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トヨタ 新型「シエンタ」を先代モデルと比較!使い勝手を見直して初代へ“回帰”

トヨタで人気のコンパクトミニバン「シエンタ」が、2022年8月23日にフルモデルチェンジされた。

トヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」が、2022年8月23日に3代目へとフルモデルチェンジされた。新型シエンタは、扱いやすい5ナンバーのボディサイズはそのままに、内外装が刷新され、2列目シートの居住性の向上や取り回しの改善など、さらなる進化を遂げている

トヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」が、2022年8月23日に3代目へとフルモデルチェンジされた。新型シエンタは、扱いやすい5ナンバーのボディサイズはそのままに、内外装が刷新され、2列目シートの居住性の向上や取り回しの改善など、さらなる進化を遂げている

シエンタの製品画像
トヨタ
4.00
(レビュー274人・クチコミ17994件)
新車価格:195〜310万円 (中古車:9〜390万円

かつて、5ナンバー車であったトヨタ「ノア」「ヴォクシー」やホンダ「ステップワゴン」などのミニバンは、ボディサイズが拡大されて3ナンバー車となった。そのため、手ごろなサイズで扱いやすい5ナンバー車のシエンタは、今や貴重な存在だ。今回、新型シエンタに試乗したので、先代との違いや新たな魅力、ガソリンエンジン車とハイブリッド車の乗り心地の比較、7人乗り3列シート車と5人乗り2列シート車の使い勝手の違い、グレード選びなどについて解説していこう。

■トヨタ 新型「シエンタ」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-1.5L ガソリンエンジン搭載車(2WD)-
X:1,950,000円 [5人乗り]/1,990,000円 [7人乗り]
G:2,300,000円 [5人乗り]/2,340,000円 [7人乗り]
Z:2,520,000円 [5人乗り]/2,560,000円 [7人乗り]
-ハイブリッド車(2WD)-
X:2,380,000円 [5人乗り]/2,420,000円 [7人乗り]
G:2,650,000円 [5人乗り]/2,690,000円 [7人乗り]
Z:2,870,000円 [5人乗り]/2,910,000円 [7人乗り]
-ハイブリッド車(E-Four)-
X:2,578,000円 [5人乗り]/2,618,000円 [7人乗り]
G:2,848,000円 [5人乗り]/2,888,000円 [7人乗り]
Z:3,068,000円 [5人乗り]/3,108,000円 [7人乗り]

まず、新型シエンタのボディサイズからだが、全長は4,260mm、全幅と全高は1,695mmになる。先代(の最終モデル)に比べて、全高は20mm高くなったものの、全長や全幅は変わらない。シエンタの開発者は、「運転のしやすさを損なわないため、ボディサイズを拡大させなかった。最小回転半径は、先代は5.2mだったが、新型は5.0mになった。小回りの利きは、向上している」と言う。

新型「シエンタ」のフロントエクステリアとリアエクステリア。角を丸く仕上げることで車体をコンパクトに見せる、「シカクマル」シルエットが採用されている

新型「シエンタ」のフロントエクステリアとリアエクステリア。角を丸く仕上げることで車体をコンパクトに見せる、「シカクマル」シルエットが採用されている

新型シエンタは、ボディサイズは先代とほとんど変わらないが、外観デザインについては刷新されている。先代は、機能性の高さやアクティブさなどをトレッキングシューズのような外観によって表現していたが、新型はコーナーを丸めた「シカクマル」シルエットを採用。これによって、室内の広さを確保しながらも、ボディを大きく見せない工夫が施されている。さらに、シカクマルのデザインは、外観だけでなく内装のドアポケットなど細部まであらゆる箇所に採用されており、クルマに統一感を持たせている。

新型「シエンタ」は、前方視界や側方視界が広いので、取り回しがしやすい

新型「シエンタ」は、前方視界や側方視界が広いので、取り回しがしやすい

視界については、新型シエンタは先代に比べて大きく改善されている。ダッシュボードは平らに仕上げられて前方が見やすくなり、サイドウィンドウの上下幅が80mm増えたことによって、左右の視界も広がっている。さらに、前方左右に備えられているAピラーは、衝突安全性の確保のためにダッシュボードとの付け根付近が少し太めだが、手前に引き寄せられているので運転時の視界には入りにくくなっている。開発者は、新型シエンタの視界のよさについて「新型は、原点に回帰した」と言う。確かに、初代の視界はよかったのだが、先代の2代目は外観がワゴンタイプになったため、視界については初代に比べて悪化していた。だが、新型は再び初代路線へと回帰することによって、視界を改善させている。

