レビュー

スバル 新型「レガシィ アウトバック」長距離試乗。アイサイトXやX-MODEを試す

2021年10月、スバルのクロスオーバーSUV「レガシィ アウトバック」のフルモデルチェンジが発表された。そこで今回は、新型レガシィ アウトバックを那須高原へと連れ出したので、試乗レポートをお届けしたい。

今回、試乗で借り出した新型「レガシィ アウトバック」のX-BREAKグレード

今回、試乗で借り出した新型「レガシィ アウトバック」のX-BREAKグレード

レガシィ アウトバックの製品画像
スバル
4.38
(レビュー313人・クチコミ17150件)
新車価格:414〜429万円 (中古車:14〜638万円

まずは、レガシィ アウトバックについて少しだけ振り返っておこう。レガシィ アウトバックは、1994年に北米で(北米における車名は「アウトバック」)、1995年に日本で(日本における車名は「レガシィ グランドワゴン」)発売された。ベースとなるレガシィに対して、最低地上高が高められるなど、ステーションワゴンとSUVの長所を融合させたクルマとして誕生。そして、これまで歴代モデルが培ってきたコンセプトや、育ててきた価値などは、6代目の新型モデルにおいても踏襲されている。どこまでも走り続けられるような安心感や快適性、荷物の積載性の高さ、質感の高い内装など、レガシィ アウトバックはその独自のキャラクター性を生かし、さまざまな価値を磨き上げることによってスバルのフラッグシップモデルとしての存在を確立している。そして、新型モデルで注目したいのは、“知的好奇心を刺激し、新たな発見をうながすクロスオーバー”というコンセプトだ。これは、前述の歴代モデルが培ってきた価値に、最新の技術が組み合わせられることによってさらなる進化を遂げているということになる。

そのコンセプトを最もよく表しているのが、先進安全装備「アイサイトX(エックス)」の採用だろう。アイサイトXは、準天頂衛星「みちびき」やGPSなどによる車両の正確な位置情報の把握、3D高精度地図データの採用などによって、高速道路における渋滞の際にアクセルやブレーキ、ステアリングから手や足を離していても自動で操作してくれる「渋滞時ハンズオフ走行アシスト」や、ウインカーを出すだけで自動で車線変更や追い越しを行ってくれる「アクティブレーンチェンジアシスト」など、先進の機能や安全装備が搭載されている。さらに、アイサイトXはレガシィ アウトバックの全グレードに標準装備されているのも特徴のひとつだ。

新型「レガシィ アウトバック」のインテリア

新型「レガシィ アウトバック」のインテリア

新型レガシィ アウトバックは、インテリアを見てもそのコンセプトが具現化されていることがよくわかる。メーターは、カーナビの地図も表示できる12.3インチのフル液晶メーターを搭載。そして、インパネ中央にはカーナビや車両情報のほか、オーディオやエアコン、テレビなど多彩な機能が集約されたタブレットのような大型の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイが搭載されている。

新型「レガシィ アウトバック」X-BREAKグレードのフロントエクステリアとリアエクステリア

新型「レガシィ アウトバック」X-BREAKグレードのフロントエクステリアとリアエクステリア

新型レガシィ アウトバックのグレードは、アクティブな「X-BREAK EX」と、上質な「Limited EX」の2種類がラインアップされており、今回借り出したのはX-BREAK EXになる。内外装をLimited EXと比べると、X-BREAK EXではフロントやリアのバンパーガードがブラック塗装されるなどの見た目の違い以外にも、インテリアでは溌水ウレタンシートが採用されているほか、ヒルディセントコントロール付きX-MODEが2モード(ノーマル/スノー・ダートに加え、ディープスノー・マッドが追加される)になり、悪路走破性にもより力が入れられているなどの違いが見られる。

では、いよいよ新型レガシィ アウトバックに乗り込もう。行き先は那須高原で、東京からはおよそ250kmの距離になる。実は以前、先代のレガシィ アウトバックで東京と飛騨高山を往復したことがあり(スバル レガシィアウトバック1200km試乗/雪を求めて飛騨高山往復試乗)、その時の快適性の高さに非常に驚いたことから、今回は前回までの長距離ではないものの、アイサイトXなどを使った高速巡行も試してみたかったこともあって、少し距離のある那須高原を選んだのだ。また、知人が那須高原でフィンランドサウナを始めたため、眼前に広がる広大な雪原に行ってみたいと思ったのもあったからだ。

