アップルから第6世代の「iPad」が登場した。画面サイズや本体サイズなど、基本的な部分は昨年2017年に発売された第5世代モデルから変わっていないが、これまで「iPad Pro」でしか使えなかった「Apple Pencil」に対応したのが大きな強化点だ。それでいて価格は据え置きなので、一番安く買えるiPadであることは変わっていない。なるべく安くiPadを購入したいという人にとって、ますます魅力的なモデルに進化した新型iPadをレビューしていきたい。
Apple Pencilへの対応やパフォーマンスアップなど、見所の多い第6世代のiPadだが、一番の魅力はやっぱり価格だ。価格.com最安価格は、Wi-Fiの32GBモデルが40,810円、Wi-Fiの128GBモデルが52,655円(2018年4月2日時点)
現行のiPadは、高性能なiPad Pro、ベーシックで手ごろな価格のiPad、小型・軽量の「iPad mini」という3つのシリーズが用意されている。
今回取り上げる第6世代のiPadは、ベーシックモデルという立ち位置はそのままだが、これまでiPad Proでしか使えなかったApple Pencilに対応し、手書き入力ができるようになったのが大きな特徴だ。スペックも順当にアップしており、第5世代のiPadよりもCPU性能が40%、グラフィックス性能が50%高速化されている。第5世代は、安さが売りだったが、第6世代のiPadは安いだけでなく、iPad Proのように手書き入力もできる、より万能なモデルに進化しているのだ。
以下の表は、第6世代のiPad、第5世代のiPad、iPad Pro 10.5インチの主な仕様を比べたもの。第6世代と第5世代の大きな違いはApple Pencilへの対応。iPad Proならではの部分は、Smart Keyboardへの対応だ。ただ、Smart Keyboard非対応のモデルでも、他社製のBluetoothキーボードは使えるので、ノートパソコンのように使うことはできる。
デザインは第5世代モデルを踏襲。ディスプレイの額縁がiPad Proと比べると太い
Wi-Fiモデルの背面。写真はスペースグレイモデル。カラーはスペースグレイのほか、シルバーとゴールドを用意する。ゴールドは、10.5インチiPad Proのゴールドとローズゴールドの中間といった色味だ
何度も言っているが、第6世代iPadの一番のポイントは、Apple Pencilへの対応だ。肝心の書き味は、iPad Proとほとんど差がないと感じた。さらさらと書けるし、反応もすばらしい。画面に手を置いて書いても誤検知しない、パームリジェクションも秀逸だ。
厳密にはiPad Proのように、液晶面とガラスに隙間のないフルラミネーションディスプレイ(ダイレクトボンディング)ではないので、線とペン先に少し隙間があったり、リフレッシュレートも60Hz(iPad Proは120Hz)なので、ペンをすばやく動かすと追従しなかったりする。それでも、本格的に絵を描くような人でなければ、気になることはないだろう。それよりも、Apple Pencilが使えるようになったことのほうが、ユーザーにとっては大きなメリットと言える。ただし、残念ながらApple Pencilは別売で、価格.com最安価格11,070円(2018年4月3日)する。
Apple Pencilの書き味は、厳密に比べない限り、iPad Proと遜色はない
フルラミネーションディスプレイではないため、液晶面とガラスの間に隙間がある
iPad Proと比べた場合、ディスプレイの表示品質はフルラミネーションやリフレッシュレート以外にもワンランク下がる。具体的には広色域ディスプレイ(P3)、True Toneディスプレイ、反射防止コーティングが省かれている。反射防止コーティングだけは載せて欲しかったのが正直なところだが、同価格帯の他社製タブレットと比べれば第6世代のiPadのディスプレイの表示品質は高い。
Apple Pencilは使わないという人にとっても、第6世代iPadは魅力的だ。性能を左右するチップが「A9チップ」から「A10 Fusion」にパワーアップし、ゲームやARなどがより快適に楽しめるようになっているからだ。アップルの公式サイトを見ると、「A8チップ」との比較が掲載されており、「10.5インチiPad Pro」が搭載する「A10X Fusionチップ」は、CPUが2.5倍、グラフィックスが4.3倍高速となっている。それに対してA10 FusionチップはCPUが2倍、グラフィックスが2.7倍となっている。CPU性能はそれほど差がないが、グラフィックスはA10X Fusionを搭載するiPad Proのほうがすぐれている。実際の動作は軽快そのもの。筆者の子どもがよく遊んでいる「マインクラフト」やレースゲームもサクサクと動作した。
A10 Fusionチップを搭載し、ARアプリも軽快に動作する。写真は川と地形の関係性を学べるWorld Wildlife Foudの「WWF Free Rivers」(無料)。3月27日(米国時間)に開催された発表会で披露されたカエルをARで解剖できる「Froggipedia」(480円)の配信も開始されている
気になる点を上げるとすれば、カメラとスピーカーの2つ。メインカメラは800万画素で動画は1080pのHDビデオ撮影が可能だが、4K動画を編集できるパワーがあることを考えると4K動画の撮影ができたほうがよかった。また、光学式手ブレ補正もないので、暗いところではしっかりとホールドする必要がある。スピーカーは2つのスピーカーが本体下部に備わっている。タブレットとしは十分なボリュームとクオリティだが、エンタメ用として使うとなると横位置でもステレオで音楽が楽しめるiPad Proのような4つのスピーカーが欲しかったところだ。
800万画素のメインカメラ。凸がなくすっきりしている
ストレオスピーカーだが本体下部にあるため、横向きだとステレオ感が味わえない
価格.comでは、第5世代iPadが登場する前までは、格安のAndroidタブレットが人気だったが、第5世代iPadが登場してからは、同モデルのWi-Fi/32GBモデルが売れ筋ランキングで1位を独走している。価格を変えずに、パワーアップした第6世代iPadのWi-Fi/32GBモデルもすでに売れ筋ランキングで2位に入っており、好調なスタートを切っている(2018年4月2日時点)。
米国で開催された発表会は、教育にフォーカスされていたが、教職員や子ども以外のユーザーにとっても第6世代のiPadは魅力的なモデルだ。iPadは欲しいが、iPad Proほど高性能で高価なものはいらないという人にとって、第6世代iPadはぴったりだし、買って後悔することはないだろう。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!