“弾丸”試乗レポート

エコとスポーツの祭典となった「東京モーターショー2015」レポート

ドイツ勢からも世界初公開モデルが登場

地元ということで充実の展示内容を揃えた日本勢。それに対してドイツ勢は、9月に地元フランクフルトでモーターショーを行ったばかり。さすがに世界初公開はないだろうと思っていたら、メルセデスベンツからコンセプトカー「ビジョン・トウキョウ(Vison Tokyo)」が登場した。これは5人乗りの自動運転可能な燃料電池車。クルマをラウンジのように使うというアイデアの提案だ。また、これまでのMクラスが「GLE」として刷新。東京モーターショー開幕の28日より発売が開始された。それ以外にも、新型「GLC」「GLEクーペ」など、日本にはまだ導入前のモデルもブースで確かめることができる。

5人乗りで自動運転可能な燃料電池車「ビジョン・トウキョウ」

5人乗りで自動運転可能な燃料電池車「ビジョン・トウキョウ」

BMWも世界初公開モデルを用意した。世界限定700台の「M4 GTS」だ。軽量化ボディと500馬力の強力なエンジンを搭載するスーパースポーツである。それ以外にも、新しくなった「7シリーズ」と「X1」、プラグインハイブリッド「330e」の3台はアジアのショーとしては初公開となる。またMINIは新型の「コンバーチブル」を世界初公開。ほかに「クラブマン」も日本では初お披露目となった。

世界限定700台のスーパースポーツ「M4 GTS」。500馬力のエンジンと軽量ボディで高い動力性能が見込まれる

世界限定700台のスーパースポーツ「M4 GTS」。500馬力のエンジンと軽量ボディで高い動力性能が見込まれる

新型7シリーズも展示されていた

新型7シリーズも展示されていた

MINIでは、新型のコンバーチブルを世界初公開(写真左)、右に見えるのはクラブマン。いずれも日本初公開

MINIでは、新型のコンバーチブルを世界初公開(写真左)、右に見えるのはクラブマン。いずれも日本初公開

ポルシェも「マカンGTS」と911の4WDモデル「911カレラ4S」という2台のワールドプレミアを用意した。

911カレラ4Sは世界初公開モデル

911カレラ4Sは世界初公開モデル

もう1台披露された「マカンGTS」こちらも世界初公開

もう1台披露された「マカンGTS」こちらも世界初公開

フォルクスワーゲンは、残念ながら世界初公開はなし。ただし、フランクフルトモーターショーで登場したばかりのコンパクトSUV「ティグアン」と、そのプラグインハイブリッドのコンセプト「ティグアンGTE」を持ち込んだ。それ以外にも、日本未導入の「パサートGTE」や「パサートオールトラック」などの魅力的なモデルが展示に並んでいる。

写真は、国内ではまだ導入されていないパサートGTE。このほかパサートオールトラックも展示中

写真は、国内ではまだ導入されていないパサートGTE。このほかパサートオールトラックも展示中

アウディもフォークスワーゲン同様に世界初公開はない。上海モーターショーでデビューした「プロローグ・オールロード」がメインの展示品。ほかに、新型「A4」や「Q7 eトロン」や「R8 V10 plus」「S8 plus」「TTSロードスター」などの日本導入前のモデルも展示されている。

上海モーターショーで展示された「プロローグ・オールロード」が、アウディの主役。角ばったデザインで迫力がある

フルモデルチェンジされる「R8」。写真は自然吸気のV10エンジンを搭載する「R8 V10 plus」

フルモデルチェンジされる「R8」。写真は自然吸気のV10エンジンを搭載する「R8 V10 plus」

日本未導入モデルを数多く揃えたフランス勢

フランスのPSAグループからは、シトロエンの「C4カクタス」(2017年導入)、プジョーのディーゼル「508GT」、270馬力のホットハッチ「308GTi Byプジョー・スポール」、DSの「DS 4」「DS 4クロスバック」(2016年導入)などが日本初公開となった。どれも日本導入が予定されているというから必見だ。ルノーのブースの見どころは新型「トゥインゴ」。ボディ外側が外れてインテリアがよく分かるという展示を用意。日本での発売を期待しながら見学しよう。

