レクサスLSやSクラスよりもデカい!

“デカすぎる”トヨタ 新型「ハイラックス」徹底解説!5m超のピックアップトラックは日本で売れる!?

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読者諸兄がクルマを購入される時に、ボンネットを備えた「ピックアップトラック」を候補にあげることがあるだろうか。

トヨタ 新型「ハイラックス」

トヨタ 新型「ハイラックス」

今の日本では、トラックといえば軽トラックか、トヨタ「トヨエース」「ダイナ」のようなキャブオーバータイプだ。いずれも前輪の上にエンジンと座席が装着され、ボンネットを持たずに荷台を長く確保しているのが特徴だ。

今となっては、ボンネットを備えたピックアップはほとんど販売されていないが、かつては相応の人気を得ていた。その代表が、トヨタ「ハイラックス」だった。

トヨタ「ハイラックス」(画像は新型)

トヨタ「ハイラックス」(画像は新型)

ハイラックスの初代モデルは、1968年に発売されている。当時からトヨエースなど荷台の広いキャブオーバータイプも用意されていたが、運転のしやすさ、外観のスマートさなどから、ボンネットを備えたピックアップにも相応の需要があった。

この時代はクルマが高額商品で、トラックと乗用車を兼用するのが経済的に難しかった。そこで、トラックを日常の移動手段として使うユーザーも多く、乗用車感覚で使えるボンネットを備えたピックアップが注目されていた。

そして1979年には、3代目ハイラックスに4WD仕様が設定された。最低地上高は220mmもの余裕があり、悪路の走破力も高い。そんなスポーティーな雰囲気が若いクルマ好きに受け、日産「ダットサントラック」、三菱「フォルテ」などのピックアップにも4WDが用意された。

しかし、このブームは長く続かず、商用車の需要も前述のキャブオーバータイプが中心になっていく。軽トラックは1998年に行われた軽自動車規格の変更で荷台を従来以上に拡大させ、ピックアップはさらに勢いを失った。

これを受けて、各メーカーは次々とピックアップの国内販売を終了する。ハイラックスも2004年に販売を終えた。この後のハイラックスは、欧州や新興国を中心とする海外で売れ行きを伸ばすため、ボディを拡大させた。日本で小型貨物車を示す4ナンバーサイズに縛られないことは、海外で売れ行きを伸ばすには都合が良かった。

ところが、このハイラックスが2017年9月12日に日本市場で復活した。タイにあるトヨタの工場で製造された車両を輸入して販売するものだ。

新型ハイラックス 走行イメージ

新型ハイラックス 走行イメージ

ボディスタイルはいわゆるダブルキャブで、セダンのように4枚のドアが備わり、後部は天井のない荷台になっている。

ボディの大きさは全長が5,335mm、全幅は1,855mm、全高は1,800mmに達する。全幅はトヨタ「ハリアー」、マツダ「CX-5」などを少し上まわる程度だが、全長は5mを軽く超える。レクサス「LS」のロング版でも5,210mmだから、きわめて長いと言えるだろう。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も3,085mmで、最小回転半径は6.4mだから相当に大回りだ。

新型ハイラックスの積載イメージ

新型ハイラックスの積載イメージ

その代わり、前後席を備えたうえで広い荷台が備わる。荷台の最大床面長は1,565mm、リヤゲート部分の開口幅は1,380mm。最も狭いホイールハウス間の荷室幅は、1,105mmとされる。グレードはX(326万7,000円)と、上級のZ(374万2,200円)を用意した。

新型ハイラックスのインパネ

新型ハイラックスのインパネ

車内に入ると、インパネ周辺の質感と装備はグレードによって異なり、上級のZはピックアップであることを意識させない。メーターは自発光式で、中央には4.2インチのTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイが装着される。瞬間/平均燃費、外気温度などを表示することが可能だ。

スマートエントリー&スタートシステムも備わり、エンジンの始動と停止はスイッチ操作で行える。このあたりの機能とインパネの雰囲気は、乗用タイプのSUVとほぼ同じだ。

新型ハイラックスの前後席シート

新型ハイラックスの前後席シート

居住性は後席の足元空間が少し狭いが、大人4名の乗車は十分に可能。ベーシックなXを含めて、後席の座面を持ち上げると、雨に濡れては困る荷物などを収納できる。

エンジンは直列4気筒2.4リッターのディーゼルターボを搭載した。ランドクルーザープラドの2.8リッターと同系列のエンジンで、最高出力は150馬力(3,400回転)、最大トルクは40.8kg-m(1,600〜2,000回転)となる。

後者の数値は、自然吸気のノーマルガソリンエンジンに当てはめると4リッター並みだから、車両重量が2,080kg(Z)のボディと組み合わせても力不足を感じない。トランスミッションは全車が有段式の6速ATを採用する。

