毎日の睡眠の質を改善するなら、寝具を買い替えるのが近道。特にマットレスは、長時間体重を支えるものだけに、自分の体に合ったものに交換すれば、睡眠の質改善に効果が期待できる。
最近は、加工の自由度が高くて価格が手ごろなウレタンフォームを用いたマットレスが人気だが、今回は、ウレタンフォームの特性を最大限に生かした話題の「コアラマットレス」に注目。シリーズでもスタンダードモデルに当たる「コアラマットレスプラス PLUS」 (以下、「コアラマットレスプラス」)を実際に2か月間使用してみた。機能解説とともに、寝心地や睡眠の変化などをレポートする。
今や幅広いユーザー層に支持されるようになったウレタンフォームのマットレス。だが、ひとくちにウレタンマットレスといっても、低反発マットレスと高反発マットレスがあり、それぞれにメリットとデメリットがある。
低反発マットレスは包み込まれるようなクッション性が楽しめるが、弾力が低いため、寝返りが多いと疲労感をともなうことがある。いっぽうの高反発マットレスは、やや硬めのクッション性だが、弾力が高く、押し込んでから元の状態に戻るまでの時間が短いため、寝返りが打ちやすい。
最近は、高反発マットレスのほうが好まれる傾向にあるが、低反発マットレスならではの包み込まれるような感触を好む人も多くいる。そこで、「コアラマットレスプラス」は、低反発ウレタンと高反発ウレタンを組み合わせた複層構造のクッションを用いることで、それぞれのメリットを両立させている。
この複層構造において、クッション性や体圧分散性に効果をもたらすのは、厚さ約6cmのクッション「クラウドセル」と、5つのゾーニングのサポート層、そして最下部の高反発ウレタンフォームの3つ 。なお、クッションとそのほかのパーツをすべて合わせたマットレスの厚さは、約23cmと肉厚だ。
厚さ約23cmの「コアラマットレスプラス」の内部構造。最上部に「リバーシブルカバー」、その下に「クラウドセル」、竹炭シート、5ゾーニングのサポート層、最下部に高反発ウレタンフォームが重なる
ジッパーを開いてリバーシブルカバーを開けると、低反発ウレタンフォームの包み込まれるようなクッション性と、高反発ウレタンフォームの高い弾力を兼ね備えた独自素材の「クラウドセル」がある。
「クラウドセル」の厚さは約6cmで、同シリーズの下位モデル「オリジナルコアラマットレス」と比べて約20%詰め物が増量 されている。両面の硬さが「ふつう」と「かため」に分かれており、好みや気分に合わせて面をひっくり返して使える。
実際に両面どちらにも横になってみたところ、包み込まれるような感触や、適度な弾力があるので寝返りが打ちやすい点は共通で、素材の硬さだけが異なる印象だった
「クラウドセル」の下には、抗菌加工の竹炭レイヤーを挟み、体の曲線に合わせてゾーンごとにクッション性を最適化した5ゾーニングサポート層 がある。このサポート層は、就寝中に体の重さが集中しやすい腰の部分のクッションを硬めにしたいっぽう、首などのクッションをやわらかめにすることで、横になったときに、体への負担が少ない理想的な姿勢を維持してくれる。また、クッション性を調整するための溝を設けることで、通気性も高めている。
5ゾーニングサポート層のイメージ。寝ているときに負担のかかる腰の部分はウレタンフォームの溝を浅くしてクッションを硬めに、首など負担の低い部分は溝を深くすることでクッションをやわらかめにするなど、肩、背中、腰、膝、脚に当たる5つのゾーンで硬さを変化させている
マットレスの最下部には、高反発ウレタンフォームを用いた厚めの振動吸収層がある。マットレスに2人以上で寝ていると、どうしても隣の人の寝返りなどによる振動が気になるものだが、「コアラマットレスプラス」では、そうした振動を素早く吸収するため、カップルや夫婦、親子で寝るのにも適している
「コアラマットレスプラス」は振動の吸収が速く、周囲に揺れを伝えにくいため、2人以上で寝たときもほかの人が振動を感じにくい。試しにコーヒーを入れたカップをマットレスの上に置き、周囲を押し込んでみたが、カップが倒れ込むことはなかった
続いて、実際に2か月間使用してみた感想をレポートしよう。自宅では約8年前に8万円程度で購入した海外メーカーのポケットコイルマットレス を使っていたが、すでにクッションがへたっており、腰の部分が沈み込んで負担がかかるためか、寝起き時にだるさを感じていた。