さて、新型レガシィ アウトバックを借り出して市街地を走り始めると、まずスバル車ならではの視界のよさに安心感を覚える。SUVに近いアイポイントのおかげで見晴らしがいいのに加えて、全幅が数値上は35mm増えたにもかかわらず、ドアミラーを含めると先代と変わらないことも運転のしやすさに貢献しているようだった。さらに、ドアにマウントされているドアミラーのおかげで、特に右折時など右側方の歩行者の確認がしやすい。新型レガシィ アウトバックは、視認性の高さや取り回しのしやすさはとても良好だ。

新型「レガシィ アウトバック」に搭載されている1.8L水平対向4気筒直噴ターボエンジン

新型「レガシィ アウトバック」に搭載されている1.8L水平対向4気筒直噴ターボエンジン

搭載エンジンは、低回転域から力強いトルクを発生させる1.8L水平対向4気筒直噴ターボエンジンが採用されている。最高出力は、130kW(177ps)/5,200-5,600rpm、最大トルクは300Nm(30.6kgf・m)/1,600-3,600rpmと先代の129kW(175ps)/5,800rpm、235Nm(24.0kgf・m)/4,000rpmと比べて、最高出力はほぼ変わらず、トルクについては向上している。先代は2.5L水平対向4気筒エンジンが搭載されていたのだが、新型では排気量を落としたぶんをターボで補うことによって、必要にして十分なパワーとトルクが得られているし、自動車税も安くなる。ひとつ気になったのは、市街地を走ってみると先代よりも排気量が少ないため、加速の際にアクセルを踏み込まなければならず、その際にターボであることから思った以上にパワーが出て加速してしまうことだ。そのようなことが、ストップ&ゴーが多い市街地などにおいてはひんぱんに発生したため、走りは少々せわしなく感じた。だが、その点を除けば走りに不満はない。CVTは、昔のように妙に回転が上がったり下がったりするようなこともなく、実に自然なフィーリングだ。さらに付け加えるなら、先代はスイッチのオン・オフのように、ほんのわずかなアクセルペダルの踏み込み加減でもギアがつながったり離れたりといった動きが見られたのだが、新型ではそのような動作が解消されていたのも好印象だった。

そのCVTの自然な印象は、高速道路に乗り入れてみても変わることはなかった。的確な回転を維持しながら、回転数が落ちたり上がったりしないので、きわめて自然な印象だ。そして、必要に応じてアクセルを踏み込めばグイグイと加速していくのは、ターボの恩恵とも言えよう。

試乗車へ装着されていたヨコハマタイヤのスタッドレスタイヤ「ice GUARD G075」(225/60R18)

試乗車へ装着されていたヨコハマタイヤのスタッドレスタイヤ「ice GUARD G075」(225/60R18)

また、静粛性も比較的高く、ロードノイズもあまり気にならない。今回は、ヨコハマタイヤのスタッドレスタイヤ「ice GUARD G075」(225/60R18)が装着されていたのだが、スタッドレス特有の高周波ノイズなども聞こえてこないので、静粛性についても優秀と言えそうだ。

ただし、車両とスタッドレスタイヤとの相性がいまひとつなのか、先代で見られた直進安定性の高さは若干失われているように感じた。また、東北道のように長い直線などでは、先代よりも修正舵が必要なシーンが多く、ステアリングが妙に軽かったり足回りもふわついた印象だった。だが、先代ではそのようなことはなかったので、借り出した車両そのものか、もしくはスタッドレスタイヤとの相性による問題かもしれない。このあたりについては、先代は得意としていた分野だったので、機会があれば改めて標準タイヤ、かつ別の個体で試乗テストしてみたいと思う。

