レビュー
ボルボ初のコンパクトSUVにPHEVモデルが登場!

人気のボルボ「XC40」に追加されたばかりのPHEVへ試乗!

ボルボのコンパクトSUV 「XC40」は、「2018年欧州カー・オブ・ザ・イヤー」(ボルボ初)や「日本カー・オブ・ザ・イヤー2018-2019」を受賞し、グローバルでは「XC60」に続いて販売台数を稼いでおり、日本においてはトップセラーとなっているボルボの主力モデルだ。

2020年8月25日に日本で販売が開始された、ボルボ「XC40 リチャージ プラグインハイブリッド T5 インスクリプション」

そして2020年8月25日、人気のXC40にPHEVの「XC40 リチャージ プラグインハイブリッド T5 インスクリプション」(以下、XC40 PHEV)が新たに加わった。価格は649万円。今回、わずかな時間ではあるが試乗する機会が得られたのでレビューしたい。

■ボルボ「XC40 Recharge Plug-in hybrid T5 Inscription」の主なスペック
全長×全幅×全高:4,425×1,875×1,660mm
ホイールベース:2,700mm
最低地上高:210mm
最小回転半径:5.7m
燃費(WLTCモード):14.0km/L
EV走行換算距離(等価EVレンジ):41.0km
充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ):45.6km
最高出力(エンジン):132kW(180ps)/5,800rpm
最大トルク(エンジン):265Nm(27.0kgm)/1,500-3,000rpm
最高出力(モーター):60kW(81ps)/4,000-11,500rpm
最大トルク(モーター):160Nm(16.3kgm)/0-3,000rpm
トランスミッション:電子制御前進7速A/T(7G-DCT)

PHEV、ハイブリッドモデルを順次拡大しているボルボ

ガソリンエンジンモデルがなくなり、ハイブリッドモデルとPHEVモデルのみになった「XC40」

ガソリンエンジンモデルがなくなり、ハイブリッドモデルとPHEVモデルのみになった「XC40」

「XC40 PHEV」の充電口は、ボディの左フロントに備えられている

「XC40 PHEV」の充電口は、ボディの左フロントに備えられている

大型の「SPA」プラットフォームを採用しているXC90などでは、全ラインアップにプラグインハイブリッドを搭載しているボルボ。今回は、コンパクト用の「CMA」プラットフォームを採用しているXC40にもプラグインハイブリッドを拡大するとともに、名称もこれまでの「ツインエンジン」などから、「リチャージ プラグインハイブリッド」へと変更された。また、XC40はほかのバリエーションにもすべてハイブリッドモデルが採用され、これまで存在していたガソリンエンジンのみのモデルは廃されることになった。

日本初導入の1.5L 3気筒ターボエンジンと、注目の7速DCT

「XC40 PHEV」が搭載しているエンジンは、日本へ初導入される新開発の3気筒1.5リッター直噴ガソリンターボ。この180psのエンジンに、80psの電気モーターが組み合わせられる

XC40 PHEVのエンジンとモーターはフロントに搭載され、リチウムイオンバッテリーはセンターに置かれるレイアウトで、トランスミッションは7速DCTを採用。

日本初導入となる3気筒エンジンは、排気量が1,476t、最高出力は180ps/5,800rpm、最大トルクは265Nm/1,500-3,000rpmを発生させる。また、電気モーターの最高出力は60kW(81ps)/4,000-11,500rpm、最大トルクは160Nm(16.3kgm)/0-3,000rpmである。

ここで注目したいのが、7速DCTだ。通常、モーター走行の場合にはトランスミッションを介さず、直接モーターで駆動するクルマが多いのだが、XC40 PHEVはモーター走行時には2速と4速を、さらにハイブリッドの場合には6速まで使用する。たとえば、ハイブリッドで5速で走行していると、モーター側は4速で加勢。6速の場合は、モーター側も6速で加勢するのだ。ボルボ・カー・ジャパンの説明によると、95km/hぐらいで一瞬船を漕ぐような感覚があり、そのときに2速から4速に変速しているとのことだった。

メーター右側に備えられているのが、EV走行やハイブリッド走行を示すパワーフローメーター

メーター右側に備えられているのが、EV走行やハイブリッド走行を示すパワーフローメーター

また、XC40 PHEVではEV走行とハイブリッド走行の状況をメーター内に表示させている。水滴マーク(READY表示)よりも針が上に行くとエンジンがかかり、下がればEV走行していることを表している。さらに、充電メーターや燃料メーターなども常に表示されているのでわかりやすい。

