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新型「スイフト」は燃費向上でライバルを猛追! 期待の"MT"もラインアップ

新型「スイフト」の注目はデザイン、燃費、安全装備の3つ

スズキは、12月6日にコンパクトカーの「スイフト」をフルモデルチェンジすると発表した。

スズキのコンパクトカー「スイフト」が5代目へとフルモデルチェンジされる。注目は、先進性を感じさせる内外装デザイン、大きく向上した燃費、そして充実の安全装備だ

スズキのコンパクトカー「スイフト」が5代目へとフルモデルチェンジされる。注目は、先進性を感じさせる内外装デザイン、大きく向上した燃費、そして充実の安全装備だ

発売日はトランスミッションによって異なり、CVT車は2023年12月13日(水)、5MT車は2024年1月17日(水)の予定だ。グレードラインアップと価格については、以下のとおりになる。

■新型「スイフト」のグレードラインアップと価格(2WD)
-1.2Lノーマルエンジン-
XG:172万7,000円(CVT)
-1.2Lマイルドハイブリッド-
ハイブリッドMX:192万2,800円(CVT、5MT)
ハイブリッドMZ:216万7,000円(CVT)
※5MT車はハイブリッドMXの2WDにのみ設定

スズキは軽自動車のメーカーと思われがちだが、日本国内で新車として販売されているスズキ車の20%近くは小型車になる。たとえばダイハツは5%なので、それに比べると小型車の比率はかなり多い。

近年は、ホンダや日産なども含めて、多くの日本車メーカーが軽自動車に力を入れている。だが、スズキは以前から軽自動車中心の売り方に危機感を抱いており、2015年の中期経営計画では1年間の小型車登録台数を10万台以上に高める目標を掲げていた。そのため、小型車にも力が入れられているのだ。そして、「スイフト」はそんな小型車における中心的な存在となる重要な車種だ。はたして、注目の新型「スイフト」が今回、どのような進化を遂げているのかについて解説したい。

外観はよりワイドでスタイリッシュな雰囲気に

まず、新型「スイフト」のボディサイズ(2WD)は、全長が3,860mm、全幅が1,695mm、全高が1,500mm。先代型とほぼ同じで、ホイールベースの数値も2,450mmと等しい。プラットフォームも共通だ。最小回転半径は4.8m(2WD)と、小回りの効きもよい。

新型「スイフト」のフロント、リアエクステリア。ヘッドライトにL字型、テールランプにコの字型のLEDランプが横幅いっぱいに配されており、ワイド感を演出。ピラーを黒くすることで、フローティングしたルーフの軽快感が表現されている

新型「スイフト」のフロント、リアエクステリア。ヘッドライトにL字型、テールランプにコの字型のLEDランプが横幅いっぱいに配されており、ワイド感を演出。ピラーを黒くすることで、フローティングしたルーフの軽快感が表現されている

新型「スイフト」の外観は、ショルダーラインやボンネットに丸みを持たせ、ヘッドライトやテールランプを左右の端に配置するなどによって、5ナンバーサイズを保ちながらワイドで走りを予感させるデザインへと仕上げられている。実車を目の前にすると、まるで先代型よりも全幅を拡大しているかのようだ。

明るさが取り入れられた上質な内装

新型「スイフト」のインテリア。少し明るめのグレー色が使われており、先代型よりも明るめの内装となっている。また、シルバー加飾も目立ちすぎないように配されており、上質な雰囲気を演出している

新型「スイフト」のインテリア。少し明るめのグレー色が使われており、先代型よりも明るめの内装となっている。また、シルバー加飾も目立ちすぎないように配されており、上質な雰囲気を演出している

内装は、上質さと軽快感を重視してデザインされている。開発者は、「先代型は走りのイメージが強かったので、新型ではさらに幅広いお客様に受け入れられることを心掛けた」と言う。そのため、先代型のインパネ周りの色彩はブラックが中心だったが、新型ではシャープなデザインによってスタイリッシュでありながら、グレーを用いることによって明るい内装へと仕上げられている。

新型「スイフト」では、センターディスプレイやエアコンルーバー、エアコンパネルなどがドライバー側に8度傾けられている(先代型は5度)。これによって、ドライバーがディスプレイやエアコンなどを操作しやすくなっている

新型「スイフト」では、センターディスプレイやエアコンルーバー、エアコンパネルなどがドライバー側に8度傾けられている(先代型は5度)。これによって、ドライバーがディスプレイやエアコンなどを操作しやすくなっている

ATレバーは、従来と同様のタイプなので操作しやすい

ATレバーは、従来と同様のタイプなので操作しやすい

またインパネは、中央のディスプレイやエアコンのスイッチがドライバー側に傾けられていて、操作性が向上している。過度にドライバー側へ傾けると、助手席の乗員に疎外感が生じるが、新型「スイフト」は適度でちょうどよい角度だ。ATレバーは、従来の前後にスライドさせるタイプなので操作しやすい。

