レビュー

大ヒットで入手困難! 台湾ティー「ゴンチャ」初のペットボトルは再現度がすごい

台湾ティーのペットボトルが、今後一大トレンドになるかもしれません!

それを予感させる商品が、2024年7月2日にデビューした「貢茶(ゴンチャ) 黒糖烏龍ミルクティー」と、「貢茶 阿里山(アリサン)烏龍ピーチティーエード」。台湾発祥のティーブランド「ゴンチャ」の日本法人、ゴンチャジャパンとキリンビバレッジが共同開発し、全国21,554店舗(同年5月末時点)の「セブン-イレブン」限定で発売されました。

左が「貢茶 黒糖烏龍ミルクティー」で、右が「貢茶 阿里山烏龍ピーチティーエード」。1本400mLで、価格はそれぞれ185円(税込)

左が「貢茶 黒糖烏龍ミルクティー」で、右が「貢茶 阿里山烏龍ピーチティーエード」。1本400mLで、価格はそれぞれ185円(税込)

限定と言っても数量や期間の限定ではなく店舗限定商品であり、通年で販売されていくはずですが、発売から数日ですでに入手困難に。つまりは、需要に対して供給が追い付いていないほど売れているということです。

発売から数日後に近所の「セブン-イレブン」へ行くと、棚はあっても商品は完売……

発売から数日後に近所の「セブン-イレブン」へ行くと、棚はあっても商品は完売……

元々「ゴンチャ」は若い女性を中心に支持を集めており、数年前のタピオカブームのころはトレンドをけん引していた存在。ただし、その人気は全国規模まではいかず、出店していない県はまだまだあります。

そこでゴンチャジャパンはペットボトルでの販売に商機を見いだし、国民的ティーブランド「キリン 午後の紅茶」を手掛けるキリンビバレッジと、2万以上の店舗を有する「セブン-イレブン」とコラボレーションし、全国に「ゴンチャ」の味を届けることにしたのです。

こちらは「ゴンチャ エキュート赤羽店」。駅の改札内にある店舗ですが、女性を中心に行列ができる人気ぶり

こちらは「ゴンチャ エキュート赤羽店」。駅の改札内にある店舗ですが、女性を中心に行列ができる人気ぶり

そんな「ゴンチャ」初のペットボトルですが、本家の味をどこまで再現しているのでしょうか? ということで、「ゴンチャ」の実店舗で販売されている「黒糖烏龍ミルクティー」と「ピーチ阿里山 ティーエード」をペットボトルの2商品と飲み比べて、本家との違いを確かめながら味わいの特徴をレビューします。

中国や台湾産の茶葉を使ったガチな味わい

左端が実店舗の「黒糖烏龍ミルクティー」(S:税込540円)で、右端が「ピーチ阿里山 ティーエード」(S:税込480円)。どちらも甘さは「ふつう」で、味が薄まらないよう「氷なし(+80円)」を選択。タピオカなどのトッピングもなしです

左端が実店舗の「黒糖烏龍ミルクティー」(S:税込540円)で、右端が「ピーチ阿里山 ティーエード」(S:税込480円)。どちらも甘さは「ふつう」で、味が薄まらないよう「氷なし(+80円)」を選択。タピオカなどのトッピングもなしです

まずは、ペットボトルのスペックなどをチェック。「貢茶 黒糖烏龍ミルクティー」は100mLあたり40kcalで、炭水化物は7.9g。中国福建省産の芳醇な香りを持つ烏龍茶に、コクのある黒糖の甘みを調和させていることが特徴です。

内容量は400mL。パッケージに、キリンや「セブン-イレブン」のロゴなどはありません

内容量は400mL。パッケージに、キリンや「セブン-イレブン」のロゴなどはありません

いっぽうの「貢茶 阿里山烏龍ピーチティーエード」は100mL当たり35calで、炭水化物は8.7g。黄桃のジューシーな甘さに、台湾・阿里山産烏龍茶葉の華やかな香りを掛け合わせたフルーツティーです。

こちらも400mL。阿里山烏龍茶葉は、茶葉全体の50%に使用しているとか

こちらも400mL。阿里山烏龍茶葉は、茶葉全体の50%に使用しているとか

いずれの商品も、中国や台湾産の茶葉を使った本格的なティーです。

飲み比べて驚いた“寄せる”開発力

ここからはいよいよ、それぞれの本家と飲み比べながら味わいをチェックします。

まずペットボトルの「貢茶 黒糖烏龍ミルクティー」を飲んでみると、黒糖のニュアンスを思わせるナッティーな香りが印象的。たとえるならマカダミアナッツや、きな粉(焙煎大豆)でしょうか。信玄餅っぽいとも言えるかもしれません。

茶葉は香ばしさが豊かないっぽう、酸味や渋みはあまり感じません。円熟味のあるリーフ感だと言えそうです

茶葉は香ばしさが豊かないっぽう、酸味や渋みはあまり感じません。円熟味のあるリーフ感だと言えそうです

甘さは、ペットボトルの有糖紅茶と近しい感じの適度なボリューム。さらに黒糖のまろやかさやミルクのマイルドさがあるとともに、少々トゥルンとしたテクスチャーも。スイーツ的なドリンクと言える要素が、十分にあると感じました。

