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次期型「ワゴンR」は24年末以降に登場!独自情報を交えた詳細をレポート

昨今の軽自動車は、背の高い車種が売れ筋だ。その先駆けが、1993年に発売されたスズキの初代「ワゴンR」であった。全高を高くすることで車内の広さを確保し、独創的なデザインなども相まってヒット作となった。

1993年に発売された初代「ワゴンR」は、スクエアで背の高いボディなどが特徴的な軽自動車として登場した

1993年に発売された初代「ワゴンR」は、スクエアで背の高いボディなどが特徴的な軽自動車として登場した

近年は、スライドドアを備えた軽スーパーハイトワゴンの「スペーシア」が最も売れているが、「ワゴンR」も車両価格の安さと省燃費性能の高さによって、堅調な売れ行きを見せる。2023年12月には、日本国内における「ワゴンR」の累計販売台数が500万台に達した。

左から、ベーシックな「ワゴンR」、精悍なエクステリアにブラックの内装が施された「ワゴンR カスタムZ」、ターボエンジンが搭載されている「ワゴンRスティングレー」(写真は6代目の現行モデル)

左から、ベーシックな「ワゴンR」、精悍なエクステリアにブラックの内装が施された「ワゴンR カスタムZ」、ターボエンジンが搭載されている「ワゴンRスティングレー」(写真は6代目の現行モデル)

現行「ワゴンR」は、2017年2月に発売されたので約7年が経過しているが、2024年末〜2025年にかけて新型モデルが登場するものと思われる。そこで、当記事では筆者の独自情報を加味しつつ、新型「ワゴンR」の特徴などについて考えてみたい。

新型には「スライドドア」は採用されない可能性が高い

今はスライドドアを装着する軽自動車が人気だが、新型「ワゴンR」の後席ドアは現行型と同じく横開きタイプのヒンジドアで登場する可能性が高い。

その理由として、主に2つある。1つ目の理由は、「ワゴンRスマイル」がすでにスライドドアを装着していることだ。「ワゴンRスマイル」はスライドドアを採用していることが大きな特徴で車内のシートアレンジなどが売りなので、「ワゴンR」がスライドドアを装着すると「ワゴンRスマイル」と機能が重複してしまう。

2021年に発売された「ワゴンRスマイル」は、四角いボディに丸目のヘッドライトが採用され、スライドドアが備えられた軽自動車だ

2021年に発売された「ワゴンRスマイル」は、四角いボディに丸目のヘッドライトが採用され、スライドドアが備えられた軽自動車だ

2つ目の理由は、燃費と価格だ。スライドドアを装着すると、スライドレールや電動開閉機能などによりボディが重くなる。そのため、燃費や動力性能の面で不利になるのだ。さらに、メカニズムが複雑になり部品点数も増えるので、車両価格も高くなる。

ベーシックモデルとして燃費や低価格を重視

ちなみに、スズキがラインアップしている背の高い軽自動車(全高が1,600mmを超える前輪駆動の軽乗用車)は、「ワゴンR」や「ワゴンRスマイル」のほかに、スライドドアを備える「スペーシア」、SUV風の外観を持つ「ハスラー」がある。これらのうち、「ワゴンR」はベーシック車として位置付けられており、省燃費や低価格といった特徴を重視している。そのため、新型「ワゴンR」にはスライドドアは採用されず、後席ドアは横開きタイプになるだろう。

したがって、新型「ワゴンR」は全高が1,600mmを超えるボディで安全装備などを充実させながら、NAエンジンを搭載する2WDの車重は、現行型と同じく800kg以下になるだろう。いっぽう、CVTなどには改良が加えられ、WLTCモード燃費は26km/L以上を目指す。もし実現すれば、全高が1,600mm以上の軽自動車としては最良の燃費性能になるだろう。

また、新型「ワゴンR」は本格的なフルハイブリッドや電気自動車に取り組む可能性も高い。ダイハツは、エンジンが発電を行ってモーターを駆動する「ロッキー」と同様のハイブリッドを新型「ムーヴ」に搭載する予定だ。スズキも、小型車の「エスクード」と「ソリオ」には動力性能の高いモーターを搭載したフルハイブリッドが搭載されている。そして、軽自動車にもマイルドタイプとは異なるフルハイブリッドが導入される可能性があり、それが「ワゴンR」から進められていく可能性が高い。

SUVの「エスクード」(上)や小型乗用車の「ソリオ」(下)には、スズキ独自のハイブリッドシステムが採用されている

SUVの「エスクード」(上)や小型乗用車の「ソリオ」(下)には、スズキ独自のハイブリッドシステムが採用されている

フルハイブリッド車やEVがラインアップされる可能性も

また、日産「サクラ」や三菱「eKクロスEV」と同様に、スズキも軽自動車サイズの電気自動車を用意する必要に迫られるだろう。ホンダは、2024年には軽商用バンの「N-VAN」をベースに開発した「N-VAN e:」を発売して、2025年には同様のパワーユニットを搭載する軽乗用車の「N-ONE e:」を導入する見込みだ。ダイハツ、トヨタ、スズキも同様に、軽自動車に搭載する電気自動車ユニットを共同開発しており、まずは軽商用バンに搭載される。

ホンダの軽商用車「N-VAN e:」は、2024年春の発売が予定されている

ホンダの軽商用車「N-VAN e:」は、2024年春の発売が予定されている

現時点で、スズキの軽自動車が搭載する電動ユニットはマイルドハイブリッドだけだが、今後はフルハイブリッドや電気自動車も設定されるだろう。環境性能の向上にいち早く対応する軽自動車という新たな使命を担うのが、新型「ワゴンR」だ。これまで述べたとおり、スライドドアは採用されないので、NAエンジンでも省燃費のニーズに応えられる。

また、新型「ワゴンR」は価格も注目されるはずだ。今は、スライドドアを装着するスーパーハイトワゴンが主力なので、背が高く車内の広い軽自動車は売れ筋価格帯が160万円から200万円近くに達している。その点、現行「ワゴンR」は120万円台から用意される。新型「ワゴンR」も、現行型と同様に燃費性能にすぐれ、価格の割安なNAエンジン車を継続的に設定する。

現在の「ワゴンR」は、「ワゴンRスマイル」や「スペーシア」、「ハスラー」など人気の軽自動車の中に埋もれている印象も受けるが、新型は「省燃費」と「低価格」を先進技術で追求した、実用指向の軽自動車として発展する。新たな「ワゴンR」の時代が始まるだろう。

渡辺陽一郎
Writer
渡辺陽一郎
「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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