AVライターの野村ケンジがガチレビュー!

2か月使ってみてわかったオンキヨー「GRANBEAT DP-CMX1」のいいところ、悪いところ

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高音質スマートフォンを作るのではなく、DAP(デジタルオーディオプレーヤー)にSIMと通話機能を盛り込むという、逆転の発想によって生み出されたオンキヨー「GRANBEAT DP-CMX1」(以下、GRANBEAT)。“普通”のAndroidスマートフォンでありながら、いつでもどこでも手軽にハイレゾ音源をいい音で楽しめることは、音楽ファンにとっては大きな恩恵であるし、なによりも普段持ち歩くハイレゾDAPを1台減らすことができる!というちょっとマニア目線な利便性も大いに魅力。ゆえに、筆者も発売すぐに製品を入手して、この2か月ほどメインのスマートフォンとして使い続けている。

ということで、今回は長期使用を踏まえて感じたマイ・スマートフォンとしてのGRANBEATの印象や使い勝手をお届けするとともに、どういったユーザーにとってGRANBEATがベストなスマートフォンになってくれるのかをズバリ紹介していこう。


先日、ハイレゾ対応スマートフォンを聴き比べるという記事を書かせてもらったが、実際のところ、こちらの取材が今回の導入の布石になったのは事実だ。そちらを読んでいただければわかるとおり、一般的なハイレゾ対応スマートフォンに比べて、GRANBEATの音のよさが圧倒的だった。丁寧なチューニングが施されたLGや、DAC等の音響パーツをこだわったZTEなども悪くはなかったが、こと音質に関してはGRANBEATが二つ三つ格上だった。ということで、バッテリーが弱まりつつあった「iPhone 5s」に代わり、メインスマートフォンとして活用することにしたのだ。

発売開始から数日たったころだろうか、GRANBEATが我が家に届いたので、さっそく箱を開け、本体を取り出してセットアップを開始。まずはiPhone 5sからNTTドコモのSIMを取り出し、GRANBEATに入れる。と、ここでさっそくわからないことがでてきた。

GRANBEATのパッケージ(写真左)。後日、注文していたGRANBEAT専用のスリムケースも到着した

GRANBEATのパッケージ(写真左)。後日、注文していたGRANBEAT専用のスリムケースも到着した

GRANBEAT専用スリムケースを装着するとこんな感じ。本体に厚みのあるGRANBEATには、できるだけスリムなケースを組み合わせて運用したい

GRANBEATはデュアルSIM対応、かつDSDS(「Dual SIM Dual Standby」=2つのSIMスロットで同時待受できる) となっていて、しかもmicroSDと排他でないという、SIMフリースマートフォン愛用家の間ではツボを押さえた良仕様といわれているようだが、あいにくと筆者は国内専用、かつ通信用SIMはYOGA BOOKで使用しているため、SIMスロットは1枚分で充分(とはいえ将来的にどういった使い方をするか分からないので2つあるに越したことはない)。となると、どちらのスロットにSIMを入れるのが標準的なのか、何か作法があったりするのか調べたくなってしまうのが親心というもの(違う?)。

ということで、いろいろと調べてみたところ、結論としてはどっちでもいいという当たり前の話で、時間を無駄にしただけだった。ということで、特に意味はなく、SIMスロット1のほうにNTTドコモのSIMを入れて、GRANBEATの電源をオンにした。

しかし、SIMの挿入場所問題が解決したのも束の間、次の問題が発生することに。SIMはきちんと認識されているのだけど、NTTドコモ回線とつながらないのだ。設定をいろいろと覗いてみると、APN設定の選択肢にNTTドコモがない!ということで、NTTドコモのAPN設定を手入力して無事開通。あっさりと利用し始めることができた。ちなみに、NTTドコモのAPN設定に関しては、今後のアップデートで対応する予定があるという。筆者的には「喉元を過ぎた」話ではあるが、今後の新規ユーザーのためにも、ぜひ対応をお願いしたいところだ。

やっとの思いでNTTドコモのSIMカードで運用開始。MVNO系のSIMカードで運用予定なら問題ないが、NTTドコモの純正SIMで運用を予定している人は、APNの手動設定を忘れずに行っておこう