「センターインフォメーションディスプレイ」上で車両制御の設定も行うことができる

「センターインフォメーションディスプレイ」上で車両制御の設定も行うことができる

さて、今回の高速道路では、アイサイトXを積極的に利用してみた。アイサイトXは、ステアリングスイッチによって作動するが、実はセンタースクリーンの階層内にもいくつかの選択項目が含まれている。たとえば、前車を追従時に前方のクルマがいなくなった時に、セットした速度まで回復する際の加速度なども調整することができるのは便利だ。ただ、その設定はセンタースクリーンで行わなくてはならないので、物理スイッチなどもう少しわかりやすい場所に配置してほしいように思えた。

「アイサイトX」による「アクティブレーンチェンジアシスト」の作動イメージ

「アイサイトX」による「アクティブレーンチェンジアシスト」の作動イメージ

今回、アイサイトXによって新たに採用されたアクティブレーンチェンジアシストは、高速道路などの自動車専用道路上においてドライバーがウインカーを出せば、適切なタイミングでハンドル操作をアシストするものだ。実際に動作させてみたが、作動はスムーズに動くので、慣れないレーンチェンジの際などにも安心感をもたらしてくれるだろう。

また、高速道路で渋滞した際の渋滞時ハンズオフ走行アシストも便利な機能だった。停止した後の再発進も自動で行われるので、渋滞で疲れている時などには特に便利なものに感じた。ただし、1分以上停止していると再発進が不可になるようだった。だが、その際も前走車の発進をお知らせしてくれるので、気付いたら前に誰もいなくなったなどはないのでその点については安心できる。

さて、今回目指したフィンランドサウナがある場所は、那須どうぶつ王国のそばなので、ワインディングロードがたくさんあり、新型レガシィ アウトバックを存分に走らせることができた。ワインディングにおいては、ステアリングのしっとりとした手応えとともに適切なフィールをドライバーに伝えてくるので、安心してステアリングを握ることができる。ただし、やはりスタッドレスタイヤということもあってか、コーナーリング時においては一発で舵角が決まらず、微妙に修正する必要があったことも付け加えておきたい。

新型「レガシィ アウトバック」の雪上走行シーン

新型「レガシィ アウトバック」の雪上走行シーン

今回は、公道において雪にはほとんど遭遇しなかったが、目指したフィンランドサウナの施設周辺は牧草地帯であったため、ダート上に雪が積もり、しかもそれが解けかけた状態という、非常に悪いコンディションであった。だが、そういったシーンにおいても、地上高が200mmから213mmと大きく確保されたことによる安心感はとても大きい。多少の轍にタイヤを取られながらも、アクセルを踏み続ける限りはスタックするような様子は見られない。そこで、さらにタイヤの1/4ほど埋まるくらいの深雪へとグイグイと走り込んでしまったところ、さすがにレガシィ アウトバックも雪からの脱出が難しくなってしまった。そこで、X-MODEで「ディープスノー・マッド」を選択(それまではスノー・ダート)し、リバースにして一気に脱出を試みると、若干の傾斜に流されながらもなんとか戻ることができた。この時は、アクセルペダルは踏み込み気味で、あとはステアリング操作のみで特別なテクニックも必要なく脱出することができた。このあたりは、スバルの四輪駆動の技術による、適切なトルク配分がなせる業だろう。

那須高原 フィンランドサウナ「Quiet Storm Nasu」サウナ小屋の外観と室内の様子

那須高原 フィンランドサウナ「Quiet Storm Nasu」サウナ小屋の外観と室内の様子

さて、今回訪れたフィンランドサウナは、1つひとつが小屋になっており、3時間の貸し切りだった。しかも、平原の中にあるので、まさに自然を満喫することができる。小屋自体に薪サウナが設置されており、そのままサウナにもなるし、部屋の空気を抜けば、設置された薪サウナで肉を焼いたり、お湯を沸かしたりしてそこで食事などもできる。そして、また薪をくべて部屋の温度を上げればサウナに早変わりする。遊び方は人それぞれで、時間いっぱいさまざまなシーンを作って楽しむ人が多いのだという。また、雪のある時期はそのまま雪にダイブする人も多いのだそう。ちなみに、多くのフィンランド人が訪れていると言うので、本国の人も認める完成度ということなのかもしれない。