次は実店舗の「黒糖烏龍ミルクティー」(右)を。底に黒糖が溜まっているので、マドラーでしっかり混ぜてから飲みます。なお、ペットボトルのほうに沈殿はありません

次は実店舗の「黒糖烏龍ミルクティー」(右)を。底に黒糖が溜まっているので、マドラーでしっかり混ぜてから飲みます。なお、ペットボトルのほうに沈殿はありません

実店舗の「黒糖烏龍ミルクティー」は、茶葉の存在感が前に出てくる分、ナッティーなニュアンスが控えめに。それでも、黒糖のまろやかな甘さと茶葉の香ばしさが調和するので、信玄餅感はあります。また、こちらはフレッシュなミルクを使っているはずですが、乳脂肪感は弱くすっきりした口当たり。ただ、甘さは実店舗のほうが少々強めに感じました。

色は、少しだけペットボトル(写真左)のほうが濃い印象。なお、実店舗のSサイズはちょうど350mL入っていました

色は、少しだけペットボトル(写真左)のほうが濃い印象。なお、実店舗のSサイズはちょうど350mL入っていました

味の全体像はペットボトルと似ていますが、ところどころに違いも感じます。とはいえ、意識して飲み比べなければ違いに気付かないとも言えそう。工場で作るペットボトルの味を、ここまで本家に近づけるとは。キリンビバレッジの開発力、恐るべし!

「ピーチティーエード」もかなりの再現度!

次はこの2つをテイスティング。こちらの色は、実店舗(写真右)のほうが少しだけ濃いめです

次はこの2つをテイスティング。こちらの色は、実店舗(写真右)のほうが少しだけ濃いめです

まずペットボトルの「貢茶 阿里山烏龍ピーチティーエード」から飲んでみると、こちらは香りが「貢茶 黒糖烏龍ミルクティー」よりダイナミックで、特に桃の甘やかなフレーバーが印象的。また、このスイートな香りと相まって、味わいとしての甘さもそこそこ感じます。

こちらにも、トロッとしたテクスチャーがほんのり。ホットで飲んでも、ほっこりしておいしく飲める気がします

こちらにも、トロッとしたテクスチャーがほんのり。ホットで飲んでも、ほっこりしておいしく飲める気がします

茶葉に関しては「貢茶 黒糖烏龍ミルクティー」ほどの香ばしさはなく、ジャスミンティーをよりたくましくさせたような華やかなフレーバーが豊か。アジアンティーらしい、オリエンタルなニュアンスのリーフ感です。

続いては、実店舗の「ピーチ阿里山 ティーエード」。こちらのとろみはペットボトルほどなく、洗練された印象です

続いては、実店舗の「ピーチ阿里山 ティーエード」。こちらのとろみはペットボトルほどなく、洗練された印象です

実店舗の「ピーチ阿里山 ティーエード」を飲むと、やはり茶葉の要素はこちらのほうが前面に出ていて、フレッシュかつ華やか。さらにこちらは、やさしい渋みや余韻のシャープなキレもあり、よりすっきりした味わいに感じます。甘さもペットボトルよりライトで、大人なフルーツティーと言えるでしょう。

「ピーチ阿里山 ティーエード」も、香りにオリエンタルなニュアンスはしっかりありつつ、すっきりクリア。ペットボトルより上品なおいしさです

「ピーチ阿里山 ティーエード」も、香りにオリエンタルなニュアンスはしっかりありつつ、すっきりクリア。ペットボトルより上品なおいしさです

こうして飲み比べると違いはわかるものの、ティーエードの比較に関してもその差は大きくありません。違いを感じない人もいるレベルだと思います。

品薄レベルの大ヒットで市場全体も拡大!?

ペットボトル飲料のほうは、中身はキリンの工場で作られているうえ、実店舗とまったく同じ原材料を使っているわけではないはず。また、工場でボトリングしたものと、店舗で淹れたものとでは時間差もあります。それもあってか、実店舗のほうがリーフ感豊かで上品な味にも思いますが、ペットボトルでもかなり上手に表現されていて、キリンが持つ商品力の高さを感じました。

ミルクティーなら甘さ控えめの和菓子が、ティーエードなら台湾名物のパイナップルケーキや、冷やし中華のような冷たくて甘酸っぱい料理が合います

ミルクティーなら甘さ控えめの和菓子が、ティーエードなら台湾名物のパイナップルケーキや、冷やし中華のような冷たくて甘酸っぱい料理が合います

これがコーヒーの場合、お店とペットボトルでは風味に大きな差が出ますが、お茶の場合はそこまでの開きがない気がします。これは緑茶やウーロン茶でも同様ですが、甘さやミルクが入っていても大きな変化が出ないとは、学びになりました。いずれにせよ、品薄になるほど売れている本商品。他社の動向含め、今後の展開からも目が離せません!

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2023/10/11 14:30
中山秀明
Writer
中山秀明
グルメ、ファッション、カルチャー、ライフスタイルを得意とする編集プロダクションを経て独立し、フードアナリストの資格を取得。内食・外食のトレンドやカルチャーに詳しく、深掘りレビューやインタビューなどを得意とし、さまざまな雑誌やウェブメディアをメインに、編集と撮影を伴う取材執筆を行っている。酒類や調理家電、タバコ関連にも強い。時折、テレビ番組や大手企業サイトに食の有識者として企画協力することも。
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しえる(編集部)
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しえる(編集部)
生活雑貨・食品に加え、ウォーターサーバーなど、サービス系商品の記事をメインに担当している2児の母。自称「ポテチマスター」。ポテトチップスを中心に1日3袋のスナック菓子をたいらげるお菓子狂です。
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