新型「スイフト」のフロントシート

新型「スイフト」のフロントシート

前席の座り心地は、背もたれが腰を包む感覚で、サポート性にもすぐれている。運転姿勢の調節もしやすい。

新型「スイフト」のリアシート

新型「スイフト」のリアシート

後席の頭上と足元の空間は、先代型とほぼ同じだ。身長170cmの大人4名が乗車したとき、後席に座る乗員の頭上には握りコブシ1つぶん、膝先には1つ半の余裕がある。たとえば、「フィット」の足元空間は同じ測り方で握りコブシ2つ半なので、新型「スイフト」は少々狭い。それでも、後席に座った乗員の足が前席の下に収まりやすいので、新型「スイフト」でも大人4名の乗車は十分に可能だ。

新型「スイフト」のラゲッジルーム。リアシートを倒すと段差ができるものの、容量はじゅうぶんだ。また、荷室開口地上高は先代よりも10mm低くなり、荷物を載せやすくなった

新型「スイフト」のラゲッジルーム。リアシートを倒すと段差ができるものの、容量はじゅうぶんだ。また、荷室開口地上高は先代よりも10mm低くなり、荷物を載せやすくなった

荷室の広さは、全長が3,900mmを下まわるコンパクトカーの平均水準だ。広くはないが、実用的には十分な広さを持っている。路面からリヤゲート開口下端部分までの高さは、先代型よりも10mm低く、重い荷物の収納性も少し向上した。

新型エンジンの搭載などで燃費を大幅に向上

新型「スイフト」には、燃費効率を追求した新開発のZ12E型エンジンを搭載。先代のK12C型エンジンに比べて、燃料改善やロス削減によって燃費性能を向上させている

新型「スイフト」には、燃費効率を追求した新開発のZ12E型エンジンを搭載。先代のK12C型エンジンに比べて、燃料改善やロス削減によって燃費性能を向上させている

走りのメカニズムでは、エンジンに注目したい。新開発のZ12E型1.2L直列3気筒エンジンを搭載する。最高出力は82PS(5,700rpm)、最大トルクは11kg-m(4,500rpm)になる。エンジンは前述の1種類のみだが、ノーマルエンジンとマイルドハイブリッドの2種類が用意されている。トランスミッションは、ノーマルエンジンはCVTのみで、マイルドハイブリッドはグレードによってCVTと5速MTを選べる。

新型「スイフト」で注目したいのが、燃費性能を大幅に向上させていることだ。

■新型「スイフト」のWLTCモード燃費(2WD)
・XG(ノーマルエンジン/CVT):23.4km/L
・ハイブリッドMX/MZ(マイルドハイブリッド/CVT):24.5km/L
・ハイブリッドMX(マイルドハイブリッド/5MT):25.4km/L

2WDのWLTCモード燃費は、ノーマルエンジンで23.4km/L、マイルドハイブリッドはCVT車が24.5km/L、5速MT車は25.4km/Lに達する。先代型のマイルドハイブリッドのCVT車は、WLTCモード燃費が21km/Lだったので、新型に乗り替えるとガソリン代を14%節約できることになる。

ちなみに、ライバル車が搭載するフルハイブリッドのWLTCモード燃費は、日産「ノート」の「X」が28.4km/L、ホンダ「フィット」の「HOME」は29km/Lだ。つまり、新型「スイフト」はマイルドハイブリッドながらフルハイブリッドに近い燃費性能を実現させているのだ。「スイフト」は、元々燃費性能にすぐれたコンパクトカーなのだが、フルモデルチェンジによって燃費数値をここまで向上させるケースは珍しいとも言える。

二輪車なども検知する最新の安全装備へ刷新

装備では、安全面に注目したい。衝突被害軽減ブレーキは、「デュアルセンサーブレーキサポートII」を採用。自車が交差点を右左折するときにも、直進車両や横断歩道上の歩行者を検知して衝突被害軽減ブレーキを作動させる。さらに、自転車やモーターサイクルも検知する。車間距離を自動調節できるアダプティブクルーズコントロールも、カーブを曲がるときの速度抑制機能などが備えられている。

「9インチメモリーナビゲーション」には、HDMI接続機能や「スズキコネクト」、ドライブレコーダー連携機能などが備えられている。「HYBRID MZ」「HYBRID MX」にオプションで装着が可能だ

「9インチメモリーナビゲーション」には、HDMI接続機能や「スズキコネクト」、ドライブレコーダー連携機能などが備えられている。「HYBRID MZ」「HYBRID MX」にオプションで装着が可能だ

