Steamのコアゲーマーこと“すちーむまにあ”辻村美奈が、今気になるゲーミング機器をご紹介します。今回注目したのは、ライブコンテンツ作成コントローラー「STREAM DECK XL」(Elgato)。ライブ配信以外にも、拡張キーボードとして使っても便利なんです!
PCゲームをプレイしていると、一度は耳にすることがある「コマンド」という言葉。たとえば、サンドボックスゲーム「マインクラフト」では、サーバーを設定する際に使うことが多いですね。また、FPS(1人称のシューティングゲーム)では、降参投票などをするためにコマンドを使うなど、意外と出番が多いなと感じています。
しかし、基本的に英語をベースにしているものなので、とにかく覚えにくいのが悩みどころ。「使おうと思った時に、いちいち調べるのがめんどう」ということで、結局、コマンドを使わないという方も少なくないと思います。
ゲーミングキーボードのカスタムキーに登録しても、結局、コマンドが多すぎて登録しきれないし。どうしたものか……
とにかく、もっと簡単にコマンドを使いたい……と悩んでいたところ、どうやら、ストリーマー(動画の配信者)に人気のライブコンテンツ作成コントローラー「STREAM DECK」を使って、簡単にコマンド操作できるとのこと。そこでさっそく、実機を試してみることにしました!
今回試用したのは、STREAM DECKシリーズの中では最も大きいサイズの「STREAM DECK XL」。本体サイズは182(幅)×112(高さ)×34(奥行)mmで、重量は410g(いずれもスタンドを含まず)。ずっしりとした重みを感じます。
STREAM DECK XL本体のほかに、PCと接続するためのUSB Type-Cケーブルと、しっかりと重厚感のあるスタンドが付属しています
スタンドには、STREAM DECK XLの背面に接続したUSB Type-Cケーブルを通すための穴が空いています。また、スタンドの底にすべり止めが付いていますが、マウスパッドの上に置くと少々すべるので、ご注意。スタンドを設置する場所に気をつけましょう
USB Type-Cケーブルを使って、STREAM DECK XLとPCを接続すると、「Welcome」という文字が動きながら、液晶ボタンに表示されます。アニメーション付きでカッコいい! ちなみに、液晶部のキータッチは、ストロークが意外と深く、ハッキリとした押し心地があります
スタンドを使わない場合は、キーボードの左にダイレクトに置くだけ! まるで、“第2のキーボード”のように使えます
STREAM DECK XLをカスタマイズするには、Elgatoの公式ページから無料でダウンロードできる専用ソフトウェアを使います。
ソフトウェアを起動したところ。よく見ると、人気の無料配信ツール「OBS Studio」に向けたショートカットキーがデフォルトで用意されています
改めて説明すると、STREAM DECK XLは、その名前にもあるとおり、もともとストリーマー向けに開発されたデバイスとなっています。
そのため、人気の無料配信ツール「OBS Studio」向けショートカットキーがデフォルトで入っているほか、他配信サイトのプリセット機能なども充実しているなど、ストリーマー向けの機能をしっかりと備えているのが特徴です。
たとえば、マイクのミュートプラグインでは、通話アプリのマイクミュートや、配信上のマイクミュート、ゲーム内のマイクミュート、マイク本体のマイクミュートなどが細かく制御できて、配信作業を強力にサポートしてくれそうです。
OBS Studio向けショートカットキーの設定画面
ソフトウェアはシンプルで、とても使いやすいです。基本的に、右側のメニューバーに表示されているプリセット機能を好きなキーにドラッグ&ドロップして割り当てます。しかも、キーにはフォルダーを割り当てられるので、“ほぼ無限”に登録できちゃうんです。
ひとつめのキーに、フォルダーを割り当てたところ
さらに、キーのアイコンを、好きな画像に変えられるのもポイント。アイコン画像は、Elgatoの公式アイコン作成ツールを使って、手軽に作れます。
公式アイコン作成ツールの画面。好きな画像をアップロードして、プリセットのスタンプなどを使って、アイコンを作成できます。画像は「VALORANT」(ヴァロラント)というゲームのキャラクターです
STREAM DECK XL用に、壁紙を分割することもできちゃいます
また、設定に名前をつけて、プロファイルとして保存できるため、たとえば、仕事用やプライベート用などに分けられます。さらに、プロファイルにソフトウェアやゲームを設定しておくと、そのソフトウェアやゲームが前面に表示された時に、自動でプロファイルが切り替えるといったことも可能です。
こちらは、「ペイント」用のプロファイルに、ペイントソフトを設定したところ
今回は、筆者の独断と偏見で、PCスキル別にSTREAM DECK XLの活用方法を考えてみました。ぜひ参考にしてみてください!
