ここ1か月間程度のキャッシュレス関連ニュースのなかから、編集部が気になったものをピックアップしてお伝えする当連載。今月のトップニュースは、「三菱UFJカード」の還元率アップや機能拡充の動きについてです。
2025年6月2日より、「三菱UFJカード」のポイント優遇対象店の数が増え(23→30)、かつ、対象店でのポイント還元率が最大20%に上がりました。
これに加え、「三菱UFJカード」で貯まる「グローバルポイント」を決済に利用できる新決済アプリも稼働。4月に始まった「三菱UFJ eスマート証券」でのクレカ積立サービスを含め、さまざまな機能が強化されています。
これら、「三菱UFJカード」の活発な動きをトップニュースでまとめます。
従来の「最大15%還元」から「最大20%還元」にパワーアップ
このほか、「三井住友カード」と「PayPay」の提携の話題や、「三菱UFJカード」の最大5万円相当付与など、現在開催中のキャッシュレス関連キャンペーンについてもお伝えします。
直近の「三菱UFJカード」に関する主な動きは下記のとおりです(各トピックをクリックすると記事内の関連個所に遷移)。
本ニュースでは、すでに始まっているもの(下記一覧の1〜5)を中心にチェックします。
▼2025年4月21日より開始
(1)「三菱UFJ eスマート証券」において、「三菱UFJカード」での決済による投資信託の積立サービス(クレカ積立)がスタート
▼2025年6月2日より開始
(2)ポイント優遇対象店が、既存の23ブランドから30ブランドに拡大
(3)ポイント優遇対象店における、ベースのポイント還元率が、5.5%→7%にアップ
(4)ポイント優遇対象店における、条件達成時の最大還元率が、15%→20%にアップ
(5)貯めた「グローバルポイント」を、Visaのタッチ決済加盟店などで支払いに使えるようになった(新決済アプリを利用)
(6)三菱UFJ フィナンシャル・グループの新たな金融サービスブランド「エムット」が始動
▼2026年度に予定されているもの
(7)三菱UFJ フィナンシャル・グループ共通のポイント「エムットポイント」の導入
(8)「エムット」の利用状況などにより、ポイント付与や各種優遇が受けられるロイヤリティプログラムの開始
など
2025年4月より、「三菱UFJカード」で投資信託の積立金額を決済できるクレカ積立サービス(以下、クレカ積立)が「三菱UFJ eスマート証券」で始まりました。
三菱UFJカード×三菱UFJ eスマート証券のクレカ積立の概要
・「三菱UFJ eスマート証券」の口座を持っている人が対象
・毎月1回、1日(休業日の場合は翌営業日)に、「三菱UFJカード」の対象カードでの投資信託の積み立てが可能
・積立対象商品は、「三菱UFJ eスマート証券」が取り扱う積立買付が可能な投資信託
・積立単位は、100円以上1円単位。月間10万円が上限
・積立金額に応じて、「三菱UFJカード」の「グローバルポイント」が付与
・特定口座、一般口座、NISA口座で利用可能
本サービスでのポイント付与の対象となる「三菱UFJカード」は下記の3種です。それぞれ、クレカ積立時のポイント還元率が異なります。
・三菱UFJカード(年会費永年無料) → 0.5%還元(積立金額1,000円ごとに1P)
・三菱UFJカード ゴールドプレステージ(年会費1万1,000円・初年度無料) → 1%還元(積立金額1,000円ごとに2P)
・三菱UFJカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレ(R)・カード(年会費2万2,000円) → 1%還元(積立金額1,000円ごとに2P)
※表記の還元率はポイントを1P=5円で交換もしくは利用した場合
※上記以外の三菱UFJニコスが発行するMUFGカードブランドのカードもクレカ積立に利用できますが、「グローバルポイント」や提携カード固有のポイントは付与されません
「三菱UFJ eスマート証券」の前身は「auカブコム証券」です。「au PAYカード」や「au PAYゴールドカード」でのクレカ積立に対応し、いわゆる「au経済圏」の一角を担うネット証券として機能していました。
この構図が変わったのが2024年11月のこと。三菱UFJ銀行が「auカブコム証券」を子会社化し、2025年2月に商号を「三菱UFJ eスマート証券」に変更しました。「三菱UFJカード」でのクレカ積立への対応は、この流れに沿ったものです。
