レビュー
前後2モーターの出力が大幅にアップ、AYCなどの制御技術も向上

三菱 新型「アウトランダーPHEV」2021年12月に発売!3.5L並の動力性能を実感

今や、世界中で人気の自動車カテゴリとなった「SUV」だが、日本の自動車メーカーのなかでSUVの老舗と言えるのが三菱自動車だろう。同社は、1950年代の前半からジープのノックダウン生産を開始して、4輪駆動の技術を磨いた。1982年には、初代「パジェロ」が発売されてヒットし、他メーカーが悪路向けSUVを続々と投入するきっかけともなった。そのころから、SUVは三菱自動車にとってブランドイメージの柱となったのだ。

2005年に発売された、三菱「アウトランダー」(初代モデル)

2005年に発売された、三菱「アウトランダー」(初代モデル)

そして、今の三菱自動車における主力SUVは「アウトランダー」だ。アウトランダーは、「エアトレック」の後継として2005年に日本で初代モデルが発売。2.4L MIVECエンジンや6速スポーツモードCVT、電子制御4WDの採用などによって、胸のすく走りを実現するクロスオーバーSUVとして登場した。アウトランダーは、2012年に2代目へとフルモデルチェンジされるが、その時に追加されたのがPHEV(プラグインハイブリッド)モデルになる。

量産SUVとして、世界初のプラグインハイブリッド車である三菱「アウトランダーPHEV」が、2012年に発売された

量産SUVとして、世界初のプラグインハイブリッド車である三菱「アウトランダーPHEV」が、2012年に発売された

SUVとしては世界初の量産型PHEV車で、「i-MiEV」で培われたEV技術の採用や、車体の前後に2つのモーターが搭載されることによって前後輪の駆動力をそれぞれ独立制御する「ツインモーター4WD」が採用されるなど、三菱自動車ならではの技術を結集したクルマとして注目され、現在までに世界約60か国で約29万台が販売されている。

2021年12月16日に発売される、三菱 新型「アウトランダーPHEV」。新世代PHEVシステムの採用により、動力性能や航続距離が向上しているほか、独自の4WDシステム「S-AWC」に改良が施され、旋回性能がさらに引き上げられている。また、従来型のアウトランダーPHEVは5人乗り仕様のみだったが、新型では7人乗り仕様もラインアップされる

2021年12月16日に発売される、三菱 新型「アウトランダーPHEV」。新世代PHEVシステムの採用により、動力性能や航続距離が向上しているほか、独自の4WDシステム「S-AWC」に改良が施され、旋回性能がさらに引き上げられている。また、従来型のアウトランダーPHEVは5人乗り仕様のみだったが、新型では7人乗り仕様もラインアップされる

アウトランダーPHEVの製品画像
三菱
-
(レビュー162人・クチコミ17946件)
新車価格:462〜532万円 (中古車:111〜448万円

そして、アウトランダーPHEVとしては2代目となる新型モデルが、日本国内で2021年12月16日に発売される。今回、その新型アウトランダーPHEVの発売に先立ち、サーキットで試乗することができたのでレビューしたい。ちなみに、北米では新型アウトランダーの2.5Lガソリンエンジン車がすでに販売されているが、日本ではガソリンエンジン車は販売されず、PHEV車のみのラインアップとなる。

新型「アウトランダーPHEV」は、従来型に比べてフロントモーター、リヤモーターの動力性能が大きく引き上げられているのが魅力のひとつだ

新型「アウトランダーPHEV」は、従来型に比べてフロントモーター、リヤモーターの動力性能が大きく引き上げられているのが魅力のひとつだ

新型アウトランダーPHEVで注目したいのが、刷新された新世代のPHEVシステムだ。基本的な仕組みそのものは従来型を踏襲しているものの、駆動用バッテリーの出力が約40%高められることなどによって、動力性能が向上している。フロントモーターは、従来型は最高出力が60kW、最大トルクが199Nmだったが、新型では85kW、255Nmへと向上。さらに、リヤモーターも従来型は最高出力が70kW、最大トルクが195Nmだったが、新型では100kW、195Nmへとアップしている。

