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バイク野郎 増谷茂樹の二輪魂

ハンターカブ再来となるか!? ホンダ「クロスカブ110」のオフロード走行が楽しい!

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2017年11月に新モデルが登場したホンダ「スーパーカブ」に続き、アウトドアテイストに仕上げられた「クロスカブ110」もモデルチェンジ。ちょっとしたオフロードなら走れそうなアクティブな装備が施されたクロスカブ110で、舗装されていない山道をツーリングしてきた!

2018年2月5日に発売されたクロスカブ110の乗り心地はいかに!?

2018年2月5日に発売されたクロスカブ110の乗り心地はいかに!?

名車“ハンターカブ”のイメージにより近付いた「クロスカブ110」

クロスカブについて語る際、避けては通れないのが1980年に輸出モデルとして登場した「CT110」だ。「スーパーカブ」シリーズをベースにレッグシールドを取り去り、オフロードイメージを採り入れたアップタイプのマフラーなどを装着したCT110は、自然の周辺をゆったりとツーリングできる“トレッキングバイク”というコンセプトでリリースされ、1981年には日本国内にも導入。当時のスーパーカブシリーズ最大の排気量(105cc)を有し、通常のバイクと同じテレスコピック式のフロントフォークといった装備を施したCT110は、幅広い用途に対応できるバイクとして注目を集めたものの、日本国内での販売は1983年に終了してしまう。ただ、販売が終了したあとも中古市場で大きく値落ちすることなく取り引きされたほか、継続して生産されていた輸出モデルを逆輸入して販売する業者もいたほど根強い人気を維持していた。

「ハンターカブ」の愛称で呼ばれた「CT110」は、1981年に日本国内でも発売。105cc、7.5PSの空冷エンジンを搭載し、オフロードをイメージしたアップタイプのマフラーを装着していた

そんな熱いファンの支持を受けてか、2013年にCT110を彷彿とさせる「クロスカブ」の初代モデルが登場。アウトドアをイメージしたスタイリングに、テレスコピック式のフロントフォークが装備された姿はCT110をイメージさせるものではあったが、当時の「スーパーカブ110」をベースとした車体だったこともあり「ハンターカブ(CT110)再来」と言うにはやや物足りない部分もあった。というのも、ベースとなったスーパーカブ110にも、2009年のモデルチェンジ以降、CT110の大きな特徴であるテレスコピック式のフロントフォークが採用されていたからだ。そのため、レッグシールドが備えられた車体に、専用のタイヤを履いて最低地上高を高めた初代クロスカブは、スーパーカブ110のテイストを変えた派生モデルというイメージであった。

2013年に発売された「クロスカブ」には通常のスーパーカブ同様にレッグシールドが備えられており、少しアグレッシブさに欠ける印象

初代クロスカブのベースとなった「スーパーカブ110」(2012年発売)。ハンドルやランプなどは異なるが、エンジンやタイヤといった基本的な部分はクロスカブにも同じものが使用された

そのクロスカブの外観を一新したのが、今回紹介する「クロスカブ110」だ。マフラーこそアップタイプではないが、エンジンが露出したスタイルや曲線基調のリアフェンダーなど、よりCT110のイメージに近付いている。それでいてバイクとしての性能も申し分ない。2017年11月に発売された「スーパーカブ110」と同じ、耐久性が高く、回転がなめらかな空冷式単気筒4ストロークエンジンを搭載。さらに、シフトレバーには軸部分にニードルベアリングを内蔵し、操作の質感を向上させている。そして、セミブロックタイプとなったタイヤにより、未舗装路でのグリップ性能がアップ。泥はねを抑えるマッドガードも施され、ちょっとしたオフロードを含めたツーリングに連れ出したくなるような仕上がりとなっている。また、本モデルから2人乗りができる設計となったのもポイントだ。

新型「クロスカブ110」は少し丸みを帯びたデザインとなり、軽快なイメージに

レッグシールドが取り去られたことでむき出しになったエンジン。最高出力は8.0PS/7,500rpm、最大トルクは8.5Nm/5,500rpmで燃費は61km/Lとなっている

17インチのフロントタイヤはセミブロックパターンとなり、ホイールのリムはブラックに塗装され、質感が向上。フロントフォークには、インナーチューブを汚れから守る蛇腹が装備されている

シフト操作は前側を踏むとアップ、後を踏むとダウンするシーソー式。専用設計の可倒式とされたペダルは、転倒しやすいオフロード走行を視野に入れていることが感じられる

LEDとなったライトの周囲には、新たに採用されたガードを装備。ちょっとした荷物ならくくりつけられそうな構造が冒険心をくすぐる

リアには大型のキャリアを装備。スプリングがむき出しのリアサスペンションも走りそうなイメージをかき立てる

2名乗車が可能となったので、リアにはタンデムステップが追加された。2人乗り用のシートを装着すればタンデム走行ができる

個人的に気に入ったのがシルバーのマフラーガード。スリットが入っており、「CT110」のイメージに近付けられている

ハンドルバーがむき出しになったことでスッキリとした見た目となったコックピットも、軽快さを演出。手元のスイッチも専用デザインだ

メーターパネルにはカモフラージュ柄のペイントが施され、ライダーのアウトドア気分を盛り上げてくれる

メーターパネルにはカモフラージュ柄のペイントが施され、ライダーのアウトドア気分を盛り上げてくれる

オフロードで走行性をチェック!

