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パイオニアの次世代車載器「NP1」が大型アップデート! 自腹で買ったユーザーが“進化度”を試してみた

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目的地の検索などを声で操作し、ルート案内してくれる「スマート音声ナビ」や、クラウドにデータを保存できる「次世代通信型ドライブレコーダー」、車内で通信量を気にせずWi-Fiを使える「クルマWi-Fi」(有料オプション)など、数多くの機能が搭載されているパイオニアの車載器「NP1」が2023年10月10日、大型アップデートを実施した。

パイオニア「NP1」が大型アップデートを実施。Apple「CarPlay」やGoogle「Android Auto」に対応したほか、速度違反取り締まり装置や取り締まり情報を音声で知らせてくれる機能などが追加された

パイオニア「NP1」が大型アップデートを実施。Apple「CarPlay」やGoogle「Android Auto」に対応したほか、速度違反取り締まり装置や取り締まり情報を音声で知らせてくれる機能などが追加された

筆者は、「NP1」が初めて発表された2022年2月10日、その将来性に惚れ込んで即日購入し、現在まで使い倒しているユーザーのひとりである。そんな筆者が、今回の大型アップデートによる進化について、徹底解説したい。

アップデートによって進化を遂げるデバイス

「NP1」の最大のポイントは、ソフトウェアが定期的にアップデートされることで、ユーザーがさまざまな新機能を享受できることだ。考え方としては、「テスラ」の電気自動車の手法に近い。

ちなみに、今回のアップデートは5回目で、これまでに以下の機能が追加されてきた。

2022年5月/「Amazon Alexa対応」など
2022年9月/「コエ替え」など
2022年12月/「マイカーウォッチ」など
2023年2月/「スポット情報追加」など

そして、2023年10月10日にリリースされた5回目の大型アップデートでは、過去最大と思えるほどの進化を遂げたのだ。

遂にキターッ!「CarPlay」と「Android Auto」に対応

今回のアップデートにおける最大のポイントは、Appleの「CarPlay」とGoogleの「Android Auto」に対応したことだ。「NP1」は、基本的に音声で完結できるというコンセプトを持っている。だが、利便性を向上させるため、「NP1」と連携するスマホ専用アプリ「My NP1」によって地図を「DA(ディスプレイオーディオ)」の画面上へ表示できるようになったのだ。

昨今の新型車には、「DA」の標準装着が増えている。「DA」の場合、オプションでナビユニットを後付けすることもできるが、スマホを接続してナビアプリなどを使うのが基本的なスタイルだ。そして、今回のアップデートでは「My NP1」アプリをインストールしたスマホを「DA」と接続することで、大画面で「NP1」の地図を表示できるようになった。

「NP1」専用アプリ「My NP1」が、Apple「CarPlay」とGoogle「Android Auto」に対応。「My NP1」の地図画面や誘導、案内画面を、「DA」などの画面に表示できるようになった

「NP1」専用アプリ「My NP1」が、Apple「CarPlay」とGoogle「Android Auto」に対応。「My NP1」の地図画面や誘導、案内画面を、「DA」などの画面に表示できるようになった

昨今のスマホ画面は大型化しているものの、それでも7インチあたりが上限だ。しかし、「DA」なら9〜10インチといった大画面モデルもある。さらに、視認性の向上はもちろんタッチパネルよる操作など、音声プラスアルファになることで使い勝手が大きく向上している。

カロッツェリアブランドで培った秀逸な地図表示

今回は、パイオニアのデモカーに搭載されている最新の「NP1」を使って色々と試してみた。デモカーには大型の「DA」が搭載されており、まずは「Android Auto」に対応しているスマホを有線で接続してみた(Wi-Fi無線でも接続可能だが、それについては後述)。

最新の「NP1」を「DA」と接続したパイオニアのデモカーに乗って、一般道や高速道路などを実際に走りテストしてみた

最新の「NP1」を「DA」と接続したパイオニアのデモカーに乗って、一般道や高速道路などを実際に走りテストしてみた

最初に感じたのは、大画面で「NP1」の地図が見られるのは、想像以上に新鮮かつ感動的だったことだ。「NP1」の地図には、カロッツェリアブランドで培った技術が息づいていることがわかる。たとえば、道路の太さや施設、そして色彩などを含めた「地図デザイン」が秀逸で、運転時に必要な情報が絶妙にうまくバランスされており、使い勝手の高い地図へと仕上げられている。

