ホンダは、2021年4月に米国で新型「シビック」セダンの市販モデルを正式発表し、6月16日(現地時間)に販売を開始した。そして、2021年6月24日には日本において新型シビックのハッチバックモデル(以下、新型シビックハッチバック)を世界初公開した。
2021年秋に日本で発売予定の、ホンダ 新型「シビックハッチバック」。今回の新型モデルで11代目、4年ぶりのフルモデルチェンジになる
日本では、セダンは販売されないのだが、ハッチバックについては2021年秋に発売予定となっている。そこで今回、新型シビックハッチバックのスペックや先代との変更点など、現時点で判明している詳細情報について解説したい。
まず、新型シビックの今後の販売スケジュールについて、販売店では以下のように説明する。「7月上旬には、販売店で詳細な価格やデータなどが明らかにされ、予約受注が開始される。8月上旬には正式発表され、メーカーのホームページなどにも細かな情報が掲載される。9月上旬には発売となり、予約受注分の納車が開始される予定だ」。
新型シビックハッチバックの試乗車は、いつごろ販売店へ届けられるのだろうか。「試乗できるのは、9月上旬以降だろう。試乗した後で契約すると、納車が2021年の末か、2022年に入る可能性もある」。
従来型(先代)「シビックハッチバック」
ホンダ 新型「シビックハッチバック」
新型シビックハッチバックの外観は、従来型はグリルとヘッドライトが一体化したような「ソリッドウイングフェイス」と呼ばれる個性的なフロントフェイスが採用されていたが、新型シビックハッチバックでは細目のすっきりとしたデザインのヘッドライトに変更されている。
従来型(先代)「シビックハッチバック」
ホンダ 新型「シビックハッチバック」
また、テールランプは従来型ではコの字型のデザインが採用されていたが、こちらも細身のデザインのものへと変更されている。
ホンダ 新型「シビックハッチバック」のサイドイメージ
ボディサイドのデザインは、従来型は横方向のキャラクターラインが後方に向かって持ち上がっていたが、新型では水平基調のデザインが採用されている。全体として、新型のシルエットは従来と同様のハッチバックデザインが踏襲されているが、セダンのような落ち着いた雰囲気を持つイメージへと刷新されているように感じる。
ホンダ 新型「シビックハッチバック」フロントピラー
新たに追加された「リアクォーターガラス」
フロントピラーとフロントウィンドウは、下端の位置を従来型よりも50mm後退させており、前方の視野角が広がっている。さらに、後席のサイドウィンドウは下端の位置が従来型よりも35mm下がっていて、BピラーとCピラーの間へ新たにリアクォーターガラスが追加されていることなどによって、後方視界が向上している。
ボディサイズ(全長×全幅×全高)は、4,550×1,800×1,415mmで、ホイールベースは2,735mm。従来型に比べると、全長は30mm長くなり、全幅は従来型と同じで、全高は5mm低くなった。ホイールベースは35mm拡大されており、フロントオーバーハングは15mm拡大しているものの、リアオーバーハングは20mm短くなっている。
ホンダ 新型「シビックハッチバック」のインパネ周り
インパネの形状は、近年では流行の水平基調デザインで、上面が平らなので前方が見やすい。従来型は、ドライバーの囲まれ感が重視されていてスポーティーな雰囲気であったが、新型は開放感がともなう。特徴的なのは、インパネの中央部分から左端まで横長に配置されたメッシュタイプの装飾だ。このメッシュの中に、エアコンの吹き出し口が内蔵されていて、一見するとエアコンルーバーが見えないような工夫がなされている。
ステアリングホイールの奥側には、LXは「7.0インチ 高精細フルカラー液晶パネル」、EXは「10.2インチ 高精細フルカラー液晶パネル」が装着される。ATレバーは、前後にスライドさせるオーソドックスな方式なので、操作性はなじみやすい。エアコンのスイッチは、比較的高い位置に装着されていて操作性は良好だ。
ホンダ 新型「シビックハッチバック」のリアシート
後席の広さは、身長170cmの大人4名が乗車した場合、膝先空間は握りコブシ2つ半とLサイズセダン並みの広さをもっている。また、後席の頭上空間は、全高が従来型よりも20mm低くなっているものの、握りコブシひとつ弱の空間が確保されている。ルーフを低く抑えながらも、後席へ快適に座れるように、テールゲートのヒンジ位置を50mm後退させるなどの工夫が施されている。
ホンダ 新型「シビックハッチバック」に採用されている6MT
エンジンやプラットフォームは、基本的に従来型と共通のものが採用されている。エンジンは、1.5L直列4気筒ターボで、トランスミッションにはCVTと6MTが用意されている。シビックにはクルマ好きのユーザーが多く、先代でも6MT車の販売比率が30%に達していたこともあって、今回も6MT車が導入されている。
1.5L直列4気筒ターボエンジンの動力性能は、NAエンジンであれば2.4Lに相当するパワーを発揮する。CVT車、6MT車ともに最高出力は134kW [182PS]/6,000rpm、最大トルクは240N・m [24.5kg-m]/1,700〜4,500rpmだ。新型では制御が見直され、CVTは最大トルクを2.1kg-m増加させている。
CVT車には、新たに「ドライブモード」が加わった。ATレバーの手前に装着されているスイッチによって、「ノーマル」「エコ」「スポーツ」の切り替えが可能だ。エンジンの吹け上がりやCVTの変速制御、エアコンの作動なども走行モードに応じて変化する。
走行安定性や乗り心地も、新型になって向上する。プラットフォームは従来型と同じだが、ホイールベースを35mm、後輪側のトレッドが12mm拡大されており、安定性を高めるうえで有利になっている。
ボディの前方やリヤゲートの開口部付近、ボディ底面に位置する骨格も強化され、各部のパーツが改善されている。ステアリングを操作した時の反応は正確になり、乗り心地の突き上げ感や微振動、ノイズなどが抑えられているという。
ホンダ 新型「シビックハッチバック」の上級グレード「EX」
グレード構成は、「LX」と上級の「EX」の2グレードがラインアップされる。安全運転支援機能の「HondaSENSING」や通信機能、9インチのディスプレイオーディオなどはLXにも標準装備される。そして、上級のEXにはスエードを使ったシート表皮や、運転席と助手席の電動調節機能、BOSE製オーディオ、アダプティブドライビングビームなどが加わる。
価格は今のところ不明だが、LXは従来型と同様に300万円弱になると予想される。LXでも安全装備は進化しているが、従来型には全車標準装備されていた運転席、助手席の電動調節機能などは、新型ではEXにしか採用されない。そのため、装備を調整することで価格帯が踏襲されるものと考えられる。ちなみに、EXは上級装備が多いので、330万円前後くらいになりそうだ。新型シビックは、2022年にはハイブリッドの「e:HEV」、スポーツモデルの「タイプR」も加わる予定なので、今後のラインアップ拡充も楽しみだ。