引き続き、「三菱UFJ eスマート証券」でのau系カードのクレカ積立も可能ではあるものの、今後は、より三菱UFJ色が強まる可能性が高そうです。
画像は「三菱UFJ eスマート証券」のプレスリリースより
▼「三菱UFJカード×三菱UFJ eスマート証券」を含め、主要カードのクレカ積立の仕組みや還元率は下記の記事で解説しています。
2025年6月2日より、「三菱UFJカード」のポイント優遇の特典がパワーアップしました。
まず、ポイントアップ優遇の対象店が、これまでの23ブランドから30ブランドに増加しています。
もともと「三菱UFJカード」は、2024年8月の優遇対象店の拡大により、「オーケー」など複数のスーパーが高還元の対象となり人気が高まった経緯があります。今回も、「東急ストア」など複数のスーパーが追加されており、「スーパーでおトクなクレジットカード」として「三菱UFJカード」がさらに注目される可能性もあるかもしれません。
2025年6月2日よりポイントアップ優遇の対象になった7ブランド。画像は三菱UFJニコスのプレスリリースより
三菱UFJカードのポイントアップ優遇店一覧
セブン‐イレブン、ローソン(ナチュラルローソン、ローソンストア100を含む)、コカ・コーラ自販機(タッチ決済、QUICPay、Coke ON)、くら寿司、スシロー、ピザハットオンライン、松屋、松のや、マイカリー食堂、オーケー、オオゼキ、三和、フードワン、スーパー魚長、生鮮げんき市場、生鮮乃木市場、東武ストア、ドミー、肉のハナマサ、ジャパンミート、ヤマナカ、フランテ、フランテロゼ
▼2025年6月2日より追加
ロッテリア、ゼッテリア、アオキスーパー、東急ストア、近商ストア、ハーベス、サンリブ
※注 国際ブランドがアメックスの場合、ポイントアップ対象店は、セブン‐イレブン、ローソン、コカ・コーラ(自販機)、スシロー、ピザハットオンライン、松屋、松のや、マイカリー食堂、ゼッテリア、サンリブ、近商ストア、ハーベス、東武ストア、ヤマナカ、フランテ、フランテロゼのみ
「三菱UFJカード」のポイントアップ優遇対象店におけるポイント還元の仕組みは、「ベースの還元率」と「上乗せされる還元率」の2段階制です。2025年6月2日より、両段階とも還元率がアップしました。
(1)ベースの還元率(5.5%→7%)
対象店にて無条件で適用されるベースの還元率が、5.5%から7%に上がりました
※7%の還元率は、2025年5月16日利用分から集計
(2)各種条件をクリアすることで上乗せされる還元率(+9.5%→+13%)
各種利用条件をクリアするごとに対象店での還元率が上乗せされますが、こちらも、従来の「最大+9.5%」から「最大+13%」に改善され、「ベースの還元率」と合わせると最大20%まで目指せるようになりました。
「ベースの還元率」と「上乗せされる還元率」の内訳は下記の表のとおりです。
表は三菱UFJニコスのプレスリリースより。表内の丸数字の「1」が「ベースの還元率」。「2〜11」が「上乗せされる還元率」
公式サイトなどで「最大20%還元」と謳(うた)われてはいるものの、実際に狙えそうな還元率は人それぞれでしょう。特に、「上乗せされる還元率」の適用に三菱UFJ銀行の口座が必須になる点は、人によって感じ方が分かれそうです。
下記の記事では、実際に「三菱UFJカード」を利用している編集部員が、より詳細に「狙えそうな最大還元率」を検証しています。本記事と合わせて参考にしてください。
2025年6月2日より、「三菱UFJカード」の利用で貯まる「グローバルポイント」に新しい使い道が加わりました。
これまで、「グローバルポイント」の使い道は、商品、ギフト券、他社ポイントへの交換に限られていました。6月2日より、新たに「グローバルポイントWalletアプリ」が登場。「グローバルポイント」を同アプリにチャージすることで、Visaのタッチ決済対応店や「QUICPay+」加盟店での支払いに使えるようになりました(※)。
※Apple PayやGoogle Payへの設定が必要。「QUICPay+」での支払いはApple Payのみ対応
「グローバルポイントWalletアプリ」のトップ画面(左)と、Apple Payに登録した状態の画面(右)
注目したいのは交換レートです。
