新製品レポート
ヨーロッパの音もアメリカの音も1台で

大聖堂からジャズクラブまで! ローランドの電子ピアノ「LX700」は“演奏空間”も再現する

音は空気の振動だ。だから楽器を演奏するときに、“空間”という要素は結構大きいポイントになる。部屋の大きさや壁の作り、気候や湿度などによっても音の響きは変わり、その空間ならではの特性として演奏音に現れてくるからだ。いわば、空間ごとに音の個性がある。

実際、音楽を聴く側としても、多かれ少なかれ無意識のうちに空間という要素を前提に楽しんでいる面があると思う。たとえば筆者もそうだが、教会音楽として生まれたクラシック楽曲は、やはり大聖堂の壮大な響きでこそ映えると感じたり、ジャズの歴史的名盤を聴くときには、録音当時のザワザワしたジャズクラブの空気感を楽曲の一部として捉えていたりする。

そんな“音楽と空間”の観点でご紹介したいのが、ローランドから新しく登場した電子ピアノ“LX700”シリーズである。この製品、電子ピアノとしてサウンドクオリティを高めているのはもちろんなのだが、さらに“演奏空間の再現性”についても徹底的にこだわっているのが特徴だ。

グレード別に3機種をラインアップ! ローランド電子ピアノの新上位機

LX700シリーズは、ローランドのアップライト型電子ピアノの新しい最上位機に位置づけられる製品。ローランドみずから、「最先端技術の粋を集めた究極のデジタルピアノ」とアピールするシリーズだ。グレード別に以下の3機種をラインアップしており、それぞれの違いは搭載する鍵盤の種類やスピーカーユニットの構成となる。

▼「LX708」
・主なスペックの特徴:ピュアアコースティック・モデリング/ハイブリッド・グランド鍵盤/レスポンシブ・ダンパー・アクション・ペダル/8スピーカー

▼「LX706」
・主なスペックの特徴:ピュアアコースティック・モデリング/ハイブリッド・グランド鍵盤/プログレッシブ・ダンパー・アクション・ペダル/6スピーカー

▼「LX705」
・主なスペックの特徴:ピュアアコースティック・モデリング/PHA-50鍵盤/プログレッシブ・ダンパー・アクション・ペダル/4スピーカー

ローランドの新しい電子ピアノ「LX700」シリーズ。2018年11月23日より順次発売予定。写真は最上位機の「LX708」

最上位機のLX708とLX706は、木材と樹脂センターフレームによる新開発のハイブリッド・グランド鍵盤を搭載する。鍵盤の先端から支点までの距離を長くした新設計で、グランドピアノの弾き心地を追求した。白鍵・黒鍵を異なる支点位置とし、手前側と奥側を弾いたときでタッチ感にそこまで差がないようになっている。下位モデルのLX705のみ、従来のPHA-50鍵盤を搭載

筆者個人的に、ローランド製電子ピアノのポイントはコントロールメニューが日本語表示になっていることだと思っている。もちろん700シリーズもそこは踏襲。日本語でわかりやすいので、子どもが練習するのにもよいはず

ヘッドホン端子は3.5mmステレオミニと6.3mm標準を1系統ずつ装備し、2系統同時出力も可能だ。そのほか、USBメモリー接続用の入力端子やAUX INなどを備える

最上位機LX708は、アコースティック・グランドピアノのペダル特性の再現を図った新機構の「レスポンシブ・ダンパー・アクション・ペダル」を搭載。ペダルの踏み込み時と離したときで、それぞれ足への負荷が異なる荷重変化特性まで再現できるようにした

大聖堂もジャズクラブも。“空間”までモデリングする電子ピアノ

LX700シリーズの大きな特徴は、先述の通り電子ピアノとしての音質やタッチ感に加えて、“演奏空間”の再現性にもこだわっていることだ。そのポイントは、新開発の「ピュアアコースティック・モデリング・テクノロジー」である。くわしく説明していこう。

▼2種類のピアノ音を切り替えられる「ピュアアコースティック・ピアノ音源」

まずLX700シリーズは、内蔵音源に2タイプのピアノ音をモデリングした「ピュアアコースティック・ピアノ音源」を採用している。コントロールパネルにある「ヨーロピアン」と「アメリカン」の2種類のボタンがそれだ。

「ヨーロピアン」を選ぶと、やわらかくて上品なイメージの音になる。対して「アメリカン」はモダンで力強い印象のサウンドだ。1台のピアノで、ヨーロッパで弾くピアノ音と、アメリカで弾くピアノ音を、楽曲や気分に合わせて自由に選択できるのだ。

ボタンを押すだけで、「ヨーロピアン」と「アメリカン」のサウンドを簡単に切り替えることが可能

ボタンを押すだけで、「ヨーロピアン」と「アメリカン」のサウンドを簡単に切り替えることが可能

▼大聖堂やスタジオなど“空間”を選べる「ピュアアコースティック・アンビエンス」

そしてさらに注目したい機能が、「ピュアアコースティック・アンビエンス」。これは、コンサートホールやスタジオなど“空間”によって異なる音響特性をモデリングしたものだ。「スタジオ」「ラウンジ」「コンサートホール」「木壁のホール」「石壁のホール」「大聖堂」という6種類の“響き方”が搭載されており、それぞれ響きの深さを12段階で調整して設定できる。

空間ならではの音響特性をモデリング。上の画像の設定にすると、「石壁のホールで弾いているかのようなピアノ音の響き」を楽しめる

つまりLX700シリーズは、「2タイプのピアノ音源」「6タイプのアンビエンス」「アンビエンスの調整値」を組み合わせて、さまざまな響きの空間を作り出すことができるのだ。実際に設定をいろいろ変更しながら弾き比べてみると、同じ空間にいながら“響き方”が一気に変わっておもしろい。

なお、ローランドが推奨する12種類の組み合わせもプリセットされていて、「マイステージ」ボタンを押せばそれらを呼び出すことができる。「教会のコンサート」や「NYジャズクラブ」などの名称が付いていて、イメージが湧きやすい。自宅にいながら、簡単にヨーロッパの教会やアメリカのジャズクラブで演奏しているような気分に浸ることができる。

サウンドの組み合わせ設定は、ローランドが推奨する12種類のプリセットメニューから選ぶと簡単! 上の写真のほかに「印象派のサロン」などの名の付いた組み合わせもある

新設計スピーカー「アコースティック・プロジェクション」

上述のさまざまな空間の音の再現性を高めるため、LX700シリーズには新設計のスピーカー「アコースティック・プロジェクション」が搭載されている。機種のグレードによって搭載するスピーカーユニットの数は異なるが、基本として「各ユニットからピアノの異なる成分を放出し、空間で合成することでフルコンサート・グランドピアノ特有の響きと音場を再生する」という点はシリーズを通して共通している。

高さのある本体とフロント部のワイドスリットを生かし、ピアノ全体が豊かに鳴るような設計としている。最上位機LX708のみ、本体上部のフタをオープンにしてより豊かにサウンドを響かせることができる

最後に

電子ピアノと言うと、一般的には子どものレッスン用というイメージが強い。しかしローランドは、カリモク家具とコラボレーションしたインテリア性の高い電子ピアノ「Kiyola」など、これまでに大人が趣味で楽しめるような製品も手がけてきていた。その点、今回のLX700シリーズに関しても同じで、ヨーロッパの音もアメリカの音も1台でサポートし、音の“空間性”まで楽しめるという機能性はかなりのポイント。もちろんレッスン用に使うのもアリなのだが、ピアノへの造詣が深い人ほどその魅力を追求できる、究極的に趣味性の高い電子ピアノと言える。

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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