“弾丸”試乗レポート
【弾丸試乗レポート】ライフスタイルにフィットした機能とデザインにこだわった

ダイハツ「キャスト」は3つのバリエーションが選べる“個性派”

ダイハツからまったく新しい軽自動車「キャスト」が登場した。この新しいモデルはどのような特徴を持っているのか? 開発のトップへのインタビューと試乗記をあわせて、モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。

3種類のボディバリエーションをそろえてデビューしたキャスト

3種類のボディバリエーションをそろえてデビューしたキャスト

大ヒットモデル「ムーヴ」のメカニズムがベース

ダイハツは2015年9月9日より新型軽自動車「キャスト」を発売した。コンセプトは「生活を彩る自分仕様の軽自動車」であり、「愛着がわく普遍的な魅力を持ったデザイン」「高い質感」を両立しているという。また、「キャスト_スタイル」を基本として、クロスオーバー風の「キャスト_アクティバ」、スポーティな「キャスト スポーツ」(このモデルのみ発売が10月末)という3つのバリエーションを用意。1モデルでありながら、幅広いニーズに応えられるようになっている。

パワートレインなどの基本は、ダイハツの主力モデルである「ムーヴ」に準ずる。エンジンは最高出力38kW(52馬力)/最大トルク60Nmの水冷3気筒12バルブDOHCと、最高出力47kW(64馬力)/最大トルク92Nmの水冷3気筒12バルブDOHCインタークーラーターボの2種。トランスミッションはCVT。これにアイドリングストップ機能などを加えることで、NAエンジン車で最高30km/l、ターボ車で最高27km/lもの燃費性能を実現している。減速エネルギーを回生する二次電池もなく、30km/lの大台に届く。最新の軽自動車の技術の高さは、驚くばかりである。

また、衝突被害軽減自動ブレーキ(時速50kmまでで速度差時速30km以内)や車線逸脱警報機能、誤発進抑制制御、先行車発進お知らせ機能などを備える「スマートアシストII」も用意。エントリーグレード以外に標準装備としている。

さらに高音質サウンドナビとスピーカー、吸音材や遮音用クッションなどを用いたデッドニングキットとをセットにした「プレミアムダイヤトーンサウンドシステムプラン」を24万1,034円で設定。音楽ファンへの対応もぬかりない。

最高出力47kW(64馬力)/最大トルク92Nmの水冷3気筒12バルブDOHCインタークーラーターボ。低域トルクが太く扱いやすい

キビキビと運転するとパワーの不足を感じるが、燃費にすぐれた最高出力38kW(52馬力)/最大トルク60Nmの水冷3気筒12バルブDOHC

街にフィールドにワインディングと3車3様の世界観

続いては3モデルの特徴を説明しよう。基本となるモデルがキャスト スタイルだ。丸目のヘッドライトは、かつてのダイハツの「ミラージーノ」や「クラシック ミニ」を彷彿とさせる。台形グリルの回りやバンパー、ボディサイドなどにメッキ加飾が施され、どことなくドレッシーな雰囲気。タイヤは軽自動車としては大きめの15インチだ。ルーフはボディ同色だけでなく白と黒を選べる。面白いのは、色違いのルーフは塗装ではなく、丈夫なフィルムシートを利用。コストをかけずに2トーンカラーを実現するための方策だという。

室内は水平基調のインパネと明るいスエード調シートという組みあわせ。シルバーの加飾が多いのもキャスト スタイルの特徴だろう。シートはフラットなベンチシート風。車高はムーヴよりも30mm下げられているが、それでも室内頭上にはたっぷりと余裕の空間がある。これで狭い!という人は、まずいないだろう。

基本となるキャスト スタイルは、メッキパーツを多用したドレッシーな雰囲気

基本となるキャスト スタイルは、メッキパーツを多用したドレッシーな雰囲気

立体形成された樹脂製シートをかぶせて2トーンカラーを実現している

立体形成された樹脂製シートをかぶせて2トーンカラーを実現している

ドアノブやエアコンの吹き出し口、ハンドルなどメッキパーツが多い。外見の印象とは少し異なり、男性と女性のいずれもが自然に受け入れられる仕上がり

シートは前後ともベンチシート風。スエード調の素材も感触や左右のすべりを防止する効果がある

シートは前後ともベンチシート風。スエード調の素材も感触や左右のすべりを防止する効果がある

ラゲッジはさほど広くはないが、床板の下にも収納スペースが設けられている

ラゲッジはさほど広くはないが、床板の下にも収納スペースが設けられている

後席を倒せば広いラゲッジが現れる

後席を倒せば広いラゲッジが現れる

クロスオーバー風はキャスト アクティバだ。車高はキャスト スタイルよりも30mm高められている。これはタイヤの大径化(165/55R15から165/60R15)とスプリングの変更で実現。高まった寸法は、そのまま最低地上高のプラス30mmとなっており、雪道や悪路での使いやすさにつながる。エクステリアは前後バンパーアンダーガードと、逆台形のバックドアガーニッシュ、サイドドアモール&ロアボディを専用品とした。これにより、ひと目でクロスオーバーとわかる力強いルックスを手に入れている。

