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トヨタ初の量産EV「bZ4X」、2022年夏の発売を前に試乗!

トヨタは、2030年までにBEV(電気自動車)の世界販売台数を、年間350万台へと高める方針を発表した。2021年にトヨタが世界で販売した自動車の販売台数(ダイハツ、日野を除く)は9,615,157台なので、350万台というBEVの販売目標台数は、現在の販売台数で考えると、トヨタ車全体のおよそ36%に達する。そして、このBEVの販売目標台数をクリアするために、トヨタは2030年までに30車種ものBEVを展開する予定だ。

左はトヨタ「bZ4X」で、右はスバル「ソルテラ」。両車は、トヨタとスバルの共同開発による姉妹車だ

左はトヨタ「bZ4X」で、右はスバル「ソルテラ」。両車は、トヨタとスバルの共同開発による姉妹車だ

bZ4Xの製品画像
トヨタ
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(レビュー-人・クチコミ236件)
新車価格:600〜650万円 (中古車:―円

ちなみに、トヨタは170以上もの国や地域で自動車を販売しており、その中にはBEVを利用するためのインフラや車両の整備が困難な場所も多くある。もし、周囲にトヨタの販売店や修理工場がなければ、車両点検や修理はユーザー自身が行うことになるだろう。仮に、トヨタが「すべてのクルマをBEVに変更して、エンジン搭載車は終了する」と発表したら、過酷な環境で自動車を利用しているユーザーを見捨てることになる。そこで、トヨタはBEV関連の情報については段階的に発信していたのだが、最近では「トヨタは、BEVに乗り遅れて将来が危うい」といった論調が聞かれるようになった。このままでは、ブランドイメージの毀損によって株価にも悪影響を与えるため、2021年12月に350万台のBEV販売を達成するという計画を発表したのだ。

そして、その先駆けとなるBEV第1弾が、今回ご紹介する「bZ4X」だ。bZ4Xは、スバルとの共同開発車で、スバルブランドでは「ソルテラ」という車名の姉妹車が発売される。日本におけるbZ4Xの発売時期は2022年の夏頃が予定されているが、今回はひと足先にbZ4Xのプロトタイプ(試作車)を千葉県の袖ケ浦サーキットで試乗することができたので、運転フィールや実車の内外装へ触れた印象などをレビューしたい。

トヨタ「bZ4X」のフロントエクステリア

トヨタ「bZ4X」のフロントエクステリア

トヨタ「bZ4X」のリアエクステリア

トヨタ「bZ4X」のリアエクステリア

まず、bZ4Xのボディサイズ(全長×全幅×全高)は4,690×1,860×1,600mmと、トヨタ「RAV4」に近い大きさなのだが、両車を比べるとbZ4Xのほうが全長は100mmほど長く、全高は60mmほど低い。また、ホイールベースは2,850mmで、RAV4よりも160mm長い。また、bZ4Xはフロントオーバーハングが短く、タイヤがボディの四隅に配置されるようなスタンスになる。これは、エンジンを搭載しないBEVだからこそ実現できるレイアウトだ。

トヨタ「bZ4X」のインテリア

トヨタ「bZ4X」のインテリア

トヨタ「bZ4X」のステアリングと液晶メーター

トヨタ「bZ4X」のステアリングと液晶メーター

インテリアは、個性的な液晶メーターが目立つ。従来のものよりも奥に装着されており、前方からの視線移動が少なく済むものだ。チルトステアリングの角度やドライバーの着座姿勢によっては、液晶メーターが部分的にステアリングホイールの陰に隠れるが、速度表示などは妨げられないように工夫されている。

トヨタ「bZ4X」のフロントシート

トヨタ「bZ4X」のフロントシート

フロントシートは、腰がシートにすっぽりと収まるので、体が少々動いてもしっかりと支えてくれる。また、バッテリーを床に搭載している関係から床が高めなので、頭上空間はあまり広くはない。だが、握りコブシがひとつ収まる程度の頭上空間は確保されている。床と座面の間隔は、RAV4に比べると55mm少なく、少し手足を伸ばし気味に座る姿勢になる。

