特別企画
「売れすぎ」という問題を抱える人気車たち

ジムニーやクラウン…出そろった2018年「注目車」の販売状況と納期を探る

2018年6〜7月にかけて、話題の新型車が相次いで発売された。6月はトヨタ「クラウン」を筆頭に、トヨタ「カローラスポーツ」やダイハツ「ミラトコット」、7月は、スズキ「ジムニー」、ホンダ「N-VAN」などが代表車としてあげられる。

いずれも人気車として、発売の際に話題となったが、気になるのが発売後の「販売台数」と「納期」についてだ。発売直後の新型車は、予約受注や乗り換え需要などのために一般的に販売台数は増加傾向となるものの、前人気どおりに実売へと結びついているかを推し量るひとつの指標にはなりうるだろう。また、納期については、最近ではジムニーがかなり納期に遅れが発生していると、たびたび報道されている。

そこで、前述の5車種について、販売台数や納期について改めて調査し、まとめてみたので参考としてほしい。

スズキ「ジムニー」

右がスズキ「ジムニー」、左がスズキ「ジムニーシエラ」

右がスズキ「ジムニー」、左がスズキ「ジムニーシエラ」

ジムニーの納期をスズキの販売店にたずねると、「ジムニーが1年以上、ジムニーシエラはさらに遅れる」と言う。ジムニーの納期が伸びた理由は、ふたつある。まずひとつは、予想を超える受注となったことだ。ふたつ目は、生産規模が小さいことだ。スズキが掲げるジムニーの販売目標台数は、1年間で1万5,000台(1か月に1,250台)、ジムニーシエラは1年間に1,200台(1か月に100台)だ。スズキで人気の軽自動車と比較してみると、「ワゴンR」は1か月に1万6,000台、スペーシアは1か月に1万2,000台を販売するので、ジムニーの販売目標台数はかなり少ないと言える。にも関わらず、受注が多かったために納期は大幅に遅延している。

ジムニーの受注台数は、正式には発表されていないものの、スズキの販売店に聞くと「すでに1年分を超える生産台数を受注した」と言う。ということは、すでにジムニーで1万5,000台以上を受注していることになる。

スズキも、増産による対応はしている。販売店によると「今は、生産規模を1.5倍に増やして対応しているそうだ(1か月で1,875台)。そして、2019年にはさらに増やす(1か月で2,813台)」と言う。だが、大量のバックオーダーを抱えているために、納期が一向に縮まらない。

スズキ「ジムニー」

スズキ「ジムニー」

ジムニーは悪路に強い本格SUVであり、舗装路ではジムニーの真価は発揮できない。したがって、一般的な軽自動車のように大量に売れるクルマではないのだが、新型は20年ぶりのフルモデルチェンジということもあり、待ち望んでいたユーザーが多かったのだろう。

また、今売れているSUVは、いずれもFFをベースにしたシティ派で、内外装を都会的に仕上げている。だが、新型ジムニーは初代モデルに立ち返り、悪路における「プロユース」を前提に開発された。ボディやエンジンが小さく、なおかつ本物指向であることも、人気を高めた理由のひとつだ。

先代ジムニーの2017年における販売台数は、1か月平均にすると1,123台であった(シエラを除く)。フルモデルチェンジの直前でもこれだけ売れていたのだから、新型ジムニーの月販目標台数が1,250台では、さすがに少なすぎたと言わざるを得ない。

スズキとしては、ジムニーの需要を長期的に見て生産計画を立てているので、発売直後の需要急増には対応しにくいというのは理解できる。だが、1年以上もの納期遅延というのは、せっかく購入してくれるユーザーに多大な迷惑をかけてしまい、購入したいのに諦めざるを得ないユーザーも出てきてしまう。できるだけ、早急な対応を望みたいところだ。

トヨタ「クラウン」

トヨタ「クラウン」

トヨタ「クラウン」

国内メーカーにおける上級セダンの多くは、今や海外向けとして開発されている。その結果、5ナンバーセダンは激減し、全幅が1,800mmを超えるような上級セダンが多くなった。しかし、トヨタ「クラウン」はLサイズの上級セダンでありながら、全幅は1,800mmに抑えられ、いまだに日本国内向けに開発されている貴重な車種のひとつだ。初代モデルの発売から60年以上が経過しているクラウンは、今や国産乗用車の中核的な存在となっている。また、クラウンはトヨタ店の主力車種でもあるから、販売にも力が入っている。

日本で安定的な人気を誇るクラウンは、2018年6月26日に発売された新型モデルも人気を博し、発売から1か月間で3万台を受注した。ちなみに、先代クラウンでも発売から1か月で2万5,000台を受注している。新型クラウンは先代と同様に売れ行きは好調で、同一車種の乗り換え需要も安定している。エクステリアデザインを大幅に変更し、ロイヤルサルーンも廃止されたことから、新型では受注が伸び悩むのではないかと心配されたが、ユーザーには受け入れられているようだ。