気になる燃費だが、おおむね13〜14km/ L程度は走るようで、EV走行は高速道路で満充電なら50kmくらいは走行できるだろうと、メーカー担当者から説明があった。

重心の高さを感じない、安定した走りが好印象

「XC40 PHEV」のフロントエクステリアとリアエクステリア

「XC40 PHEV」のフロントエクステリアとリアエクステリア

横浜のみなとみらいでクルマを受け取り、ざっと外観や内装を見てみる。だが、XC40のガソリンモデルと区別するのはなかなか難しいほど、その違いは少ない。ドライバーはメーター表示などで意識できるが、それ以外ではエンブレムとマフラー(バンパー内に隠れるという)程度の差異でしかない(※さらに、今回のテスト車は2020年モデルのため、エンブレムやマフラーはガソリン車と同じだった)。

「XC40 PHEV」で高速道路を試乗

「XC40 PHEV」で高速道路を試乗

まず、近くの入り口から高速道路へと乗り入れてみる。そこで気づいたのは、バッテリーがクルマの中心かつ低いところに搭載されていることから、とても安定した走りをするということだ。XC40のガソリンモデルも、車高の割には重心の高さは感じなかったが、XC40 PHEVではより一層低く感じる。また、ガソリンモデルよりも100kgほど車重が増えているにもかかわらず、コーナーなどの段差で跳ねるなど不安定な挙動を示さないのは優秀だ。さらに、235/50R19(テスト車はピレリ「P ZERO」)という比較的大きなタイヤを履いているにもかかわらず、それほどバネ下の重量を感じないのも評価できる。全体として乗り心地は硬めで、しっかりとした印象だ。

ハイブリッドのフィールは極めて自然。ただし、ブレーキの感触は……

「XC40 PHEV」の試乗イメージ

「XC40 PHEV」の試乗イメージ

では、その走りはどうか。基本的には、積極的にモーターで走行する傾向にあり、ためしにと深くアクセルを踏み込むと、ようやくエンジンが始動する。そのときのエンジン音や振動などは、全開加速さえしていなければ3気筒と気づくことはないレベルだ。前述したモーター走行時の変速ショックなどは、今回の試乗程度ではまったく感じられなかったので気にするほどのレベルではないのだろう。それ以上に、エンジンのオン、オフに際してショックなどが一切なく、最初はメーターなどを観察して“船を漕ぐ”瞬間を探っていたのだが、そのうちまったく気にせずに走ってしまっていた。つまり、そこを気にする必要がないくらい自然ということだ。

「XC40 PHEV」の試乗イメージ

「XC40 PHEV」の試乗イメージ

パワーは必要にして十分以上で、3気筒やハイブリッドなどの言葉からくる非力なイメージは、XC40 PHEVには一切ない。アクセルレスポンスも自然で、思い通りの加速を手に入れられる。また、オルフィス社製のクリスタルシフトノブを手前に引けば「Bモード」になり、より強い回生ブレーキが手に入る。これは、エンジンブレーキに似たフィーリングで、長い坂道などでは有効なプログラムだ。直進安定性も非常に高く、ロードノイズも驚くほど低く抑えられているので、高速移動は得意中の得意と言えよう。

「XC40 PHEV」は、ブレーキフィールのスポンジーさが唯一の懸念点だ

「XC40 PHEV」は、ブレーキフィールのスポンジーさが唯一の懸念点だ

ただし、ひとつだけ今回の試乗中に気になった点がある。それは、ブレーキフィールだ。ブレーキを少し強めに踏み込むとスポンジーで、妙に反発のあるフィーリングで思い通りに減速できないのだ。そこからより強く踏み込むと、一気に減速Gが立ち上がるので、非常にコントロールしにくかったことを付け加えておきたい。ここからは予測だが、回生ブレーキとの協調制御がいまひとつなのかもしれない。

市街地を走っても、高速道路と大きく印象は変わらない。特に、静粛性の高さは市街地を走行していても感じられ、モーター走行時にありがちな、ロードノイズが妙に耳につくこともなく、「harman kardon」のプレミアムサウンドを楽しめるだろう。

近年、着々と電動化を進めているボルボ。2021年中には、すでに海外では発表済みのXC40のピュアEVも日本導入が予定されている。まだまだ内燃機関との組み合わせが主流ではあるものの、最も重要なのは内燃機関のみのクルマから乗り換えても違和感を覚えないことだろう。人間は、一度慣れ親しんだところからはなかなか抜け出せないものだからだ。そういう意味でも、この「XC40リチャージプラグインハイブリッドT5インスクリプション」(長い!!)はその期待に十分応えてくれるクルマへと仕上がっているように思える。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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