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歴代最強、405馬力の新型「フェアレディZ」に試乗!FRなのに車体の安定感がすさまじい

国産スポーツカーの中心的な存在である日産「フェアレディZ」が、2022年夏にフルモデルチェンジされる。

日産のFRスポーツカー「フェアレディZ」が、7代目へとフルモデルチェンジされる。新型フェアレディZには、歴代のZへのオマージュを感じさせるエクステリアデザインが採用されており、新たに最高出力298kW(405PS)の3L V6ツインターボエンジンが搭載されていることなどが特徴となっている

日産のFRスポーツカー「フェアレディZ」が、7代目へとフルモデルチェンジされる。新型フェアレディZには、歴代のZへのオマージュを感じさせるエクステリアデザインが採用されており、新たに最高出力298kW(405PS)の3L V6ツインターボエンジンが搭載されていることなどが特徴となっている

フェアレディZの製品画像
日産
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(レビュー48人・クチコミ2200件)
新車価格:524〜696万円 (中古車:28〜1488万円

新型フェアレディZは、2022年1月には特別仕様車である「Proto Spec(プロトスペック)」の予約受注が開始され、同年4月には一般グレードの価格も公表された。新型フェアレディZは、車両型式そのものは先代(6代目)と同じ「Z34」型なのだが、エンジンやトランスミッションのほか、ピラーやプラットフォーム以外の主な内外装についても刷新されている。そのため、1969年に登場した初代モデルから数えて、新型は7代目となる。今回、日産のテストコースにおいて新型フェアレディZを試乗したので、その印象などをお伝えしたい。

■日産 新型「フェアレディZ」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-6速MT-
フェアレディZ:5,241,500円
フェアレディZ Version S:6,063,200円
フェアレディZ Version ST:6,462,500円
フェアレディZ Proto Spec:6,966,300円
-9速AT(9MT-ATx)-
フェアレディZ:5,241,500円
フェアレディZ Version T:5,687,000円
フェアレディZ Version ST:6,462,500円
フェアレディZ Proto Spec:6,966,300円

■日産 新型「フェアレディZ」の主なスペック
駆動方式:後輪駆動
乗車定員:2名
全長×全幅×全高:4,380×1,845×1,315mm
ホイールベース:2,550mm
最低地上高:120mm
車両重量:1,570〜1,620kg
最小回転半径:5.2m
燃費(WLTCモード):9.5km/L(6速MT)/10.2km/L(9速AT)
エンジン:3.0L V型6気筒 DOHC直噴ツインターボ(VR30DDTT)
トランスミッション:6速MT/マニュアルモード付フルレンジ電子制御9速AT(9MT-ATx)
最高出力:298kW(405PS)/6,400rpm
最大トルク:475N・m(48.4kgf・m)/1,600-5,600rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
タンク容量:62L

新型「フェアレディZ」のフロントエクステリアとリアエクステリア

新型「フェアレディZ」のフロントエクステリアとリアエクステリア

まず、新型フェアレディZのボディサイズは、全長が4,380mm、全幅は1,845mmと少しワイドで、全高は1,315mmと低い。ホイールベースは、2,550mmだ。先代と比べると、全長は120mm伸びたが、そのほかのサイズは同じになる。最小回転半径も5.2mと等しい。

また、新型フェアレディZのボディサイズをライバルの国産スポーツカーと比べると、トヨタ「GR86」よりも少し大きく、トヨタ「スープラ」に近いサイズになる。後方視界は、あまりよくないが、ボンネットは視野に収まっており小回りのききもいい。スポーツカーの中では、運転しやすい部類に入るだろう。

新型「フェアレディZ」のフロントフェイスとサイドイメージ

新型「フェアレディZ」のフロントフェイスとサイドイメージ

フロントマスクやサイドボディなどは、今でも人気の高い初代のフェアレディZをモチーフにデザインされている。先代の6代目や5代目でも、外観デザインは初代が意識されていたが、7代目の新型は特にその傾向が強い。

新型「フェアレディZ」のインテリア

新型「フェアレディZ」のインテリア

新型「フェアレディZ」のインパネ上部に備わる3連メーター

新型「フェアレディZ」のインパネ上部に備わる3連メーター

インテリアは、インパネ中央の最上部にフェアレディZの伝統とされる3連メーターが装着されているのが特徴的だ。右側から、ターボのブースト計、ターボの回転計、電圧計が並んでいる。