トヨタ「bZ4X」のリアシート

トヨタ「bZ4X」のリアシート

リアシートも同様に、バッテリーの搭載によって床が高いために、床と座面の間隔は少し不足気味だ。そのため、腰が落ち込んで膝が持ち上がって足を前方へ投げ出すような座り方になるのだが、膝先空間がかなり広いので、窮屈には感じられない。身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ3つ分にも達するからだ。

bZ4Xの駆動方式は、2WD(FF)と4WDが用意されている。2WDは、前輪に150kWのモーターがひとつ搭載されており、4WDは前後にそれぞれ80kWのモーターが備えられている。駆動用リチウムイオン電池の総電力量は71.4kWhとなるが、ライバル車の日産「アリア」は、グレードに応じて65kWhと90kWhが用意されている。bZ4Xの総電力量は、ちょうどその中間になる。

では、いよいよbZ4Xへ試乗してみよう。まず、シートに座ると前方視界がよいことに気付く。やや大柄な車体ながらボンネットの手前が見えるので、車幅やボディの先端位置がわかりやすい。側方の視界にも不満はないので、ボディ後端のピラーが太く斜めうしろは見にくいものの、取り回しはしやすいほうだろう。

トヨタ「bZ4X」の試乗イメージ

トヨタ「bZ4X」の試乗イメージ

bZ4Xの加速感は、モーター駆動なので瞬発力が高い。時速50km前後で巡航中にアクセルペダルを踏み増せば、速度が一気に上昇していく。カタログ値の最高出力は、2WD車が150kW(204PS)で4WD車は160kW(218PS)なのだが、実際に運転した感覚ではどちらも3.5Lエンジン搭載車のような力強さが感じられた。動力性能は2WD車でも力強く、サーキットで試乗すると前輪の負担が大きすぎる印象を受けたほどだ。

2WD車は、コーナーを曲がると旋回軌跡を拡大させやすいが、4WD車は駆動力を前後輪で分散させるため、ハイスピードでの旋回時にも4輪が安定して車両をしっかりと前へと押し進めてくれる。

BEVならではのメリットのひとつが、ガソリンエンジン搭載車に比べて走行安定性がすぐれていることだ。たとえば、危険を避けると想定して急な車線変更をした際に、一般的なSUVでは車両があおられるように左右の揺り返しが発生するが、bZ4Xでは操舵に対する反応が機敏であるにもかかわらず、車両が不安定な状態に陥りにくい。

トヨタ「bZ4X」の試乗イメージ

トヨタ「bZ4X」の試乗イメージ

コーナーを曲がる時も同様に、bZ4Xはよく曲がりコーナーリング速度も高い。このような状態で、危険回避を想定してアクセルペダルを戻すと、背が高くボディの重いSUVでは一般的には後輪を大きく横滑りさせようとするのだが、bZ4Xは車体が安定しているので危険な状態になりにくい。

このように、高い走行安定性が得られている最大の理由は、リチウムイオン電池がボディの低い位置に搭載されていることだ。そのために、車重は2トン前後に達していて、背も高いわりに左右に振られにくい。開発者は「バッテリーをしっかりと守るために、ボディの下側は剛性が高い。これは、走行安定性の向上にも役立っている」と述べている。

また、モーターはエンジンに比べて反応が機敏で、走行安定性を向上させる制御をより緻密に行える。4WD車は、コーナーに入る手前で減速する時の後輪の接地性などもすぐれていた。減速時には、後輪の荷重が軽くなるのに接地性が下がらない。減速した時も、4輪制御によって安定性が高められているからだ。bZ4XのようなBEVは、従来のガソリンエンジン搭載車に比べて、4WDであることのメリットがはるかに大きいだろう。

トヨタ「bZ4X」の試乗イメージ

トヨタ「bZ4X」の試乗イメージ

bZ4Xは、モーター駆動による高い加速力や高剛性ボディによる安定感、4WD車の4輪制御による接地性の高い走りなど、BEVによるメリットがうまく生かされたクルマ作りが行われていると感じた。今回試乗したのはプロトタイプのため、市販モデルはさらにどこまで仕上げられるのかが、今から楽しみだ。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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