注目製品○×レビュー
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“Xシリーズ最高画質”を実現した富士フイルム「FUJIFILM X-Pro2」実写レビュー

富士フイルム「Xシリーズ」の新しいフラッグシップモデル「FUJIFILM X-Pro2」(以下、X-Pro2)が好評だ。3月3日の発売以降、価格.comユーザーレビューには4月11日時点で26人のレビューが投稿されているが、非常に高い評価を得ている。「満足度」は、5点満点の評価で「平均4.91」で、満足度ランキングの2位に位置しているほど。完成度の高いミラーレス一眼であることがうかがえるが、実際のところはどうだろうか? 「いいところ」と「気になるところ」に分けて、この注目カメラをレビューしよう。

※X-Pro2の製品特徴は、新製品レポート『富士フイルムの高性能ミラーレス「FUJIFILM X-Pro2」詳細レポート!』をご確認ください。

X-Pro2に単焦点レンズ「フジノンレンズ XF35mmF2 R WR」を装着したイメージ

X-Pro2に単焦点レンズ「フジノンレンズ XF35mmF2 R WR」を装着したイメージ

○(いいところ)
期待以上の高画質を実現。ファインダーやオートフォーカスも使いやすく進化

・階調性や色表現力のよさはそのままに解像感が向上。高感度画質もさらによくなった
・新しいモノクロモード「ACROS」がすばらしい仕上がり
・OVFでピント確認ができるERF、レスポンスがよくなったEVFも◎

X-Pro2は、撮像素子と画像処理エンジンが刷新された、Xシリーズの「新世代」のフラッグシップモデルだ。撮像素子には、Xシリーズとしては最高画素となる有効約2430万画素の新開発APS-Cセンサー「X-Trans CMOS III」(光学ローパスフィルターレス仕様)を採用。画像処理エンジンも新開発となる「X-Processor Pro」で、「Xシリーズ史上最高画質」をうたう高画質ミラーレスとなっている。

富士フイルムのデジタルカメラは画質のよさで評価を得ており、新フラッグシップのX-Pro2に期待している方も多いことだろう。今後登場するXシリーズの他モデルを占う意味でも、その画質力に注目が集まるところだが、実際に撮影してみて、期待以上のすばらしい仕上がりだと感じた。

2ページ目の自由作例と、3ページ目の感度別作例を見ていただきたいが、全体的には、富士フイルムらしい階調性や色表現力の高さはそのままに、解像感が向上している。高感度画質にすぐれるのも特徴で、高感度でもノイズの乗り方が自然なのが好印象。富士フイルムのデジタルカメラは、従来から、ノイズを無理につぶさずに精細感をキープする高感度画質を実現しているが、そのバランスのよさがさらに向上した感じだ。ディテールの再現性が高く、ISO6400でも常用できるクオリティだと思う。

さらに、仕上がり設定の「フィルムシミュレーション」に加わった白黒フィルムのモード「ACROS」が非常にいい。センサーレベルでの信号処理と複雑な画像処理を組み合わせて実現したモードで、階調性にすぐれるうえ、質感表現力が非常に高く、撮って出しの画像としては、一般的なデジタルカメラのモノクロとは一線を画す生々しいモノクロ表現が得られる。撮影後の画像編集では追い込めないような絶妙なトーンと自然な粒状感はこれまでにはなかったもので、少々大げさかもしれないが、デジタルモノクロでの作品作りを追求しているのであれば、このモードで撮影できるだけでもこのカメラを選ぶ価値が十分にあると思う。

新しいフィルムシミュレーション「ACROS」。モノクロフィルム「ネオパン 100 ACROS」の再現性を意識して作られている

フィルムの独特の粒状感を再現する「グレイン・エフェクト」は「弱」と「強」を選択できる

フィルムの独特の粒状感を再現する新機能「グレイン・エフェクト」も搭載。「弱」と「強」の効果を選択できる

使い勝手では、従来と同様、電子ビューファインダー(EVF)と光学ファインダー(OVF)を切り替えられるうえ、新たに、光学ファインダー上にEVFの小窓を同時表示する「エレクトロニックレンジファインダー(ERF)」も利用できるようになった。機能が多く使いこなしが難しいところがあるようにも感じたが、従来以上に多彩なスタイルで撮影できるのは高ポイントだ。