新型「フェアレディZ」のフロントシート。乗車定員は2名のため、リアシートは装着されていない

新型「フェアレディZ」のフロントシート。乗車定員は2名のため、リアシートは装着されていない

新型フェアレディZで注意したいのが、フロントシートの調節機能についてだ。運転席には、着座位置を上下させるシートリフターが装備されているのだが、先代と同じく座面だけが動くタイプとなっている。スポーツカーを好むユーザーは、着座位置を下げて座る傾向が強く、そうすると背もたれと座面の間に隙間ができてしまう。正確な運転を行って、長距離を快適に移動するには、すぐれたシートは不可欠だ。特に、フェアレディZであれば、峠道を走ったり高速道路を使って長時間のドライブをする機会も多いだろう。そうなると、シートはいっそう重要になってくるので、全体が上下するシートリフターへと改善してほしいと思う。

搭載エンジンは、新型になって刷新された。先代には、3.7L V型6気筒自然吸気エンジンが搭載されていたが、新型には「スカイライン400R」(V37型)にも採用されていた3L V型6気筒ツインターボエンジンが搭載されている。最高出力は405PS(6,400rpm)、最大トルクは48.4kg-m(1,600〜5,600rpm)と、スカイライン400Rと数値上はほとんど変わらないが、新型フェアレディZ向けにチューニングが施されているほか、400Rにはなかった6速MTが、新型フェアレディZに採用されている点は大きいだろう。

新型「フェアレディZ」を日産のテストコースで試乗した

新型「フェアレディZ」を日産のテストコースで試乗した

新型に搭載されている3L V6ツインターボエンジンは、ターボのクセをあまり意識させず、低回転域から駆動力に余裕を持たせている。1,400rpm以下では駆動力が下がるものの、1,500rpm以上になると過給効果が立ち上がる。そして、アクセルペダルを踏み込むと、エンジンは7000rpmのレッドゾーンまでしっかりと回り、速度は180km/hのリミッターまで一直線に上昇していく。パワーはかなり出ているものの、低速域などでの実用性も高くて運転しやすいエンジン特性だ。

あえて不満を述べるとするなら、スポーツカーとしてはエンジンの反応はもう少し機敏なほうがうれしい。回転数が下がった状態でアクセルペダルを踏み増すと、若干の時間差を置いて加速力が強まるからだ。もちろん、一般的なターボ車として見れば反応の仕方は機敏なのだが、スポーツカーとしては熟成の余地も残されている。

そして、新型フェアレディZで最も注目されるのは、正確な操舵感と走行安定性の高さだ。操舵については、3車線のテストコースを時速約180kmで走りながら、路上に小さな障害物が落ちていることを想定して、50cmほどわずかに左側へと進路を変える操作を行ってみた。実際には、手首をほんの少し動かす程度の微少舵角なのだが、新型フェアレディZは正確に車両が反応して障害物を避けるように動作した。

新型「フェアレディZ」の試乗イメージ

新型「フェアレディZ」の試乗イメージ

また、峠道のようなコーナーのあるテストコースでは、路面の荒れた箇所で、あえて危険を避ける操作を行ってみた。コーナーリング中に、ステアリングホイールをさらに内側に回すと同時に、アクセルペダルを戻してみる。この操作を行うと、先代のフェアレディZや一部の国産スポーツカーなどでは、後輪を中心にタイヤが路上を跳ねる挙動が生じて、進路が乱されやすくなる。だが、新型フェアレディZは後輪を中心にタイヤの接地性が高いので、進路を調節する修正操舵はかなり少なかった。

新型「フェアレディZ」の試乗イメージ

新型「フェアレディZ」の試乗イメージ

後輪を中心に接地性が高められた新型フェアレディZのセッティングは、さまざまな場面ですぐれた効果をもたらしている。たとえば、コーナーを曲がりながらアクセルペダルを踏み増した時にも旋回軌跡を拡大させにくく、後輪はグリップを失いにくい。後輪駆動であるフェアレディZは、旋回軌跡を拡大させにくい代わりに後輪の横滑りが発生しやすいのだが、新型では一連の挙動変化も穏やかに仕上げられていた。そのため、運転しているとボディが実際よりもコンパクトで軽く感じられる。運転操作と挙動の間にズレが生じにくく、思い通りに運転できるからだろう。接地性や走行安定性などは、先代に比べてかなり向上していると感じた。

また、タイヤの路面接地性がすぐれているので、粗さが抑えられていて乗り心地がいいのも、新型フェアレディZの特徴のひとつだ。スポーツカーなので、足まわりはセダンに比べると硬めで上下に揺すられることもあるが、市街地での乗り心地はスポーツカーとしてはいいだろう。