「グローバルポイント」は交換先によってレートが異なります。たとえば、「Amazonギフト券」は「100P=500円分」、すなわち「1P=5円」のレートで交換できますが、「Pontaポイント」への交換は「200P=800P(円)」、「楽天ポイント」は「200P=600P(円)」のように条件の劣る交換先もあります。
ちなみに、三菱UFJニコスが言うところの「最大20%還元」は、「1P=5円」のレートで交換した際の還元率である点には注意が必要です。
今回導入された「グローバルポイントWalletアプリ」は「1P=5円」でチャージできます。しかも、「グローバルポイントWalletアプリ」で決済すると、利用金額の0.5%分が毎月自動でチャージ残高にキャッシュバックされる仕組みです。
つまり、実質的に「グローバルポイントWalletアプリ」が「グローバルポイント」の最もおトクな使い道と言えそうです。
ここまで、「三菱UFJカード」の最近の動きのなかから、おトクさや使い勝手に関わるものをチェックしました。総合的に見て、「三菱UFJカード」の魅力が高まったのは間違いないでしょう。
これに加え、「三菱UFJカード」も属する三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、2025年6月2日より新しい金融サービスブランドの「エムット」をスタートしており、こちらも話題です(前掲一覧の6〜8)。
「エムット」を発表したMUFGの亀澤宏規社長(2025年5月27日)
MUFGの発表などによると、「エムット」は、「三菱UFJ銀行アプリ」を核として、「三菱UFJカード」、「三菱UFJ eスマート証券」、ロボアドの「WealthNavi(ウェルスナビ)」などの金融サービスをシームレスにつなぎ、総合的な金融サービスをユーザーに提供するブランド(サービス)とのこと。
ただし、現段階で発表されている内容は漠然としており、当面は、「MUFGの各金融サービスを統合するブランド」としての役割に留まりそうな印象を受けます。
2026年度中には、MUFGグループ共通のポイント「エムットポイント」や、「エムット」の各サービスの利用状況によってポイントが貯まったり、「ステージ」が上がって優遇されたりするロイヤリティプログラムのスタートが計画されています。これらが始まる頃には、もう少し「エムット」のメリットが見えてくるはずです。
今後、前出の「グローバルポイント」が「エムットポイント」に置き換わるとの見方もあり、「三菱UFJカード」ユーザーの人は、「エムット」の動向を気にかけておいたほうがいいでしょう。
〇三井住友カードとソフトバンクが、デジタル分野での業務提携に合意
〇本提携により、「三井住友カード」と「PayPay」の連携が順次開始
〇「Vポイント」と「PayPayポイント」の相互交換もスタート予定
2025年5月15日、三井住友カード株式会社(以下、三井住友カード)とソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は、デジタル分野における包括的な業務提携を締結。
これにより、クレジットカードの「三井住友カード」とスマホ決済の「PayPay」との連携が進むと見られています。
本ニュースでは、具体的に何ができるようになるのか、現時点で発表されている内容をチェックします。なお、いずれも「開始予定」と発表されている内容になります。
画像はPayPayのプレスリリースより
「三井住友カード」で貯まる「Vポイント」と、「PayPay」で貯まる「PayPayポイント」は、いずれも主要なポイントサービスとして普及しています。筆者もそうですが、併用している人も多いのではないでしょうか。これらが、相互交換可能になることで、利便性が高まりそうです。
たとえば、「PayPayポイント」は、現状、他社のポイントに交換することはできません。いっぽう「Vポイント」は「WAON POINT」に等価で交換が可能です。
「PayPayポイント」→「Vポイント」→「WAON POINT」の経路で交換することにより、今では不可能な、「PayPayポイント」を、ドラッグストアチェーンのウエルシアグループで「1.5倍」の価値で利用する、といったことも可能になります(※)。
※ウエルシアグループでは毎月20日、「WAON POINT」を通常の1.5倍にあたる1P=1.5円で買い物に使える。通称「ウエル活」の一環として人気の仕組み
逆に、「PayPayポイント」に交換するメリットもありそうです。
