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Steinbergの売れ筋USBオーディオインターフェイスにプレミアムライン「UR-RT」登場

デジタル音楽制作ソフト(DAW)の開発で有名なSteinberg(スタインバーグ)から、売れ筋のUSBオーディオインターフェイスに新シリーズが追加された。入力段にアナログトランスフォーマーを搭載する、プレミアム仕様の「UR-RT」だ。アナログならではの深みを加味し、“一段上”のサウンドを目指せる。DTMerやUSBオーディオユーザーは要注目の上位シリーズだ。

UR-RTシリーズの第1弾として、2機種をラインアップ!「UR-RT2」(上)と 「UR-RT4」(下)

定番DAW「Cubase」のSteinbergによるUSBオーディオインターフェイス

USBオーディオインターフェイスは、デジタル音楽制作(DTM)の必須機材。パソコンとUSB接続して、楽器演奏や歌声などの音声をデジタル録音する機器だ。ちなみにデジタルオーディオ鑑賞の世界でも、高品位なUSBオーディオ再生機器として使用するコアなマニア層がいる。音楽の“制作側”にも“聴く側”にも注目される、製品カテゴリーなのだ。

そんな中で近年ヒットしたのが、2015年に登場したSteinbergの「UR22」と、その後継機「UR22mkII」。日本を含め世界的に人気が出て、価格.comでもいまだに売れ筋の1台である。

Steinbergは、DAWやMIDIシーケンスソフトなどの開発を手がけるドイツのソフトウェアメーカーで、同社の「Cubase(キューベース)」は、DAWの定番として知られている。ちなみに、オーディオドライバーのASIO規格や、音楽ソフトウェアのプラグインに関するVST規格を策定したのも同社である。

同社は2005年よりヤマハの傘下に入っており、そのハードウェア製品の開発にヤマハが携わっているのも特徴だ(日本国内での製品取り扱いもヤマハ)。ヒットしたUR22のラインや、今回発表されたUR-RTシリーズも、ヤマハの開発陣が手がけている。

サウンド機能にこだわった上位シリーズ、UR-RTの特徴をチェック!

新シリーズのUR-RTは、「UR-RT4」と「UR-RT2」の2機種をラインアップする。従来のURシリーズより、さらにサウンド機能にこだわった上位ラインに位置づけられる。いずれも、USB 2.0規格に準拠し、オーディオレゾリューションは最大192kHz/24bitまで対応する。

UR-RT4とUR-RT2の違いは、入出力系統の数。UR-RT4は6入力/4出力を備える上位モデルで、UR-RT2のほうは4入力/2出力仕様のコンパクトモデルとなる。いずれも、入力系統の一部がHi-Z仕様になっているほか、内部にClassAのD-PREマイクプリアンプを搭載し、ファンタム電源にも対応している。

上位モデルのUR-RT4。アナログXLR/TRSコンボ入力×4(ch1と2がギター接続対応のHi-Z仕様)、TRSライン入力×2、ヘッドホン出力×2を装備する。MIDI入出力やUSB接続もサポート

こちらは、コンパクトモデルのUR-RT2。アナログXLR/TRSコンボ入力×2 (ch1がギター接続対応のHi-Z仕様)、TRSライン入力×2、ヘッドホン出力×1を装備する。MIDI入出力やUSB接続もサポート

機能面では、DSPミキサー「dspMixFX」や、DSPエフェクト「Sweet Spot Morphing Channel Strip」「REV-X」「Guitar Amp Classics」などを搭載。内蔵する SSP2 DSP チップと これらのdspMixFx テクノロジーにより、さまざまなDAWと組み合わせて活用できる。ループバック機能にも対応する。

なお、本製品のパッケージには64bit浮動小数点オーディオエンジン搭載DAW「Cubase AI」(ダウンロード版)がバンドルされるのもポイント。そのほかに、VSTエフェクト「Basic FX Suite」や、iPad用マルチタッチDAW「Cubasis LE」のライセンスキー、iPad/iPhone用ミキサーアプリ「dspMixFx」などが付属する。

専用カスタムメイドしたRND社のトランスを搭載

そして、UR-RTシリーズの“プレミアム仕様”でもっとも大きいのは、Rupert Neve Designs社(以下、RND社)と協業していること。RND社は、世界初のミキシングコンソールを開発したことでも知られるプロオーディオ機器界のレジェンド、ルパート・ニーヴ氏のブランドだ。

UR-RTシリーズには、このRND社が専用にカスタムメイドしたというアナログトランスフォーマー(変圧器)が搭載されている。トランスフォーマーに強いこだわりを持っていたというニーヴ氏の、いわばレジェンドの思想を継承したサウンド機能を備えると言える。

RND社のロゴが印字された、UR-RTシリーズ専用のカスタムトランスフォーマー。音声の入力信号に対して自然な歪み成分を加え、サウンドに深みと奥行きを与える効果が得られる

UR-RT4(写真上)は4出力なので4基、UR-RT2(写真下)は2出力なので2基のトランスフォーマーを搭載する

UR-RT4(写真上)は4出力なので4基、UR-RT2(写真下)は2出力なので2基のトランスフォーマーを搭載する

天板には、トランスフォーマーの位置にあわせたスリットが入っており、RND社のロゴがチラ見えするようになっている

RND製アナログトランスフォーマーの効果とは?

UR-RTシリーズの開発陣がサウンド作りでこだわったのは、RND社のトランスフォーマーならではの「心地よさ」のエッセンスを入れることだったという。2機種とも、本体のフロントパネルに備えるスイッチで、トランスフォーマー機能のオン/オフを切り替えられるようになっている。オンにすると、サウンドに自然で心地よいサチュレーション感が加わり、モダンビンテージな抜けが得られるように狙っている。

トランスフォーマースイッチでオン/オフを切り替えられる

トランスフォーマースイッチでオン/オフを切り替えられる

以下の動画は、UR-RT4のトランスフォーマー機能のオン/オフを比較するデモの様子。マイクからの音声を分岐させ、UR-RT4のトランスフォーマー機能オンとオフで同時録音されたものだ。前半がトランスフォーマー機能をオフ、後半1分35秒あたりからがオンにした状態での録音音声となる。

動画だと音声のクオリティまではわかりにくいかもしれないが、トランスフォーマーをオンにしたUR-RT4で録音したほうは、サウンドに倍音がより負荷され、高域の響きがシルキーになるイメージ。そのほか、歌モノ系を録音した音源では、オケとボーカルの距離感がより立体的になるといった効果が感じられた。

上記の比較試聴デモを行ったレコーディングエンジニア・峯岸良行氏によると「プラグインソフトでは、歪みや過度特性が出にくい面がある」そうで、アナログのトランスフォーマーだからこそできる表現と言えそうだ。それに、フロントパネルのボタンを押すだけで、これらのサウンド効果を得られるという手軽さもメリットだろう。DTMでもUSBオーディオでも“一段上”のサウンドを実現できる、注目の新シリーズだ。

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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