レビュー
「スカイフィールトップ」がもたらす車内の圧倒的な開放感

乗るだけで気分“アゲアゲ”!「タフト」試乗レビュー&買い得グレードを解説

現在の自動車ビジネスにおいて、「クロスオーバー」「SUV」といったキーワードは、もはや無視できない。軽自動車カテゴリーにおいてもそれは同じで、もう「耳にタコができる」くらいなのだが、スズキの軽SUV「ハスラー」(2代目)がヒット街道ばく進中だ。

では、軽自動車を中心に販売を展開しているダイハツはどうか。実は、ダイハツも過去にはSUVカテゴリーに参入していた。2000年代には「テリオスキッド」、そしてトールワゴンの最低地上高やエクステリアをSUV風にアレンジした「キャスト アクティバ」などがあった。

発売1か月で18,000台を受注するなど、販売好調なダイハツ「タフト」

発売1か月で18,000台を受注するなど、販売好調なダイハツ「タフト」

だが、キャスト アクティバなどはビジネス的には成功していても、やはりSUVとして何かが足りない。いいクルマなのだが、男性が乗るにはもう少しタフさがほしい。先日、ダイハツのディーラーにおもむき、セールスマンと話をした際にも同様の意見が聞こえてきた。そこへ「タフト」の登場である。タフトは、月間販売目標台数の4,000台に対し、発売後1か月で目標の4.5倍となる約18,000台を受注しているという。

さて、今回試乗したタフトのグレードは、最上級の「Gターボ」とNA(自然吸気)エンジンを搭載する「G」の2台だ。駆動方式はいずれもFFだったのだが、ラインアップとしては4WDも設定されている。トランスミッションはCVTのみだが、実はターボとNAではCVTの構造が異なっている(詳細についてレビューとともに後述)。

ダイハツ「タフト」(Gターボ)のフロントエクステリアとリアエクステリア(画像は、ディーラーオプションの「メッキパック」装着車)

まず、タフトの実車を見て最初に感じたのは、想像したイメージよりも背が低いことだ。実際、タフトはハスラーよりも全高が50mm低いのだが、ただ低いというのではなく、ボディの四隅に配置された樹脂系パーツがいい演出をしていると感じる。寸法制限のある軽自動車でありながら、ホイール周辺などをうまくデザインすることで、SUVらしい踏ん張り感をしっかりと表現している。

ダイハツ「タフト」でもっとも注目したいのが、全車に標準装備されているサンルーフ「スカイフィールトップ」だ

そして、車内へと乗り込んで驚くのが、全グレードに標準装備されている「スカイフィールトップ」だ。素直に、すばらしい装備だと感じた。全グレード標準装備とした理由のひとつが、オプションで設定した場合には、異なる2種類の足回りやボディ設計を行わなければいけないということだったという。要は、無駄なコストをかけないための、いい意味での「割り切り」なのだ。

「スカイフィールトップ」を開けて運転すると、頭上がクリアになり日が差し込むので、とても開放的な気分に浸れる。試乗当日の天気は曇りであったが、スカイフィールトップを開けることで車内の居住スペース全体に日が回り込んで、かなり明るくなる印象だ

もともと、タフトのヘッドクリアランスは十分なのだが、手動のシェードをスライドさせると「おおーっ!」と思わず驚いてしまう。従来のガラスルーフの多くは、開放感があっても視界上でその恩恵を味わえるケースが少なかった。理由は、ガラス面が頭の直上に配置されていたからだ。だが、タフトはスクエアなボディにプラスして驚くほどワイドなため、見晴らし抜群の前方視界にプラスしてチラリと視線を上に動かすだけで、スカイフィールトップの圧倒的な開放感が味わえるのだ。もちろん、採用されているガラスにはUVカットやIR(赤外線)カット処理がしっかりと行われており、ぬかりはない。タフトの車内は十分に広いのだが、シェードを閉めた状態からスッと開けると、正直「スカッとする」。言い換えれば、気分アゲアゲなのである。

正直、サンルーフは今の自動車ビジネスでは販売増にはつながりにくい。車種にもよるが、装着率は80〜90年代に比べれば10%に満たないという話もある。そういったことを考えても、今回のタフトは商品企画の勝利と言えるのかもしれない。余計な出費をせず、ここまでの開放感がどのグレードでも味わえるのが、何よりもこのクルマの価値を高めている。

