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教育・住宅・老後資金の悩みを解消。人生の節目で役立つ“家計のドクター”「FP」活用術

皆さん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの平野雅章です。
「結婚」「子どもの誕生」「マイホームの購入」など人生の節目では、経験したことのないさまざまな判断が必要になります。そんなときに頼りになるのが「ファイナンシャルプランナー(以下、FP)」です。
人生の夢や目標をかなえるために資金計画を立て、お金の面から実現に導く方法を「ファイナンシャル・プランニング」といいますが、それには家計に関する金融、保険、住宅ローン、教育資金、税金、社会保険など幅広い知識が必要となります。こうした知識を持ち、相談者の夢や目標をかなえるためにサポートしてくれるのがFPです。

FPに相談するべきタイミングと、相談できることって何?

FPが幅広い知識を持っていることはわかったけれど、どんなタイミングで、どんなことを相談したらよいか具体的にイメージがわかないという人もいるでしょう。私がこれまでに受けてきた2,000件以上の有料相談の中から、多い相談内容を挙げてみましょう。

【結婚したとき】
・生活費をどのぐらいに抑えればよいの?
・どのような方法で、いくらお金を貯めていくと心配ない?
・どんな内容の保険に加入すればいい?既に入っている保険の見直しは?
※関連記事:「年収500万円の若手サラリーマンは5000万円のマンションを買える?」

【子どもが生まれたとき】
・教育費としてどのような方法で、いくら貯めておくべき?
・子どもが誕生した後の生命保険金の適正額は?見直しの必要はある?
・育休や時短勤務で妻の収入が減るけれど、生活費をどのぐらいまで抑えるべき?
※関連記事:「学資保険は入る価値アリ? メリット・デメリットをベテランFPが解説!」

【マイホームを購入するとき】
・住宅購入の予算は、いくらまでなら無理がない?
・住宅ローンの金利タイプや金融機関はどう選んだらよい?
・共働きの場合は2人でローンを借りるべき?割合はどうしたらいい?
・住宅ローンで団体信用保険に加入するため、生命保険は見直すべき?
・火災保険や地震保険の適切な補償内容と補償額の決め方は?
※関連記事:「火災保険の賢い入り方。必要な保険金額と補償はこうして決める!」
「一番お得な住宅ローンは金利の低さでなく「総支払額」の少なさで見つけよう」

【老後の生活設計を立てるとき】
・老後の資金として、定年を迎えるまでにいくら貯めておく必要がある?
・老後資金の準備として50代の今からやるべきことは?
・退職金の運用方法はどうすればいい?
※関連記事:「老後の備えは本当に個人年金保険でいいの?」

相談されることが多い内容を挙げましたが、家族構成や働き方などによって、相談者にとってメリットが大きい相談内容は異なります。「こんなこと聞いてもいいのかな・・・」などと遠慮せずに、FPに聞いてみることをお勧めします。相談経験が豊富なFPならば、大概の疑問に答えてくれるでしょう。

ポイント1:「企業系FP」「独立系FP」を賢く使い分けよう

FPと一口にいっても、仕事の仕方や内容はさまざまです。よく使われるFPの分類に、「企業系FP」と「独立系FP」というものがあります。

企業系は大半が無料相談。所属企業の商品に詳しい一方、それ以外の商品は期待薄

「企業系FP」とは、銀行や証券、保険、不動産会社など企業に属して活動しているFPを指します。最大の特徴は、基本的には属している企業の商品・サービスを購入してもらうために、さまざまな提案をすること。当然、その企業が取り扱っている商品以外の提案は立場上、期待できないこと、その商品をそもそも購入しない方がよい場合でも、そうしたアドバイスは期待できないことがデメリットになります。

一方、メリットとしては、その企業が取り扱っている商品やその商品分野に関しては、深い知識が期待できるという点です。もう1つのメリットは、企業系FPへの相談は無料が多いこと。有料の場合でもその企業の商品やサービスを購入したら無料になる仕組みの企業も少なくありません。

独立系は大半が有料相談。企業の枠にとらわれず幅広い商品の提案が可能

次に「独立系FP」ですが、特定の金融機関や不動産会社に属さずに活動しているFPのことを指します。独立系FPは、仕事の範囲やアドバイスする内容を自由に決めることができます。そのため、企業系FPに比べ幅広い分野にわたる相談ができる可能性が高く、具体的に商品を検討する場合も、さまざまな企業の商品を幅広く比較し、あなたに合うものを探してくれるかもしれません。

