細感が高い。光学ローパスフィルターレス仕様なうえ、ノイズリダクションのバランスもよいのだろう、ディテールがつぶれてしまう裏面照射型っぽい描写がほとんど見られないの高ポイントだ。

感度ISO100時に、ハイライト側の粘りがもう少しほしいと感じる場合があったが、ダイナミックレンジも十分に広い。裏面照射型CMOSセンサーの採用によって、期待した以上に高感度にも強くなっており、ISO3200〜ISO5000程度までであれば常用できると感じた(※ISO6400を境にノイズが増えて解像感が落ちる)。すぐれた解像感が得られるうえ、低感度から高感度までバランスのよい画質を実現している点でいえば、35mmフルサイズ機の中で、最高レベルの画質力を持つ1台であると思う。

ボディ内5軸手ブレ補正の効果も期待以上だ。Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSで撮影した限り、広角〜標準域では1/15秒程度の低速シャッタースピードであっても手ブレを抑えた撮影ができた。2〜3段分程度であれば高い確率で手ブレのない写真になる。少なくとも「1/焦点距離 秒」を確保できれば、手ブレに悩まされることはないだろう。

さらに、センサーシフト式のボディ内補正であるため、装着するあらゆるレンズに対して効果を発揮するのも見逃せない。Eマウントはフランジバックが短く、オールドレンズや他社製レンズを装着して楽しんでいる方も多いが、そうした純正以外のレンズに対しても手ブレを抑えられる。

3000万画素を超える高画素フルサイズ機の場合、わずかな手ブレさえも拾ってしまうため、フィルム時代の経験則から言われている手ブレしないシャッタースピードの限界値「1/焦点距離 秒」が通用せず、手ブレ補正機能がないと「1/焦点距離 秒」では安心できないときがあると感じていた。だが、α7R IIであれば、純正レンズでも他社製レンズでも、従来の「1/焦点距離 秒」の感覚で手ブレを抑えた撮影ができる。これは大きな魅力である。

手ブレの低減に関しては、第2世代モデルではデザインが大幅に変更になり、にぎりやすいグリップになったほか、シャッターボタンもグリップ側にレイアウトされ、レリーズがしやすくなったのも大きい。α7Rと比べてシャッターショックが大きく改善されているのも、手ブレ低減に寄与している。ショックが減っただけでなく、シャッター音もかなり小さくなっている。

手ブレ補正の焦点距離は手動で設定できる。他社製のマニュアルフォーカスの単焦点レンズを装着する場合に利用したい

オート感度の低速限界を設定することが可能。手ブレを抑える点で有効に活用できる機能だ

オート感度の低速限界を設定することが可能。手ブレを抑える点で有効に活用できる機能だ

さらに、オートフォーカスの合焦速度も大幅に向上している。像面位相差AFセンサーが撮像エリアの45%をカバーするようになり、被写体追従性もアップ。連写性能はAF・AE追従で最高約5コマ/秒で、連続撮影可能枚数はJPEG Lサイズ エクストラファインで24コマ、RAWで23コマ。超高速機というわけではないが、EOS 5Ds/5Ds Rのスペック(最高約5コマ/秒、JPEGラージ/ファインで約31枚、RAWで約12枚 ※キヤノン試験基準の8GB CFカード使用時)と比べてもそん色はない。動体撮影にも十分に対応できるミラーレス一眼だと思う。

また、撮影レスポンス自体にすぐれるのも使ってみて優位性を感じたところ。RAW+JPEG記録のときは撮影後に少し待ち時間が発生するが、有効約4240万画素の高画素であっても、これまでのα7シリーズと同様、撮影後のバッファ処理の時間が短く、ストレスなく撮影を続けることができた。

中央の枠の中が位相差AFに対応するエリア。撮像エリアの45%をカバーする

中央の枠の中が位相差AFに対応するエリア。撮像エリアの45%をカバーする

フォーカスモード:AF-C、フォーカスエリア:ワイドに設定して、左右に動く人に対して、α7R IIのAFが追従する様子を収めた動画。横の移動についてはかなりすばやい動きでも追従する。使用レンズはVario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSで、焦点距離は70mm

上の動画と同じ設定のまま、奥から手前に小走りで近づいてくる人で追従性をチェックしてみた。さすがに横の移動ほどではないが、動く人に対してピントが合い続けるのがわかるはずだ

機能面では、ボディ内で4K動画を記録できるのが、ライバルとなる他メーカーの高画素フルサイズ機に対してのアドバンテージだ。フルサイズとSuper 35mm(APS-C 16:9相当)の画角を選択できるうえ、Super 35mm時は、画素加算のない全画素読み出しでの高画質な4K記録が可能だ(※次ページにYoutube上に公開したものになるが、Super 35mmで撮影した4Kムービーを掲載する)。