全方位モニター付きの「9インチメモリーナビゲーション」を加えると、ディスプレイの右上に装着されたカメラがドライバーの顔を認識して、脇見運転や居眠り運転時などに警報を発する。このように、新型「スイフト」は安全装備の充実度が大幅に高められている。

新型「スイフト」は上級グレードほど割安に

■新型「スイフト」のグレードラインアップと価格(2WD)
-1.2Lノーマルエンジン-
XG:172万7,000円(CVT)
-1.2Lマイルドハイブリッド-
ハイブリッドMX:192万2,800円(CVT、5MT)
ハイブリッドMZ:216万7,000円(CVT)
※5MT車はハイブリッドMXの2WDにのみ設定

■新型「スイフト」の主要装備
-XG-
衝突被害軽減ブレーキ 低速時ブレーキサポート ブラインドスポットモニター リヤクロストラフィックアラート 全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール LEDヘッドランプ キーレスプッシュスタート 前席シートヒーターなど
-ハイブリッドMX(XGの装備に加えて)-
マイルドハイブリッド&アイドリングストップシステム エアコンのフルオート機能 メッキフロントグリル サイドアンダースポイラー ルーフエンドスポイラー 16インチアルミホイール 運転席アームレスト 6スピーカー
-ハイブリッドMZ(MXの装備に加えて)-
アダプティブハイビーム 電動パーキングブレーキ LEDフォグランプ プレミアムUV&IRカットガラス 本革巻きステアリングホイール パドルシフト ディスプレイオーディオ&スズキコネクト対応通信機

グレードは、3種類が用意されている。価格が最も安い「XG」にも、「デュアルセンサーブレーキサポートII」や後方の並走車両などを検知して知らせる「ブラインドスポットモニター」、「LEDヘッドランプ」など必要な機能は標準装備されている。そのため「XG」を選んでもよいのだが、機能や装備と価格のバランスを考えると中級の「ハイブリッドMX」のほうが割安だ。

「ハイブリッドMX」「ハイブリッドMZ」に搭載されているオートエアコン

「ハイブリッドMX」「ハイブリッドMZ」に搭載されているオートエアコン

「ハイブリッドMX」は、「XG」には搭載されていないマイルドハイブリッドやアイドリングストップ、フロントメッキグリル、エアロパーツ、アルミホイールなどの外観装備、さらにエアコンのオート機能などが標準装備されている。これらを価格に換算すると22万円に相当するが、「ハイブリッドMX」の上乗せ額は19万5,800円だ。つまり、「ハイブリッドMX」は実用的な機能を充実させて価格アップを抑えている。

スズキの小型車として初の装備となる、「電動パーキングブレーキ」。シフト操作やアクセルと連動してパーキングブレーキが作動、解除されるので、スムーズに運転できる

スズキの小型車として初の装備となる、「電動パーキングブレーキ」。シフト操作やアクセルと連動してパーキングブレーキが作動、解除されるので、スムーズに運転できる

そして、上級の「ハイブリッドMZ」になると、「ハイブリッドMX」の装備に加えて、ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を抑える「アダプティブハイビーム」、「電動パーキングブレーキ」、「ディスプレイオーディオ」、「パドルシフト」などが加わる。さらに、後輪のブレーキはドラムからディスクへと上級化される。「ハイブリッドMZ」は、「ハイブリッドMX」に28万円相当の装備を加えながら、価格の上乗せは24万4,200円に抑えられている。新型「スイフト」は、上級グレードほど買い得になるが、一般的には2WDを200万円以下に抑えた「ハイブリッドMX」が最も割安だろう。

「全方位モニター付きメモリーナビ」がほしい人はグレード選びに注意を

だが、「全方位モニター付きメモリーナビ」がほしいときにはグレードの選び方が変わってくる。「ハイブリッドMX」のオプション価格は25万800円だが、「ハイブリッドMZ」は「ディスプレイオーディオ」が標準装備されているために、13万3,100円で装着できるからだ。そうなると、「全方位モニター付きメモリーナビ」をオプション装着したときの合計価格は、ハイブリッドMXが217万3,600円、ハイブリッドMZは230万100円と約13万円しか差がない。

以上のように、「全方位モニター付きメモリーナビ」を装着するなら「ハイブリッドMZ」、ディーラーオプションのナビなどで済ませるなら「ハイブリッドMX」という選び方がよいだろう。最後に、納期を販売店に尋ねると「2か月から3か月」とのことであった。新型車の中では、比較的納車が早いほうになる。新型「スイフト」は、コンパクトカーにすぐれた燃費や充実した安全装備を求めるユーザーには買い得度が高いモデルだ。

渡辺陽一郎
Writer
渡辺陽一郎
「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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