「どうやって撮ったの?」って聞かれたい♪ 写真がちょっと上手くなる女子カメラ教室

このシャープ感! 「単焦点レンズ」と「ズームレンズ」を使い分けて1つ上の世界へ!

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デジタル一眼カメラをお持ちの方、もしくはこれから購入予定の方。一眼カメラを持ちたいと思ったきっかけは何でしたか?

一眼カメラの醍醐味は「レンズ交換ができる!」こと。そして、「コンデジでは表現しきれない世界を、いろんなレンズを使って独自の目線で表現したい!」ですよね。そこで気になるのは、自分なりの表現にこだわれるレンズ。一眼カメラが初めての方は、標準構成で付いてくる「ズームレンズ」から入られることが多いようですが(私が知らないだけかもしれませんが、とりあえず)、ここで素朴な疑問。ズームレンズと単焦点レンズの違いっていったい何でしょう? ズームレンズは広範囲の焦点距離をカバーしてくれるレンズだから、ズームレンズが2本もあれば何でも撮れちゃうし恐いものなし! ……と思っている方もいるかもしれません。でも、実はそれってかなりもったいない思い込みなんです。
(使用カメラ:富士フイルム「FUJIFILM X-Pro2」 ※画像はすべてリサイズしています)

「このシャープ感は、単焦点レンズならでは!」 くわしくは後半で!

「このシャープ感は、単焦点レンズならでは!」 くわしくは後半で!

そう、人に「どうやって撮ったの?」と聞かれる写真を撮るには、技術だけでなく道具も大事。特に最近のデジタル一眼カメラは、エントリーモデルでも、エレクトロニクスの処理によって相当高水準の品質で表現することができるようになっています。付属の標準ズームレンズは、それなりにキレイに撮れますがあくまでも最小限撮り始められるクラスのものなので、せっかくのボディ側の性能を引き出しきれないのです。標準ズームレンズキットは、ゴルフで言えば入門用の7本セットのようなもので、始めるには手ごろですが、ずっとそのままでは満足いかなくなる道具立てかもしれません。自分らしいゴルフをしていこうと思えば、よりよい道具をある程度そろえて行く必要があるのと同じで、写真にも道具は大事なのです。

ということで、今回は交換レンズについてのお話です。単焦点レンズとは、読んで字のごとく焦点距離が1つだけのレンズのこと。たとえば28oとレンズに書いてあれば、それは28o以外の焦点距離では撮影できないレンズです。逆にズームレンズは、1本で無段階に焦点距離が変えられるレンズで、たとえば28o−85oズームというレンズであれば、その28oから85oの間はどこでも自由自在に画角≒焦点距離を変えて撮影できる(微妙なフレーミングができる)レンズであります。

さっそく、写真の例を見ながら両方のメリットとデメリットを見ていきましょう。

写真1は35o単焦点レンズ、写真2は18o−55oの3倍ズームレンズで撮影したもの。同じ条件下で同じ絞り、同じシャッタースピードで撮ってみました。

写真1 F16、1/250、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF35mmF2 R WR

写真1 F16、1/250、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF35mmF2 R WR

写真2  F16、1/250、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS

写真2 F16、1/250、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS

小さい画面では違いが分かりにくいかもしれませんが、大きい画面で見てみるとズームレンズで撮ったほうが若干暗く撮れました(手前寄り、下1/3の部分が判りやすいですね)。とはいえ、パッと見ではほとんど差がわかりません。この例ではシャープさを出したかったため、絞り値をF16まで絞って(絞れば絞るほどピントの合う範囲が広がる)真上からトレーシングペーパー越しにストロボを1灯当てて撮りました。3倍ズームぐらいであれば、絞り込んで撮る分には解像度の違いや色収差(像のズレやにじみ、ゆがみ)などは見当たらないようです。もちろん、レンズのメーカーやレンズ価格(グレード)によって差はありますが、ズームレンズは倍率が上がれば上がるほど、遠くに寄れる分のトレードオフで画質を保つのが難しくなる性質を持っているのです。

次の写真3、4は、逆に絞りをそれぞれのレンズの開放値まで開けて撮りました(写真3は35o単焦点レンズ/開放値F2.0、写真4は18−55oズーム/開放値F3.5)。ボケの違いを見比べてください。

写真3  F2.0、1/160、ISO320、使用レンズ:FUJINON LENS XF35mmF2 R WR

写真3 F2.0、1/160、ISO320、使用レンズ:FUJINON LENS XF35mmF2 R WR

写真4  F3.6、1/160、ISO800、使用レンズ:FUJINON LENS XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS

写真4 F3.6、1/160、ISO800、使用レンズ:FUJINON LENS XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS

単焦点レンズはズームレンズに比べ、ほとんどのレンズで開放値が小さいのが特徴(それらをまとめて「明るいレンズ」という言い方をします)であるため、その分ボケの効果も期待できます。ズームレンズは構造上内部で使われているレンズの枚数が多く、結果としてその枚数を透過してくる光量維持の面で不利になるため、どうしても開放F値が大きく(つまりは暗く)なってしまい、ボケにも単焦点レンズほどの柔らかさはでません。

