レビュー

三菱「アウトランダーPHEV」は電子制御で悪路の走行も思い通り!

三菱自動車のSUV「アウトランダー」のプラグインハイブリッドモデル「アウトランダーPHEV」が、2021年12月16日にフルモデルチェンジされた。

2021年12月16日に発売された、三菱 新型「アウトランダーPHEV」。新世代PHEVシステムの採用により、動力性能や航続距離が向上しているほか、独自の4WDシステム「S-AWC」に改良が施され、旋回性能がさらに引き上げられている。また、従来型のアウトランダーPHEVは5人乗り仕様のみだったが、新型では7人乗り仕様もラインアップされている

2021年12月16日に発売された、三菱 新型「アウトランダーPHEV」。新世代PHEVシステムの採用により、動力性能や航続距離が向上しているほか、独自の4WDシステム「S-AWC」に改良が施され、旋回性能がさらに引き上げられている。また、従来型のアウトランダーPHEVは5人乗り仕様のみだったが、新型では7人乗り仕様もラインアップされている

アウトランダーPHEVの製品画像
三菱
4.74
(レビュー201人・クチコミ22179件)
新車価格:462〜532万円 (中古車:105〜558万円

新型アウトランダーPHEVの売れ行きは好調で、2022年1月23日の時点で約9,300台を受注しているという。1か月の販売目標台数は1,000台なので、受注台数はおよそ9倍に相当する。

三菱の販売店舗数は日本全国で約550店と言われており、トヨタの4,600店やホンダの2,200店に比べると少ない。したがって、約9,300台という受注台数は店舗数を考えれば大ヒットと言えるだろう。先代までのアウトランダーPHEVは、2列シート5人乗り仕様のみであったが、今回のフルモデルチェンジによって新たに3列シート7人乗り仕様がラインアップに加わった。今回は、3列シート7人乗り仕様のPグレードに試乗したので、動力性能や乗り心地、居住性などを中心にレポートしよう。

■三菱 新型アウトランダーPHEVのグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-2列シート5人乗り-
M:4,621,100円
G:4,904,900円
-3列シート7人乗り-
G:4,996,200円
P:5,320,700円

■三菱 新型アウトランダーPHEVの主なスペック
駆動方式:4WD(ツインモーター)
全長×全幅×全高:4,710×1,860×1,745(Mは1,740)mm
ホイールベース:2,705mm
最低地上高:200mm(Mは195mm)
車重:2,110kg(P)、2,090kg(G・7人乗り)、2,050kg(G・5人乗り)、2,010kg(M)
最小回転半径:5.5m
最高出力(モーター):85kW(前)/100kW(後)
最大トルク(モーター):255N・m(前)/195N・m(後)
駆動用バッテリー種類:リチウムイオン電池
バッテリー総電力量:20kWh
搭載エンジン:2.4L 4気筒(4B12 MIVEC)

新型「アウトランダーPHEV」のフロントエクステリア

新型「アウトランダーPHEV」のフロントエクステリア

新型「アウトランダーPHEV」のリアエクステリア

新型「アウトランダーPHEV」のリアエクステリア

まず、新型アウトランダーPHEVのボディサイズは、全長が4,710mm、全幅が1,860mm、全高が1,745mmになる。先代(4,695×1,800×1,710mm)に比べると、全長は15mm長くなり、全幅は60mm広がり、全高は35mm高くなった。また、新型のホイールベースは2,705mmと、先代(2,670mm)よりも35mm拡大されている。ちなみに、このホイールベースの値はプラットフォームが共通化されている日産「ローグ」(日本名は「エクストレイル」)と同じ値だ。

新型アウトランダーのワイドなフロントマスクは、左右にヘッドライト(ロー/ハイビーム)やフォグランプが縦方向の並びで備えられている。このデザインは昨今の三菱車に共通するもので、力強く個性的な顔立ちだ。

運転席へ座ると、ボンネットが視野に入りボディの先端や車幅などがわかりやすい。だが、後方視界についてはあまりよくない。これは、ボディ後端のピラーが太いことが影響しているためだ。最小回転半径については5.5mと、車体が大柄なこともあって小回りのききもあまりよくないので、取り回しが気になる方は販売店の試乗車などで縦列駐車などを試してみたほうがいいだろう。

新型「アウトランダーPHEV」のインテリア

新型「アウトランダーPHEV」のインテリア

インテリアのデザインは上質だ。今回試乗したPは最上級グレードだったこともあり、インパネにはステッチの入ったやわらかなパッドが採用されており、ATレバーが収まるセンターコンソールにはアルミニウムが採用され、シート表皮には高級革に使われるセミアニリンレザーが採用されているなど、高級感を感じさせるインテリアへと仕上げられている。