これを「コアラマットレスプラス」に交換したところ、腰のあたりが沈み込まないので負担を感じることもなく、使用して1か月も経ったころには、腰のあたりのだるさが気にならなくなっていた。この変化は、5ゾーニングサポート層による効果が大きいものと思われる。
特に、「コアラマットレスプラス」に寝てみて印象的だったのが、包み込まれるような感触と弾力の高さ。ふんわりと包み込まれる感触ながら、適度な弾力があり、寝返りも打ちやすい。確かに低反発マットレスと高反発マットレスのメリットが両方生かされており、コイルマットレスとは違うやわらかい感覚だ。
クラウドセルをひっくり返して硬さが変更できるのも便利。シングルで8万円からの価格となると、それなりの価格。海外メーカーのスタンダードモデルよりは手ごろだが、どのくらいの硬さのものを選べばよいか迷いそうだ。その点、「コアラマットレスプラス」は硬さを選べるため選びやすい。
なお、筆者はどちらかというと、やわらかいマットレスのほうが好みで、これまで使っていた海外メーカーのマットレスもやわらかめだった。それと比較すると、「コアラマットレスプラス」の「ふつう」の硬さは、コイルマットレスの「やわらかめ」に相当する感覚だった。それでも、腰など重さの集中する部分はしっかり支えられているので、「やわらかいがしっかりした寝心地のマットレス」という印象だった。
リバーシブルカバーをジッパーで開けてアクセスできる、厚さ約6cmのクラウドセルは、「かため」と「ふつう」で好みの硬さを選べる。マットレスの硬さは、どれくらいのものにするか購入時に迷うものだが、「コアラマットレスプラス」なら迷わず選べそうだ
マットレスレスを交換すると1〜2週間は違和感を覚えるのが一般的だが、「コアラマットレスプラス」の場合も、使用して2週間を過ぎたころには、包み込まれるような感触と弾力の高さが体に馴染み始めていた。1か月、2か月と使っていくと、腰のだるさも解消され、「心地よくていつまでも寝ていたい」という感覚になってきた。コイルマットレスとはまた違うふんわりとした感触が、クセになりそうだ。
確かに、「コアラマットレスプラス」のユーザーがよく評価する、「寝つきがよくなる」「目覚めがよくなる」というのにもうなずけた。表面のクッション性がよく、通気性も問題ないので入眠までの時間が短くなり、弾力があって寝返りが打ちやすいためか、今までよりすっきりと目覚められるからだ。
また、ジッパーで取り外しできる最上部のリバーシブルカバーをひっくり返すことで、夏向けと冬向けを使い分けられるのも便利。季節や気温に合わせて心地よい面を使い分けられるし、湿気が溜まってもすぐに洗濯できるので、メンテナンスが簡単。ユーザーの使いやすさによく配慮していると感じた。
リバーシブルカバーはジッパーで取り外しが可能。夏向けのひんやりした肌触りの面と、冬向けの暖かくふんわりした肌触りの面を使い分けられる
リバーシブルカバーは洗濯機で丸洗いが可能。手入れが簡単なのもうれしい
「コアラマットレスプラス」は、ウレタンフォームならではの包み込まれるような感触と、高い弾力を実現しているだけに、ウレタンフォームのクッション性が好みに合う人はそれだけで選んでも後悔が少ないだろう。さらに、リバーシブルシートや「クラウドセル」をひっくり返せば、好みの温度や硬さに変えられるのも、マットレス選びで迷わなくてよい。
本製品の価格は、2025年6月19日時点の公式サイト直販価格がシングルで8万円程度 。マットレスの価格はピンキリだが、「コアラマットレスプラス」と同等の寝心地が得られる海外メーカー製マットレスのスタンダードモデルなどと比べると割安だ。コイルマットレスも含めて、比較的手ごろな価格で上質なマットレスを検討しているなら、「コアラマットレスプラス」はぜひ選択肢に入れておきたい。
また、コイルマットレスと比較した場合、ウレタンフォームは通気性で劣ることも多いが、「コアラマットレスプラス」の内部構造を見ると、「クラウドセル」の表面にメッシュ地が使われていたり、5ゾーニングサポート層の上に竹炭シートが入っていたりと、通気性対策はしっかりと施されている。
耐久性についても、「コアラマットレスプラス」は10年保証が付いてくるので、あまり心配はいらないだろう。120日間のお試し期間があり、もし合わない場合は無料で返品できる。最新の技術を凝縮したウレタンフォームならではの寝心地を、約23cmの肉厚なマットレスで楽しみたい人には、ぜひ試してみてほしい製品だ。