現在、宣伝告知はインスタグラムのみで、それ以外では予約は取っていないとのこと。ご興味のある方は、以下へお問い合わせいただきたい。

Quiet Storm Nasu
那須高原 フィンランドサウナ&北欧キャンプ&Music Bar
https://www.instagram.com/quietstormnasu/?hl=ja

新型「レガシィ アウトバック」でひと通り走り終えた後のサイドシル周り

新型「レガシィ アウトバック」でひと通り走り終えた後のサイドシル周り

さて、ここで新型レガシィ アウトバックにおいて少し気になった、細かな部分について述べておきたい。特に、今回のようにラフロードなどを走った際、当然クルマのサイドシル部分まで汚れてしまう。そうすると、乗り降りの際にパンツやスカートなどを汚してしまう。レガシィ アウトバックは、フラッグシップモデルということもあるので、ぜひドアをサイドシルまで覆うような形状を望んでおきたい。

新型「レガシィ アウトバック」のエアコンやシートヒーターの設定画面

新型「レガシィ アウトバック」のエアコンやシートヒーターの設定画面

また、新型の大きな特徴のひとつとなっているセンターインフォメーションディスプレイだが、物理スイッチがなくなってほとんどをこのセンターインフォメーションディスプレイで操作するように変更されている。シンプル化されたので、一見よさそうではあるのだが、実際に使ってみると光の加減で画面が反射してしまい、文字などが見えにくくなることも多々あった。また、たとえばエアコンの操作は、設定温度の変更やデフロスターなどについては物理ボタンが用意されているのだが、エアコンのオン、オフや風量の調節などは、ディスプレイ下部のエアコン操作バーで操作しなくてはならず、設定しづらいといったデメリットが見受けられた。(※エアコンに関する一部記述を修正いたしました [編])

また、オートビークルホールドのスイッチも、センターインフォメーションディスプレイで操作する。オートビークルホールドは、通常はセンターコンソールにパーキングブレーキのスイッチと並んでいることが多いのだが、新型レガシィ アウトバックの場合には画面を切り替えて車両制御画面を呼び出し、オートビークルホールドをオンにしなければならない。この設定は、エンジンをオフにするとデフォルトで解除されてしまうため、毎回セットするのが面倒であった。もしかしたら、顔認証・カスタマイズモードで設定しておけば、こういった煩わしさも解放されるかもしれない。それでも、先ほど述べたエアコンやX-MODEなどは画面上で操作しなければならない。すべてをディスプレイ上で操作させるのではなく、運転中に操作が必要なものなどは何があるのかを整理して、必要に応じて物理スイッチを用意してほしいと感じた。クルマはスマートフォンと違って走行しているため、動いている間は画面を凝視することができないからだ。これまで、安全に重きを置いたクルマ作りを行ってきたスバルだからこそ、ディスプレイに採用される機能については、改めて整理してほしいと感じたのだ。

もうひとつ、今回の試乗において気になったのが1.8リッターにダウンサイズされたエンジンだ。数値上は先代よりも上回っており、これまで述べたようにターボエンジンのパワーはじゅうぶんなものだった。だが、新型レガシィ アウトバックがフラッグシップモデルであるという点から考えると、決して排気量に余裕があるわけではないし、「レヴォーグ」には2.4リッターエンジンが搭載されている。それを考えると、将来的にはやはりレヴォーグと同じ2.4リッターエンジンを搭載して、1.8リッターターボと選べるようにしてほしいように思えた。

新型「レガシィ アウトバック」の雪上走行シーン

新型「レガシィ アウトバック」の雪上走行シーン

いくつかの気になる点も見受けられたが、フルモデルチェンジされた新型レガシィ アウトバックは、ボディ剛性が上がったことによって静粛性も高まり、先代と比較してハンドリングも良好なものになっている。さらに、悪路走破性の高さは相変わらずすばらしく、フールプルーフで何の知識のない人でも、相当な悪路に出会っても軽々と走り切れてしまう実力の高さを感じた。また、スバルは安全性の追求に余念がなく、今回のアイサイトXでの進化もすばらしいものだった。先代と比較しても、前車追従やコーナーでのステアリングアシストはさらに適切になり、これだけでも疲労軽減は大きく、また安心感も高まっている。まさにグランドツアラーと言っていいだろう。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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