ドライバーの皆さま、タイヤの空気圧を気にしていますか?
最近のクルマは故障が少なく、またカードタイプのキーの普及によりキーの閉じ込みなどは激減したものの、相対的に目立つようになったのがタイヤのトラブルです。2014年以降、高速道路でJAFを呼ぶ原因の1位はパンクやバースト(破裂)、空気圧不足となっており、また日本自動車タイヤ協会が実施したタイヤ点検によると、4台に1台が空気圧不足だったという結果が出ております。
タイヤへの意識を高めないと、思わぬトラブルを招く恐れがあります!
釘などの異物が刺さるのは避けようがなかったりしますが、パンクやバーストの原因は、空気圧が低すぎる状態で走り続けるなど、ドライバーのタイヤに対する意識の低さに起因するものが大変多いのが現実。パンクの中でも、スローパンクチャーと呼ばれる、ゆっくりと空気が抜けていくパンクは、敏感な人でないとなかなか気がつかないものです。
また、異物が刺さったりする以外に、タイヤに空気を注入するバルブ内部の劣化も空気漏れの要因に。最近はパンク時に使用する応急用タイヤを装備しないクルマが増え、アルミホイールの大口径化や低偏平率化も著しいこともあり、ここでひとつ、タイヤの空気圧を気にする意識を高めたいところであります。
タイヤの空気圧はクルマごとに規定値という適正な数値があり、日本で正規で売られるクルマでは運転席側のドアを開けると表記されております。この規定値に合わせるのが基本とされているものの、タイヤの空気圧は温度や走行状況によって結構上下するものなので、実は刻一刻と目まぐるしく変化しています。多少の変動は問題ありませんが、限度を超えるとタイヤ本来の性能が発揮できないばかりか、クルマの挙動を大きく乱す原因にもなりかねません。
その車両の空気圧規定値は、運転席側のドアを開けると表示があり確認できます
たとえば、空気圧が極端に低い状態では、タイヤがグニャっとつぶれて変形してしまうのでサイド部分が傷んだり、発熱しすぎてバーストしたりするリスクが高くなります。パンクやバーストに至らないまでも、転がり抵抗が激増して燃費が悪化したり、路面への踏ん張りが効かなくなったりして不安定になるなど、やはり危険な状態を招いてしまいます。
逆に、空気圧がパンパンに高い状態では、タイヤの接地面積が減ってしまうので滑りやすくなったり、乗り心地が悪くなったりといったネガティブ要素をともないます。
特に注意すべきは、タイヤへの負担が大きくなる重量の大きなクルマです。車重が増えればそれだけ空気圧の過不足がもたらす影響も大きくなると認識しましょう。大型SUVなど車重が2トンを超えるクルマや、7〜8人乗りミニバンでのフル乗車時、あるいは重い荷物を満載にしたワゴンなどがそれに当たります。本格的なキャンピングカーでは車重が3トンを超えるので、より一層タイヤの状態をマメにチェックする必要があります。
また、前述したように、タイヤの空気圧は常に変動するものであるという意識を持つことも重要です。たとえば朝イチなど、数時間以上停車した状態ではおおむね外気温に近い温度となり、走りだすと路面との摩擦熱で温度は上昇。高速走行を続けると、タイヤ内部の温度は外気温+15〜20℃ほども高くなります。タイヤの温度が高くなると、内部の空気が膨張して空気圧も上昇しますので、高速走行中のタイヤの空気圧は、規定値よりも1割程度高くなるとイメージしてください。
したがって、高速道路を走る機会が多い場合は、朝出かける前に空気圧を調整するなら規定値よりもやや低めにしたり、高速道路のSA/PAに立ち寄って調整したりするのがベターと言えるでしょう。
とはいえ、しょっちゅう空気圧のチェックをするのも大変な作業ですよね。時間が惜しまれることもあります。そこでオススメしたいのが、運転しながら常にタイヤの空気圧をチェックできる「タイヤ空気圧モニタリングシステム」です。
今回試してみたのは、カスタム用アルミホイールの老舗ブランド・ウェッズが発売した「ウェッズギアTPMSミドルレンジ」。タイヤ内に装着したセンサーから送られる空気圧やタイヤ内温度の情報を、車内に設置する小型モニターに表示。走行中、常にタイヤの空気圧と温度を監視してくれるというものです。
モニター本体、配線、各タイヤに装着するセンサー、ネットなどがセットになっています
走行中、4つのタイヤの温度や空気圧が常に把握できれば安心ですし、限度を超えた変化にいち早く気がつくことができるので、危険を回避することにつながります。「タイヤ空気圧モニタリングシステム」は「TPMS(Tire Pressure Monitoring System)」とも呼ばれ、運転に対する意識の高い欧州などでは大衆車でも標準装備されているなど、国によっては低価格な小型車でも付いていて当たり前の装備になっています。
