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ダイハツ 新型「アトレー」が軽商用車に!「ハイゼットカーゴ」とともにフルモデルチェンジ

身近な「働くクルマ」と言えば、軽商用車を思い浮かべる方も多いことだろう。配達などで幅広く使われている軽商用車は、商用車全体の約半数を占めている。そして、軽商用車の主力車種であるダイハツの「アトレー」と「ハイゼットカーゴ」が、2021年12月20日にフルモデルチェンジされた。さらに、「ハイゼットトラック」についても同日にマイナーチェンジが施されている。

ダイハツ 新型「アトレー」(RS)

ダイハツ 新型「アトレー」(RS)

アトレー 商用車の製品画像
ダイハツ
4.06
(レビュー9人・クチコミ242件)
新車価格:156〜206万円 (中古車:―円
ダイハツ 新型「ハイゼットカーゴ」

ダイハツ 新型「ハイゼットカーゴ」

ハイゼットカーゴ 商用車の製品画像
ダイハツ
3.72
(レビュー44人・クチコミ270件)
新車価格:104〜170万円 (中古車:1〜306万円

当記事では、アトレーとハイゼットカーゴのフルモデルチェンジを中心に、先代と何が変わったのかなどを解説していきたい。

アトレー、ハイゼットカーゴ、ハイゼットトラックにおける、2021年1〜11月の登録台数を合計すると、1か月平均で約13,200台に達する。この登録台数を軽乗用車に当てはめると、スズキ「スペーシア」の約11,200台を上まわり、ホンダ「N-BOX」の約16,000台に迫る。登録台数を見る限り、アトレー、ハイゼットの売れ行きはとても好調であり、日本の物流の一端を担っているとも言えそうだ。

ダイハツ 新型「アトレー」のロゴ

ダイハツ 新型「アトレー」のロゴ

そして、今回のモデルチェンジにおける大きなトピックは、アトレーの位置付けが変わったことだ。先代アトレーは、ハイゼットカーゴをベースにした5ナンバー規格の乗用車だったのだが、新型ではハイゼットカーゴと同様の軽商用バンになった。つまり、新型アトレーはハイゼットカーゴの上級モデルとして位置付けられるようになったのだ。

ダイハツ 新型「アトレー」は、商用車となったことから後席スペースは先代に比べて狭くなった

ダイハツ 新型「アトレー」は、商用車となったことから後席スペースは先代に比べて狭くなった

商用車は、後席よりも荷室面積を広く確保しなければならないと定められているため、後席の取り付け位置は必然的に前寄りになる。そのため、後席の足元空間は狭くなった。身長170cmの大人4名が乗車した時、5ナンバーワゴンの先代アトレーでは後席の膝先空間は握りコブシ3つ半であったが、4ナンバー商用車の新型アトレーは握りコブシひとつ少々と狭くなった。

新型アトレーの規格変更について、開発者は以下のように説明する。「先代アトレーワゴンの場合、後席を使うお客様は約10%だった。残りの90%は、後席をたたんで荷物を積んでいた。また、約30%のお客様は、先代アトレーワゴンをビジネス専用に使っていた。そこで、アトレーも軽商用車へと変更し、350kgの最大積載量を設定した」。ちなみに、新型では後席の後部に荷台を設置したデッキバンにも、上級のアトレーが設定されている。

新型アトレーは、軽商用車となった関係から税金や車検、任意保険などが異なってくることに注意が必要だ。まず、軽自動車税は自家用軽乗用車が年額10,800円なのに対して、自家用軽商用車は5,000円と安い。だが、購入後に受ける初回車検は軽乗用車は3年後だが軽商用車は2年後になる。さらに、商用車の任意保険は、保険会社によっては21歳、26歳未満不担保といった年齢条件を付帯できないことがある。このようなタイプの任意保険では、軽商用車の任意保険料は軽乗用車に比べて割高になる場合がある。

ダイハツ 新型「アトレー」のサイドイメージ

ダイハツ 新型「アトレー」のサイドイメージ

新型アトレー、ハイゼットカーゴの外観を見ると、エンジンを前席の下に搭載する商用車とあって、ボンネットが短いのが特徴的だ。インパネ周辺は、アトレーは装飾類なども充実しており、上質な雰囲気を持ち合わせている。軽乗用車と比べても、見劣りしないものだ。

フロントシートはサイズに余裕があって、体重の加わる座面の後ろなどもしっかりと造り込まれている。床と座面の間隔が広いため、ペダルを上から踏み降ろすような操作になるものの、運転しにくいといった印象はない。

リアシートは、前述のとおり足元空間が狭く、床と座面の間隔も不足しているので、座ると膝が持ち上がる姿勢になる。座面から大腿部が離れることもあって、以前のアトレーワゴンに比べると窮屈になった。