開放値で撮る場合の注意点は、開放値が小さい≒絞り値が小さい≒ピントの合う範囲が狭いわけですから、下手するとどこにもピントが来ていないような写真になりかねないので、どこかにピントをしっかり合わせること。そして明るいレンズの最大のメリットは、暗い場所でも手ブレせずにシャッターが切れることです。単焦点レンズは、いいレンズであればあるほど最小絞り値が小さい。絞り値が小さいということはたくさんの光を取り入れることが出来るということで、それはシャッタースピードもその分早く設定できるということ。つまり、ブレにくくなるわけです。なので、明るさ面で不利な屋内でじっとしてくれない子供を撮る時などは、絶対におススメです!

次の写真5は、道端に咲いた曼珠沙華。一部分にだけ夕陽があたって綺麗でした。ここは結構な斜面で、花に近づくのには大変そう。そんな時こそ、待ってました! ズームレンズの出番。18-55oズームの18oで後ろのビルまで入れて撮影してみました。

写真5  F8、1/180、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS

写真5 F8、1/180、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS

夕陽があたっている花だけを強調するために、露出補正をマイナスにかけました。ズームレンズのよさは自分の足で被写体まで近づけない場合でも遠近自由自在に撮れて便利なところ。こうなると単焦点レンズでも撮ってみないといけない気になり、必死で土手をよじ登り1つだけ白く咲いていた曼珠沙華を狙ってみました。それが下の写真6です。

写真6  F7.1、1/250、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF35mmF2 R WR

写真6  F7.1、1/250、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF35mmF2 R WR

ここでまた単焦点レンズの凄い点が! こちらもマイナス補正をかけていますが、シャープさも抜け感(手前の花と背景のボケの感じ)もよく、花がくっきりクリアに。単焦点レンズの構造は、ズームレンズのように色収差やゆがみなどの様々な補正のために必要な何枚ものレンズが無くて済むため、とてもシンプルな構造をしているのです。ズームレンズが、画質を変動させずに広範囲に渡る画角/焦点距離をカバーしなければいけないのと違って、単焦点レンズは1つの画角/焦点距離に特化してそれだけを追求して作ることができる分、画質がいいのは当たり前といえば当たり前ですね。でも、自分の撮りたい画角と合わない時の為にと沢山揃えると、カメラバックの中が何本もの単レンズでいっぱいになってしまうというデメリットも……。

さて次は、そのカメラバックいっぱいの単焦点レンズの中から14oレンズで秋らしく落ち葉を撮ってみました。

写真7 F22、1/5、ISO800、使用レンズ:FUJINON LENS XF14mmF2.8 R

写真7 F22、1/5、ISO800、使用レンズ:FUJINON LENS XF14mmF2.8 R

F22とかなり絞り込み、周囲の落ち葉にまでピントが合うようにしました。カチッとシャープですが、全面にピントが来ている写真ってなんだか見えすぎて逆に疲れますね。下の写真8は、同じレンズで絞りをF3.2にして撮ったもの(若干色味が違うのは、撮っているうちに露出が変わったのと、カメラ位置が違うためです。無視してください)。

写真8  F3.2、1/64、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF14mmF2.8 R

写真8は絞りを開けた分、写真7と比べ背景が若干ボケて地面の枯れ葉に対して木の株が浮いて見えるようになりました。でも絞りF3.2 なのに手前はかなりシャープに写るのでビックリ! 下の写真9は、写真8の落ち葉部分にどれだけピントが来ているかを見ていただくためにアップにしてみたものです。

写真9 写真8の一部を拡大してみました

写真9 写真8の一部を拡大してみました

凄くないですか、このピント! ホントにF3.2で撮ったか自分でもう一度確かめましたが、間違いなくそうでした(笑)。単焦点レンズならではの解像度と言えますが、このカメラとレンズの品質が特によいのは間違いないです。余談ですがこの落ち葉、撮影前日に公園でいろんな種類を拾って持ち帰り、きれいに洗ってよく拭いて、一晩干したら発色がよくなっていました。東急ハンズで売っている落ち葉に負けてない(笑)! 秋を演出する小道具を自作してみるのも楽しいですよ。

次は望遠系での比較です。写真10は90o開放値F2.5の単焦点レンズで撮影し、写真11は55-140mm開放値F2.8の2.5倍ズームレンズで撮影したもの。どちらもピントもボケも素晴らしいレンズなのですが、拡大して見てみると背景のボケ具合がやはり違いました。Web上で見る分にはまったくわからないかと思いますが、これを大きくプリントした場合などに背景の粒子の細かさなどの違いが出るかと思います。しかしこの程度の違いを言ってしまうと、重箱の隅をつついてあら探ししていることにもなりかねないレベル。このズームレンズの出来のよさを素直に認めようと思います。

写真10 F2.5、1/500、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF90mmF2 R LM WR

