みなさん、2025年も年明けからよく眠れていますか? 人は一生の3分の1程度の時間を睡眠に費やすと言われているだけに、毎日の睡眠の質は重要です。心地よく眠り、すっきりと目覚めたいものですよね。そこで今回は、睡眠改善の手軽な方法として、寝具、とりわけ枕の買い替えを提案します。今回買い替え候補のひとつとして注目した製品は、太陽の「ヒツジのいらない枕 至極」。価格.comの「枕」カテゴリーにおける人気商品ランキングでもトップを維持しており、「無重力のようなやわらかさ」「秒で寝落ち」といった声も聞かれるウワサの枕です。実際に1か月間以上試した個人的な感想をレポートします。
まず、「ヒツジのいらない枕 至極」を試してみた筆者自身、より心地よい睡眠を得るために枕を買い替え続け、過去に買った枕は10個以上。いわゆる枕マニアなのです。過去には、低反発ウレタン枕や高反発ウレタン枕、ラテックス枕、パイプ枕などを使ってきました。
低反発ウレタンは包み込まれる感触で頭部が安定しますが、暑くて湿気が溜まるのが好みでなく、かといって高反発ウレタンも、クッション性がいまひとつ好みに合わず…と、さんざんわがままを言ってきました。今は、高さ調整ができるパイプと低反発・高反発ウレタンを組み合わせたハイブリッドタイプの枕に落ち着いています。
ところが、このハイブリッドタイプの枕ももう一歩。通気性がよく、ウレタンとの組み合わせでクッション性も高めてあるのですが、ストレートネックの筆者には少し硬めの寝心地に感じられ、朝起きたときに肩こりがしたり、あごのあたりがこわばったりします。
そこで、発売後からマークしていたのが、今回レポートする「ヒツジのいらない枕 至極」。「無重力のようなやわらかさ」とか、「秒で寝落ちする心地よさ」などと評価する声もありますが、さんざん枕選びで悩んできた身としては、「本当か?」と疑ってしまうところもあったので、思い切って試してみました。
「ヒツジのいらない枕 至極」を箱から取り出してみて、まずびっくりしたのが、その柔軟性。グニョっと曲がるほどやわらかいです。敷布団やマットレスの上に置けば安定しますが、一瞬、「んー、どんな寝心地なのだろう」と不安にもなりました。ところが、枕に頭部を乗せて仰向けになってみた瞬間、そうした不安も払拭。「あ、これいい!」。頭部が軽くなったかのように、ふわりとして心地よいのです。
TPE(熱可塑性エラストマー)は柔軟性が高く、落とすとグニャと曲がってしまうほど。もちろん、敷布団やマットレスに置けば安定した状態になります
無重力とは言い難いまでも、今まで使ってきた枕と比べると、頭の重さがかなり軽く感じられました。そのまま横向き寝の姿勢になりましたが、あごや首のあたりにもよくフィットするので、肩から上が本当に楽です。「ウォーターベッドが枕になったら、こんな感じになるのかなぁ」と思ったほど。
低反発枕のようなクッション性の高い枕でも得られない、頭部が浮くような感覚が新鮮です。頭部や首、肩にちゃんとフィットしますし、意外と反発力もあるので、高反発ウレタンの枕より寝返りが打ちやすく、「これは万能に近いのでは!?」とさえ思いました。
TPEが三角格子状に加工されており、格子の辺で重さを支えるので、広範囲に重さを分散できます
どうしてこんなにすぐれた枕ができたのか!? その秘密は、クッションの素材と構造にあるようです。「ヒツジのいらない枕 至極」には、医療などの先端産業で用いられているTPEという高分子材料が用いられていますが、まずこの素材がかなりクッション性にすぐれています。
TPEの三角格子を引っ張ってみました。素材がやわらかいので、こんなに伸びます
しかも、大きさの異なる三角格子状に加工されたTPEを、2層重ねた構造になっていて、表面の小さな格子が頭部の重さを広範囲に分散し、その下部の大きな格子が土台となって上部からの重さをしっかりと支えます。そのため、頭部を乗せたときに、軽やかなフィット感が楽しめるのです。
枕の表面。三角格子がクロスしているので、頭部を三角格子の辺が受け止め、重さを広く分散します
枕の裏面。三角格子がクロスしているのは同じですが、格子がより大きく、枕の外周が壁のようになっているため、土台のような働きをし、上部からの重さをしっかりと支えます
TPEは化学素材のため、水やぬるま湯でそのまま水洗いができて衛生面も安心。付属のテンセル製の専用枕カバーも手洗いができます。枕は頭部の湿気が溜まるものだけに、まるごと水洗いができるというのはポイントが高いです。常に清潔な状態で使えるので、心地よく眠れます。
しかも、TPEに活性炭を塗布してあるので、汗などの嫌な臭いがしないのもうれしいポイント。TPE特有のゴムのような臭いもしません。
思い切って洗面台で洗ってみました。1か月程度使っただけでも、格子の中に入った髪の毛がごそっと出てきたので、定期的に水洗いをしたいところです
また、TPEは耐久性が高いのも特徴です。メーカーによれば、10年間の寝返りを想定した8万回の圧力試験をクリアしたとのことです。本製品はAmazonでの価格が15,800円(2025年1月29日時点)と決して安くはありませんが、長く使えることも考えれば、少し頑張って予算をかけても後悔は少なそうです。
「ヒツジのいらない枕 至極」のサイズは、約54(幅)×35(奥行)cm。枕の手前側が高さ約10cm、奥側が約8cmとなっており、後頭部の丸みにフィットするように、中央部が窪んでいます。クッションの柔軟性が高いので、女性から男性まで、さまざまな体格の人の体にフィットすると思います。
付属の枕カバーは、上質なテンセル素材でやわらかい感触。枕のサイズは、約54(幅)×35(奥行)×8〜10(高さ)cmで、シングルサイズの敷布団にも置ける標準的なサイズ感です
枕選びは、実は意外と難しいものです。自分に合った枕の高さを知ることがまず一歩ですが、高さの合う枕をいざ試してみても、「フィット感はよいけれど通気性が悪い」とか、逆に「寝返りが打ちやすいけどフィット感がいまひとつ」など、あちらを立てればこちらが立たず、ということがよくあるからです。
その点、TPE素材を三角格子状にした「ヒツジのいらない枕 至極」は、低反発ウレタンや高反発ウレタンでも得られないようなふんわりしたクッション性と、高い通気性を両立させています。TPEを用いた枕は最近よく見かけるようになりましたが、本製品ほど、しっかり作り込まれた製品は少ないでしょう。
枕は、買い替えて使い始めると、1週間は違和感を覚えるものですが、「ヒツジのいらない枕 至極」については、使い始めてすぐに慣れました。初日はTPE特有のゴムのゴワゴワした感じが気になりましたが、数日も経つと違和感なし。ゴム特有の匂いも気にならないし、通気性もよくて、いいことづくしです。
もちろん、15,800円というのは、おいそれと手を出せる価格ではないかもしれません。ただ少なくとも、枕マニアの私がこれまで試してきた10個以上の枕のなかでは文句なしのNo. 1でしょう。「ヒツジのいらない枕 至極」で、心地よい眠りを楽しんでみてはいかがでしょうか。