ダイハツ 新型「ハイゼットカーゴ」の荷室

ダイハツ 新型「ハイゼットカーゴ」の荷室

いっぽう、荷室の使い勝手は新型になって向上している。ボディサイドのピラーやドアパネルを直立させ、上に向けた絞り込みが抑えられている。たとえると、台形から四角になったことで車内の上側の容量が広がり、背の高い大きな荷物を積んでも内張りなどが荷物に引っ掛かりにくくなった。

また、荷室の床は先代以上に平らに仕上げられている。さらに、シートの固定金具などが床面へ埋め込まれるなどによって、荷物が荷室の上で引きずられた時にもキズなどが付きにくくなった。

赤枠で囲まれているのが、荷室に装備されている「ユースフルナット」

赤枠で囲まれているのが、荷室に装備されている「ユースフルナット」

荷物を固定したり、棚を装着する時などに便利なユースフルナット(ネジ込み式の穴)は、従来の約2倍となる17個が全車へ標準装備されている。さらに、デラックスやスペシャルになると、31個が備わっている。

搭載エンジンは、新型ハイゼットカーゴにはNA(自然吸気)とターボの2種類が用意されている。新型アトレーは、ターボのみだ。ちなみに、新型ハイゼットトラックはNA(自然吸気)エンジンのみが搭載されている。

新型「アトレー」「ハイゼットカーゴ」のフルモデルチェンジにともない、新開発されたFR用CVT

新型「アトレー」「ハイゼットカーゴ」のフルモデルチェンジにともない、新開発されたFR用CVT

走りにおける注目点としては、先代で採用されていた4速ATに替わり、新型では新開発された後輪駆動用のCVT(無段変速AT)が採用されていることだ。CVTは、ギヤ比を無段階に変えられるので、走行状態に応じて常に最適なギヤ比で走行できるというメリットがある。たとえば、荷物を大量に積んで坂道発進する時などは、ギヤ比をローギヤードな設定にすることで着実に登坂できる。逆に、平坦な高速道路を巡航する時には、ギヤ比がハイギヤードになることでエンジン回転数が下がり、燃料消費量を節約できる。

新型アトレーと新型ハイゼットカーゴのCVT搭載グレードの燃費(WLTCモード/2WD)は、NAエンジンが15.6km/L、ターボは14.7km/Lだ。先代の4速AT仕様は、NAエンジンが14.1km/Lだったので、燃費値は10%ほど向上している。

また、CVT仕様の4WDは、電子制御式に変更されていることにも注目したい。多板クラッチを使って、前後輪に最適な駆動力を自動的に配分してくれる。走行モードは、燃費を節約できる後輪駆動の「2WD」、舗装路で使用する「4WDオート」、雪道や悪路などにおいて使用する「4WDロック」の3種類が用意されている。

プラットフォームは、新型アトレーと新型ハイゼットカーゴはフルモデルチェンジによって刷新されている。これまでは、同じプラットフォームに改善が加えられながら衝突安全性能などが高められていたのだが、新型では新開発されたプラットフォームによって、ボディ剛性なども含めて幅広く向上している。

ハイゼットカーゴの上級仕様となった新型アトレーは、各種装備が充実している。「衝突被害軽減ブレーキ」や「LEDヘッドランプ」、ハイビーム時に対向車などの眩惑が抑えられる「アダプティブドライビングビーム」や「キーフリーシステム」など、ベーシックなXグレードを含めてアトレーの全車に標準装備される。

さらに、上級の「アトレーRS」や「アトレーデッキバン」になると、車間距離を自動制御できる「アダプティブクルーズコントロール」や、車線の中央を走りやすいようにパワーステアリングを支援してくれる「レーンキープコントロール」、「電動両側スライドドア」などが標準装備されている。さらに、「マルチインフォメーションディスプレイ」も、TFTカラー表示のものへと上級化されている。

ダイハツ 新型「アトレー」(RS)のフロントエクステリア

ダイハツ 新型「アトレー」(RS)のフロントエクステリア

個人ユーザー向けの新型アトレーRSの価格は、2WD仕様が1,672,000円になる。先代アトレーワゴンの「カスタムターボRS・SAIII」に比べると約10万円高いが、新型にはアダプティブドライビングビームやアダプティブクルーズコントロール、レーンキープコントロールなど、10万円以上の装備が追加されているので、割安感が高い。

そして、新型アトレーRSの価格は、ダイハツ「タント Xターボ」(1,666,500円)とほぼ同額になる。タントXターボには、アダプティブドライビングビームは装着されず、スライドドアの電動機能も左側のみになる。広い荷室長が生み出すすぐれた積載性なども考慮すると、タントXターボよりもアトレーRSのほうが割安になる。つまり、アトレーRSは個人ユーザーから見ても、選ぶ価値の高い買い得な軽自動車になった。前述したように、軽商用車という規格には注意が必要な部分もあるが、新型アトレーRSはミニバン感覚でも使えるため、車中泊などを楽しむユーザーにも適しているだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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