池野恋、陸奥A子、萩岩睦美、岡田あ〜みん。少女漫画雑誌「りぼん」で1970〜80年代に活躍した漫画家と、通販のベルメゾンがコラボした「りぼん×ベルメゾン」企画で、さまざまなグッズが展開されていることをご存じでしょうか?
当時、青春を過ごした(元)少女たちのハートを撃ち抜いて、ネットを中心に「ありがとうベルメゾン」とメチャクチャ盛り上がっているんです。
ベルメゾンと「りぼん」、まったくつながりがなさそうだけど、今回の企画はどうやって実現したのか? 開発を担当したベルメゾンの上本さんに話をうかがいました。
――ベルメゾンさんで、こういった漫画のグッズを扱っているイメージがありませんでしたが、企画したきっかけは?
上本 ディズニーやサンリオのグッズは取り扱っていますが、懐かしい漫画のグッズというのは初めてですね。
きっかけは、京都国際マンガミュージアムさんでやっていた「りぼんのふろく展」を見に行ったことです。
私が小学生のとき、読んでいた時代のふろくの前に立ったら急にいろいろと思い出して。「あーっ、これ持ってたー! すごいかわいいやん!」って。今見てもかわいいし、懐かしいし。興奮しすぎて涙が出るわ鼻水が出るわ!
この興奮を誰かと共有したくて、展示を見ている人に話しかけそうになったんですけど、さすがにアブないので、知り合いに「すごい展示会やっているから見に行って」とLINEを送りまくりました。
いきなりテンションマックスで語りまくる上本さん
――その勢いで商品企画をしてしまった感じですか?
上本 「りぼんのふろく展」のときは、当たり前ですけどガラスケースの中に飾られていたので、「欲しい! 触りたい!」と思っても触れず。メルカリとかも調べたものの、高いんですよね。だったら自分で作ろうかなと。
当時は生活雑貨の便利グッズなどを開発する部署にいたんですが、キャラクターグッズも広い意味で雑貨の範囲に入るんじゃないかと。男性の上長に話をしたら「よくわからないけど、おもしろそうだからやってみたら?」と言ってもらえて。
当時のふろくを復刻した「ときめきトゥナイト」トランク風クラフトボックス
――そういうチャレンジングな企画にも理解があるんですね。もちろん、集英社さんや漫画家さんへの許可取りも必要ですが、そのへんもすんなり通ったんですか?
上本 社内の知り合いをたどってご連絡をさせていただき、企画書というよりは熱い思いを綴ったお手紙みたいなものを送りまして、OKをいただきました。
――このラインアップになった理由は? 漫画家さんのセレクトはどのようにされたんでしょうか?
上本 知らない漫画家さんのグッズは作れませんから、私が好きだった漫画家さんという基準です!
池野恋先生、岡田あ〜みん先生、萩岩睦美先生は当時から大好きでしたし、陸奥A子先生は、私が読んでいた時期からは外れるんですが、親しい先輩に教えてもらって、すごくかわいい絵で好きになったし……という感じです。
偏ってるけど愛にあふれたラインアップ!
(元)乙女たちをザワつかせた、まさかの岡田あ〜みんグッズ
――諸々の許可がおり、いざ作る段階は相当楽しかったんじゃないですか?
上本 そうなんですよ! 何が楽しいって、原画データを今、この瞬間独り占めさせていただいているという喜び! デザインのレイアウトは全部自分で決めたんですけど、Photoshopで切り貼りして並べているだけで楽しいし、メーカーさんからサンプルが上がったときにも「すっごいかわいい!」って感動して!
どれもこれもかわいい絵柄ばかりで、あれも欲しい、これも欲しい……と。自分でも買っていますからね。
――ええーっ!? 会社からもらえないんですか?
上本 もちろん自分で買いました。自分で買うほどの商品なので自信を持っておすすめできます。
上本さんから送られてきた会社のデスクの写真。本当に使ってます
会社から支給されたパソコンにもシールを貼っちゃってます。「ホントはダメだけど、黙認されています」とのこと
――当時のふろくっぽさもありつつ、大人でも使えるデザインになっているのも好評の理由じゃないでしょうか。
上本 ターゲットは30〜40代の大人の女性なので、やっぱりキャラクターをドーンみたいなのは恥ずかしいかなと。インテリア寄りのデザインを意識しつつ、「この柄だったら堂々と外で使える」というデザインにしました。
大人でも堂々と使える(?)デザイン
――社内で、口を出してくる人はいませんでしたか? 「『りぼん』コラボをやるのに何でコレを入れないんだ!」みたいな。
上本 いましたいました! 「○○は入れないの?」「●●時代を知っているか?」とか、いろいろ言われましたよ(笑)。
――お客さんからの反響もすごかったんじゃないですか?
上本 第1弾は昨年の8月11日に発売したんですけど、昼にプレスリリースを出して、Twitterで告知して、「反応あればいいなー」くらいに思っていたら、バズッて。翌日からお盆休みだったのでめちゃめちゃ焦りました。
初めてチャレンジする商品だったので、最初、そこまで大量に在庫を積んでなかったうえに、受注が殺到しちゃって、追加発注したくてもメーカーさんもお盆休みで。休み明けに出社したらほとんど売り切れになっていたので、在庫担当の人間から「何でこんなに売れているんだ!?」って問い合わせが来ましたから。男性なので、知らない漫画のグッズが急に売れて理解できなかったみたいです。
ベルメゾンの常識でいうと、「布団カバーは夏になると売れる」「フォトアルバムは年末に売れる」みたいなセオリーがあるんですけど、それとはまったく関係のない売れ方をしていたので、「とにかく在庫切らさないように注意してください!」と、在庫担当の男性の肩を揺するくらいの勢いで説明して回って。
――それだけの反響があったからこそ第2弾、第3弾と続いたわけですね。
上本 当初、次のことまでは考えていなかったんですけど、反響がすごいし、私自身も作っていて「まだ欲しい」と思っちゃって!
――しかし普通、第2弾、第3弾をやるなら、ほかの漫画家さんにするとか、年代を変えるとか横に広げるもんじゃないですか。同じ漫画家さんをさらに深掘りしていったのは意外でした。
上本 まだまだかわいい絵がたくさんあったんで、そのグッズが欲しかったんですよ! ……ということで、第3弾まで同じ漫画家さんで作っちゃいました。
――そして新たに池野恋先生とのコラボ商品も発売されましたね。
上本 「りぼん」コラボとは別の企画で、池野恋先生のデビュー40周年記念として「ときめきトゥナイト」の記念グッズを作りました。やはり私も、ベルメゾンのお客様的にも、一番思い出に残っていると思うので。
これまではふろくをイメージしたグッズが多かったんですが、今回は抽選のプレゼントに近いイメージの、ちょっと高級感のあるラインアップになっています。
【池野恋40周年コラボ】愛の指輪 おとなver.
【池野恋40周年コラボ】プリントパーカ
【池野恋40周年コラボ】掛け時計
【池野恋40周年コラボ】両面違う柄のタオルハンカチ2枚セット
【池野恋40周年コラボ】ステンレスタンブラー 340ml 2柄セット
【池野恋40周年コラボ】ハウス型クラフト収納ボックス
【池野恋40周年コラボ】プリント玄関マット
――今後の予定は?
上本 今のところ予定はありませんが、みなさんの反応次第では、さらに新商品を出すこともありえると思います。私のやる気はありますので、よろしくお願いします!