長所を伸ばし、短所を克服。さらにオマケ機能も充実した2世代目

試乗でわかった、新型「リーフ」に込められた日産の強い思い

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2017年10月2日より、第2世代となった新型の日産「リーフ」の発売が開始された。新型モデルの進化はどのようなものなのか? モータージャーナリストである鈴木ケンイチ氏がレポートする。

情報リークや、検査に関する不祥事発覚などで揺れる日産から発売された「リーフ」。今年で最も注目を集める日産車であることは間違いないが、その実力や意気込みはどんなものだろうか

150万台生産の夢をかなえられなかった初代「リーフ」

新型「リーフ」を試乗して感じたのは、「日産のリーフへの強い思い」だ。「なんとしても、この製品を人気商品にする!」という、執念のようなものを感じたのだ。

正直、新型「リーフ」に関しては、試乗するまであなどっていた部分があった。確かにデザインは刷新されたが、プラットフォームなど、クルマの基本部分は旧型そのまま。フロントに搭載したモーターで前輪を駆動するFFハッチバックで、電池は床下というレイアウトも、先代と変わらない。斬新な新素材が採用されたわけでもないし、世界初の驚くべき最新技術があるわけでもない。三菱の「i-MiEV」に続き、「世界に先駆ける本格量産EV(電気自動車)」という触れ込みで2010年にデビューした初代のときの驚きや興奮はすでに消え去っている。それよりも、「2016年までに世界で150万台のEVを生産する」という2010年当時の日産CEOカルロス・ゴーン氏の宣言に反して、日産「リーフ」の販売は25万台程度と伸び悩んだ。量産EVとしては世界一であり、ルノー・日産のアライアンスでは、2016年夏までにEV生産35万台を達成している。しかし150万台という目標の前では、あまりにちっぽけな数字だ。夢が大きかっただけに、期待外れという思いも強かったのだ。

しかし、新型の「リーフ」を試乗して、日産はEVを決してあきらめていないことに気づいた。それだけ力の入ったモデルチェンジだったのだ。

賛否の分かれた前モデルの斬新さは薄れ、素直に「カッコイイ」と言えるデザインになった

賛否の分かれた前モデルの斬新さは薄れ、素直に「カッコイイ」と言えるデザインになった

床下にバッテリーを敷き詰め、前輪を駆動させるという骨格部分に前モデルから変更はない

床下にバッテリーを敷き詰め、前輪を駆動させるという骨格部分に前モデルから変更はない

航続距離を伸ばし、最新の運転支援機能を満載

第二世代となった「リーフ」の最大のトピックは、航続距離の延長だ。満充電で走れる距離は400km(JC08モード)に達した。2010年モデルの航続距離200kmから、改良を重ね、228q、280qと延長し、ついに2倍にまで距離を伸ばした。カタログ値の6割程度を実際の走行距離だと考えても240kmは走れる。これくらいの航続距離があれば不満も少なくなるはず。また、モーターの出力自体も旧型の80kW(109馬力)/254Nmから、110kW(150馬力)/320Nmにアップ。蓄電池の容量も40kWhに増量。その分、満充電まで3kWで16時間、6kWで8時間、急速充電での80%充電までに40分の時間が必要となった。また、「ノート e-POWER」で好評な「eペダル」も採用された。EVらしい、1ペダルでの加速&減速の操作が可能となっている。

バッテリーのサイズはそのままだが、従来の30kWhから40kWhに容量アップを果たした。これにともない航続距離も240kmから400kmまで伸びた

ボンネットに納まるモーターは横置きのガソリンエンジンのような外観。出力は80kW(109馬力)/254Nmから、110kW(150馬力)/320Nmに高められた

充電ソケットは、急速充電と通常充電の2種類。標準の3kWの充電なら満充電まで16時間、出力を高めた6kWの普通充電なら8時間で済む

運転支援機能の充実も新型「リーフ」の特徴だ。高速道路上での運転支援技術「プロパイロット」だけでなく、駐車もサポートする「プロパイロット パーキング」機能も採用。さらに車両後方をカメラで撮影して、その画像をルームミラーに映し出す「インテリジェント ミラー」や、車両を上空から眺め見る「インテリジェント アラウンドモニター」なども備える。まさに、日産の最新運転支援系技術を満載しているという格好だ。

