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SUVのクラウン!?トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」特徴から買い得グレードまで徹底解説!

2022年7月15日に世界初公開された、トヨタ 新型「クラウン」。従来までのクラウンのボディタイプは基本的にセダンであったが、新型クラウンではセダンを含めて4種類のボディタイプが存在するのが特徴的だ。

「フルモデルチェンジ」は、文字通りクルマのすべてを作り替えることだが、車両の基本的な性格や価格帯は、従来型を踏襲することが多い。コンセプトから根本的に変えると、従来型からの代替え需要に応えられず、新たに買おうとする人達も判断に困るからだ。つまり、販売面で不利になるので、根本から変えるフルモデルチェンジはほとんど行われないというのが現状だ。

仮に、コンセプトから変えるとすれば、従来型の販売が大幅に低迷している場合なのだが、一般的にはその不人気車を廃止して、別の車名で新規車種を投入することが多い。不人気車の車名を継承すると、販売面でマイナスに作用するからだ。

2022年7月15日に世界初公開された、トヨタ 新型「クラウン」。従来までのクラウンのボディタイプは基本的にセダンであったが、新型クラウンではセダンを含めて4種類のボディタイプが存在するのが特徴的だ。画像は、左から「クロスオーバー」、「スポーツ」、「セダン」、「エステート」。このうち、クロスオーバーが先行して2022年秋に発売予定となっている

2022年7月15日に世界初公開された、トヨタ 新型「クラウン」。従来までのクラウンのボディタイプは基本的にセダンであったが、新型クラウンではセダンを含めて4種類のボディタイプが存在するのが特徴的だ。画像は、左から「クロスオーバー」、「スポーツ」、「セダン」、「エステート」。このうち、クロスオーバーが先行して2022年秋に発売予定となっている

クラウン クロスオーバーの製品画像
トヨタ
3.45
(レビュー30人・クチコミ952件)
新車価格:435〜640万円 (中古車:499〜896万円

そのような、一般的なフルモデルチェンジの作法から大きく逸脱しているのが、2022年7月15日に世界初公開された、トヨタの新型「クラウン」だ。新型は、クラウンの車名を継承しながら、従来型とはクルマ作りを大幅に変えている。

最も大きく変わったのが、ボディバリエーションだ。従来のクラウンのボディタイプは基本的にセダンであったが、新型ではセダンのほかにクロスオーバー、スポーツ、エステートと、計4種類ものボディタイプが発売される。このうち、セダン以外の3種類のボディはSUVタイプになる。クラウンの過去を長くさかのぼると、2ドアや4ドアハードトップ、ワゴン、商用車のバンやピックアップ(トラック)などがラインアップされた時代もあったが、SUVを設定するのは初となる。

新型クラウンが、SUVをラインアップしながら車名を継承したのは、「クラウン」が1955年に登場した伝統ある車種だからだ。「マークII」(後の「マークX」)、「コロナ」(後の「プレミオ」)、「カリーナ」(後の「アリオン」)などは廃止されたが、クラウンは存続させたいというトヨタの強い思いがあったからだ。

トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」

トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」

トヨタ 新型「クラウンスポーツ」

トヨタ 新型「クラウンスポーツ」

トヨタ 新型「クラウンセダン」

トヨタ 新型「クラウンセダン」

トヨタ 新型「クラウンエステート」

トヨタ 新型「クラウンエステート」

注意したいのは、クラウンシリーズの発売時期についてだ。2022年7月15日の世界初公開の際に、価格やスペック、装備内容など詳細まで発表されたのはクロスオーバーのみで、ほかの3タイプの詳細は未だ(記事公開の8月初旬時点では)不明となっている。今後、約1年半を費やして順次投入されるという。

また、新型クラウンは、ボディスタイルの変更にともなって、駆動方式も変更されている。従来のクラウンは、初代から先代型の15代目までは後輪駆動と、それをベースとした4WDであったが、新型は前輪駆動ベースになる。プラットフォームは「GA-K」と呼ばれるタイプで、ホイールベースはレクサスの新型「RX」と共通だ。

新型「クラウンセダン」のサイドイメージ

新型「クラウンセダン」のサイドイメージ

だが、4タイプのうち、セダンには注意したい。公開された外観を横方向から見ると、フロントピラーと前輪との間隔が、ほかの3タイプに比べて開いており、ボンネットも長い。これは、後輪駆動に多いボディ形状だ。ホイールベースも、クロスオーバーとエステートは2,850mm、スポーツは2,770mmだが、セダンは3,000mmと大幅に伸ばされている。これらの点から考えて、筆者の予想としてはセダンだけは後輪駆動を踏襲する可能性が高いのではと考える。プラットフォームも、ほかの3モデルとは異なってセダンは先代と共通ということもある。