現在、「Vポイント」も「PayPayポイント」も、ポイントを原資とする疑似運用サービス(ポイント運用)に対応しています。しかし、運用コースが3種類の「Vポイント」に対し、「PayPayポイント」は9種類で、内容も“逆張り”や“ゴールド”、“ビットコイン”などバラエティに富んでおり、運用の選択肢の面では「PayPayポイント」に一日の長があります。
したがって、一定数、「Vポイント」よりも「PayPayポイント」での運用に魅力を感じる人もいそうで、ポイント交換が重宝されるでしょう。
これらはあくまでも一例ですが、工夫次第でこのほかにも活用法がありそうです。
「PayPay」は、支払いやチャージ手段としてクレジットカードを登録できます。現在は、どのクレジットカードでも登録でき、利用も無料です。
しかし、2025年夏以降、自社カードの「PayPayカード」を除く他社のクレジットカードを利用する際、なんらかの形で利用料(クレジットカード付帯の国際ブランド側の手数料相当)をユーザーが負担する形になる可能性があることが、すでに「PayPay」より発表されていました。
今回の提携により、「三井住友カード」は“優遇”され、2025年夏以降も、ユーザー側のコスト負担なく「PayPay」で使える予定であることが、今回の発表で明らかになっています。
これまで、「PayPayマネー」を出金する際、PayPay銀行以外の銀行では100円の手数料がかかっていました。今後は、三井住友銀行の口座にも無料で出金できるようになる予定とのことです。
画像はPayPayのプレスリリースより
発表されている情報によると、これ以外にも、ソフトバンクのサービスとの組み合わせによる、三井住友フィナンシャルグループ「Olive」での非金融分野のサービス展開や、生成AIを活用したビジネス創出なども目指していくとのこと。
業界をけん引するサービス同士の連携であり、今後の展開も要注目です。
最後に、編集部がチョイスしたキャッシュレス関連キャンペーンを紹介します。
三菱UFJ銀行と三菱UFJニコスは、現在「エムット」誕生を記念して複数のキャンペーンを実施中です。各種条件の達成状況に応じて、最大5万円相当まで狙える大型キャンペーンとなっています。
アプリで三菱UFJ銀行の口座を新規開設し、1度に5万円以上を入金すると、現金1万円がプレゼントされます。要エントリー。
口座開設期間:実施中〜2025年8月29日
三菱UFJカードに新規入会したうえで、入会後2か月後末日までに、「MUFGカードアプリへのログイン」と「ショッピングで利用」することが条件。ショッピングの利用金額が3万円未満で1,000円相当、3万円以上10万円未満で3,000円相当、10万円以上で1万円相当の「グローバルポイント」が付与されます。
アプリで三菱UFJ銀行の口座を新規開設した人は、三菱UFJカードを使った対象店舗での買い物時、「グローバルポイント」が一定期間20%還元になります。付与上限は、各回最大1万円相当、2回合計で最大2万円相当です。要エントリー。
口座開設期間:実施中〜2025年8月29日
20%還元の対象期間:1回目はエントリー月1日から翌月15日、2回目はエントリー翌月16日からエントリー翌々月15日まで
三菱UFJ銀行の普通預金口座と、対象の三菱UFJカードを持っている人が対象。エントリーのうえ、エントリー月の翌月末時点に普通預金残高が10万円以上あることが条件。そのうえで、エントリー翌月中における、下記1〜4の条件の達成状況に応じて「グローバルポイント」が付与されます。
・1 「三菱UFJダイレクトにログイン」……1,000円相当
・2 QR決済ブランドの「COIN+に口座登録」……3,000円相当
・3 MUFGグループでつみたて……3,000円相当
・4 登録型リボ払いサービス「楽Pay」への登録、または1万円以上のリボ/分割/カードローンの利用……3,000円相当
エントリー期間:実施中〜2025年8月31日
期間中にエントリーのうえ、「d払い」の請求書払いで合計1万円以上支払うと、抽選で「dポイント」(期間・用途限定)が付与されます。
1等は1万P×50名、2等は1,000P×500名です。さらに、抽選に外れた人や支払い額が合計1万円に満たない人を対象に、もれなく1,000万Pの「dポイント」(期間・用途限定)が対象者で山分けされて付与されます(上限200P)。
期間:実施中〜2025年6月30日まで