JC08モード燃費は11.8km/L。良好な数値とはいえないが、軽油の価格は安いので、燃料代の負担は14km/Lのガソリンエンジン車と同程度だ。トヨタ「ハリアー」やスバル「フォレスター」の2リッターターボくらいの出費だろう。

新型ハイラックスのダイヤル式トランスファー切替スイッチ

新型ハイラックスのダイヤル式トランスファー切替スイッチ

駆動方式は、パートタイム式4WDになる。前後輪の間にセンターデフや多板クラッチを設けていないから、カーブを曲がる時に前後輪の回転数を調節できない。そのために舗装路は後輪駆動の2WDで走り、4WDは不可避的にスリップが生じて前後輪の回転差が吸収される雪道や悪路だけで使うことになる。

新型ハイラックス発表会にて撮影(2017年9月12日)

新型ハイラックス発表会にて撮影(2017年9月12日)

舗装路で4輪を駆動する安定性を生かせないのはパートタイム式の欠点だが、前後の駆動系を直結できるために駆動力の伝達効率は高い。副変速機も備わり、砂地など路面抵抗が大きな場所では、強い駆動力を与えられる。ATが6速だから、副変速機を活用すれば12段変速として使える。悪路走行を優先させた4WDとした。

シャシーはピックアップだけあって耐久性の高いフレーム構造となり、サスペンションは前輪が独立式のダブルウイッシュボーン、後輪はリーフスプリングを使った車軸式だ。このあたりは信頼性の高いオーソドックスなメカニズムになる。

新型ハイラックスに搭載されている単眼カメラ

新型ハイラックスに搭載されている単眼カメラ

注目されるのは安全装備だ。Zには、ミリ波レーダーと単眼カメラをセンサーとして使うプリクラッシュセーフティシステムを標準装着した。歩行者も検知して緊急自動ブレーキを作動させ、車線逸脱の警報も行う。ハイ/ロービームの自動切り替え機能がないためにトヨタセーフティセンスPの名称とはならないが、緊急自動ブレーキの性能は同程度だ。

注意したいのはクルーズコントロールで、ミリ波レーダーと単眼カメラを搭載しながら連携させず、先行車との車間距離を自動調節する機能がない。単純に一定の速度で走るだけだから、使う時は気を付けたい。

売れ筋になるグレードは上級のZだろう。Xに比べて47万5,200円高いが、前述の安全&快適装備から外装のアルミホイールまで、装備が大幅に充実する。価格差に見合うメリットは十分に備わると言える。

マツダ「CX-5」

マツダ「CX-5」

ただし374万2,200円という価格は、相応に高いことも事実。マツダ「CX-5」のクリーンディーゼルターボを搭載した最上級のXD・Lパッケージなどと同等だ。内装の質感、居住空間や乗り心地の快適性を重視するなら、CX-5のほうが有利といえる。

トヨタ 新型「ハイラックス」のデッキ(荷台)

トヨタ 新型「ハイラックス」のデッキ(荷台)

ハイラックスの持ち味は、本格的にオフロードを走れるシャシーと4WDシステム、ピックアップならではの積載性だ。購入後は、大柄なピックアップだから1ナンバーの登録になり、車検を毎年受けねばならない。その代わり、商用車なので税金は安い。エンジンの排気量が1.5リッターを超える最大積載量が1トン以下の乗車定員を5名とした貨客兼用車だから、自動車税は年額16,000円に収まる。自動車重量税も年額12,300円と安い。

販売店によると納期は2か月から3か月だという。販売計画は1年間に2,000台だから、1か月平均ならば167台。ランドクルーザープラドの9%程度だが、妥当な台数だろう。

開発者はハイラックスを復活させた理由として「日本国内にはビジネスユースも含めて9,000台の従来型ハイラックスが保有されていて、復活を望む声が多い」というが、従来型は4ナンバーサイズ(全長が4,700mm以下/全幅が1,700mm以下)だ。特にビジネスユースでは市街地での取りまわし性が重要だから、乗り換え需要を見込むのは難しいと思われる。

新型ハイラックス 街中のイメージ

新型ハイラックス 街中のイメージ

また「20代から30代の若いお客様にも乗ってほしい」というが、Zの価格は400万円近いから、若い人達が買うにはハードルが高い。

そうなるとハイラックスに適するのは、若い頃にピックアップを所有した経験があったり、いろいろなクルマに乗ってみたい中高年齢層だろう。ピックアップはSUVと比べても機能や考え方が大きく異なるから、ボディサイズが許容できれば、今まで乗ってきたクルマとは違う運転感覚や使い勝手を味わえる。ベーシックなZを購入して、ローダウンなどのドレスアップを施すのも楽しい。

ハイラックスは販売の主役にはなれないが、個性的な「名脇役」になれる可能性は高い。たとえ購入できなくても、ハイラックスのような選択肢があると、クルマの世界が楽しくなるだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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2017.12.13 更新
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