ちなみに、新型シエンタが原点へと回帰した大きな理由が、ライバル車のホンダ「フリード」の存在だ。シエンタとフリードの登録台数を振り返ると、2代目の先代シエンタが2015年に発売された後、2016年はシエンタのほうが多かったのだが、2017年は新型へとフルモデルチェンジされたフリードのほうが販売台数は上回った。その後、2018年と2019年は再びシエンタのほうが上まわったのだが、2020年と2021年はフリードに抜き返されている。このように、トヨタ車が他メーカーのライバル車に販売数争いで勝てないことは珍しいと言える。そして今回、新型シエンタは2023年にフルモデルチェンジが予定されている次期フリードを見据えていることもあって、ミニバンらしさを強めるとともに原点へと回帰している。

今回、試乗した新型シエンタのグレードは、1.5L直列3気筒のNAエンジンを搭載するZと、同じエンジンが組み合わせられたハイブリッドZの2台だ。

新型「シエンタ」Zグレードのインテリア。内装色は「フロマージュ」

新型「シエンタ」Zグレードのインテリア。内装色は「フロマージュ」

試乗車はどちらも最上級グレードで、内装は上質なものへと仕上げられている。XやGのダッシュボードは一般的な樹脂パネルなのだが、Zには表面に上質なファブリック素材が使われているので、高級感を覚える。さらに、Zはドアアームレストも同様にファブリック素材が用いられるなど、インテリア全体を通してまるで家の中に居るような落ち着いた雰囲気があり、居心地のよさが感じられるような作りとなっている。

新型「シエンタ」には、インテリアの至るところに「ピクトグラム」が採用されており、明るく楽しい雰囲気に仕上げられている

新型「シエンタ」には、インテリアの至るところに「ピクトグラム」が採用されており、明るく楽しい雰囲気に仕上げられている

また、新型シエンタのドリンクホルダーなどにはピクトグラムが刻印されており、ひと目見るだけで、どのような大きさの飲み物が入れられるのかが感覚的にわかるようになっているのが面白い。

新型「シエンタ」3列シート車の1列目シート

新型「シエンタ」3列シート車の1列目シート

シートについて、まずは3列シート車から見てみよう。1列目シートは、背もたれや座面のサイズが十分な大きさで、腰から大腿部をしっかりと支えてくれるので座り心地がよく、長距離ドライブも快適そうだ。さらに、ファブリックのシート生地は滑りにくいので、コーナーを曲がる時なども着座姿勢が安定している。

新型「シエンタ」3列シート車の2列目シート

新型「シエンタ」3列シート車の2列目シート

2列目シートも、座り心地に不満はないのだが、腰の収まり方は少し改善が必要と感じた。体がもう少し座面に沈み込むようにして、座面の前側を持ち上げれば着座姿勢はさらに安定するだろう。また、2列目シートを最も後ろまでスライドさせれば、身長170cmの大人4名が乗車した状態で膝先空間は握りコブシ2つ半になり、ゆったりと快適に座れる。ただし、その時には3列目シートの足元空間はかなり狭くなって大人は座れなくなるので、注意が必要だ。逆に、2列目シートをいちばん前までスライドさせても、2列目シートの膝先空間は握りコブシひとつ分ある。その状態でも、乗員のつま先が1列目シートの下側に収まりやすいので、それほど窮屈には感じられない。

新型「シエンタ」3列シート車の3列目シート

新型「シエンタ」3列シート車の3列目シート

その状態で3列目シートへ座ると、膝先空間は手のひらが収まる程度だが、少し余裕を持って座ることができる。ちなみに、3列目シートの背もたれや座面は、1、2列目シートに比べると短くて薄いのだが、それでも片道1時間程度の距離なら、大人でも座って移動できるだろう。新型シエンタは、ボディはコンパクトだが、多人数が座れる居住性をしっかり備えていると言ってよさそうだ。

