「逆転裁判」シリーズと言えば、プレイヤーが主人公の弁護士となって法廷に立ち、無実の罪を着せられた依頼人を救うべく、事件の真相を暴いていくアドベンチャーゲームだ。作り込まれたシナリオやテンポの良い展開、個性豊かなキャラクターたちが話題を呼び、大ヒットした作品となっている。そんなシリーズの新プロジェクト作品となるのが、この「大逆転裁判」。手に汗握る新たな大逆転劇が、7月9日に開幕!
ニンテンドー3DSで2015年7月9日発売。パッケージ版[通常版]の価格は5,800円(税別)
YouTube動画:【大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-】発売記念映像
今作では、19世紀末の倫敦(ロンドン)が舞台となる。弁護士を目指す成歩堂 龍ノ介(なるほどう りゅうのすけ)が最新の司法制度を学ぶため、明治時代の日本から産業革命真っ只中の倫敦へ、熱き希望を胸に世界へと旅立つ。プレイヤーは彼となり、証言のウソやムジュンを突いて真実を暴き、絶体絶命のピンチから逆転無罪を勝ち取るのだ。
成歩堂 龍ノ介(なるほどう・りゅうのすけ)CV:下野紘
本作の主人公。大日本帝国・帝都勇盟大学の学生で、ある事件をきっかけに弁護士を目指すことになる。最新の司法制度を学ぶため、燃える正義感を胸に留学生として大英帝国へ旅立つ
御琴羽 寿沙都(みことば・すさと)CV:花澤香奈
本作のヒロイン。法務助士という立場から成歩堂をサポートすることになる。海外の探偵小説を愛読する、先進的な夢見る大和撫子
シャーロック・ホームズ CV:川田紳司
世界で最も有名な大探偵。そのあまりにも鋭い観察力と推理力は、真相どころか時に真実の向こう側までいってしまう。もはや、理論の大暴れ
アイリス・ワトソン CV:久野美咲
ホームズと同居する少女。幼いながらも医学博士号を持ち、倫敦で大人気の小説・シャーロック・ホームズの冒險を連載している
亜双義 一真(あそうぎ・かずま)CV:中村悠一
帝都勇盟大学の学生で、成歩堂の親友。大学生でありながら、すでに弁護士の資格を持つ才人でもある。日本の司法を革新するべく、大英帝国への留学を志す
バロック・バンジークス CV:津田健次郎
かつて“死神”の異名をとった、大英帝国の法曹界に知らない者はいないという伝説の検事。彼の立つ法廷では、かつて助かった被告人は1人も存在しないという
ゲームの紹介に入る前に、「逆転裁判」シリーズって何? という人もいるかもしれないので、まずは簡単に1作目から見ていこう。
シリーズの始まりとなる「逆転裁判」が登場したのは、2001年の10月。対応ゲーム機は、ゲームボーイアドバンスだった。プレイヤーは主人公の新米弁護士“成歩堂龍一(なるほどう・りゅういち)”となって法廷に立ち、無実の罪を着せられた依頼人を救うべく事件の真相を暴いていく。師匠である綾里千尋(あやさと・ちひろ)や、その妹の真宵(まよい)、ライバル検事の御剣怜侍(みつるぎ・れいじ)といった個性的でユニークなキャラクターも、人気要因の1つだった。また、 “異議あり!” “待った!”などの有名な台詞や、相手を“ゆさぶり”で動揺させて新たな情報を聞き出し、証拠品を“つきつけ”て真相に迫るというシステム、探偵パートで証拠を集めて法廷パートで無実を勝ち取るという、シリーズを通しての基本システムがこのときに誕生している。ちなみに、2005年に発売された「逆転裁判 蘇る逆転」には、「逆転裁判」1作目に加えてシナリオが1話追加されている。
初代「逆転裁判」の1年後となる2002年には、続編として「逆転裁判2」が登場。絶体絶命の依頼人を守り抜き真犯人を暴き出す、熱き逆転劇はそのままに、新たに“サイコ・ロック”と呼ばれるシステムを搭載。探偵パートがより熱くなったほか、新たなキャラクターも登場し、ますます賑やかになった。
2004年には、シリーズ3作目となる「逆転裁判3」が発売になった。前作で好評だったシステムはそのままで、成歩堂龍一と若かりしころの綾里千尋、2人の弁護士の視点で物語が展開していく。現在の事件と過去の事件、そしてさまざまなエピソードを内包し、物語は前2作のストーリーをも集約した大逆転劇を見せる!