EVFとOVFの切り替えに加えて、ERFにも対応するようになった「アドバンストハイブリッドマルチビューファインダー」

ファインダー表示はボディ前面のレバーを使って切り替えられる

ファインダー表示はボディ前面のレバーを使って切り替えられる

特に注目したいのがERF。いろいろな活用ができると思うが、MF撮影との相性がいいと感じた。OVFで撮影しながらも、小窓でピント位置を拡大できるのがとても面白い。フォーカスピーキングやデジタルスプリットイメージの併用も可能で、OVFで精度の高いMF撮影を行えるのは新鮮だ。

EVFは、消費電力設定を「ハイパフォーマンス」に設定することで85fpsの高速表示が可能なのがポイント。動く被写体を追尾する場合でも、滑らかな表示で撮影することができる。レリーズ後のブラックアウト時間も短く、タイムラグが少なくてレスポンスのいいEVFだ。倍率は0.59倍でもう少し大きな見え方をするとさらによかったのだが、236万ドットの高精細な表示は十分なクオリティだ。

ERFの小窓は、視野率100%/2.5倍拡大/6倍拡大の3通りの表示を選択できる

ERFの小窓は、視野率100%/2.5倍拡大/6倍拡大の3通りの表示を選択できる

消費電力設定を「ハイパフォーマンス」にすると、EVFが85fpsの高速表示になる

消費電力設定を「ハイパフォーマンス」にすると、EVFが85fpsの高速表示になる

さらに、画面の約40%が像面位相差エリアになったうえ、測距点が77点(最大273点)に広がるなど、オートフォーカス性能が向上しているのも見逃せない。使ってみて特に進化を感じたのが合焦速度。APS-Cセンサーを採用するミラーレスの中にはもっと高速なモデルも存在するが、従来よりも短い時間でピントが合うようになっている。暗いところだとオートフォーカスが迷うようなこともあるが、シングルポイントモードで、ワンショット撮影をする限りでは大きなストレスは感じなかった。背面の専用レバーでのフォーカスポイント(フォーカスエリア)のダイレクト移動も可能になり、前モデルと比べるとオートフォーカスはかなり使いやすくなっている。

測距点が77点(最大273点)に増加したうえ、合焦スピードも向上。画像は測距点を微細化した際のモニター画面(273点、13×21)

フォーカスポイント(フォーカスエリア)を変更できる専用レバーを新たに搭載

フォーカスポイント(フォーカスエリア)を変更できる専用レバーを新たに搭載

×(気になるところ)
EVFとの色合いが異なる固定式モニター。感度ダイヤルの操作性も気になった

・固定式ではなく可動式モニターでもよかったのではないか
・EVFとモニターで表示の色合いが異なる
・感度ダイヤルの操作性は意見が分かれるところ。感度オートの機能強化を希望

期待以上のすばらしい画質を実現し、ファインダーもオートフォーカスも使いやすく進化しているX-Pro2だが、使ってみて気になる点もいくつかあった。

まずはモニター。X-Pro2は、速写性の高いレンジファインダースタイルを追求したモデルなので、固定式のモニターを採用しているのもわかるが、可動式のモニターでもよかったように思う。意見の分かれるところだとは思うが、実際にスナップ撮影をしていると、ウェストレベルやローアングルでの撮影において、モニターを動かしたい、と感じることがあった。特に、筆者もそうなのだが、チルト可動モニターを採用する一眼レフスタイルのX-T1を使っている方だと、X-Pro2に対してこの気持ちが強くなるのではないだろうか。

