突然ですが、みなさん「招き猫」って知っていますよね。ちょこんと座った陶器の猫が前足を上げて、お客やお金を呼び込むという猫の置物です。商売繁盛の祈願を込めて店先に置いてあることが多いですよね。
筆者もそれくらいの印象しか持っていなかったのですが、先日「上げている足によってご利益が変わる」という話を聞いたのです。気になって仕方がなくなってしまったので、今回招き猫について調べてみることにしました!
上げている前足が左か右か? と高さに注目してください
まずは由来についてですが、これは諸説あるそうです。東京には招き猫で有名な寺社がいくつかありまして、まずは世田谷区の豪徳寺。一説には招き猫発祥の地とされている場所で、境内に入ると、そりゃもう尋常じゃないくらいの数の招き猫が出迎えてくれます。よく目にする、白色ベースの三毛猫で、耳が赤く、一律に右前足を上げているのが特徴です。
豪徳寺の猫たち。境内に納められているものですが、その数のすごさに圧倒されます
また浅草の今戸神社も招き猫で有名です。最近ではパワースポットになっており、縁結びの神社としても有名ですね。ここには境内に石造りの招き猫がいまして、また賽銭(さいせん)箱の隣にも大きな白い招き猫がいます。こちらも右足を上げていますよ。
7年前に携帯電話のカメラで撮影した今戸神社の招き猫です
ほかにも諸説ある招き猫の由来ですが、いずれもそのモデルは同じで、白い三毛猫が前足を上げているポーズになっています。では最初の疑問、上げている足によるご利益の違いに迫っていきましょう。
言われてみれば上げている前足が左右違いますよね。どんなご利益があるのでしょうか?
調べたところ、右足は金運、つまりお金を呼び込み、左足は人、つまりお客さんを呼び込むということになっているとか。左前足は商売繁盛に向いているということになりますね。
右足を上げてお金を招いてくれる猫。購入した宝くじの上に置くなんて使い方ありますよね
左足を上げて人を招いてくれる猫。商売繁盛にはお客さんの入りは欠かせないですからね
さらに、足の高さにも注目です。だいたいの招き猫の上げた足は耳の当たりで止まっていると思うのですが、これが高ければ高いほどいいご利益を生んでくれるのだそうですよ。
先ほども登場した今戸神社の賽銭箱近くにいる招き猫を見てください。かなり高いところまで右前足を上げていますよね。これはさすがにあざといと言いいたくなりますが、このユニークさに参拝者もついついお賽銭をはずんでしまうことでしょう。
ちなみに…筆者が今回買った招き猫は「千万両」と書かれた小判を抱えていますが、今戸神社や豪徳寺の招き猫は持っておらず、シンプルな猫だけというスタイルです。昔は猫だけだったものが、次第に小判を持たされるようになったと考えられますね。人間の欲がどんどん深くなっているということでしょうか?
そして最近ではさまざまなカラーバリエーションがあるのをご存じでしたか? 白い招き猫はもう古いといわんばかり、かなりカラフルな猫たちが存在しています。そしてそれぞれの色で招くご利益が異なるとのこと。さっそくいくつか見繕ってきました。
色によってのご利益の違いですが、
●白猫 開運招福
●赤猫 無病息災
●黒猫 家内安全
●金猫 財運出世
●銀猫 満願成就
●黄猫 金運万来
●桃猫 恋愛成就
●緑猫 必勝合格
●青猫 健康長寿
と分けられているそうです。戦隊ものみたいになってきましたが、それぞれのご利益別にそろえていくのがいいみたいです。
まさに戦隊もの! カラフルな招き猫でいろんなご利益もらっちゃいましょう
黒猫は家内安全。上げているのは左足ですね
黒猫は魔除(まよ)けの意味合いもあるとか。西洋では不吉扱いされることも多いですが、東洋では逆の発想ですね。
我が家の黒招き猫ゴマも右前足を伸ばして家内安全を見守ってくれている…はず…
赤猫は無病息災。健康長寿の青猫とそろえれば無敵ですね。割とビビッドな赤なので驚きです
金猫はまさに財運。右前足を上げているのでさらにダブルアップということでご利益ありそうです
では銀猫はというと満願成就と、ちょっとアバウトな立ち位置。何でも願っていいってことですかね
黄猫は金色同様金運なのですが、どうも戦隊もののイメージで食いしん坊という感じです。食費に困らないのかも?
そしてピンクは恋愛! 上げているのはもちろん左足です。この猫に祈願すれば、猫好きなパートナーが見つかるかも?
緑は学力なんですね。これは知りませんでした。これまた鮮やかな緑で見た目もすごいです
こんな感じで最近は縁起物のアイテムとして招き猫が使われていることが多いみたいですよ。今戸神社もそうですが、浅草のお土産屋さんなどに行くと、こういう縁起物招き猫がたくさん売られています。なんというか人間の欲深さというか、困ったときの神頼みという感じが出ていますよね。かくいう筆者もこれだけの招き猫をそろえたので、なんかいいご利益ないかなと期待しています。
昨今の猫ブームにのって、招き猫アイテムも増えておりますが、ガシャポンなどでも人気があるようです。「コップのフチ子」で有名な奇譚クラブからも「PUTITTO 招き猫」なるアイテムが発売されており、当然のごとくコップのフチに引っ掛けられる仕様の招き猫になっています。かなりできがよくて、飾っておくだけでも楽しいですよ。
なんとも憎めないポーズの招き猫たち。カラフルでいろんなご利益がある…といいな
ほかにも海洋堂からもガシャポンの招き猫シリーズが発売中ですし、ミニフィギュアとしての招き猫というアイテムも人気で、特に海外のお土産に好評だそう。北米では「manekineko」とそのまま表記されたグッズが販売されているのを見ますし(ただし、上げている足は甲部分をこちらに向けているとか)、「lucky cat」や「welcome cat」と呼ばれて人気があるそうですよ。
さて実際のご利益の有無は置いておいて、猫という存在が幸運を呼び込む象徴として縁起物となっているのはとても興味深いです。人間のパートナー的な犬は干支にもいますし、化け猫のような妖怪奇譚もなく、平和の象徴といわんばかりですが、縁起物としての扱いは猫のほうが向いていたということなんでしょうか?
縁起物としてのご利益も見込めて、小物、置物のアイテムとしても楽しめる招き猫。できれば上げている足が長〜いものを選びつつ、ぜひお1つご自宅にいかがでしょうか?
これだけの数ならばきっといいことあるはず! と信じています!
そして我が家のもう1匹の招き猫クルミは、前足を上げるのではなく「E」の字に伸ばすという特技を持っています。なんのご利益があるのでしょうか?