ただし、独立系FPの中でも、それぞれの仕事のスタイルにはかなり違いがあることに注意する必要があります。たとえば、保険の見直しで具体的な商品のアドバイスまで受けたいという人が、講演や執筆業務が中心で保険の実務経験に乏しいFPに相談した結果、具体的な商品知識が不十分だった・・・といった失敗も考えられます。また、相談料は有料が基本となるのはデメリットですが、初回の相談料を無料や割安にしているFPも多いです。

商品やサービスの購入先として有力な候補企業があれば、その企業に所属するFPに相談し、その提案に対する意見をその企業とは関係性のない独立系FPに求める、いわゆるセカンドオピニオンを依頼するという方法も有効です。それぞれの違いを認識した上で、FPを選ぶようにしましょう。

ポイント2:FPによって異なる得意分野をしっかり確認しよう

相談するFPを選ぶときにもう1つ重要なのは、そのFPの得意分野をしっかり見極めることです。そもそもですが、相談自体を得意としていないFPへの相談は避けたいもの。FPとしての経験年数の長さや知名度の高さは、必ずしも相談にあたっての経験値の高さとは一致しないので注意が必要です。
各FPのホームページや日本FP協会の「CFP®認定者検索システム」などで相談件数や具体的な相談手順などを確認して選ぶようにしましょう。
※日本FP協会「CFP®認定者検索システム

独立系FPは独立前の業務で得意分野がわかることも

さらに、自分が相談を希望している内容を、そのFPが得意にしているかどうかをチェックする必要があります。ファイナンシャル・プランニングは幅広い分野に関わるため、すべての分野に詳しくなるのは困難です。特に独立系FPは、FPとして独立する前に携わっていた業務を中心に、独立後も仕事をしている人が多いです。

証券会社に勤めていたFPが資産運用のアドバイスを、保険会社に勤めていたFPが保険のアドバイスを、不動産会社に勤めていたFPが住宅購入のアドバイスを、それぞれ中心に行っているというケースです。特定の分野を中心に業務をおこなっているFPに、ほかの分野の相談をしても専門性の高い回答は期待しにくいかもしれません。

ほかの専門家とのネットワークがあるFPなら一層心強い

また、ほかの専門家とのネットワークも確認しておきたいことの1つです。自分が相談を希望している内容を得意とするFPを探して相談したとしても、それ以外の分野も相談したいと思うかもしれません。また、相談時に一般的な税金の話をFPに聞いた結果、さらに個別具体的に税額などを知る必要性を感じたら税理士への相談が必要になります。こうした場合、相談したFPが専門性の異なるほかのFPや税理士、社会保険労務士などのほかの士業とのネットワークがあれば、それらの専門家を紹介してくれる、あるいはそのFPと他の専門家が連携したサポートが期待できるでしょう。

ポイント3:キャッシュフロー表を作り慣れているFPを選ぼう

私は相談者のために毎日のように、数十年先までの家計収支と、手元のお金の残高シミュレーションであるキャッシュフロー表(ライフプラン表と呼ばれることもある)を作成しています。私のお客様は優良企業のサラリーマンや公務員の人が多いのですが、過半数の人は子が高校・大学に行くタイミングで手元のお金がなくなるというシミュレーション結果になるのです。子が高校生・大学生のときの手元のお金の急減が、ほかの分野を制約する可能性が高いことを認識しておく必要があります。

例えば、老後資金の対策として投資信託や貯蓄型の保険商品を購入する場合、そのときは余裕資金を充てたつもりでも、子の進学で手元のお金が足りなくなり、評価額の低いタイミングで投資信託を売却しなくてはならない。あるいは解約返戻金が支払保険料を大きく下回るタイミングで貯蓄型の保険商品を解約することを強いられる結果になることが考えられます。

やはり、個々の分野でプランを考える前に、その前提としてキャッシュフロー表を作成した方が、個々のプランもその人によりあったプランになる可能性が高いのです。FPに相談するのであればキャッシュフロー表を作成してもらうことをお勧めします。時間の都合などでキャッシュフロー表を作成しない場合でも、日頃からキャッシュフロー表を多く作成しているFPであれば、上記のような状況を想定しながら提案してくれることも期待できるでしょう。

まとめ:継続的チェックも必要、長く相談できるFPを見つけたい

キャッシュフロー表は1度作成しても、家族構成や収入、税制の変化などで更新する必要がありますし、予定通りにはいかないことも多いのです。継続的にFPにチェック、更新してもらうことを考えると、長期で相談できるFPを見つけたいもの。ここで挙げたポイントをもとに、しっかり情報収集して自分にあったFPを探しましょう。

平野雅章

平野雅章

住宅・保険・ライフプランの不安を1回で解消する相談専門FPとして2,000件超の有料相談実績を誇る。2007年横浜FP事務所を開業、全国FP相談協会代表理事、神奈川県立産業技術短大の非常勤講師も務める。CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

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