そして、ここからいくつかは、機種変更にまつわるスマートフォンあるあるネタが続いた。iPhone、NTTドコモのダブル過保護に慣れてしまったため、知らず知らずのうちに、そういった知識が欠落してしまっていたのだ。

まず最初に悩んだのが、電話帳の移行だ。連絡帳ではなく電話帳、ガラケー時代から引き継いできた電話番号のみのリストだが、NTTドコモ端末以外への移行だとツールが限られてしまう様子。移行そのものは定番のフリーソフトがなかなか便利で事なきを得たのだが、意外な落とし穴となったのが移行後の“新規登録”だ。Androidスマートフォンの場合、電話番号を新たに登録するときはGoogleなどの連絡帳に登録しなければならず、これまでの電話帳に追加することができない。これを機に、Outlookなども含め連絡帳を統一するべきなのだろう。

また、Androidスマートフォン標準のメールアプリ(Gmailではない方)にも難点がひとつ。何故か分からないが、普通の“検索”項目が見つからない。複数のメールアドレスが登録できたり、幅広い形式のメールが登録できたりと、かなり便利なのだが、何故検索ができない? 単に筆者が見つけられていないだけなのかもしれないと疑ってみたが、うまく情報が見つけられなかった。まあ、そのうちよさげなメールアプリでも探そうと、こちらはとりあえず保留。

もうひとつ、Googleがらみで困ったのがカレンダーだ。長らくWindows Liveでスケジュール管理をしていた筆者は、こちらがGoogleカレンダーとの連携ができなくなっていたことに気がつかず、さてどうしたものやらと戸惑うことに(何故か)。まあ、こちらも徐々にGoogleカレンダーに移行すればいいわけだが、はたして、ここまで片っ端からGoogle頼りにしていいのかどうか、ということが疑問に残る。

ということで、使い始めるまでに悩んだのは主に筆者の知識不足によるものであり、SIMフリーandroidスマートフォンであれば必ず生じることだった。このように、GRANBEATはごく普通のAndroidスマートフォンだった。ゆえに、携帯電話としてこの2か月間、何のわずらわしさもなく使い続けることができた。

逆に、フツーのスマートフォンでありながら、普通でない音質を持ち合わせている=ハイレゾ対応DAPとしてのしっかりした実力を持ち合わせていることが、筆者のライフスタイルには大いに役立ってくれた。

まず、いつでも何処でも試聴ができるようになったことだ。もちろん、ハイレゾ対応DAPは普段から2台ほど持ち合わせている。仕事柄、頻繁に必要になるし、常に2台用意しているのはいざ聴こうとしたらバッテリー切れだった、という事態の対策だったりする。しかしながら、急な試聴が必要になったときに限っていつもとカバンが違っていたり、別の場所にカバンを置いてきてしまった、なんてこともあり得る。そんな突発事項に、スマートに対処できるようになったのだ。

また、必要だった新音源を入れ損なった、ということもほとんどなくなってくれた。というのも、これは筆者だけのだらしないクセなのかもしれないが、PCにつないで音源をいれて、そのまま忘れてきてしまう、なんてことがたまに(本当にたまにですよ!)あったりしたのだ。スマートフォンを忘れることはまずないので、こういったケアレスミスも激減。ホント、128GBの内蔵メモリーには大感謝である。ちなみに、筆者は内蔵128GBにプラスして128GBのmicroSDメモリーカードを入れ、合計256GBで運用しているが、まだまだ充分に空きがある状態だ。

DAPにSIMと通話機能を盛り込むというところから始まった製品ということもあり、DAPとしての機能は文句なしに優秀

標準でプリインストールされているウィジェットもかなり豊富だ

標準でプリインストールされているウィジェットもかなり豊富だ

また、SpotifyやAWA、radico.jpなども手軽に楽しめるのは嬉しい限り。もちろん、ハイレゾ音源などと違い聞き流すレベルの音質とはなるが、何だ、意外といい音で楽しめるじゃない!?などと、結構楽しんで聴いていたりする。こういったスマートフォンらしい使い方をした際にさりげなく良音質を提供してくれる点も、嬉しい限りだ。

