気がつけばすでに暦は10月。今年もあと3か月を切った。となると、そろそろ気になってくるのが年末商戦の状況である。特に、今年は当たり年となっているゲーム機市場は、クリスマスと正月が立て続けにやってくる年末商戦が一番のかき入れ時。そこで、最新のゲーム機関連の状況について「価格.comトレンドサーチ」のデータを見つつ、この年末商戦の行方を占ってみたいと思う。
任天堂「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」
図1:主要ゲーム機のアクセス推移(過去3か月)
まず、今ゲーム機市場で注目されているのが、任天堂が2017年10月5日に発売する「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」(以下、ミニスーファミ)だ。図1の主要ゲーム機のアクセス推移を見ても、製品の予約開始日が確定した9月12日以降、かなり激しく注目度が高まっていることがわかる。今も、10月5日の発売日に向けて、アクセスは上昇傾向にあり、人気は高まるいっぽうだ。昨年、一躍大ヒットとなった「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(ミニファミコン)は、あまりの人気に初回生産分がすぐに完売してしまったが、今回のミニスーファミに関しては、発売後も生産を続けるとアナウンスしており、クリスマスシーズンに入手できる可能性は高くなっている。ただし、現状ではなかなか入手が難しそうで、メーカー希望小売価格7.980円(税別)に対して、2万円以上のプレミア価格を提示しているショップもあるなど、今回も品薄状況はしばらく続きそうだ。
任天堂「ニンテンドースイッチ」
図2:「ニンテンドースイッチ」の最安価格推移(過去3か月)
次に、今年の上半期の話題を一気にかっさらった感のある「ニンテンドースイッチ」であるが、図1を見るとわかるように、キラータイトル「スプラトゥーン2」が発売された7月21日あたりをピークとして、その後、注目度は徐々に下がってきている。現状でも品薄状況は解消されていないが、需要に対して供給が徐々に追いついてきているためか、注目度は一時ほどの勢いではなくなってきている。販売価格も、メーカー希望小売価格29.980円(税別)に対していまだに37,000円前後のプレミア価格がついて販売されている状況ではあるが、ピークには5万円近い価格をつけたことを考えると、だいぶ落ち着いてきていると言っていい。次のピークは、10月27日に発売されるキラーコンテンツ「スーパーマリオ オデッセイ」の発売前後と目されるが、最低でもクリスマス商戦前までにハードの供給が追いつくかどうかが、「ニンテンドースイッチ」がさらなる飛躍を遂げられるかどうかの分かれ目になりそうだ。
ソニー「PlayStation 4 pro」
図3:機種別ゲームソフトのアクセス推移(過去3か月)
図4:PS4用主要ゲームタイトルのアクセス推移(過去1か月)
いっぽう、ソニーの「PlayStation 4」(PS4)も好調を続けている。注目度では、上記の任天堂製ゲーム機に比べるとだいぶ低いが、昨年秋のモデルチェンジからコンスタントに売れており、売れ筋ランキングでは上位の常連をキープしている。図3の、機種別のゲームソフト全体のアクセス推移を見てみると、やはり「PS4」用ゲームのアクセス数は、人気の「ニンテンドースイッチ」の倍程度で推移していることがわかる。ハードの普及率では、「ニンテンドースイッチ」をはるかに上回る「PS4」だけに、ソフトの販売量もより多いのが実情だ。特に、今年7月29日には、久々の登場となる「ドラゴンクエスト」シリーズの最新版「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」が発売となり、注目度を一気に高めた。この秋以降も、近いところでは10月19日に、キラータイトルである「グランツーリスモSPORT」が発売されるが、先日開催された「ゲームショウ2017」での評判も上々だったことから、こちらも年末にかけて大きく盛り上がってきそうだ(図4)。
なお、これまで人気を保ってきた「ニンテンドー3DS」に関しては、7月にやはり「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」が発売されて人気を高めたが、その後めぼしい新作タイトルが投入されていないこともあり、全体的に人気は下落傾向だ。11月には、こちらも定番のキラータイトル「ポケットモンスター」の最新版が発売されるが、こちらはほぼポケモン頼みという状況になりそうだ。
ソニー「PlayStation VR PlayStation Camera同梱版 CUHJ-16003」
もうひとつ「PS4」がらみで新しい動きがある。それが、「PS4」に接続して使用するVR用ヘッドセット「PlayStation VR」(以下、PSVR)の新モデルが、10月14日に発売されることだ。こちらの「PlayStation VR PlayStation Camera同梱版 CUHJ-16003」は、従来製品に比べて5,000円安い44,980円(メーカー希望小売価格。税別)で発売されるのに加えてHDR映像のパススルーへの対応、ヘッドホンジャックの搭載など、使い勝手がアップしている。このニュースに対して、多くのユーザーが敏感に反応しているが(図5)、昨年発売された初期型では供給不足で手に入れるのが難しかっただけに、大きな巻き返しとなるか期待が集まる。なお、上述した「グランツーリスモSPORT」は、このPSVRに対応しており、PSVRを使ったVRモードでプレイすると、かなりの没入感が得られるという。ちょうど、この「グランツーリスモSPORT」の発売日に合わせてきたかのような、新型PSVRの発売は、今年年末にかけてのVRゲームを大きく盛り上げる要因となるのは間違いのないところだろう。
図5:「PlayStation VR」2製品(従来モデル)のアクセス推移(過去3か月)
価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。