エンジンは、最高出力を98kWへと向上させた2.4L MIVECエンジンを搭載。通常の走行では、エンジンが発電機となってバッテリーへ充電し、前後のモーターがホイールを駆動させる。そして、高速道路などの巡航時には、エンジンがホイールを直接駆動することによって、燃費効率の高い運転を行ってくれる。

新型「アウトランダーPHEV」のサーキット試乗イメージ

新型「アウトランダーPHEV」のサーキット試乗イメージ

新型アウトランダーPHEVの加速力は、アクセルペダルを踏んで軽く走るような実用域においても、かなり力強いものだ。従来型でも、動力性能は一般的なガソリンエンジンに当てはめると2.5〜3Lに相当していたが、新型では3.5Lの大排気量車に乗っているような印象を受ける。

また、前後輪を独立して制御する「ツインモーター4WD」にも注目したい。アウトランダーPHEVでは、前後輪にそれぞれモーターが搭載されているので、フロントとリアの駆動力を自由に配分させることができる。

新型「アウトランダーPHEV」のサーキット試乗イメージ

新型「アウトランダーPHEV」のサーキット試乗イメージ

さらに、従来のアウトランダーPHEVには「AYC(アクティブヨーコントロール)」と呼ばれる、左右輪の駆動力をブレーキによって制御するシステムが前輪に搭載されていたのだが、新型ではこのブレーキ制御が後輪にも採用されるようになり、滑りやすい路面などでこれまでよりもさらに安定して走行できるようになった。そのため、サーキットにおいてコーナーを曲がる時にも旋回軌跡が拡大しにくく、高重心のSUVにもかかわらずステアリングの切り込みに応じて狙ったラインどおりに曲がっていく。旋回性能は、かなりすぐれていると言えるだろう。

現代のクルマは安定性が重視されていて、運転操作が難しくならないように後輪の接地性を優先させる。従来型のアウトランダーも同様であった。だが、新型アウトランダーPHEVは、安定性だけでなくコーナーリング性能をより重視している。今日のクルマとしては、めずらしくスポーティーな設定だ。したがって、峠道などを走るのが好きなユーザーが運転すると、奥の深い走りに気付くはずだ。ランサーエボリューションシリーズを手掛けてきた、三菱自動車らしい運転の楽しさを味わえるだろう。

新型「アウトランダーPHEV」のサーキット試乗イメージ

新型「アウトランダーPHEV」のサーキット試乗イメージ

ただし、高い速度域で曲がっている最中に、危険が生じて避けるような動作をする時には注意が必要だ。新型アウトランダーPHEVは、足まわりが柔軟に伸縮するうえにコーナーを曲がる性能も高いので、状況によってはボディが大きめに傾く。この最中に、危険を避けるためにアクセルペダルを戻したりすると、後輪の横滑りが生じやすくなるので注意したい。

プラグインハイブリッドシステムの駆動用リチウムイオン電池は、20kWhと大容量のものが搭載されている。従来型は13.8kWhなので、搭載量は約1.5倍へと引き上げられた。満充電された状態であれば、エンジンを作動させずに83km(WLTCモード、Mグレードは87km)走行することができる。また、充電された電気を使い切り、給油されたレギュラーガソリンによってハイブリッド車として走る時のWLTCモード燃費は、16.2km/L(Mグレードは16.6km/L)だ。

新型「アウトランダーPHEV」のフロントエクステリアとリアエクステリア

新型「アウトランダーPHEV」のフロントエクステリアとリアエクステリア

アウトランダーPHEVの製品画像
三菱
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(レビュー162人・クチコミ17946件)
新車価格:462〜532万円 (中古車:111〜448万円

ボディサイズは、全長が4,710mm、全幅が1,860mm、全高が1,745mm(Mグレードのみ1,740mm)で、従来型に比べると15mm長く、60mmワイドで、35mm高い。全長は同程度だが、全幅が拡大している。ホイールベースは2,705mmと、従来型に比べて35mm長い。最小回転半径は5.5mなので、従来型の5.3mに比べてやや大回りになる。

新型「アウトランダーPHEV」Pグレード(7人乗り)のフロントシート

新型「アウトランダーPHEV」Pグレード(7人乗り)のフロントシート

また、従来型のシートは5人乗りの2列シート車のみであったが、新型では2列シート車に加えて7人乗りの3列シート車も用意されている。今回、最上級グレードであるPグレード(グレードラインアップについては後述)の3列シート車に触れることができた。フロントシートの座り心地は、背もたれや座面などサイズに余裕を持たせており、腰をしっかりと支えてくれて快適だ。