ダイハツ「タフト」のインテリアと「2眼メーター&TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ」

ダイハツ「タフト」のインテリアと「2眼メーター&TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ」

室内に関しては、メーターは視認性にすぐれており、メーターが挟むような格好の「TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ」の機能も実用的なものだ。また、オプションのカーナビやディスプレイオーディオの取り付け位置も、インパネ上部に設定されていることで視線移動も少ない。

ダイハツ「タフト」のインパネは、オレンジの鮮やかな加飾が目にとまる

ダイハツ「タフト」のインパネは、オレンジの鮮やかな加飾が目にとまる

ただし、オレンジカラーのパネルについてはチャレンジングかもしれないが「なぜ、ここにこの色のパネルがあるのか」というのがわからなかった。シフトは操作しやすく、エアコンスイッチ類も効率的に配置されているし、ダイハツの軽自動車では初となる「ホールド機能付きEPB」(電動パーキングブレーキ)のスイッチ類もスッと手を左にスライドさせた位置に配置されており、UI的にもよくできている。ゆえにこのオレンジカラーのパネルや、空調の吹き出し口のデザインなどには違和感を覚えた。

ダイハツ「タフト」(G)のフロントシートとリアシート

ダイハツ「タフト」(G)のフロントシートとリアシート

フロントシートは、上下調整機構が付いておりホールド自体も悪くない。基本設計(フレーム)は、タントと同様のものと思われる。そしてリアシートは、着座するとシートの座面部分にしっかりとしたコシがあって、足元や頭上空間も十分に広い。よく言われる、大人4人が余裕で乗ることができるレベルだ。ただ、その座面自体の前後寸法が長くないので、膝から少し上の大腿部までが少し落ち着かない印象も受けた。

ダイハツ「タフト」のリアシートは、スライド機構はないものの、50:50の分割可倒式で、倒せばフラットにもなるので利便性は高い

機能面で気になったのは、ハスラーのリアシートは左右分割で独立してスライドするのだが、タフトにはそのスライド機構がないという点だ。当初、「車両価格を抑えるために、ここをコストダウンしたのか?」と感じていたのだが、実際に使ってみると左右の背もたれは分割可倒&ラゲッジボードまでフラットにできるので、機能として十分に感じた。タフトのコンセプトのひとつに「バックパックスタイル」という言葉がある。4名乗車が可能なのはもちろんだが、タフトは1名もしくは2名乗車でリアシートを倒して荷物を載せ、アクティビティを楽しむといった使い方が似合っているだろう。

ダイハツ「タフト」(G)の走行イメージ

ダイハツ「タフト」(G)の走行イメージ

さて、最初に試乗したNAの「G」は、加速自体はもちろんターボにかなわない。ただし、街乗り中心であれば全体的に回転数を高めに維持することで、過不足ない加速を得ることができる。また、ハスラーのNA車には設定がない「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」も、タフトではメーカーオプションではあるものの選択可能だ。

ダイハツ「タフト」(Gターボ)の走行イメージ

ダイハツ「タフト」(Gターボ)の走行イメージ

いっぽう、「Gターボ」に乗るとNAとは大きく異なるくらい、パワーに余裕がある。前述のように、タフトのCVTはターボとNAでは搭載するユニット自体が異なる。ターボには、タントから新採用された伝達効率にすぐれる遊星ギア付きの「D-CVT」が搭載されているのに対し、NA車は従来型のCVTになる。コスト面や効率を考えれば、それはそれで納得できるのだが、D-CVTが持つ幅広い変速比によって高速巡航時のエンジン回転数低減はもちろん、静粛性にも寄与する。タントがNAにもこのD-CVTを搭載していたこともあり、できれば将来、タフトのNAにもこれを搭載してほしい。

ダイハツ「タフト」(Gターボ)の走行イメージ

ダイハツ「タフト」(Gターボ)の走行イメージ

両グレードに共通して言えるのは、重心が高いクロスオーバー型でさらにスカイフィールトップを搭載していることから、ハンドリングの点から見れば、あまり好ましくはない。しかし、昨今のダイハツ自慢のDNGAはこれらの問題を解決しているそうで、振動の少なさやステアリングの中立時の曖昧さの軽減なども、DNGAがあったからこそ解決できたというのが開発者の話だ。