2017年に導入が予定されている「C4カクタス」

2017年に導入が予定されている「C4カクタス」

プジョーで注目なのは、ホットハッチモデルの「308GTi Byプジョー・スポール」

プジョーで注目なのは、ホットハッチモデルの「308GTi Byプジョー・スポール」

「DS 4クロスバック」も2016年に国内導入が予定されている

「DS 4クロスバック」も2016年に国内導入が予定されている

国内初披露となった新型トゥインゴ。投入は未定だが期待したいところ

国内初披露となった新型「トゥインゴ」。投入は未定だが期待したいところ

ジャガー/ランドローバーは、ジャガーブランド初のSUVとなる「Fペース」を披露。11月からの受注開始を発表した。

ジープやアルファロメオを擁するFCAからは、「アルファロメオ4Cスパイダー」と「ジープ レネゲード・トレイルホーク」が日本初公開になった。展示は西館のホールの真ん中という非常に目につく場所だけに、導入されたばかりの「フィアット500X」といっしょに眺めていくといいだろう。

アルファロメオ4Cスパイダーも国内初披露

アルファロメオ4Cスパイダーも国内初披露

ジープ レネゲード・トレイルホーク。比較的コンパクトなサイズのSUVだ

ジープ レネゲード・トレイルホーク。比較的コンパクトなサイズのSUVだ

クルマの展示だけでなく、ガイドツアーから同乗試乗まで幅広いコンテンツがある

ここまで駆け足でブランドごとの見どころを紹介してきたが、東京モーターショーにはほかにも楽しい展示が用意されている。それが「スマート・モビリティ・シティ」だ。西館の2階や屋上展示場で行われる東京モーターショー主催者テーマ事業である本企画は、「もっと自由に…クルマが変わる、くらしが変わる、社会が変わる」をテーマに未来の社会を展望するというもの。パーソナルモビリティの試乗や先進技術の展示などが用意されている。未来の社会に興味のある人ならば、ぜひとも立ち寄ってほしいブースだ。

さらに部品を製造するサプライヤーのブースにも意外と面白い展示がある。たとえば、今年は話題の新型プリウスに採用されている最新の技術やパーツの展示をあちこちで見ることができた。サプライヤーはクルマ本体の展示がないこともあり、次世代の先進技術を数多く展示しているのだ。難しい技術でもブースのスタッフが詳しく説明してくれるし、最近注目の自動運転関係の最新技術も数多く出展されているので、普段、疑問に思っていることをぶつけてみるのもいいだろう。きっと何かの気づきを手に入れることができるはずだ。

また、東京モーターショーは参加型のイベントも用意されている。たとえば筆者も所属する日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)の会員によるガイドツアー「日本自動車ジャーナリスト(AJAJ)と巡る東京モーターショー」と「プロの運転による乗用車同乗試乗会」だ。ガイドツアーは名称の通りに、我々モータージャーナリストが2人1組で10人ほどを連れて会場内を2時間ほどかけてガイドするというもの。ただし、有料&事前予約が必要で、すでに売り切れとなっている。興味のある人は2年後に予約を。また、同乗試乗会は11月3日まで会場横の屋外展示場のパイロンコースで行われた。試乗車は、トヨタのMIRAIをはじめアルトRSから、ポルシェやレンジローバーまで幅広い車種が用意されている。1周わずか1分もかからない短いコースだが、それでもクルマの特徴を感じることはできるだろう。こちらは無料だが、抽選&大人気のため、かなり並ぶ必要がある。

同じように場内のクローズドコースで最新のオートバイを試乗するイベントも実施されている。こちらも当日受付による先着順だ。

トヨタの「MIRAI」をはじめ「アルトRS」から、ポルシェやレンジローバーまでそろえた、同乗試乗会も開催された

パーソナルモビリティの試乗が行える「SMART Mobility City 2015」。写真左の緑と青がトヨタの新作「i-ROAD」で、注目を集めていた

振り返ってみればスポーツカーと次世代エネルギー車、自動運転といったテクノロジーが交差する、未来感あふれるショーであった。これは現在の世界のトレンドからは、いささか外れるものだ。実際に欧州や北米、アジアのモーターショーを巡ってみると、どこもSUV一色という雰囲気であった。ある意味、これが日本の特殊性なのだろう。しかし、スポーツカーも新しい技術も大好きだという自分にとっては、これほど面白いショーはなかったのだ。ガラパゴスと言えば、そうなのだが、こういうガラパゴスであれば大歓迎である。

鈴木ケンイチ
Writer
鈴木ケンイチ
新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材まで幅広く行うAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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