「セレナ」などにも搭載されている「プロパイロット」を搭載。高速道路上でのハンドル支援などの自動運転支援を行う

自動駐車機能の「プロパイロット パーキング」を初搭載。通常の車庫入れ駐車、前向き駐車、縦列駐車の3パターンに対応している

パワフルでレスポンスのよい動力系、便利で楽な運転支援機能

新型「リーフ」の走りの特徴は静かさとスムーズさ、そして力強さだ。内燃機関やトランスミッションという音の発生源を持たない強みを生かした静粛性の高さはプレミアムセダンに匹敵する。もともと静かなクルマであったが、新型になってさらに磨きがかかった。ふと、フロアマットを見ると驚くほど分厚いものが使われている。こうした細かい部分の積み重ねが、クラスを超えた静粛性を生み出しているのだろう。また加速の力強さも向上していて、フル加速では3リッタークラスのエンジン車同等。レスポンスのよさは、さらに上という印象だ。ステアリングの手ごたえは軽いが、床下に重いバッテリーを積んだだけ、重心は低く、どっしりとした印象が強い。軽快ではなく、落ち着いた振る舞いを見せる。レスポンスよく、力強い加速も可能だが、あまり飛ばす気にならないのは、ふとしたときに重量感を感じてしまうからだろう。

重心の低い落ち着いた印象の運転感覚。重量感は否めないが、レスポンスもよく加速も鋭い

重心の低い落ち着いた印象の運転感覚。重量感は否めないが、レスポンスもよく加速も鋭い

持ち味だった静かさにはさらに磨きがかけられた。プレミアムセダンに匹敵する静粛性は新型リーフの大きな魅力だ

実際に走ってみると、アクセルペダルひとつで、加速から完全停止までをコントロールできる「eペダル」の恩恵は絶大であった。アクセルとブレーキを踏みかえる必要がないので、信号の多い市街地から高速道路、渋滞路まで、反応よく楽に走ることができる。ちなみに「eペダル」モード中にアクセルを戻して、0.07G(ほんのわずかにブレーキを踏む程度)以上を発生すると、ブレーキランプが点灯するようになっているので、後続車への気遣いは無用だ。慣れてしまえば、「eペダル」モードをオフにして、通常モードで走ることは、ほとんどなくなるのではないだろうか。

ダイレクトな操縦感覚を堪能できる「eペダル」は、センターコンソールに切り替えスイッチが備わる。慣れてしまえば通常モードはほとんど使わなくなりそうだ

「インテリジェント ミラー」と「インテリジェント アラウンドビューモニター」の利便性のよさも特筆すべきところだ。カメラで撮影した後方視界を映し出す「インテリジェント ミラー」は、遠近感を把握するのに慣れが必要だが、夜間や雨天などは、普通のミラーを使うよりも圧倒的に視界がクリアである。これらも、一度使うと手放したくなくなることだろう。

また、運転支援の「プロパイロット」もやみつきになること間違いなしの機能だ。センサーがモノカメラだけなので、雨に弱いという弱点はあるが、高速道路走行時の疲労軽減はとてつもなく大きい。新たに加わった「プロパイロット パーキング」は、後退駐車から前向き駐車、縦列駐車のすべてに対応するので、駐車が苦手という人には嬉しい機能だ。

充実の性能向上にインフラの充実もあり、そろそろ買い頃になってきた「リーフ」

航続距離の短さという弱点を小さくするだけでなく、モーター駆動車のメリットである、静粛性やレスポンスのよさ、力強いトルクなどを磨きこみ、さらに最新の運転支援技術を惜しみなく投入。弱点を克服し、強みを伸ばし、さらに運転支援技術やeペダルのオマケまで満載した。それが新型「リーフ」であった。ちなみに、月々2,000円で、日産ディーラーや高速SAなどにあるNCSの急速充電が使い放題になる「使いホーダイプラン」も用意。ランニングコストを抑えるサービスまで用意された。いかに、日産が新型「リーフ」に力を入れているかがうかがえるサービスだ。

充電スポットが増えたこともEVである「リーフ」購入を後押しする重要な要素だろう

充電スポットが増えたこともEVである「リーフ」購入を後押しする重要な要素だろう

第2世代になり、商品力がブラッシュアップされた新型「リーフ」。全国の充電スポットも約28,000を超え、使い勝手の面でもこなれてきた。もう、アーリーアダプター向け商品ではなく、普通の人も買える商品に育ったと言えるのではなかろうか。戸建てで自宅駐車場に充電器を設置できる人で、ロングドライブの機会が少ない人。そういう人であれば新型「リーフ」を選び、EVライフに挑戦してみるのはいかがか。新世代のカーライフを楽しめることだろう。

長所を伸ばし、短所を克服、オマケ機能も備えた新型リーフは一般層の人が普通に選んでも満足できる1台だ

長所を伸ばし、短所を克服、オマケ機能も備えた新型リーフは一般層の人が普通に選んでも満足できる1台だ

鈴木ケンイチ

鈴木ケンイチ

新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材まで幅広く行うAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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2017.12.10 更新
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