新型「アウトランダーPHEV」Pグレード(7人乗り)のセカンドシート

新型「アウトランダーPHEV」Pグレード(7人乗り)のセカンドシート

セカンドシートは、身長170cmの大人4名が乗車して、膝先空間が握りコブシ2つ分になる。広さは一般的なものだが、シートのつくりがいいので快適に座れる。

新型「アウトランダーPHEV」Pグレード(7人乗り)のサードシート

新型「アウトランダーPHEV」Pグレード(7人乗り)のサードシート

サードシートは、床と座面の間隔がせまく、大人が座ると膝が大きく持ち上がる。また、セカンドシートが後方に寄っていると、サードシートは足元空間がせまくなって座れない。たとえば、サードシートへ大人が座るには、セカンドシートの足元空間を狭める必要がある。そのため、新型アウトランダーPHEVに大人が多人数で乗車する場合には、短距離の移動がメインになるだろう。もし、3列シート仕様の購入を希望する場合には、ディーラーの試乗車などで実際に座ってみて確認してほしい。

サードシートを立てた状態のラゲッジルーム

サードシートを立てた状態のラゲッジルーム

サードシートをたたんだ状態のラゲッジルーム

サードシートをたたんだ状態のラゲッジルーム

また、サードシートをたたむとミドルサイズのSUVらしく、十分な床面積を備えた荷室として利用することができる。さらに、Mグレード以外には電動開閉式リヤゲートも標準装備されているなど、使い勝手は高い。

■三菱 新型「アウトランダーPHEV」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
「M」(5人乗り):4,621,100円
「G」(5人乗り):4,904,900円
「G」(7人乗り):4,996,200円
「P」(7人乗り):5,320,700円

グレード構成は、5人乗りの「M」、5人乗りと7人乗りの「G」、7人乗りの「P」がラインアップされている。 5人乗りのGの装備内容は、5人乗りのMにオプション設定されている「ヒートポンプ式エアコン&三菱コネクト」(177,100円)が標準装備されており、「ロールサンシェード」なども加わり、アルミホイールのサイズはMの18インチからGでは20インチへと拡大される。これらの装備の価格換算額は約40万円だが、GとMの価格差は283,800円に収まるので、Gは約12万円割安と言える。

前述した点を踏まえると、新型アウトランダーPHEVの買い得グレードはGになりそうだ。ちなみに、7人乗りのGは、5人乗りのGに比べて91,300円高いが、たとえば日産「エクストレイル」では2列シートと3列シートの差額は73,700円なので、新型アウトランダーの7人乗りも妥当な価格に収まっている。

また、最上級グレードとなる7人乗りのPは、7人乗りのGに、「本革シート」などのセットオプション(253,000円)、「ヘッドアップディスプレイ」(77,000円)、「BOSEプレミアムサウンドシステム」(104,500円)が標準装備として加えられ、さらに「LEDルームイルミネーション」なども装着されている。装飾類の充実も含めると、Pに採用された装備の価格換算合計額は約50万円になる。いっぽう、PとGの価格差は324,500円なので、PはGに比べて約18万円割安になる。つまり、本革シートなど多くの上級装備が欲しい場合は、Gにオプションで装着するよりも、標準装備されているPにグレードアップしたほうが割安になる場合がある。

逆に、Gに本革シートなどのセットオプションとヘッドアップディスプレイ、あるいはBOSEプレミアムサウンドシステムをオプション装着すると、オプション価格の合計が330,000円、あるいは357,500円になり、PとGの価格差となる324,500円を超えてしまう。つまり、Gに多くのオプションを加えてしまうと、これらを標準装備する上級のPよりも出費が増える場合があるので注意したい。

新型アウトランダーPHEVは、三菱自動車らしいダイレクトな走りを楽しめるSUVへと進化していた。さらに、内外装はより高級志向のものになり、7人乗り仕様が追加されることなどによって、従来型よりもさまざまな面で魅力が大きく増したと言えそうだ。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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新車価格:462〜532万円 (中古車:111〜448万円
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