2015年11月8日に終了した「東京モーターショー2015」にも出展されていた、トヨタのスマートモビリティ「TOYOTA i-ROAD」。現在、都市での実験を行っているほか、愛知県豊田市や、フランス南東部のグルノーブル、東京の浅草やお台場などで試験的にレンタルも行われた実績もあり、現実に近いスマートモビリティと言えそうだ。その走りや特徴をレポートしよう。
トヨタのスマートモビリティ「TOYOTA i-ROAD」は、2個のモーターを備えた3輪スタイルがユニーク。リチウムウイオンバッテリーを搭載し、フル充電での走行距離は30kmとなっている
カーブで車体が割と大きく傾き、バイクのコーナーリングのような感じになる。操舵は後輪が行う
ディスクブレーキが見える前輪。両輪それぞれに独立したモーターを備えており駆動輪となる。また、傾き(リーン)を制御する
サイズは870(幅)×2345(長さ)×1455(高さ)mmで、重量は約300kg。最小半径3m。大き目のバイクといったサイズ。公共駐車場は自動車用になるだろう
日本では現状、普通自動車免許が必要な「ミニカー」という区分
後部視界のために開けられた窓
ステアリングのレイアウトやデザインは自動車的
アクセルとブレーキの2ペダル、左にあるのは足踏み式のパーキングブレーキ
1人乗りでシンプルなシート。短距離移動向きなのでミニマムな機能。ただしオートバイとは違い、シートベルトは必要
シートの後ろ側は、カバンや手荷物を置く程度のスペースがある。10キロ程度の米袋やスーパーの買い物くらいなら十分対応できそう
ギアは、後退、ニュートラル、前進をボタンで切り替える
ハザードやワイパーのボタン。最低限の機能をシンプルな操作で行うという思想
USBポートを装備。タブレットやスマホなどをナビやカーオーディオの代わりに使う場合に便利そうだ
充電はボンネット内にあるプラグを介して行う
TOYOTA i-ROADは、都市内の移動や省エネルギーといった自動車の抱える問題に対するひとつの回答だが、実際に乗ってみると独特なフィールで、理屈を超えた楽しい乗り物だった。オートバイのように大きく傾きつつ、カーブを曲がるので “走っている感”が楽しい。加速は特筆するほど速くないが、小さなボディで疾走する楽しさはある。
簡単なボディだが雨風をしのげるし、原付よりは荷物も詰めてヘルメットも不要。法定速度の時速60kmまではスピードが出るので、交通の流れの妨げにはならないなど、今の原動機付自転車に対して筆者が抱える不満がことごとくクリアされているのも好印象だ。
現在、東京で1年間の社会実験中だが、近い将来TOYOTA i-ROADが街を走る日が楽しみだ。
なお、トヨタは2015年11月20日、2人乗りのTOYOTA i-ROADの実証実験を11月21日より東京都渋谷区で実施することを発表した。子育て世帯など2人乗り利用が想定される方に約1か月間貸し出して、利用価値を検証するという。ちなみに、2人乗り用のTOYOTA i-ROAD は、1人乗り用をベースに、リフレクター・車幅灯の見直しや、車両接近通報装置の装備などが施されているとのことだ。
2人乗りも用意された。利便性が大きく高まりそうだ