ボールペンのインク色として数年前から注目されているのが、いわゆる「カラーブラック」と呼ばれるもの。これは「ブルーブラック」や「レッドブラック」など、黒に近いレベルに濃い色のことで、「パッと見ではブラックだけど、実はよく見ると違いがわかる」という遊び感がウケて、筆記具好きを中心に人気が高まっています。
2020年に発売されたサクラクレパスの「ボールサインiD」は、なんと「6色すべてがカラーブラック」という衝撃的なラインアップで大ブレイク! 実際、これがきっかけとなってブームが起こり、各社からカラーブラックのペンが多数発売されることになったほどです。
そんなブームの火付け役となったサクラクレパス「ボールサインiD」シリーズから、新たに多色モデルとして「ボールサインiD 3C」が発売されました。
インクの組み合わせは
(A)「ピュアブラック×ブルー×レッド」
(B)「ナイトブラック×ピュアブラック×レッド」
(C)「フォレストブラック×ピュアブラック×レッド」
の3タイプ。ボール径はいずれも0.4mmです。
「ピュアブラック」はベーシックな黒なので、つまり(A)が「黒×青×赤」の一般的な多色ペンで、(B)(C)が「カラーブラック×黒×赤」という組み合わせです。
インクの色にカラーブラックをラインアップした3色ボールペン「ボールサインiD 3C」(サクラクレパス)。軸色はブラックとホワイトの2種類が用意されています
一般的に、「黒×青×赤」の3色ペンは、黒をメインの筆記色として、青をサブの筆記色、赤を訂正色として使うことが多いのではないでしょうか。筆記色を使い分けるという意味では、従来の「黒と青」と同じように、「カラーブラックと黒」でも使い方に大きな変化はないはず。
書き味はややカリッとして落ち着きのあるタイプ。手帳など小さな文字の筆記においても使いやすそうです
インクの色味を比べてみると、「ナイトブラック」は知的な雰囲気のブルーブラックで、使うだけでいかにも「デキる大人」を演出できるでしょう。そして「フォレストブラック」は気持ちをリラックスさせるようなグリーンブラックで、落ち着いて文章を書きたいときなどによさそうです。
好みのカラーブラックをメインの筆記色にして、「ピュアブラック」をサブの筆記色に回す、という遊び心のある使い方も楽しめると考えると、ちょっとテンションが上がるのではないでしょうか。ビジネス書類などオフィシャルなものを書くときは「ピュアブラック」に切り替えられるので、TPOの面からも安心です。
「ナイトブラック」や「フォレストブラック」は、単色モデル「ボールサイン iD」でも特に人気のカラーです
軸をよく見ると、スライドノックにカラー表示用のノブがちまっと付いています。この粒のような形状のノブは、スライドノックを押し込む際の指がかりの役割も担います。
小さすぎて使いづらそうに見えますが、エラストマー製なので意外と指がかりがよく、実用性としてはこれで必要十分という感じ。
摩擦力を感じられるエラストマー製で、見た目よりはノックしやすいはず
ただ、(B)(C)の組み合わせの場合、彩度・明度ともに近いカラーブラックと「ピュアブラック」が並ぶので、この小さいノブでは見分けが非常につきづらいのが悩みどころ。もう「カラーブラックはクリップに向かって右側で、ピュアブラックはクリップ裏側」とノックの位置を覚えたほうがよいかもしれません。
(A)の組み合わせでは「ピュアブラックがクリップに向かって右側、ブルーが裏側」、(B)(C)の組み合わせでは「カラーブラックがクリップに向かって右側、ピュアブラックが裏側」に配置されています
グリップ部分は、「ボールサインiD」シリーズ共通の「iD設計」を採用。円筒形の一部を削ぎ落としたような形状で、握った際に指がフィットするように設計されています。
ただし、とてもツルツルした質感なので、そもそものグリップ感が弱い。上位モデルの「ボールサインiDプラス」ではマットな質感のグリップが採用されていて握りやすさが向上していただけに、ここだけはちょっと残念に感じました。
グリップはツルツルとしていて、手汗をかくとほぼ確実に滑ってしまいます。ここは改善してほしいポイントでした
まだ改善してほしいポイントはあるものの、すでにカラーブラックのペンを愛用している人なら、この多色モデルはまさに待望の一本といったところでしょう。カリッとした筆記感で小さな文字も書きやすく、手帳と組み合わせて使うのにも向いてそうなので、ぜひ試してみてほしいです。