「NP1 ○○へ行きたい」と発話するだけで、目的地設定が行える。また、ルート精度の高さもカロッツェリアゆずりだ

「NP1 ○○へ行きたい」と発話するだけで、目的地設定が行える。また、ルート精度の高さもカロッツェリアゆずりだ

市街地詳細地図は、一方通行などがしっかり表示されていて非常に見やすい

市街地詳細地図は、一方通行などがしっかり表示されていて非常に見やすい

そして、スマホでは仕様によってはできなかった、“地図画面の横長表示”に対応している点も見逃せない。個人的には、縦長表示の地図画面は「その先の渋滞」などを把握するのにはよいと思っているのだが、「DA」や「カーナビ」はほとんどが横長表示であることから、多くのドライバーが見慣れている点において横長表示は理にかなっているだろう。また、音声案内に関しても交差点名ではなく「その先、○つめの信号を右です」など、細やかな配慮がなされている。

余談だが、音声案内はてっきり「DA」から出力されるのかと思っていたのだが、実は「NP1」からであった。これに関してパイオニアのエンジニアに聞いてみると、「『NP1』は、プッシュ型でさまざまな会話をする製品であることや、『DA』から音を出すと音楽などが何度も遮られる(音量を下げられる)などの理由から、これまでどおり『NP1』本体から音声を出すようにしています」とのことであった。実際に使ってみたところ、「NP1」から音声が出力されても違和感はなく、もちろん聞き取りづらいこともなかったので、特に問題はないだろう。

3D地図表示はアプリと異なり、3Dの角度は1種類だけ(アプリは無段階で3D地図表示の角度調整ができる)。Android Auto(CarPlay)側の仕様とはいえ、これについてはやや残念なところだ

3D地図表示はアプリと異なり、3Dの角度は1種類だけ(アプリは無段階で3D地図表示の角度調整ができる)。Android Auto(CarPlay)側の仕様とはいえ、これについてはやや残念なところだ

無線接続で「クルマWi-Fi」が使えないのは残念

「NP1」と「DA」の接続方法は、有線だけでなくワイヤレス無線にも対応している(「DA」の仕様にもよる)。それについてはすばらしいのだが、ひとつ気になるのが有線、無線を問わず「CarPlay」や「Android Auto」接続時の通信データは、スマホのモバイルネットワークに依存していることだ。

無線の接続で使用するWi-Fiは、「クルマWi-Fi」などほかのサービスとの重複利用ができない仕様になっている。「クルマWi-Fi」で通信の使い放題を利用したことのある筆者としては、そのメリットが少し薄れてしまうのは残念である。

要望の多かった「取り締まり情報」通知機能を新追加

今回の大型アップデートにおけるもうひとつの注目が、「速度違反取り締まり装置&取り締まり情報の通知機能」の搭載である。これは、カロッツェリアのカーナビを使ってきた人であればなじみのある、安全運転に役立つ機能だ。パイオニアによると、車載器の音声案内に関する調査を行ったところ、同機能のニーズが非常に高かったために追加したという。

具体的には、全国359か所(2023年10月時点)の最新の固定式及び半固定式の速度違反取り締まり装置の設置ポイントや、警察が公開している情報を元にした取り締まり地点やエリアを、ジングル音と音声で知らせてくれるというもの。データに関しては、これまでも実績のある「株式会社フードライズ」から提供されており、現時点でアップデートは年2回を予定しているという。また、更新料金もかからないとのこと。

実際、デモカーで走り始めるとすぐに、走行しているエリアの公開取り締まり情報などを音声で教えてくれた。また、一般道と高速道路(首都高速)で、速度違反取り締まり装置が設置されている道路を通過してみたのだが、以下のように速度違反取り締まり装置の手前で2回、メッセージが流れた。

・1回目:一般道では600m手前、高速道路では900m手前で、「オービスのあるエリアに入りました。速度にご注意ください」とアナウンス
・2回目:一般道では200m前、高速道路では300m前で、「オービスが近くにあります」とアナウンス