新型クラウンの納期を販売店にたずねると、「2Lターボが1か月半から2か月、2.5Lハイブリッドが4か月半、3.5Lハイブリッドが3か月半になる」という。新型クラウンでもっとも人気の高い、2.5Lハイブリッドの納期が4か月半というのは、少し長い。2018年9月中に契約しても、納車は2019年2月にさしかかってしまう。トヨタには、新型クラウンの納期を縮める努力が求められるところだ。

トヨタ「カローラスポーツ」

トヨタ「カローラスポーツ」

トヨタ「カローラスポーツ」

2018年6月26日に発売された、トヨタ「カローラスポーツ」。カローラスポーツはミドルサイズの5ドアハッチバックで、以前トヨタで販売していた「オーリス」の実質的な後継車種だ。

トヨタの発表によると、カローラスポーツは発売から約1か月後に9,200台を受注した。売れ筋グレードの価格が220万円を超える3ナンバー車で、乗り替えの需要がそれほど多い車種でもないから、9,000台を超える受注台数は堅調に売れていると言えるだろう。

販売店に納期をたずねると「カローラスポーツの納期は、契約から2か月、あるいは3か月を要する。ターボ、ハイブリッドともに18インチタイヤ&アルミホイールなどを標準装着する最上級のG・Zが人気で納期も長い。ボディカラーやオプションの選び方(ショックアブソーバーの減衰力を制御するAVSなど)によっては、9月中に契約して、納車が2019年1月以降にズレ込む可能性もある」という。グレードによっては、多少納期が長くなるので注意したい。

ホンダ「N-VAN」

ホンダ「N-VAN」

ホンダ「N-VAN」

2018年6〜7月の新型車ラッシュでは、軽自動車の発売が比較的多かった。その中でも、おもしろそうなクルマとして注目されたのが、2018年7月13日に発売されたホンダ「N-VAN」だ。人気の高いN-BOXをベースに、軽商用バンを造り上げた。

ホンダによると、N-VANは8月20日までに1万4,000台を超える受注を獲得したという。N-VANの前身となる「アクティバン」は1999年の発売だから乗り換え需要も多く、1万4,000台ならば想定の範囲内だ。

販売店のホンダカーズに、N-VANの納期をたずねると「GホンダセンシングやLホンダセンシングであれば約2か月に収まる。ただし、LEDヘッドランプなどを備えたワゴン風の+STYLE FUN Honda SENSINGは、納期が少し長引いて約3か月を要する。特に4WDは約4か月に達するから、9月中に契約しても納車は2019年1月以降になる可能性が高い」という。+STYLE FUN Honda SENSINGは販売比率が高く、N-VAN全体の44%にも達する。その影響もあって、納期が長引いている。

ただ、本来ならばホンダ「アクティバン」をフルモデルチェンジすべきだった。アクティバンは、エンジンを床下に搭載して車両の前側を短く抑え、荷室長は1,725mmと長い。N-VANはボンネット内部にエンジンを収めるから、車内が短く、荷室長も1,510mmにとどまる。これではアクティバンに積めた荷物をN-VANでは運べない場合が生じてしまう。

したがって、アクティバンのフルモデルチェンジを求めるユーザーも多かったが、軽商用バンは薄利多売の世界だ。現状では、独自の設計を施して採算を成立させるのは難しい。そこで、N-BOXをベースに新型軽バンを開発した。N-VANでは、荷室長が短い不利を補うために、助手席を小さくたたんだり、左側をワイドに開けるボディ構造が採用されている。

ダイハツ「ミラトコット」

ダイハツ「ミラトコット」

ダイハツ「ミラトコット」

2018年6月25日に発売されたダイハツ「ミラトコット」は、「ミラココア」の実質的な後継車種だ。ミラトコットは、若い女性をターゲットに開発されている。全高は1,530mm(2WD)と立体駐車場でも使いやすく、ボディが軽いので燃費にもすぐれている。外観はシンプルで個性的に仕上げられ、サイド&カーテンエアバッグを全車に標準装着した。緊急自動ブレーキも、幅広いグレードで装着できる。ミラトコットの価格は、安全装備が充実した割に安く抑えられ、ベーシックな「ミライース」と比べても、4万円程度の価格上昇で内外装の質を高めている。

ダイハツの発表によると、ミラトコットは発売後の約1か月で9,000台を受注している。この受注状況は、軽自動車としてはなかなかの売れ行きだ。タントやムーヴキャンバスのような車内の広い実用指向の軽自動車ではないから、価格を割安に抑えたとはいえ、大量には売れない。

販売店に納期を尋ねると「新型車としては受注が落ち着いており、納期も長引いてはいない。契約して1か月から1か月半で納車できる」という。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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