いよいよ試乗! 本来であれば街中を走るところだが、この見た目と装備のクロスカブ110は未舗装の道路も走行できるのかを確かめてみたい。エンジンは2017年に発売された「スーパーカブ110」と同じだが、どこまでアグレッシブに走れるのだろうか。また、スーパーカブ110との乗り心地の違いも気になるところだ。

車体サイズは1,935(全長)×795(全幅)×1,090(全高)mmで、重量は109kg。身長175cmの筆者がまたがると、足は両足のかかとまで付くが、シートが厚くなっているためか、リアサスが硬くなって沈み込みが少なくなっているせいか、スーパーカブ110より少しヒザが伸びているように感じる

スーパーカブ110の1.3倍ほど厚みのありそうなシートが採用されており、長距離を走っても疲れにくそう

スーパーカブ110の1.3倍ほど厚みのありそうなシートが採用されており、長距離を走っても疲れにくそう

まず、よくある砂利の未舗装路を走ってみる。タイヤがセミブロックなので、ほとんど不安感なく普通に走ることができた。トルクフルなエンジン特性もこうした未舗装路に合っているように感じる。拍子抜けするほど簡単に走れてしまったので土の路面が続く林道に入ってみたが、こちらもまったく問題なく走れてしまった。ところどころ路面が荒れていたり、段差になっている部分があったものの、路面からの突き上げは、以前、試乗したスーパーカブ110と比べると非常にマイルド。クロスカブ110のサスペンションは、荒れた道も走れるようにセッティングされているようだ。

砂利の未舗装路はカーブも含めて不安なく走れた。エンジンのトルクの出方も急ではないので、アクセルを大きめに開けてもタイヤがすべることもない

土の路面は乾いていたこともあり、苦労することなく走れてしまった。ハンドルがライダーに近い、手前に来る設計となっているため、コントロールもしやすい

順調すぎるオフロード走行に気分が高まり、さらにハードな路面がやや荒れた登り坂にチャレンジ! 太いトルクでスルスルと登り始め、今回も問題なく成功かと思いきや、ぬかるんでいる場所でタイヤがすべってしまった。見ると、セミブロックパターンのタイヤの溝に泥が詰まっているではないか! これはお手上げかも……と思いつつ、歩くほどのスピードでゆっくりとアクセルを開けると意外なことにトラクション(路面にかかる駆動力のこと)がかかり、タイヤは少々すべっているものの車体は前に進んでいく。歩行程度の速度からトルクが出るエンジンのおかげであることはもちろんだが、シートとリアサスペンションがしっかりしているのでお尻を通して体重をかけ、タイヤを路面に押し付けられるのが効いている様子。この感覚をつかんでからは、すべりながらも結構な坂を登って行くことができた。やるじゃないか、クロスカブ!

グリップの悪い路面に、シートを介してタイヤを押し付けながら登って行くのはかなりおもしろい

グリップの悪い路面に、シートを介してタイヤを押し付けながら登って行くのはかなりおもしろい

溝がなくなるほど土が詰まってしまったタイヤだが、低回転のトルク豊かなエンジンとよくできた足回りにより、荒れた路面を走行できたのは見事!

試乗を終えて

アウトドアなイメージのデザインとセミブロックパターンのタイヤを採用しているクロスカブ110だが、メーカーが大々的に「オフロードも走行できる」とうたっているワケではない。今回の企画は筆者の好奇心によるものであったが、予想以上の走破性に関心した。未舗装路をスピードを出して駆け抜けることはできないが、ゆっくりトラクションを感じながら走るだけでも十分おもしろい。いや、むしろ積極的にコントロールしている感じがたまらない。少し郊外まで足を伸ばし、そこで見つけた未舗装路にちょっとした探検気分で入ってみる、そんなプチ・アドベンチャー的な使い方が合っていそうだ。

もちろん、舗装路での乗り心地もすこぶるいい。試乗の際、未舗装路のある場所まで行くため、少し郊外まで足を伸ばしたが、2017年に発売されたスーパーカブ110のように、街中では太いトルクで交通の流れをリードするくらいの速さが出せる動力性能はありがたい。また、取り回しのよいハンドリングは何気ない交差点を曲がるだけでも楽しめる。普段使いの足として活躍し、遊び心も持ち合わせたクロスカブ110は、ハンターカブのような心躍る要素を秘めたマシンと言えるのではないだろうか。

撮影:前田雅章

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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