ヤマハから、2020年の楽器新製品が一挙に発表された。おなじみのキーボードからギター、ドラム、同社が展開する「Steinberg」や「Line 6」といったブランドの製品まで、「NAMM 2020」で披露された話題のモデルが目白押し! それぞれ演奏動画も交えながら紹介していこう。
まずはこちら。ヤマハとSteinbergの共同開発によるUSBオーディオインターフェイス「UR-C」シリーズに加わる新モデルとして、「UR24C」が発表された。市場想定価格は22,000円前後で、2020年4月22日発売予定としている。
Steinbergの「UR」シリーズは、プロからアマチュアまで幅広い層に人気を博しているUSBオーディオインターフェイス。DTMユーザーはもちろん、PCオーディオファンにも使用されている。「UR-C」シリーズはUSB Type-C接続に対応した最新ラインで、オーディオレゾリューションは最大192kHz/32bit(整数演算)に対応。今回発表されたUR24Cは、その中でも2入力/4出力を装備するモデルだ。自宅のDAW環境からステージのDJプレイまで、幅広いユーザーニーズに応える製品として登場した。
アナログコンボ入力×2、D-PREマイク入力×2、アナログ出力×4を装備し、そのほかにヘッドホン出力も1系統備えるUR24C。「UR-C」シリーズとして、2入力/4出力の仕様は初めてとのこと
グレード的には、人気モデル「UR22C」のすぐ上に位置付けられる
製品には64bit Float対応のDAW「Cubase AI」が標準で付属。また、そのほかの「UR-C」シリーズと同様に「dspMixFx」テクノロジーにも対応し、DSP/ミキサーエフェクトによってストレスフリーな制作環境を提供
機能面での大きなポイントは、「ヘッドホンモニターモード」を搭載すること。「DAW」「DJ」の2モードを備えており、それぞれでモニターするアウトプットを切り替えることができるようになっている。
たとえば「DAW」モードは同期演奏での活用例があげられ、左右それぞれのヘッドホンでドラムやベース等のバックトラックとクリック音を切り替えることができる。いっぽうでDJプレイの際に使えるのが「DJ」モードで、再生中の楽曲と次に再生する楽曲のモニター方法を切り替えられるようになっている。
「DAW」または「DJ」のモードに設定したうえで、本体フロントにある「OUTPUT」スイッチを使うと、モニターするアウトプットを切り替えることができるようになっている
「DAW」モードのモニターアウトプット繰り替え例
「DJ」モードのモニターアウトプット切り替え例
ギター製品には、ナイロン弦のエレクトリックアコースティックギター「NX」シリーズも新モデルが登場。クラシックギターの演奏感覚を備えたデザイン「NCX」と、一般的なアコギライクなデザイン「NTX」の2シリーズをラインアップした合計9機種を、2020年3月7日〜秋・冬頃にかけて順次発売する。
12フレット接合の厚めの胴体でクラシックギターライクな「NCX」と、14フレット接合の薄い胴体、狭い指板幅でアコギライクな「NTX」をラインアップ。上位モデルには、2つのピックアップと1つのコンデンサーマイクで高クオリティなサウンドを実現するピックアップシステム「Atmosfeel」を搭載する
ボディ内部には新開発のブレイシング(響棒)を採用し、NCXとNTXそれぞれの胴型に最適な配置とすることで、豊かな鳴りを実現
そのサウンドについては、ボサノバユニット・naomi & goroさんによる以下の演奏動画をご覧いただきたい。
そのほか、サイレントギター「SLG200」シリーズには新カラバリ「クリムゾンレッドバースト」が登場(左)。こちらは2020年3月7日に発売予定で、メーカー希望小売価格は73,000円(税別)。また、エレキギター「パシフィカ」シリーズにも新しいカラバリが登場する(右)
また、ギター周辺機器にも注目製品が多い。「NAMM 2020」で公開され話題となっていたのが、Line 6のギター・プロセッサー「POD」シリーズの最新モデル「POD GO」。定評のあるHXプロセッサーから、アンプ、キャビネット、エフェクトモデルを継承し、クラス最高の性能を実現したという1台だ。コンパクトなボディに、視認性の高い4.3インチのカラーディスプレイや、LED付きのフットスイッチを搭載。こちらは2020年春頃の発売となることが発表された。
本体サイズ230(幅)×88(高さ)×359(奥行)mm、重量2.35kgというポータブル性も魅力の「POD GO」。サードパーティー製インパルス・レスポンスをロードすることで、無限のキャビネット選択が可能。音切れなくトーン切り替えが行えるスナップショット機能も備えている
以下の動画は、ギタリストの阿部学さんによるPOD GOを使用したギター演奏の様子。
ステージキーボードのカテゴリーには、1969年から続くヤマハ「YC」シリーズのアイデンティティを受け継いだ最新モデル「YC61」が登場した。新開発のウォーターフォール鍵盤を備え、持ち運びやすさと演奏性を両立させたモデルとなる。2020年5月頃の発売を予定している。
大きな特徴は、ピアノ、オルガン、シンセサイザーといった基本音色のサウンドクオリティを高めていること。ヤマハのステージピアノ「CP」シリーズのピアノ音色に加え、新開発の「VCMオルガン音源」、80年代を象徴する「FM音源」、リアルな響きの「AMM2音源」を搭載。特にオルガン音源は、アナログ回路を高精度にモデリングして開発されており、アナログ機器の飽和した音や非連続の特性、音の温かみに至るまで忠実に再現する。
重量7.1kgで、ライブハウスやスタジオなどへ背負って歩けるサイズがうれしいYC61。新開発の「セミウェイテッド ウォーターフォール鍵盤」は、グリッサンド奏法や高速連打に最適
ライブ演奏をシームレスに行えるようインターフェイスにもこだわりが。ひとつのコントローラーにひとつの機能を割り当てる「One-to-One」スタイルを基本とし、ボイスやエフェクトなどの専用セクション各所にノブやボタンを配置。オルガン特有のスライド式音量コントローラー「ドローバー」も採用している
以下の動画は、音楽プロデューサー・作/編曲家・ピアニストのYANCYさんがYC61を演奏している様子。
最後に、アコースティックドラムの新製品をご紹介しよう。エントリークラスの「ステージカスタム ヒップ」は、メーカー希望小売価格72,000円(税別)で、2020年5月23日発売を予定している。
こちらは「ステージカスタム バーチ」のコンパクトキットで、20”×8”バスドラム、13”×8”フロアタム、10”×5”タムタム、13”×5”スネアドラムで構成されるシンプルな4点パッケージ。オールバーチ材の6プライシェルとすることでヌケのよいシェル鳴りを目指したほか、浅胴シェルを採用することでさまざまなシーンでセッティングや運搬がしやすいように工夫されている。
150×90cmのスペースに収まるコンパクトなセット。なおフロアタムは響き線であるスナッピー(20本)を搭載しており、フロアタイプのもうひとつのスネアドラムとして使用することも可能
以下は、ドラマーの今井義頼さんによるステージカスタム ヒップのプレイ動画。
オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。