「逆転裁判」から「逆転裁判3」までは、1つの壮大な物語となっており、3部作と言っても過言ではないだろう。この3作品は、「逆転裁判123 成歩堂セレクション」としてニンテンドー3DSで発売されている。
その後、2007年に「逆転裁判4」、2013年には「逆転裁判5」が発売されている。
また、大人気のライバル検事・御剣怜侍(みつるぎ・れいじ)を主人公にした「逆転検事」シリーズも「2」まで発売されている。「逆転裁判」と違い、弁護側ではなく検事側から事件を追い、真相に迫る内容となっている。
そのほか、舞台化や映画化なども果たすなど、今や累計530万本を記録する大人気タイトルが「逆転裁判」シリーズなのだ。
左が「逆転裁判5」に登場した成歩堂龍一、右が「逆転検事2」に登場した御剣怜侍。ユニークなシステムとスピーディな展開、個性的なキャラクター、何度も訪れる逆転劇などが、プレイヤーたちを虜にした作品。2001年に1作目が登場してから、今年で14年が経過する、息の長いシリーズだ
シリーズ新プロジェクトとなる本作も、「逆転裁判」シリーズと同じく“探偵パート”と“法廷パート”がある。探偵パートでは、事件現場を調べて証拠品を集めたり、法廷で戦う材料となるものを収集するのが目的だ。このパートで集めたものは真実にたどり着くためのカギとなるので、あらゆることを見落とさないようにしたい。
証拠品や有力な情報は、ありとあらゆる場所に潜んでいる。見逃さないよう、逐一チェックしよう
新要素として、ホームズがいる場面では“共同推理”が発生することがある。ホームズは真実を導き出すべく超絶推理を披露するのだが、天才すぎて、鋭すぎる観察眼と自由すぎる推理力は放っておくと、とんでもない方向へと進んでしまう。そこで、プレイヤーが成歩堂龍ノ介として推理のオカシイ部分にツッコむことで、推理の道筋を修正して彼の推理を真実へと誘導していくことになる。ホームズの超絶推理と、成歩堂龍ノ介のツッコミで奏でる新感覚の謎解き、それが「共同推理」の醍醐味だ。
ホームズの超絶推理におかしなところを発見したら、ツッコミを入れて推理の道筋を修正し、真実へと導いていくのだ
法廷パートでは、探偵パートで集めた証言や証拠品を武器に、ウソをついたりムジュンした発言をする証人や検事らと戦う。まずは、証人による証言を検証する尋問で、証言にウソやムジュンがないか、ゆさぶったり問い詰めたりしていく。証言にムジュンを見つけたときは、それを示す証拠品を突きつけて“異議あり!”と叫ぶのだ。間違えていた場合はペナルティを科せられてしまうが、ムジュンを指摘することに成功すれば、大逆転の展開が待っている!
相手の証言からムジュンを見つけて“異議あり!”と叫ぶ、その瞬間が爽快。しかし、やり込められた相手も黙ってはいないのだ
法廷パートの新要素は、6人の陪審員を相手にする“陪審バトル”。陪審員たちは、尋問の様子を見て被告人が有罪か無罪かの評決を決める。彼らは有罪と思えば黒、無罪ならば白の大天秤の皿に炎弾を撃ち込むのだ。全員が有罪に票を入れてしまうと、そこで裁判は終了となってしまうため、弁護側は「最終弁論」で陪審員の説得を行い、これを回避しなければならない。同じ証言を聞いても、陪審員が有罪と思う理由はさまざまだ。
なかには、陪審員の主張同士がムジュンしている場合もあるので、それを見つけて陪審員同士の言葉を“ぶつける”のだ。説得が成功すれば、陪審員は評決を無罪に変えてくれるので、裁判を続行できる。ムジュンを見つけ、言葉を武器に説得できるかどうかが、“陪審バトル”のカギとなるだろう。
陪審員の主張同士のムジュンを見つけ出し、それをぶつけて説得するのが陪審バトル。この大天秤の皿を、無罪に傾けることができるか?
陪審員たちの主張に、ムジュンが含まれていることがある。それを見つけだし、主張同士をぶつけることができれば、彼らの評決も変わるだろう
テンポの良い展開や練られたシナリオ、魅力たっぷりのキャラクターたちなど、従来にはなかった新機軸を開拓したシリーズの新プロジェクトということで、誰もがハマること間違いなしだ。特に、“異議あり!”や“待った!”を出して流れを逆転させることに成功したときの爽快感は、たまらないものがある。複雑な操作も必要としないので、あまりゲームはプレイしないけれども推理小説などは大好き! という人でも楽しく遊べるだろう。
主にコンシューマ&ソーシャルゲームの記事を手がけるMac好きIT系ライター。ゲーム歴は40年弱。80年代のマイコン弄りや深夜アニメなどが元気の素。