残念ながら、日本のドライバーの多くは運転そのものに対する意識が低く、タイヤの状態を意識する人も少数派なので普及率が低いのですが、後付けのタイヤ空気圧モニタリングシステムは数多く販売されています。
後付けのタイヤ空気圧モニタリングシステムは、さまざまな製品がリリースされていますが、選ぶ際にまず注意したいのは、日本の電波法をクリアしているかどうか。センサーの作動周波数が315MHzという、認定された電力無線設備であるかどうかをしっかり確認したうえで購入してください。低価格の海外ブランド製品には日本の電波法違反となるものもありますので、くれぐれも注意しましょう。
「ウェッズギアTPMSミドルレンジ」は、もちろん日本の電波法をクリア。設定した空気圧の値を超えると警告してくれますが、その値は140〜760kpaと幅広く、軽自動車から本格キャンピングカーまで対応できるのも大きなポイントです。
また、バルブキャップ交換タイプと異なり、タイヤ内部にセンサーを組み込むので、視覚的な違和感や、タイヤの回転バランスへの影響もなし。さすが、クルマの足元を知り尽くした老舗メーカーの製品という感じで、低価格製品に対するアドバンテージの大きさを実感。
センサーはタイヤの内部に装着するので、タイヤ交換時に組み込むのがいいでしょう。毎日運転する場合、各センサーの電池は3年ほどで寿命を迎えますが、タイヤの寿命も一般的には3年ほどなので、センサーの電池が切れたらタイヤも交換時期を迎えるといえます
センサーについているキャップは樹脂製。これがイマイチ気に入らない場合に備え、金属製のキャップも付属しています。多くの場合、元々アルミホイールについているキャップも使えます
シガーライターソケット、またはUSBポートから電源を取るだけで接続完了。あとは好きな場所へ固定します
モニターを設置する台は両面シールで貼り付けます。運転のじゃまにならず、また事故の際に体に当たる可能性が低い場所を選んで設置しましょう
筆者はインパネ下部の小物入れスペースに設置。常に凝視すべきものではありませんが、見たいときにすぐ確認できる位置に設置しましょう
クルマを始動させると(イグニッションONにすると)自動で始動。オープニング画面から立ち上がります。
始動後、数分かけて各車輪からのデータをキャッチ。高すぎたり低すぎたりすると警告してくれる限界の数値は任意で設定できます。プラス側(高い)は50kpsぐらい、マイナス側(低い)は30kps程度の数値で警告されるようにすれば安心でしょう
タイヤに装着するセンサーは「センサーポジション認識機能」を備えているので、装着時の設定操作は不要。装着後、タイヤローテーションなどでタイヤの位置を変えてもセンサーがタイヤの位置を自動認識するのも大変便利で、これも本製品の大きなポイントに。
装着後、5,000km以上の距離を走り、タイヤへの負荷が大きくなるサーキット走行を3回実施しましたが、ネガティブ要素は一切感じられませんでした。埼玉県から熊本県までの長距離移動など、長時間の運転をしていると特に異常を感じなくてもタイヤの状態が気になるものですが、常に正確な数値でタイヤの状態を把握できる安心感は想像以上で、ロングドライブのストレス低減効果も高いものがあります。
各タイヤの温度や空気圧が常に変動する様子がよくわかります。警報が鳴る数値を任意で設定することも可能
筆者が暮らす埼玉県での10〜11月の期間は、17〜18℃で規定値の220〜230kpsになるよう調整。街乗りでも温度は30℃程度まで上がりますので、冷間時は規定値よりわずかに低くしたほうがベターでしょう
タイヤの温度が過度に高くなるサーキット走行でも、タイヤの内部温度と空気圧が常に把握できるのはありがたいかぎり、というより絶対に必要な機能であると強く認識するに至りました。
筆者は時折サーキットを走行するのですが……
タイヤの温度は最高で65℃まで上昇。空気圧も270〜280kpsまで高まり、パンパン気味になりました。この数値を見ると直ちにクールダウンする必要を感じたので、ピットイン!
タイヤのトラブルが原因で起こる事故を回避できると思うと、すべてのクルマ、すべてのドライバーに必須のアイテムであると言えるので、広くオススメします。
なお、空気圧を調整するのはガソリンスタンドでの給油時が便利です。タイヤの空気入れは、多くのガソリンスタンドが常備しているので、おっくうがらずにチェックしましょう。
このようなコンプレッサーを携行しておけば、なお便利で安心ですね。
実験でわかった! タイヤの空気圧“ちょい高め”で燃費がよくなる
ガソリンスタンドにはこのような空気入れが置いてある場合がほとんど。操作は簡単なので、セルフ給油の際にも空気圧は見ておきたいところです