このように、新型フェアレディZの走りが熟成された理由を開発者に尋ねると「プラットフォームなどを、先代から流用した効果も大きい」と言う。プラットフォームを刷新すると、衝突安全性の向上、軽量化や電動化、新しい衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能への対応も可能になる。プラットフォームの刷新はクルマの進化にとっては不可欠なのだが、運転感覚の熟成については振り出しに戻ってしまい、改めてセッティングを開始せねばならない。そのため、プラットフォームを刷新すると、車両が横滑りを開始する時の挙動変化が、従来よりも唐突になるといった欠点が生じやすくなる。

実用重視の車種であれば、運転感覚の優先順位は低いが、フェアレディZのようなスポーツカーでは最高位になる。いい換えれば、フェアレディZはプラットフォームを流用するメリットの多い車種になるわけだ。その代わり、新型フェアレディZは、電動化には一切対応していない。せめて、アイドリングストップくらいは設定すべきと思うが・・・・・・。エンジンの始動と停止が煩わしいという意見もあるが、ユーザーによっては信号待ちでのアイドリングに後ろめたさや罪悪感を抱くこともあるからだ。WLTCモード燃費も、6速MTが9.5km/L、9速ATは10.2km/Lに留まるので、アイドリングストップを設定する余地は十分にあるはずだ。ちなみに、衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能については、新型になって標準装着されているのはうれしい点のひとつだ。

■日産 新型「フェアレディZ」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-6速MT-
フェアレディZ:5,241,500円
フェアレディZ Version S:6,063,200円
フェアレディZ Version ST:6,462,500円
フェアレディZ Proto Spec:6,966,300円
-9速AT(9MT-ATx)-
フェアレディZ:5,241,500円
フェアレディZ Version T:5,687,000円
フェアレディZ Version ST:6,462,500円
フェアレディZ Proto Spec:6,966,300円

新型フェアレディZの購入については、まずは6速MTか9速ATかを選ぼう。趣味性の高いクルマなので、好みや用途に応じて決めればいいのだが、ひとつ付け加えるとATは従来の7速から9速へと多段化され、フル加速時にも高回転域を保ちやすく進化している。しかも、9速ATの価格は6速MTと同額なので、後者には買い得感がある。

グレードの選択は、トランスミッションが9速ATであれば、ベーシックな標準仕様の「フェアレディZ」(5,241,500円)を推奨したい。18インチタイヤなど十分な装備が組み合わせられており、価格も割安だからだ。

いっぽう、6速MTであれば、「フェアレディZ Version S」(6,063,200円)も検討したい。Version Sは6速MT専用のグレードで、4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキ、LSD(リミテッドスリップデフ)、レイズ製19インチアルミホイール、フロント&リヤスポイラーが加わる。価格は、標準仕様よりも約82万円高いので買い得とまでは言えないが、走行性能を高める魅力的な装備が豊富に備わっている。スポーティーな走りを好むユーザーには、選ぶ価値が高いはずだ。さらに、本革シートなどがほしいなら、「フェアレディZ Version ST」(6,462,500円)を選ぶといいだろう。

また、最初に発売された特別仕様車の「フェアレディZ Proto Spec」についてだが、価格は6,966,300円に達している。Proto Specは、予約受注の開始時点では一般グレードの価格が不明で、後にProto SpecはVersion STよりも約50万円高いことが明らかになった。そして、Proto Specの内容はVersion STと外装や内装の色彩が一部異なるが、ほぼ同じ仕様だ。Proto Specは、商品としては明らかに割高になる。

それでも、早く契約した分だけ納車も早まるのであれば、めずらしい新型フェアレディZに乗ることで、50万円と引き替えに優越感を味わえるだろう。はたして、Proto Specは、どのくらい早く納車されるのかを、2022年7月下旬に販売店に尋ねると、以下のような返答であった。

「Proto Specの納車は、まだ行われていない。普通のグレードを含めて、納車の開始は2022年9月から12月頃になりそうだ。Proto Specも、普通のグレードも、生産開始時期に大きな違いはなく、差が生じても2週間程度だと思う。このような状態だから、新型フェアレディZは、今は受注を中止している。販売の再開時期は不明だ」。

新型コロナウイルスにロシアのウクライナ侵攻も重なり、すべてのメーカーの納車が滞っている。これは仕方ないが、ProtoSpecの契約後に公表された一般グレードが、Proto Specよりも明らかに割安で、納期はほとんど同じでは購入ユーザーの満足度を下げてしまわないだろうか。新型フェアレディZは、運転の楽しいすぐれたスポーツカーだが、販売方法に問題を抱えている。割高な特別仕様車のProtoSpecを先行発売するといった販売方法は、今後は見直すべきだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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新車価格:524〜696万円 (中古車:28〜1488万円
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