最初はかなり手前で、次は直前で再び案内してくれるので聞き逃すことはないだろう。

高速道路では、1回目は900mほど手前で速度違反取り締まりエリアに入った旨の警告が流れた

高速道路では、1回目は900mほど手前で速度違反取り締まりエリアに入った旨の警告が流れた

300m手前で2回目のオービス警告が流れた後、固定式の速度違反取り締まり装置を通過した

300m手前で2回目のオービス警告が流れた後、固定式の速度違反取り締まり装置を通過した

ちなみに、スマホのカーナビアプリや「DA」などでよく見られる、地図上の「ネズミアイコン」のようなものは「NP1」には搭載されておらず、取り締まりなどの情報は音声のみで案内される。その理由として、パイオニアでは「元々の『NP1』の基本コンセプトが会話による操作なので、アイコン表示によって地図画面を見てしまうのは、そのコンセプトから外れてしまうために実装しなかった」とのことだった。

後方を鮮明に記録できる「NP1」のリア用ドラレコ

デモカーには、2023年10月5日に発売されたばかりの「NP1」のリア用ドライブレコーダー「NP-RDR001」も装着されていたので試してみた。

リアドライブレコーダー「NP-RDR001」。SONY製CMOSセンサー「STARVIS」を採用し、夜間に強い「ナイトサイト」にも対応。本体がコンパクトなので、デフォッガーの電熱線にもあまり干渉せずに取り付けできる

リアドライブレコーダー「NP-RDR001」。SONY製CMOSセンサー「STARVIS」を採用し、夜間に強い「ナイトサイト」にも対応。本体がコンパクトなので、デフォッガーの電熱線にもあまり干渉せずに取り付けできる

「NP1」には、後方の映像を記録できるインカメラが内蔵されているのだが、「後方をもっと鮮明に記録したい」とのニーズに合わせて発売されたのが「NP-RDR001」である。基本スペックとしては、約200万画素のフルHD画質、水平105度、垂直56度、対角127度と、十分なスペックを有している。

ポイントとしては、「NP1」とケーブルなどで直接接続しないということだ。接続は、専用のスマホアプリ「リアドライブレコーダーアシスト」をスマホへインストールすることでWi-Fi接続でき、各種設定や記録映像の確認、スマホへの記録映像のダウンロードなどもできる。

また、「My NP1」から「リアドライブレコーダーアシスト」へ遷移も可能だ。さらに、ケーブルで接続しないのでリアウィンドウへの取り付けのハードルがグッと下がるというメリットもある。画質は必要十分で、実勢価格は1万円を切るので(パイオニア公式オンラインショップで税込9,900円)、コスパは高いと言えるだろう。

「リアドライブレコーダーアシスト」アプリでは、記録された動画を再生できる。画質も優秀だ

「リアドライブレコーダーアシスト」アプリでは、記録された動画を再生できる。画質も優秀だ

記録した映像をスマホ側にダウンロードできるので、わざわざmicroSDカードを抜く必要もないのは便利だ

記録した映像をスマホ側にダウンロードできるので、わざわざmicroSDカードを抜く必要もないのは便利だ

唯一難点を言えば、「NP1」と直接連携しないので、「NP-RDR001」の映像はクラウドに送れないということだ。もちろん、前述のようにスマホへダウンロードすればよいのだが、その点は少々残念である。

進化することで対象ユーザーはさらに拡大

これまで、「NP1」はクルマにドラレコやカーナビ、車内Wi-Fiが付いていない人や、新しい機能に魅力を感じる人向けの製品であった。筆者の所有するクルマも、チューナー付きCDユニットのみだったのだが、「NP1」が1台あれば満足できるだろうと考えて購入したのだ。そして実際、それは正しかったと今でも思っている。だが、今回新たに「CarPlay」「Android Auto」へ対応したことで、対象ユーザーは大きく広がりそうだ。

大型アップデートを繰り返すことで、“進化するオールインワン車載器”として機能を拡大してきた「NP1」。今こそ、買い得感は大きく向上したと言ってもよさそうだ。

高山正寛
Writer
高山正寛
ITS Evangelist(カーナビ伝道師)/カーコメンテーター/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。1959年生まれ。リクルートで中古車情報誌「カーセンサー」の新車&カーAV記事を担当しフリーランスへ。ITSや先進技術、そしてカーナビ伝道師として純正/市販/スマホアプリなどを日々テストし布教(普及)活動を続ける。
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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