デフォルトで入っているプラグインにも、タイマーや時計など、さまざまな便利機能がありますが、無理してプラグインを活用する必要はありません。
たとえば、プラグインのタイマーは秒単位でしか設定できないため、長時間の測定には向きません。そんな時は、ブラウザー上で使えて、24時間まで測れるタイマーのURLをキーに配置すれば、キーを押しただけでそのページが開きます。これだけでも十分便利! もちろん、タイマーだけでなく、電卓や翻訳、レシピなども登録できますよ。
キーのアイコンを自由に登録できるので、見た目にもわかりやすく、カスタマイズできます
クリエイティブ系のソフトを使っている方はよくご存じかと思いますが、ショートカットキーを覚えているか否かで、作業効率にかなり差が出ます。そんな時こそSTREAM DECK XLの出番! ホットキープラグインを使えば、ショートカットキーも登録できるので、さまざまなソフトの操作を登録できます。
わかりやすい例で言うと、Windowsの標準ソフト「ペイント」でブラシの太さを調整する操作は、「Ctrl」+「正符号 (+)」キーと、「Ctrl」+「負符号(−)」キーで行えます。
これを、STREAM DECK XLに登録してみましょう。
「ペイント」フォルダーを作って、プリセットからホットキーをドラッグして、「Ctrl+正符号(+)キー」と「Ctrl+負符号(−)キー」を登録しておけば、ブラシを太くするキーと、細くするキーが完成します。
このように、ソフトごとにフォルダーを作って、使用頻度の高い操作を登録しておけば、いちいちショートカットキーを覚えなくても、すぐに使えるようになります!
ペイント用のプロファイル画像。ブラシの太さはもちろん、保存もボタンひとつで行えます
あまったキーには、好きな画像を設定できます。スペースをうまく有効活用すれば、カスタマイズがより楽しくなるかも
また、テキスト登録プラグインを使えば、マインクラフトなどのPCゲームで使用する「コマンド操作」を使いこなせるはず。STREAM DECK XLにコマンドを登録して、わかりやすいタイトルをつけておけば、Wikiを毎回調べる手間が省けます。
さらに、海外のユーザーとコミュニケーションを取らなければならないゲームでは、重要度が高い英単語をあらかじめ登録しておくといいかも。このほか、仕事やブログ、ビジネスメールでよく使うテンプレート、Excelの関数などを登録しておけば、作業効率が向上すること間違いなしです!
ソフトウェアの右下にある「その他のアクション」を選択すると、好きなプラグインをインストールしたり、プリセットにあるプラグインをアンインストールしたりすることができます。
ソフトウェアの左下にある「その他のアクション」を開くと、プラグインの一覧が表示されます。いわゆる「アプリストア」をイメージすると、わかりやすいかもしれません
ちなみに、プラグイン名の下に「Elgato」と書いているもの以外は、有志のユーザーが作ってくれたプラグインとなります。種類も豊富で、ひんぱんにアップデートされているものが多いです。マクロはもちろん、お気に入りの株の相場をライブ表示できるプラグインといった上級者向けも豊富にあるので、もっとこだわりたい! という方にもおすすめです。
なお、非公式のプラグインの場合、製作者のホームページへのリンクが貼られているので、そこから、さらに探したり、検索したりするという方法もあります。
STREAM DECK XLの最大の強みは、アイコンとタイトルをカスタマイズできること。そもそも、操作が多くて複雑な「ゲーム配信」向けに作られているので、パッと見て、わかるように工夫されています。
たとえば、ゲーミングキーボードに設置されているカスタムキーは、さまざまな操作を割り振れて便利ないっぽう、見た目が「G1」や「G2」のようなキーになっているので、割り振った操作を忘れてしまいがち。でも、STREAM DECK XLなら、ひと目でわかるアイコンとタイトルを設定できるので、その心配はありません。
マイクラでひんぱんに出てくる「/weather clear(天候を晴れにする)」や「/teleport(対象者をテレポートさせる)」などのコマンドも、STREAM DECK XLのおかげで、ボタンひとつで簡単に呼び出せました。これで快適にマイクラが遊べる! コーヒーを飲みながら片手で操作ができちゃうので、とても楽です
今回ご紹介したのは、32キー搭載のXLモデルになりますが、ほかにも、15キー搭載の「STREAM DECK」や、6キー搭載の「STREAM DECK MINI」もラインアップされています。
STREAM DECKシリーズの価格.com上での価格は、STREAM DECK XLが36,520円〜、STREAM DECK XL、STREAM DECKが18,800円〜、STREAM DECK MINIが13,480円〜(いずれも2020年12月29日時点)。STREAM DECK XLの32キーがちょっと多いかなと感じる方は、より手の届きやすい価格のSTREAM DECKやSTREAM DECK MINIから始めてみても、いいかもしれません。
ライター:辻村美奈(オフィスマイカ)
編集プロダクション。「美味しいもの」と「小さいもの」が大好物。 好奇心の赴くまま、よいモノを求めてどこまでも!(ただし、国内限定)