写真10 F2.5、1/500、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF90mmF2 R LM WR

写真11 F2.8、1/320、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

写真11 F2.8、1/320、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

参考までに、次は同じ望遠ズームでも、レンズキットに付属する比較的安価な望遠ズームレンズと今回お借りした高性能ズームレンズとの画質を比較をしてみました。

写真12 F2.8、1/2257、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

写真12 F2.8、1/2257、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

写真13 F5.2、1/1000、ISO 200、使用レンズ:40-150mm F4.0-5.6

写真13 F5.2、1/1000、ISO 200、使用レンズ:40-150mm F4.0-5.6

このサイズだとパッと見ではわかりませんが、金色のオブジェ中央部分をアップにすると……

写真12(高性能ズームレンズ)を拡大したもの

写真12(高性能ズームレンズ)を拡大したもの

写真13(お手ごろズームレンズ)を拡大したもの

写真13(お手ごろズームレンズ)を拡大したもの

やはり、写真12の高性能ズームのほうは滑らかさが違いますね。写真13のキットレンズには、モアレのようなものが見えるかと思います。ズームレンズは最大望遠側で撮った場合、レンズによってはゆがみや色被りなどが起きますが、この高性能ズームレンズは全く問題ありませんでした。

では、よい事ばかりかといいますと……、このレンズ、あらかじめ三脚用にレンズ自体に雲台が付いているぐらいですので、軽くありません。そして、安くもありません。いっぽうでキットレンズのほうは、軽いし安い。さあ、あなたならどちらを選びますか? では、これまでの内容を整理してみましょう。

「単焦点レンズ」のメリット&デメリット

F14、1/125、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF23mmF1.4 R

F14、1/125、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF23mmF1.4 R

<メリット>
・ズームレンズに比べレンズが明るい
・画質がよい
・軽い
・いいズームレンズに比べ、いい単レンズのほうが価格が安い
    
<デメリット>
・荷物が増える(レンズの本数が増えるため)
・レンズ交換の回数が増える
・適切な交換レンズが無い場合、被写体まで自力で近づかなくてはならない
・画角が固定されているので、微妙なフレーミング(撮影画角の調節)がしづらい

「ズームレンズ」のメリット&デメリット

F2.8、1/4000、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

F2.8、1/4000、ISO200、使用レンズ:FUJINON LENS XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

<メリット> 
・荷物がかさ張らない(本数が少なくて済む)
・レンズ交換の回数が少なくて済む
・自由に画角を決めることができ、被写体に近づけない時などにも便利

<デメリット>
・レンズが暗い (レンズ枚数が多いので光量面でのロス/減衰が避けられない)
・値段が高い (設計と機構が複雑で、レンズ枚数も多くなるため)
・高性能ズームレンズほど重量が重くなる (画質の補正・維持向上のためレンズ枚数が増える)
・一般的なズームレンズは一般的な単焦点レンズより画質が劣ることが多い(倍率とのトレードオフがある)

ざっくりとこんな感じでしょうか。ズームレンズに慣れていると、単焦点レンズは慣れるまでは不便さを感じるかと思います。でも単焦点レンズは明るく、絞り込んで撮っても絞りを開けて撮ってもその効果が顕著に表れるレンズだと思います。ズームレンズを使いながら、日ごろ自分がどのぐらいの焦点距離で撮ることが多いのかを考え、一番頻度の高い焦点距離に近い単焦点レンズから揃えてみてはいかがでしょうか? きっとあなたの作品の表現力に幅が出てくることと思います。最終的には、用途やシチュエーションによってズームレンズと単焦点レンズの使いわけができるようになりたいですね

今回使用したカメラは?
富士フイルム「FUJIFILM X-Pro2」

今回、単焦点レンズとズームレンズの画質の違いをお見せするはずが、お借りしたズームレンズが素晴らしすぎて、単焦点レンズとの差がほとんど出なく、正直困りました。ここまでズームレンズがよくなったことに私自身が改めて気づかされたテーマでもありました。そして、さすがフイルムメーカーとして長年培って来られただけの色彩表現、カチッとした仕上がりも健在で、私が長年お世話になってきた大好きなVelviaやPROVIAといった同社のフイルム時代を彷彿させてくれるものでした。ブラボー! 

「FUJIFILM X-Pro2」(レンズは、「FUJINON LENS XF23mmF1.4 R」を装着)

「FUJIFILM X-Pro2」(レンズは、「FUJINON LENS XF23mmF1.4 R」を装着)

「FUJIFILM X-Pro2」は、重厚なデザインのブラックボディ、レンズともに本格的。操作性にはちょっとクセもあるので、このカメラは初心者向けではなく、ある程度どんなカメラでも使いこなせる人向けのカメラだと思いました。

佐藤晶子

佐藤晶子

デジカメ普及の黎明期における専門誌での連載・ガイドブック監修など、早くからデジタル分野での仕事を手がける一方で、時間−空間−存在をテーマとした銀塩フィルムでの作品も多数。

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2017.11.17 更新
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