新型「シエンタ」3列シート車のラゲッジルーム。2、3列目シートを立てた状態

新型「シエンタ」3列シート車のラゲッジルーム。2、3列目シートを立てた状態

新型「シエンタ」3列シート車のラゲッジルーム。3列目シートを床下に格納した状態

新型「シエンタ」3列シート車のラゲッジルーム。3列目シートを床下に格納した状態

新型「シエンタ」3列シート車のラゲッジルーム。3列目シートを床下に格納して、さらに2列目シートを前方に倒した状態

新型「シエンタ」3列シート車のラゲッジルーム。3列目シートを床下に格納して、さらに2列目シートを前方に倒した状態

ラゲッジルームにも注目したい。新型シエンタは、3列目シートを床下に格納することができる。そうすれば、ラゲッジルームはスッキリとした広い空間として使える。さらに、路面から荷室床面までの高さは505mmと低いので、大きな荷物を積む時も、大きく持ち上げる必要がない。

ちなみに、新型シエンタには大容量のラゲッジルームを備える2列シート車も用意されている。2列目シートの背もたれを前側に倒すと、座面も連動して下がって荷室を拡大できる。2列目シートを格納した時の荷室長は1,865mmで、駐車時に1列目シートを前側へ寄せれば、最長で2,045mmもの広大な荷室長になる。たとえば、ラゲッジルームと1列目シートの間にクッションを詰めて平らにすれば、車中泊としても使えるだろう。

新型「シエンタ」ガソリンエンジン車の走行イメージ

新型「シエンタ」ガソリンエンジン車の走行イメージ

次に、動力性能について確認してみよう。1.5L直列3気筒のNAエンジンを積むガソリンエンジン車は、車重が1,300kgの3列シート車では、ややパワー不足を感じた。4,500rpm付近を超えれば加速力が活発になるので、実用的に大きな不満はなさそうだが、パワーを得るのにエンジン回転数を高める必要があるので、エンジンノイズに注意したい。登坂路でアクセルペダルを踏み増した時なども、3気筒エンジン特有の少し粗い音が聞こえる。

新型「シエンタ」ハイブリッド車の走行イメージ

新型「シエンタ」ハイブリッド車の走行イメージ

いっぽう、ハイブリッド車はガソリンエンジン車に比べて静かだ。巡航中にアクセルペダルを緩く踏み増すと、反応の素早いモーターが駆動力を補ってくれるので、エンジン回転数はそれほど高まらない。さらに、駆動力においてもハイブリッド車は、ガソリンエンジン車に比べて余裕が感じられる。

新型「シエンタ」ガソリンエンジン車の走行イメージ

新型「シエンタ」ガソリンエンジン車の走行イメージ

走行安定性は、シエンタは新型になって向上した。新型は、ボディ剛性が高められていることから、ステアリング操作に対するクルマの動きが先代よりも正確になっている。カーブを曲がったり、車線を変えたりする時の挙動も安定している。重心の高いミニバンは、安定性を確保するために操舵に対する反応を敢えて鈍く抑える場合が多いのだが、新型シエンタは自然な印象で、鈍いといった感覚は覚えない。後輪の接地性については、もう少し高める余地がありそうだが、適度によく曲がってくれるので運転感覚はなじみやすく、運転しやすい部類に入るだろう。

乗り心地は、50km/h以下では少し硬さを感じるものの、50km/hを超えると硬さは薄れる。ちなみに、ガソリンエンジン車よりもハイブリッド車の乗り心地のほうが、柔軟で快適だ。その代わり、ガソリンエンジン車はハイブリッド車よりもボディが70kgほど軽いので、ワインディングロードなどを走る際には軽快だ。

運転時の安心感を高める装備として注目したいのが、「プロアクティブドライビングアシスト」が、全車に標準装備されていることだ。この機能は、先行車に接近してアクセルペダルを戻した時などに、必要に応じて自動的に減速の仕方を強めてくれるもの。ドライバーが、意図した減速を車両が先行して行う感覚で、運転しやすく、安全性も高い。衝突被害軽減ブレーキは、衝突不可避の状態が近づいた時に作動するが、プロアクティブドライビングアシストは、そもそも危険な状態に近づくのを防いでくれる役割を果たす。