インテリアでひとつだけ気になるのが、メーターの位置が視線に対してやや高めなことだ。ユーザーによっては、圧迫感が生じるかもしれないので注意したい。ちなみに、メーターの視認性については良好だ。

新型「アウトランダーPHEV」の1列目シート

新型「アウトランダーPHEV」の1列目シート

冒頭で述べたが、今回試乗したPは3列シートの7人乗り仕様になる。1列目シートは、体をしっかりとホールドしてくれて、座り心地は快適だ。さらに、腰が接する背もたれの下側には電動ランバーサポートが備えられていて、張り出し方を調節することができる。

新型「アウトランダーPHEV」の2列目シート

新型「アウトランダーPHEV」の2列目シート

2列目シートはサイズに余裕があって、座り心地は柔軟だ。さらに、スライド位置を後端まで寄せれば、膝先空間は握りコブシ2つ少々にまで広がって快適な居住空間になる。ただし、その場合には3列目シートの足元空間はほとんどなくなる。

新型「アウトランダーPHEV」の3列目シートへ座るには、2列目シートを1列目シートの背面に膝が当たるまで前方へ動かす必要がある。なお、画像の1列目助手席シートは、身長170cmの乗員が座れるようにシート位置を調整した状態になる

新型「アウトランダーPHEV」の3列目シートへ座るには、2列目シートを1列目シートの背面に膝が当たるまで前方へ動かす必要がある。なお、画像の1列目助手席シートは、身長170cmの乗員が座れるようにシート位置を調整した状態になる

そして、3列目シートに座るためには、2列目シートをかなり前方へ動かす必要がある。具体的には、2列目シートに座った乗員の膝が、1列目シートの背面に当たるまで前にスライドさせる必要がある。

3列目シートに座った状態。背を伸ばすと頭が天井に当たるため、少し背をかがめて乗る形になる

3列目シートに座った状態。背を伸ばすと頭が天井に当たるため、少し背をかがめて乗る形になる

3列目シートに座ると、身長170cmの乗員の場合には腰が落ち込んで膝が持ち上がり、足は2列目シートの背面に触れる。頭は姿勢を延ばすと天井に接するので、少し下げる必要がある。それでも、片道15分程度の短い距離ならば多人数乗車もできるだろう。たとえば、自宅から最寄の駅まで送迎するなどであれば、便利に使うことができるはずだ。1年に数回だけ、短距離を多人数で移動するためだけにミニバンを購入するのは気が引ける。そんな用途であれば、3列シートを備えた新型アウトランダーを便利に使うことができるだろう。

新型「アウトランダーPHEV」の走行イメージ

新型「アウトランダーPHEV」の走行イメージ

新型アウトランダーPHEVに搭載されている、ツインモーターによる加速はなかなかパワフルだ。アクセルペダルを踏み込めば、駆動力が瞬時にタイヤへと伝わる。この時の加速感は、ノーマルエンジン車に置き換えると4.5Lくらいに相当するもので、加速時は体がシートに張り付くような感覚になる。

新型「アウトランダーPHEV」の走行イメージ

新型「アウトランダーPHEV」の走行イメージ

そして、乗り心地はとても快適なものだ。大径の20インチタイヤが装着されている(Mのみ18インチタイヤ)ので、時速40km以下では少し硬めに感じる場面もあるのだが、路上の段差を通過した時の突き上げ感はかなり抑えられている。駐車場から車道に降りる時の段差なども、やわらかに受け止めてくれる。これなら、長距離を移動する際でもきっと快適だろう。

言い換えれば、足まわりが乗り心地に配慮された設定になっているので、ワインディングなどを走るとボディは相応に傾く。一般的なSUVでは、安定性を確保するためにこのような状況では次第に曲がりにくくなっていき速度上昇も弱まるのだが、新型アウトランダーでは旋回軌跡が拡大しにくい。ボディを傾けながらも、車両は内側へと向いてコーナーを確実に回り込んでいく。そして、曲がっている最中にアクセルペダルを戻すと、速度が高い時には後輪の横滑りを誘発するが、挙動の変化が穏やかなので不安定になりにくい。ワインディングなどを気持ちよく走る時などは、アクセル操作で進行方向を調節することもできそうだ。ちなみに、ATレバーの手前に装着されたドライブモードのダイヤルスイッチで「ターマック」モードを選ぶと、操舵に対する反応が機敏になって、さらに曲がりやすくなる。