このほか、実際に使ってみて、ボディの作りがよくなったことも確認できた。これまで、α7シリーズの第1世代機については、メーカーからの貸し出し機や、販売店でのデモ機、購入した分も含めて、少なくとも50台以上の実機に触れてきたが、キヤノンやニコンのハイエンド一眼レフと比べると、機材によって、細かいところで微妙な違いを感じたのが正直なところだ。たとえば、チルト可動式モニター部の閉じ具合にバラつきがあったり、前後ダイヤルのクリック感に微妙な違いがあったりといった具合だ。作り込みの部分でわずかに個体差があって気になっていたのだが、第2世代機では、いくつかの実機をチェックした限り、それが解消されている。また、マウント部の強度も向上している。

電子ビューファインダーは、両面非球面レンズを含む4枚構成の接眼レンズを新たに採用し、ファインダー倍率が約0.78倍にアップ。大きな表示で明るくて見やすいファインダーだ

チルト可動式の3.0型液晶モニター(約122万ドット)を採用。第1世代と比べるとモニター部が薄くなったほか、閉じたときに、ボディに収まりやすくなった

×(気になるところ)
ハイエンドカメラとして見るとカメラ内RAW現像機能がない点などが気になる

・カメラ内RAW現像機能が非搭載
・RAW+JPEG撮影時のJPEG画質が「ファイン」に固定される
・サイレントシャッター時の連写が不可
・一眼レフと比べるとバッテリー性が低い

付け入る隙のないスペックを持つα7R IIだが、ハイアマチュア向けのハイエンドカメラとしては気になる点がいくつかある。もっとも気になったのが、αシリーズ全般に言える内容ではあるが、RAWに関する機能性だ。もちろん、α7R IIはRAW記録に対応しており、14bit出力に加えて、ファームウェアアップデート(Ver2.0)によって非圧縮でのRAW記録も可能になった。ただし、α7R IIは、これまでのαシリーズと同様、カメラ内のRAW現像機能を搭載していない。さらに、純正のRAW現像ソフト「Image Data Converter」では、画像処理エンジン「BIONZ X」が持つ「ディテールリプロダクション」などの高画質処理を利用できない。加えて、これもαシリーズ全般の話なのだが、RAW+JPEG記録時は、JPEGの画質が「ファイン」になってしまう(※最高画質は「エクストラファイン」)。つまり、「BIONZ X」の高画質処理を生かし、最高画質「エクストラファイン」でのJPEG画像を得るためには、カメラのJPEG記録しか選択できないのである。「BIONZ X」の高画質処理を使えるカメラ内RAW現像機能は追加してほしいところだ。

また、α7R IIは、「α7S」などに搭載されているサイレント撮影に対応するようになった。ただし、α7Sとは異なり、サイレント撮影時には連写ができない仕様になっている。サイレント連写が可能なα7Sと比べると、レリーズし直さないといけないのは少々不便ではある。

RAW+JPEG記録時は、JPEGの画質が「ファイン」となる。最高画質の「エクストラファイン」はJPEG記録時のみ選択できる

サイレントシャッター時はドライブモードで連続撮影は選択できない

サイレントシャッター時はドライブモードで連続撮影は選択できない

撮影可能枚数については、ファインダー使用時で約290枚、液晶モニター使用時で約340枚となっており、従来とほぼ同じスペックだ(α7Rはファインダー使用時で約270枚、液晶モニター使用時で約340枚)。電子ビューファインダー(EVF)やモニターでの撮影となるミラーレス一眼カメラの宿命ではあるが、ライバルとなるEOS 5Ds/5Ds RやD810といったデジタル一眼レフと比べると、バッテリー性はそれほど高くはない。実際に撮影していても、1日撮影を続けるなら、予備バッテリーを2〜3個は用意しておきたいと感じた。

まとめ

α7R IIは、2015年10月28日時点では、他社製品も含めてミラーレス一眼カメラのフラッグシップと言っていいモデルだ。ミラーレス一眼のよさであるコンパクトボディはそのままに高画質化と高機能化を実現したのがポイントで、細かいところで気になる点はあるものの、現時点では最高性能のミラーレス一眼と言っていいだろう。大きな弱点はない。

ただし、価格はけっして安くない。ボディ単体の価格.com最安価格は39万円程度(2015年10月28日時点)となっている。EOS 5Dsとほぼ同じ価格だ。スペックを考慮すると高すぎるというわけではないが、さすがに40万近い高級カメラとなると、手軽に購入するわけにはいかないだろう。EOS 5Ds/5Ds RやD810といった高画素センサーを搭載する一眼レフと比較して、機種選びに悩んでいる方も多いはずだ。

最後に、あらためて、このカメラの魅力を整理しておこう。大きなところでは、「コンパクトボディ」「高画素センサーによる高精細な画質」「高感度でも高画質」「ボディ内5軸手ブレ補正」「高速オートフォーカス」の5つになる。その中でも、ライバルとなるEOS 5Ds/5Ds RやD810にはないのが、コンパクトボディとボディ内5軸手ブレ補正だ。こうした魅力を踏まえると、撮影において、カメラの機動性を重視し、いろいろなレンズを使って手持ちで撮ることが多いのであれば、α7R IIは満足度の高い選択になるはずだ。

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