単体で通信できる機能が搭載されたことで、インターネット経由の音楽サービスやラジオサービスとの連携がシームレスに行えるようになったのはうれしいポイント

もうひとつ嬉しいのが、バッテリー持続時間の長さだ。筆者は、iPhone 5s時代に丸1日保つか保たないかの使い方だったので、バッテリーが弱ってきた最近は、モバイルバッテリーの形態が必須となっていた。それがGRANBEATでは、同じような使い方で丸2日間も保ってくれるのだ(丸1日経過してバッテリー残は50%を切るか切らないかくらい)。これは、とてもありがたい。音楽再生のために大容量バッテリーを搭載しているのだが、それが思わぬ恩恵になってくれている。

なお、音楽再生で消費するバッテリーはそれほど多くはない印象で、1日5〜6時間試聴するハードな日程も数日経験したが、その間バッテリー持続時間は大して変わらず、それよりもGPSをオンにしっぱなしであちこち移動していたときの方が消費は早かった(2日目の午後にバッテリーが20%を切り警告された)。ということで、モバイルバッテリーを忘れてもその日のうちに仕事場に戻れれば何とかなる、という精神的な安定を手に入れることができた。

逆に、バッテリー容量が大きいため充電時間の長さが気になるようになったかもしれない。ほとんど残のない状態からフル充電まで2時間半くらいかかってしまう。このあたり、USB Type-CとUSB 3.1のコンビを採用してくれれば改善しただろうが、オーディオ的な観点、外部DACを接続したりする場合は現在もmicroUSB+USB2.0のほうが汎用的であるため、どちらが有利か判断するのは難しいかもしれない。

充電やデータ転送で利用するUSB端子はmicorUSBタイプ。ここ最近のスマホはUSB Type-Cが多いので、それらと比べると若干古臭いが、ヘッドホンアンプやポータブルDACなどのオーディオデバイスとの接続を考えるとなかなか悩ましいところではある

いずれにしろ、音楽を聴くにはとてつもなく便利で、何でもこいの素晴らしい製品だった。一般的な3.5mm端子が使え、2.5mm4極のバランス端子が使え、ポータブルDACとOTGケーブル1本で接続でき(しかも相手機器の対応レートが表示される!)、外部DACの機能性に合わせてDSD出力の方式を切り替えられたりもする。ロックレンジアジャストなどの音質カスタムも行えるのは「DP-X1A」などの専用DAPと同じ。もう、至れり尽くせりの世界だ。少なくとも、音楽ファン、ヘッドホン&イヤホン好き、そしてオーディオ業界関係者にも、現在のところこれ以上の選択肢がない、ベストな製品といえるだろう。

3.5mmアンバランス出力に加え、2.5mmバランス出力を標準で備えるGRANBEAT。音楽を聴くという点においては、現状あるスマートフォンのなかでは間違いなく最高のスペックといえるだろう

また、スマートフォンでもっともメジャーなiPhoneとの比較においても、GRANBEAの利点はいくつもある。現在発売されている最新のiPhone 7/iPhone 7 Plusアプリや外部接続機器を活用すれば素晴らしい実力を発揮するものの、標準プレーヤーがハイレゾ非対応だったりそもそもヘッドホン出力を廃止していたりと、素の状態では音楽プレーヤーとしての最新環境に対応しているとは言い難い。そういった点も踏まえ、GRANBEAをメインのスマートフォンとして活用する意義は大いにあるといえるだろう。

そうそう、最後に蛇足を。一般的なスマートフォンとGRANBEATとでは、音質的な意味での違い以外にも、音にまつわる差異がある。それは、落としたときの音だ。そりゃもう、とてもスマホとは思えない、ゴン、といった鈍く重い音がする。さすが削り出しの重量級アルミボディ。ということで、精神的にダメージの大きい音なので、皆さん落下にはくれぐれも気をつけて欲しい。

200gを超えるその重量がゆえに、浅いポケットに入れて持ち運ぶ際は自重で落下しないように注意! 筆者の場合は、落下した際に角がちょっと削れてしまった。これからGRANBEATの購入を検討している人は、ぜひそのあたりには最新の注意をはらってほしい

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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2017.8.20 更新
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