レビュー
ビッグマイナーチェンジが施されたLSの進化点をチェック

価格は1,351万円。レクサスのフラッグシップモデル「LS Fスポーツ」に試乗

トヨタが世界展開している高級車ブランド「LEXUS(レクサス)」のラインアップの中で、フラッグシップモデルとして位置付けられているのが「LS」だ。

レクサス「LS」のフロントエクステリアとリアエクステリア

レクサス「LS」のフロントエクステリアとリアエクステリア

2017年に登場した5代目の現行LSは、2020年11月にビッグマイナーチェンジが実施され、内外装に変更が施されたほか、乗り心地などが改善されている。今回、パワートレインに3.5L V型6気筒ハイブリッドを搭載しているスポーティーモデルの「LS500h Fスポーツ」(税込価格:1,351万円)に試乗し、ネックとなっていた乗り心地がどこまで改善されているのかなどを含め、LSの進化点をレビューしたい。

2017年のフルモデルチェンジ時の、「LS Fスポーツ」のフロントフェイス

2017年のフルモデルチェンジ時の、「LS Fスポーツ」のフロントフェイス

2020年のマイナーチェンジ後の、「LS Fスポーツ」のフロントフェイス。ヘッドライト周りのデザインが変更されている

2020年のマイナーチェンジ後の、「LS Fスポーツ」のフロントフェイス。ヘッドライト周りのデザインが変更されている

まず、外観はヘッドライト周りに変更を受けている。マイナーチェンジ前は、デイタイムランニングランプがヘッドライトと分かれたデザインが採用されていたのだが、マイナーチェンジ後には一体化されたデザインが採用されている。また、テールランプはメッキパーツが廃されたことで、ランプの厚みがより強調された。全体的に、よりシンプルで洗練されたデザインが採用されている印象を受ける。

レクサス「LS」のインパネと、新たにタッチパネルが採用されている「12.3インチタッチワイドディスプレイ」

レクサス「LS」のインパネと、新たにタッチパネルが採用されている「12.3インチタッチワイドディスプレイ」

内装は、インパネ中央のワイドディスプレイが変更されている。ディスプレイは、大きさこそ以前と同じ12.3インチのものだが、タッチディスプレイになったことから、操作性は以前に比べてなじみやすくなった。なお、タッチディスプレイを採用したことによって、モニター画面の位置も手前へと移されている。

レクサス「LS Fスポーツ」の走行イメージ

レクサス「LS Fスポーツ」の走行イメージ

LS Fスポーツに乗り込み、走り始めてすぐに気付いたのが、操舵した時の車両の反応のよさだった。これまでも、鈍さは感じなかったのだが、マイナーチェンジ後は操舵に対する車両の動きが、より正確に変わるようになっている。2,260kgもの車重をも、あまり意識させない。

レクサス「LS Fスポーツ」には、フロントに245/45RF20、リアに275/40RF20のランフラットタイヤが装着されている

レクサス「LS Fスポーツ」には、フロントに245/45RF20、リアに275/40RF20のランフラットタイヤが装着されている

特に、試乗車はFスポーツであり、前後ともに20インチの大きなタイヤが装着されている(ほかのグレードは、標準で19インチを装着)。にもかかわらず、タイヤは機敏な操舵にもしっかりと反応してくれる。カーブを曲がる時は、外側に位置する前輪がグリップして、重いボディながらきっちりと内側へ向けてくれる。操舵に対する正確性が高いので、ボディがひとまわり小さく、軽くなったようにも感じた。また、走行安定性も十分に確保されている。たとえば、下り坂のカーブで危険を避ける時でも、後輪のグリップ力は低下しにくい。走りのバランスは、全体的に高まったと言えるだろう。

レクサス「LS Fスポーツ」の試乗イメージ

レクサス「LS Fスポーツ」の試乗イメージ

だが、高級車ブランドの最上級車種としては、乗り心地はもう少し改善する余地がありそうだ。2017年のフルモデルチェンジ直後に試乗した際に感じたような、不規則に揺すられるような印象は抑えられているのだが、低速域でコツコツとした硬さが残っているので、もう少し穏やかなほうがいいだろう。スポーティーな乗り心地と言えなくもないのだが、LSはプレミアムブランドのフラッグシップモデルなので、快適性も追求すべきと思う。

