1990年代なかばのギャル文化が華やかなりしころ、とあるボールペンが超絶大ヒットしました。あまりの人気に文房具店では売り切れが続き、ついにはメーカーが新聞で「生産が追いつかずごめんなさい」という旨の一面広告を出したほど。
その爆売れボールペンというのが、ぺんてるの「ハイブリッドミルキー」です。黒い紙や写真の上からでもくっきりと書けるミルキーは、当時登場したばかりの「プリクラ」(プリント倶楽部)やインスタント写真の「チェキ」に書き込む用のツールとして大ウケし、当時のギャルの必須アイテムと言われたほどでした。
で、時は流れて令和の現在。あのミルキーペンの後継とも言える、超カラフル落書き専用ボールペンが新たに登場しました。さて、この新しいボールペンは、現代JKの必須アイテムとなるのでしょうか?
ぺんてるから発売された「MATTEHOP(マットホップ)」は、これまでにないマットな発色のゲルインクボールペンです。ラインアップは全14色で、好きな色から単品で揃えていくのも楽しいですが、お菓子の箱のようなパッケージを採用したセット製品もかわいくておすすめです。
原色系から甘め系まで全14色をラインアップしている「MATTEHOP」(ぺんてる)。ボール径は1.0mmのみ
7色入りセットは「オリジナル」「スイート」の2種類を展開。“お菓子の箱”風のパッケージがかわいい!
マットな発色、と言われてもピンと来ないかもしれませんが、従来のボールペンのカラーインクと比べるとまったくの別物。白地でも黒地でも非常にクッキリとした発色を楽しめて、隠ぺい性(紙の地色を塗り潰して見えなくする性能)もかなり強くなっています。
白地でも黒地でも超クッキリ
メリハリのある発色は、ボールペンというよりも、三菱鉛筆の「ポスカ」などの不透明インクマーカーに近い雰囲気。ボールペンで「ポスカ」のような色が塗れると考えれば、画材としても注目する価値はありそうです。
マットな発色は「ポスカ」にかなり近い感じ。ボールペンでこの色が出るのは驚きです
ただし、発色の印象が似ていても、それを生み出す仕組みはまったく異なります。
「ポスカ」や「ハイブリッドミルキー」は隠ぺい性の強いチタンホワイト(白色顔料)を配合しているのですが、これに対して「MATTEHOP」は、大粒の顔料を高濃度で配合。大粒の顔料が紙面をしっかり覆いつつ、光を乱反射させることで、高い隠ぺい性と低光沢のマットな発色を生み出しているというわけです。
「MATTEHOP」インクのイメージ。みっちりの大粒顔料で光を散らしてマットな色を出す仕組み
このために、「MATTEHOP」は発色も白っぽくならずクッキリします。ただしその代わり、黒地の上では、インクが乾いて顔料粒が紙に定着するまでは、隠ぺい力が発揮できません。
1分ほど待てば、インクが乾燥するとともにじわじわと色が出てくるんですが、しばらくはうっすらとして筆跡も見えづらい状態になります。このあたりはちょっと気になるポイントかも。
筆記後すぐ(写真左)から1分ほど経過したもの(写真右)。最初は不安になりますが、待っていればきちんと色が出ます
このボールペン、もちろん文字の筆記にも使えますが……やはりメインの用途は、ハデッハデに落書きして遊ぶ用でしょう。
インクのノリがよく、フィルム素材や写真、マスキングテープなど割と何にでも書けるので、かなり多彩に遊べます。たとえば、「プリクラ」や写真を貼り込んだアルバムをデコるのにもかなり有効に使えるはず。
昨今のJK文化のひとつである、思い出の写真などを貼って友人や恋人に送る「JKアルバム」作りにも活躍。ゴリゴリに目立つ1冊が作れます
また、JK文化として定着している「お菓子パッケージへの落書き」にもぴったり。光沢のある紙箱にマットな発色の書き込みという組み合わせは、かなりインパクト大です。
身近なものにフリーダムに落書きするだけでもテンションが上がります
メーカーが想定しているであろうメインターゲットは間違いなくZ世代なんですが、誰が使っても楽しさは変わりません。普通にイラスト用の画材としても使えそうですし、店舗で目立たせたい掲示用POP作りなんかでも活躍してくれるでしょう。
これほど発色が楽しいボールペンはほかにありませんし、まずは試しに1〜2色だけでも手に取ってグリグリと塗ってみると、その鮮やかさに「おおっ!」とテンション上がると思います。