新型「シエンタ」3列シート車のインテリア俯瞰イメージ

新型「シエンタ」3列シート車のインテリア俯瞰イメージ

新型シエンタの購入を検討するには、まず5人乗りの2列シート車か、7人乗りの3列シート車かの選択になる。これは、用途に応じて決める形になるが、3列シート車の価格は、2列シート車に比べて4万円程度の上乗せに収まる。しかも、この価格差は3列シート車だけに装着される2列目シートのスライド機構も含まれている。価格差だけを考えれば、新型シエンタは3列シート車のほうが割安だ。

次に、ガソリンエンジン車かハイブリッド車かを選ぼう。売れ筋のGとZの場合、ハイブリッド車の価格は、ガソリンエンジン車に比べて35万円高いが、購入時に納める税金は約10万円安いので、実質価格差は25万円に縮まる。そして、3列シート車(2WD)同士でWLTCモード燃費を比べると、ガソリンエンジン車は18.3km/L、ハイブリッド車は28.2km/Lになる。レギュラーガソリン価格が1L当たり160円とすれば、1km当たりの燃料代は、ガソリンエンジン車が8.7円、ハイブリッド車は5.7円になる。これを考慮すると、燃料代の節約で25万円の実質価格差を取り戻せるのは、8〜9万kmを走ったころだ。さらに、ハイブリッド車はガソリンエンジン車に比べて実用域の駆動力に余裕があり、ノイズも小さい。燃費に加えて、走りの満足度も高いので、ハイブリッド車を推奨したい。

駆動方式は、2WDと4WDがラインアップされているが、ガソリンエンジン車は2WDのみに設定されている。そのため、4WDがほしい時は必然的にハイブリッド車になる点に注意したい。ハイブリッド車の4WDは、後輪をモーターで駆動するE-Fourで、2WDと比べた時の価格アップは198,000円。この価格差は割安なので、ハイブリッド車では必要に応じてE-Fourも積極的に検討したい。

グレードは、ガソリンエンジン車、ハイブリッド車ともに、ベーシックなX、中級のG、上級のZがラインアップされている。Xにオプションを加える方法もあるが、スライドドアの電動機能は左側だけに標準装備されており、さらに右側にはオプションでも装着できない。そのため、最も買い得なベストグレードは、ハイブリッド車で3列シート車のG(2WD/2,690,000円)だ。Gは、後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットモニターなどが標準装備されており、価格も妥当だ。

なお、Gにアルミホイールや、エアコンの冷気を後席へ送る天井サーキュレーターなどをオプションで加える時には注意したい。生産開始が、2023年4月以降になるからだ。販売店では「シエンタが人気を高めると、2023年4月に生産開始するグレードの納期は、2023年7月頃にズレ込む可能性もある」と言う。したがって、これらのオプションを装着するのであれば、最上級のハイブリッドで3列シート車のZ(2WD/2,910,000円)を選ぼう。Zには、標準装備される装備が多く、かつオプションも納期を遅らせずに選べるからだ。そして、ハイブリッドの場合、オプションの100V・1500W(44,000円)は、装着しないと生産開始が2023年4月以降になる。ほかのオプション装備とは逆に、装着しないと納期が遅れるのだ。オプション装備の内容も含めて、ハイブリッドのGとZを選択したい。

最後に、販売店によると「生産開始が、2023年4月以降にならないタイプなら、納期はガソリンエンジン車が約3か月、ハイブリッド車でも約5か月」と言う。今は、納期が6か月以上を要する車種も増えたので、新型シエンタは平均的な納期の範囲に収まっている。前述したとおり、グレードと納期の関係に注意して選ぼう。

※納期については、ディーラーによって異なる可能性があります。詳しい納期は、お近くのディーラーへお問い合わせ下さい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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トヨタ
4.00
(レビュー274人・クチコミ17994件)
新車価格:195〜310万円 (中古車:9〜390万円
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