レクサス「LS Fスポーツ」の走行イメージ

レクサス「LS Fスポーツ」の走行イメージ

動力性能については、マイナーチェンジよりさらに前の2019年の一部改良によって、すでに改善が施されている。フルモデルチェンジされた2017年の「LS500h(3.5L V6ハイブリッド)」へ試乗した際は、「LS500(3.5L V6ツインターボ)」に比べて動力性能に物足りなさを感じていた。だが、2019年の一部改良によって、加速時におけるバッテリーのアシスト力が強められた。それによって、LS500hはパワーに余裕が見られるようになり、感覚的には実用回転域の駆動力が高まったような印象を受けた。その印象は、マイナーチェンジ後でも変わらない。

また、以前は登坂路などでアクセルペダルを踏み込む量も多く、エンジンの負荷が増えて、ノイズも少々気になっていた。そのあたりも2019年に改善されており、動力性能と静粛性が両方ともに向上している。さらに、アクセルペダルを深く踏み込むと、高回転域の伸びが活発になる。5代目が発売された当初は、経済性のハイブリッドか、あるいは動力性能のツインターボか、と迷うところであったが、今はハイブリッドにも走りのよさが加わっており、推奨度は高くなっている。

レクサス「LS Fスポーツ」の走行イメージ

レクサス「LS Fスポーツ」の走行イメージ

LSは、マイナーチェンジによって走行性能や乗り心地、デザインなど多岐にわたって進化を遂げているが、久しぶりに試乗するとやはりボディの大きさを感じる。LSは全長が5,235mm、全幅は1,900mmにも達する。最小回転半径は、後輪駆動の2WDで5.6m、4WDでは6.0mと、トヨタのLサイズミニバン「アルファード」(5.6〜5.8m)をも超える。ここまでボディが大きくなって、ユーザーは不満を感じないのだろうか。販売店にたずねてみると、以下のような返答だった。「オフィスビルに駐車する法人のお客様は、このボディサイズでも大丈夫だが、先代LSを個人で所有するお客様は困っている。自宅マンションの駐車場に入らない場合もあるからだ。その時は、ボディが少し小さなESを推奨するが、最上級車種ではなくなってしまう。そのため、欧州のプレミアムブランドに乗り替えられる例もある」。

ちなみに、2006年に発売された先代(4代目)のLSは、標準ボディであれば全長が5m少々に収まっていた。日本のユーザーにとっては、現行LSは少々距離感が生じてしまっているのかもしれない。

LSのグレード選びも考えてみたい。ハイブリッドの価格は、ツインターボに比べると「Iパッケージ」グレード同士の比較で146万円、Fスポーツでも117万円、ハイブリッドのほうが高くなる。その代わり、ハイブリッドは購入時に納める税金がFスポーツで約26万円安く、実質差額は91万円に縮まる。推奨度が高いのは、加速が滑らかで静かなハイブリッドだが、高い動力性能や91万円安くなることを考えてツインターボを選ぶ手もある。燃費(2WD)については、ハイブリッド(13.6km/L)とツインターボ(10.2km/L)では、そこまで大きく変わらないので、どちらを選択するかは、運転感覚の好みと車両価格によるところが大きいだろう。

なお、ライバル車のメルセデス・ベンツ「Sクラス」にも少しだけ触れておきたい。Sクラスに、3L V型6気筒のクリーンディーゼルターボを搭載した「S400d 4MATIC」は、4WDシステムと本革シートや先進の安全装備が標準装備されている。WLTCモード燃費は12.5km/Lだ。レクサスLS500hの4WDの燃費は12.6km/Lとほとんど変わらないが、軽油価格の安さから、S400d 4MATICのほうが燃料代については少し割安になる。車両価格は、LS500hの4WDで最も安価な「I package」が1,260万円、S400d 4MATICは1,293万円。LSハイブリッドは、Sクラスのクリーンディーゼルターボと真っ向から対抗するライバル車になった。LSの購入を検討されているのならば、Sクラスも試乗して最終的な判断を行いたい。Sクラスも比較検討することで、LSの価値を客観的に判断できるようになるはずだからだ。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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LS ハイブリッドの製品画像
レクサス
2.87
(レビュー17人・クチコミ334件)
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レクサス
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