高速道路において、ダイハツ「タフト」のACCを作動テストさせている様子

高速道路において、ダイハツ「タフト」のACCを作動テストさせている様子

ADAS(先進運転支援システム)に関しては、自慢のスマアシ(スマートアシスト)のカメラが刷新され、衝突回避ブレーキの性能などが大幅に向上している。ACCに関しても、「電動パーキングブレーキ(EPB)」との連携によって全車速追従式になり、さらに停車保持時間が最大で3分まで延びているなど、高速道路上の渋滞時などでの利便性が向上している。

ダイハツ「タフト」のアダプティブクルーズコントロール(ACC)は、ステアリング右側のスイッチのうち、中央の「CRUISE」ボタンを押すことでACCがオンになる(タントでは、この位置はACCキャンセルボタンとなっている)

実際にACCを試してみたところ、その利きや使い勝手は満足できるもので、さらに細かな点ではこれまでの(ダイハツだけでなく他メーカーのクルマにも多く採用されていた)ACCのステアリングスイッチの配置が、タフトでは異なっていることに気づいた。このACCスイッチの配置がなかなか使いやすく、今後のダイハツ車にも多く採用されていくと思われる。

ダイハツ「タフト」(G)のフロントイメージ

ダイハツ「タフト」(G)のフロントイメージ

現状のタフトの販売面は、GとGターボがほとんど同じ比率で売れているそうである。FF車で比較した場合、G(2WD)の1,485,000円(税込)はたしかに戦略的な価格だ。塗装色は異なるが、Gターボと同サイズのアルミホイールやオートレベリング機構付きのフルLEDヘッドランプなども標準装備されており、買い得感は本当に高い。

いっぽう、Gターボ(2WD)は1,606,000円(税込)で、基本装備についてはGと同じである。しかし、Gターボには最初からACCや「LKC(レーンキープコントロール)」を含む「スマートクルーズパック」が標準装備されている。Gの場合は、これらの機能がメーカーオプションで44,000円になるので、計算上Gターボは「スマートクルーズパック」の価格をのぞけば、ターボによって走りに余裕があって、なおかつD-CVTを搭載しているタフトを1,562,000円で買えることになる。

全車メーカーオプションの「9インチスマホ連携ディスプレイオーディオ」は、82,500円(税込)。さらに、駐車支援システムのためのフロントカメラやサイドカメラなどがセットになった、「スマートパノラマパーキングパック」(126,500円/税込)を選ぶこともできる

タフトの車両価格はかなり抑えられているが,カーナビなどはオプションになる。最近流行りの「DA(ディスプレイオーディオ)」もメーカーオプションで選ぶことができるが、駐車支援を行う「スマートパノラマパーキング」に9インチのDAを組み合わせたパッケージオプション(126,500円/税込)がオススメだろう。さらに、もっと価格を下げたいのであれば、DAの画面サイズが6.8インチの仕様を選べば、99,000円(税込)になる。結論としては、タフトはGターボを選び、前述したパッケージオプションを選択するのがベストチョイスだ。

最後に、小ネタをひとつ。ダイハツは、登録車で販売好調な「ロッキー」や、トヨタにOEM供給している「ライズ」の生産ラインが大忙しとの情報が入っているが、タフトについてはタントやキャストと同じ「ダイハツ九州」で生産されている。そして、生産の分散化やタフトの多彩なボディカラーは、この九州工場だからできた部分も大きいそうだ。タフトの、非常にセンスがいいボディカラーはデザイナーの力量によるものでもあるが、九州工場にある塗装タンクがほかのダイハツの工場とは少し異なることも理由のひとつなのだそう。

昨今は、軽自動車の価格も高騰気味ではあるが、コスパにすぐれたタフトは若い人だけでなく、アクティブマインドを持つ幅広い層に受け入れられる1台であることは間違いないだろう。

高山正寛

高山正寛

ITS Evangelist(カーナビ伝道師)/カーコメンテーター/AJAJ会員/20-21日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。1959年生まれ。リクルートで中古車情報誌「カーセンサー」の新車&カーAV記事を担当しフリーランスへ。ITSや先進技術、そしてカーナビ伝道師として純正/市販/スマホアプリなどを日々テストし布教(普及)活動を続ける。

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