■トヨタ 新型「クラウン クロスオーバー」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-2.5Lハイブリッド-
CROSSOVER X:4,350,000円
CROSSOVER G:4,750,000円
CROSSOVER G“Leather Package”:5,400,000円
CROSSOVER G“Advanced”:5,100,000円
CROSSOVER G“Advanced・Leather Package”:5,700,000円
-2.4Lターボハイブリッド-
CROSSOVER RS:6,050,000円
CROSSOVER RS“Advanced”:6,400,000円

■トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」の主なスペック
駆動方式:4輪駆動(電動式)
全長×全幅×全高:4,930×1,840×1,540mm
ホイールベース:2,850mm
最小回転半径:5.4m
エンジン:2.4L直4直噴ターボエンジン(T24A-FTS)/2.5L直4自然吸気エンジン(A25A-FXS)
トランスミッション:Direct Shift-6AT[2.4Lターボハイブリッド]/電気式無段変速機[2.5Lハイブリッド]
最高出力:200kW(272PS)/6,000rpm[2.4Lターボハイブリッド]/137kW(186PS)/6,000rpm[2.5Lハイブリッド]
最大トルク:460N・m(46.9kgf・m)/2,000-3,000rpm[2.4Lターボハイブリッド]/221kW(22.5kgf・m)/3,600-5,200rpm[2.5Lハイブリッド]
燃費:15.7km/L[2.4Lターボハイブリッド]/22.4km/L[2.5Lハイブリッド]
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン[2.4Lターボハイブリッド]/無鉛レギュラーガソリン[2.5Lハイブリッド]
フロントモーター(最高出力):61kW(82.9PS)[2.4Lターボハイブリッド]/88kW(119.6PS)[2.5Lハイブリッド]
フロントモーター(最大トルク):292N・m(29.8kgf・m)[2.4Lターボハイブリッド]/202N・m(20.6kgf・m)[2.5Lハイブリッド]
リアモーター(最高出力):59kW(80.2PS)[2.4Lターボハイブリッド]/40kW(54.4 PS)[2.5Lハイブリッド]
リアモーター(最大トルク):169N・m(17.2kgf・m)[2.4Lターボハイブリッド]/121N・m(12.3kgf・m)[2.5Lハイブリッド]

トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」のフロントエクステリアとリアエクステリア

トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」のフロントエクステリアとリアエクステリア

2022年秋に先行して発売される予定の「クラウンクロスオーバー」のボディサイズは、全長が4,930mm、全幅は1,840mmになる。先代のクラウンセダンは、全幅が1,800mmなので40mm広がった。このサイズアップは、運転のしにくさに結び付くことから、クラウンクロスオーバーは、後輪操舵の「DRS」が全車に標準装備されている。低速域では、後輪を前輪とは逆方向に操舵して小回り性能を向上させる。最小回転半径は全車が5.4mと、先代型の5.3〜5.7mに比べるとほぼ同等か、クラウンクロスオーバーのほうがいい。DRSは、高速域になると後輪を前輪と同じ方向に向けて、後輪の接地性を高めて安定性を向上させる役割も果たすなど、メリットの多いメカニズムだ。

トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」のラゲッジルーム

トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」のラゲッジルーム

クラウンクロスオーバーのボディスタイルで注目されるのは、SUVなのにボディの後部に大きく開くリヤゲートが装着されないことだ。居住空間の後部に、独立したトランクスペースを備えるセダンの形状へと仕上げられている。開発者に、SUVなのにセダンスタイルを採用した理由を尋ねると、以下のような返答であった。「後席とトランクスペースの間に骨格が入るので、ボディ剛性を向上させやすい。また、居住空間を隔離しているので、後輪が転がる時に発するノイズも抑えられる」。カテゴリーを人気の高いSUVに発展させながら、クラウンとしての走行安定性や静粛性を保つため、後席とトランクスペースを分離するセダンスタイルを踏襲したということだ。

トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」のインパネ

トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」のインパネ

インパネは水平基調で、視認性や操作性がいい。デザインは、先代クラウンに比べて地味だ。開発者は、「先代型に比べると、メッキパーツの使用を抑えてスポーティーに仕上げた」と言う。

トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」のフロントシートとリアシート

トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」のフロントシートとリアシート

居住性は、前席は快適だが、後席はSUVとして床と座面の間隔が足りない。腰が落ち込んで、膝の持ち上がる座り方になる。その理由は、天井を後ろに向けて下降させたからだ。後席は、ドアの開口部も低いので、頭を下げて乗り降りする形になる。だが、その代わり後席の足元空間は広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には、握りコブシ2つ半もの余裕がある。