また、キャスト アクティバの4WD車専用として、グリップサポート制御(片輪が悪路などでスリップしたときは、もう片方の車輪に駆動力を与える)とDAC制御(坂道を下るときに自動ブレーキで車速を約時速4〜15kmに維持)を装備。見た目に負けない走破性能が与えられている。

インテリアとシートは黒を基調としたスポーティなもの。大きな間口の収納が用意されるなど、キャスト スタイルと異なったデザインとなっている。

車高を30mm高め、アンダーガードを取り付けることでSUVの雰囲気を演出している

車高を30mm高め、アンダーガードを取り付けることでSUVの雰囲気を演出している

リアハッチに装着されるバックドアガーニッシュも力強い印象を与えている

リアハッチに装着されるバックドアガーニッシュも力強い印象を与えている

試乗車はボディカラーとあわせた内部のカラーリング。助手席側のインパネトレイにフタがない開口式なのもキャスト アクティバの特徴

高められた車高に対応し、助手席側のミラーは2面になっている

高められた車高に対応し、助手席側のミラーは2面になっている

下り坂の雪道でハンドル操作に集中できるDAC制御も備えている

下り坂の雪道でハンドル操作に集中できるDAC制御も備えている


10月末から発売が開始されるのがキャスト スポーツだ。狙いはコペンの4ドア版といったところ。ダークメッキ&メッシュグリルには、専用エンブレムが輝く。車両の一番下に、車体をグルリと赤いピンストライプが走るのも、なかなかにスポーティだ。サスペンションはバネ定数や減衰力がアップされている。またタイヤは16インチ。オプションでハイグリップタイヤも用意されている。インテリアも当然のように黒を基調としたスポーティなもの。7速マニュアルモードを可能とするパドルシフトも、キャスト スポーツならではの装備となる。

固められたサスペンションや16インチホイール、パドルシフトなどを備えたキャスト スポーツ

固められたサスペンションや16インチホイール、パドルシフトなどを備えたキャスト スポーツ

フラットな乗り心地と素直な動き。ターボエンジンは実用的なセッティング

最初に試乗したのは、NAエンジンを搭載するキャスト スタイル。シリーズの基本となるモデルだ。走り出してすぐにフラットな乗り心地であることに気づく。前後のピッチングが少ないだけでなく、コーナリング時の左右のロールも少ない。路面からの細かな入力はあるけれど、フラフラしないので安心感が高い。

パワー感は過不足ないものであるが、やはりアクセルを大きく踏み込んだときは、CVTならではのレスポンスの悪さを感じた。高速道路での追い越し加速時などは、特にその思いが強くなる。また、街中を走る時の静粛性は悪くはないけれど、高速走行時にはそれなりの音量になっていた。

続いてはキャスト アクティバ。ターボエンジン車をチョイス。キャスト スタイルから乗り換えたばかりなので、若干、車高の高さを感じる。しかし、乗り比べてはじめてわかるという微妙な差だ。同じようにステアリングから感じ取れるクルマの動きも、若干、マイルドになっていた。しかし、これも微妙な違いであり、ダルというほどではない。普段使いで、不満がでるようなものではないだろう。

ターボエンジンは低回転から太いトルクを発生させているようで、最初の一歩目から力強い。その分、アクセルを踏む量が減るし、エンジン回転数も低く保てるため静粛性という面でも良い方向に向く。もちろん高速道路での走りも、圧倒的にターボエンジン車の方が楽で快適だ。確かに燃費はNAエンジン車よりも落ちるが、それでもターボの2WDの燃費性能は27km/l。同グレードでのNAとターボの価格差は10万円程度ならば、個人的にはターボをおすすめしたい。

試乗は、発売済みであるキャスト スタイルとキャスト アクティバの2台のみ。キャスト スポーツは開発中ということもあり、ハンドルを握ることはできなかった。しかし2台を走らせたところ、フラットライドでクセのない素直な走りは好感が持てた。続いて登場するキャスト スポーツは、どこまでスポーティに振ってくるのか? 基本が素直なだけに味付けひとつで、いかようにも変化できるはず。パキパキのヴィヴィッドなクルマになるのか? はたまたグランツーリスモのようなどっしり感を狙うのか? しなるような奥深い走りを味わえるのか? 試乗できる日が非常に楽しみだ。

今回試乗した2モデルからは、癖が抑えられた素性のよさが感じ取れた

今回試乗した2モデルからは、癖が抑えられた素性のよさが感じ取れた

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