また、個体差があるのかもしれないが、EVFとモニターで表示の色合いが異なるのも気になった。同じ画像を表示して見比べてみると、EVFはやや青く(色温度が高く)、モニターは逆に黄色い(色温度が低い)。特に、全体をアンバーな色味に寄せた写真だとかなり異なって見える。実際の画像に近いのはEVFで、モニターはやや派手な感じだ。EVF/モニターともに明るさと鮮やかさの調整が可能ではあるが、この設定の調整だけで、両方の色合いをそろえるは難しい。もちろんEVFとモニターで見え方を完全に一致させることはできないが、色表現力の高いカメラであるので、モニターがやや派手な表示になるのは気になった。

なお、EVFの明るさ調整にはマニュアル設定のほかにオートも用意されているが、オートは、ライブビューのスルー画からEVFの明るさを決める仕様になっているため、暗いところで撮影していたり、レンズキャップを付けた状態で操作していると、EVFを覗き込んだときに極端に暗くなることがある。気になるようなら、マニュアルで明るさを設定したほうがいい。

約162万ドットの高精細な3.0型固定式モニターを採用

約162万ドットの高精細な3.0型固定式モニターを採用

このほか、シャッタースピードダイヤルと一体化した感度ダイヤルも、正直なところ扱いやすいとは感じなかった。ダイヤルを引き上げて回転させるという操作は、MFフィルム一眼レフを彷彿とさせ、ギミックとしては面白く、デジタルカメラでこの複雑な機構を実現したのはすばらしいと思う。ただ、実用性という点では、このダイヤルでの操作を補うような工夫がほしいと感じた。

具体的には、露出補正ダイヤルのCポジションのように、前後ダイヤルの操作で感度を変更するという機能強化なども考えられると思うが、高感度画質にすぐれ感度オートを積極的に活用できるカメラであることを考慮すると、感度オート時の機能性を上げてほしいところ。これはX-T1などでも同じなのだが、X-Pro2の感度オートは、基準感度、上限感度、シャッタースピードの低速限界を設定でき、かつ3つのプリセットを利用できるのだが、低速限界のオート設定がない。設定したシャッタースピードの値で固定されてしまうので、ズームレンズを使った場合にやや不便だと感じた。「標準」「速め」「遅め」といったように設定できると、感度オートがより使いやすくなると思う。

シャッタースピードダイヤルと一体化した感度ダイヤル。引き上げて回すことで感度を設定できる

シャッタースピードダイヤルと一体化した感度ダイヤル。引き上げて回すことで感度を設定できる

感度オートでは、シャッタースピードの低速限界を設定できるものの、オート設定は用意されていない

感度オートでは、シャッタースピードの低速限界を設定できるものの、オート設定は用意されていない

まとめ レンジファインダースタイルのミラーレスとして最高の1台

Xシリーズの最大の魅力は、富士フイルムらしい高画質な写真を撮影できることにある。その点については、階調性や色表現力にすぐれ、解像感もアップしたX-Pro2が、Xシリーズとして現時点で最高レベルにあることは間違いない。新しいモノクロモードACROSの描写もすばらしく、作品作りで活用してみたいと感じた。細かい使い勝手でいくつか気になる点を挙げたが、従来同様シャッターフィーリングにもすぐれており、撮影していて心地よく、楽しくなるカメラだ。ERFという新機能が加わったハイブリッドビューファインダーを搭載し、オートフォーカスも使いやすく進化したのもポイントで、レンジファインダースタイルのミラーレスとして最高の1台であると思う。

価格は2016年4月11日時点の価格.com最安価格で約180,000円。APS-Cミラーレスとしては高額な部類に入るが、従来モデル「X-Pro1」のユーザーでそのスタイルが気に入っている方にとっては、間違いなく“買い”だ。いっぽう、一眼レフスタイルのX-T1のユーザーは、今年中の発表がウワサされている後継モデル「X-T2(仮称)」を視野に入れている方も少なくないのではないだろうか。ただ、実際にX-Pro2を使ってみると、EVFとOVFを切り替えられるファインダーなど、X-T1にはないよさがあり、早く手に入れて使い倒してみたいと感じた。ACROSなど新しい要素も多く、X-T1ユーザーが使っても満足度の高いカメラになると思う。

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