パワーユニットは、ハリアーなどと共通の2.5L直列4気筒ハイブリッドと、2.4L直列4気筒ターボをベースに開発されたハイブリッドがラインアップされている。ちなみに、後者はレクサス「RX500h」と共通のパワーユニットだ。

駆動方式は、すべて前輪駆動をベースにした4WDで、2WDは設定されていない。前輪駆動は、先代型の後輪駆動に比べると重量配分が前側に偏り、走行安定性で不利になりやすい。そこで、クラウンクロスオーバーは4WD専用車にして、なおかつDRSも標準装着することによって、走行安定性の不利を補っている。

トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」の走行イメージ

トヨタ 新型「クラウンクロスオーバー」の走行イメージ

エンジンとモーター駆動を合計したシステム最高出力は、2.5Lハイブリッドが234PSで、2.4Lターボハイブリッドは349PSと強力だ。2.4Lターボハイブリッドの動力性能は、2.5Lハイブリッドの1.5倍にも達する。だが、燃費の格差も大きい。2.5LハイブリッドのWLTCモード燃費は22.4km/Lで、使用燃料はレギュラーガソリンだが、2.4Lターボハイブリッドは15.7km/Lで、さらに使用燃料はプレミアムガソリンになる。カタログ値から計算すると、2.4Lターボハイブリッドの燃料代は2.5Lハイブリッドの1.5倍になる。

安全装備は、新型車とあって相応に充実しているが、渋滞時にステアリングホイールから手を離しても運転支援が続くアドバンストドライブや、スマートフォンを使って車庫入れを車外から操作できるアドバンストパークは、上級のRSでないとオプション装着できない。たとえば、トヨタのミニバン「ノア」や「ヴォクシー」は、同様の機能を最廉価のXを除く全車にオプション設定しているので、クラウンクロスオーバーは高価格帯のクルマとしては装備に少々不満がともなう。

2.4Lターボハイブリッドの価格は、装備の違いを補正すると、2.5Lハイブリッドに比べて実質的に約57万円高い。そうなると、動力性能の差はあるものの、機能の割に価格が割安なのは2.5Lハイブリッドだ。

買い得なベストグレードは、2.5Lハイブリッドを搭載するGアドバンスト(5,100,000円)になる。ハンズフリーパワートランクリッド、運転席パワーシートなどの快適装備を標準装着して、価格は比較的割安に抑えられている。

ちなみに、先代クラウンに2.5Lハイブリッドを搭載した売れ筋のRSは、4WD仕様の価格が5,539,000円であった。この点を踏まえると、新型クラウンクロスオーバーは割安だ。

クラウンを買う時に困るのは、4種類のモデルが時間を置いて発売されることだろう。少なくとも、SUVスタイルのクロスオーバー、エステート、スポーツの3種類は、比較して選びたいユーザーも多いはずだ。たとえば、クロスオーバーを購入した後に、「しまった、エステートにしておけばよかった」という失敗はしたくない。そこを心配すると、クロスオーバーが魅力的に映るものの、購入には踏み切れないだろう。

そこで、トヨタは異例の買い方を用意した。1年コースの残価設定ローンだ。通常の残価設定ローンの返済期間は一般的に3〜5年だが、クラウンは販売会社によっては1年と2年コースも選べるようにした。

車両価格に占める残価の割合は、1年コースが80%、2年コースは70%だ。単純にいえば、車両価格の20%を支払うと1年間使用できるのだ。したがって、クラウンクロスオーバーに1年間乗って、その間に発表されたエステートやスポーツのほうが気に入ったら、1年後に乗り替えられる。本来なら、4タイプがすべて出そろった状態で発売して自由に選べるようにすべきだが、それが無理なので乗り替えしやすいように残価設定ローンが用意された。

ちなみに、現在販売されているクラウンクロスオーバーの納期を販売店に尋ねると「生産開始は2022年9月で、今の納期は約4か月になる。ただし、これから遅延する可能性も高い」と言う。試乗車が入るのは「8月から9月」とのことだ。今は、車種を問わず納期が遅延しており、クラウンクロスオーバーは新型車ということもあるので、商談は特に早めに開始したい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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クラウン クロスオーバーの製品画像
トヨタ
3.45
(レビュー30人・クチコミ952件)
新車価格:435〜640万円 (中古車:499〜896万円
クラウン スポーツの製品画像
トヨタ
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(レビュー-人・クチコミ41件)
新車価格:―円 (中古車:―円
クラウンの製品画像
トヨタ
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(レビュー76人・クチコミ2678件)
新車価格:―円 (中古車:19〜690万円
クラウンエステートの製品画像
トヨタ
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(レビュー3人・クチコミ80件)
新車価格:―円 (中古車:29〜239万円
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