このような奥深い運転感覚が味わえるのは、絶妙な4輪コントロール技術のおかげだ。前述の通り、モーターはエンジンよりも駆動力の増減を機敏に行えるため、走行安定性を高める電子制御技術も緻密なものとなっている。そして、この時には4輪独立のブレーキ制御も行われる。アクセルペダルを踏みながらカーブを曲がっている時には、必要に応じて電子制御によってブレーキが自動的に作動し、車両挙動を安定させてくれる。そのため、ドライバーのステアリング操作に対して忠実に曲がることが可能となっているのだ。

新型「アウトランダーPHEV」の悪路走行イメージ

新型「アウトランダーPHEV」の悪路走行イメージ

アウトランダーPHEVの製品画像
三菱
4.74
(レビュー201人・クチコミ22179件)
新車価格:462〜532万円 (中古車:105〜558万円

今回の試乗では、舗装されていない悪路コースも走行したのだが、同様の制御によって思い通りに走ることができた。滑りやすい路面ではあったのだが、モーターの駆動力と4輪の独立ブレーキ制御によって、車両が思い通りの方向へと曲がっていく。

新型「アウトランダーPHEV」の悪路走行イメージ

新型「アウトランダーPHEV」の悪路走行イメージ

悪路では、ドライブモードを「グラベル」モードに合わせると走りやすい。滑りやすい悪路を想定したモードなので、アクセルペダルを踏み込むと、ある程度の空転を許容して車両を前側へ力強く押し出してくれるからだ。さらに路面状況の悪い泥道や登り坂などでは、「マッド」モードを選ぶといいだろう。深雪なども想定されているモードなので、4輪を空転させて泥を弾き飛ばしながら走り抜けられる。

そのほか、雪道で駆動力を穏やかに伝える「スノー」モードや、燃料消費量を抑えた走りが可能な「エコ」モードなども備わっている。走る場所に応じて最適なドライブモードを選べるのは、新型アウトランダーPHEVの魅力のひとつとなっている。

新型アウトランダーPHEVは、1回の充電でおよそ85km走行できる(WLTCモードの充電電力使用時走行距離の値。Mグレードのみ87km)。駆動用電池が充電された状態ならば、アクセルペダルを深く踏まないかぎり発電用エンジンはほとんど始動しなかった。また、登坂路などでエンジンが始動しても、ノイズは小さく抑えられていて耳ざわりには感じない。

■三菱 新型アウトランダーPHEVのグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-2列シート5人乗り-
M:4,621,100円
G:4,904,900円
-3列シート7人乗り-
G:4,996,200円
P:5,320,700円

新型アウトランダーPHEVの推奨グレードは、2列シートのG(4,904,900円)か、3列シートを備える最上級のP(5,320,700円)だ。グレード選びにおいては、ひとつ注意すべき点がある。それは、3列シートのG(4,996,200円)に、本革シートなどのパッケージ(253,000円)、ヘッドアップディスプレイ(77,000円)、BOSEプレミアムサウンドシステム(104,500円)をオプション装着すると、合計金額が5,430,700円になり、これらをすべて標準装備しているPの価格を上回ることだ。Pの価格に対して、Gのオプション価格が高すぎるため、このような価格の逆転が生じている。上級グレードを買いやすくするために、中級グレードを割高にする車種は時々見受けられるのだが、矛盾が生じるとユーザーはグレード選びで悩んでしまうかもしれないので、そのあたりにも配慮した価格設定にしてほしいと感じる。

そのため、3列シートのGにたとえば本革シートなどのパッケージを装着して5,249,200円で購入するのであれば、71,500円を上乗せして最上級のPを選んだほうがいいだろう。この差額で、「ヘッドアップディスプレイ」や「BOSEプレミアムサウンドシステム」が加わり、エアコンは3ゾーンの「独立温度調節式」になり、内外装の装飾類も上質になるからだ。数年後に、もし売却する時の査定もグレードで判断されるので、Gにオプションを加えるよりも最上級のPを選ぶ方が有利になるだろう。実際、初期受注の内訳を見てもPが76%を占めている。2位はGの5人乗りで16%だ。予算に応じて、この2グレードのどちらかを選びたい。最後に、販売店によると「納期は約6か月」とのことだが、冒頭で述べたように売れ行きはかなり堅調に伸びてきているので、購入を希望するならば商談は早めに始めたほうがいいだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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アウトランダーPHEVの製品画像
三菱
4.74
(レビュー201人・クチコミ22179件)
新車価格:462〜532万円 (中古車:105〜558万円
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