平成デジタルガジェット史
とまらないスマホの進化。テレビもオーディオもハイレゾ化が進む

激動の平成デジタルガジェット史 第9回:平成25〜27年(2013〜2015年)

30年にわたった「平成」という時代も今年で終わりを告げる。そんな平成という時代は、価格.comとも深い関わりのあるパソコンやデジタルガジェットが急激に成長した時代であった。そこで、平成時代の終わりに、この30年でパソコンやデジタルガジェットの世界がどのように変化してきたかを、3年ごとにざっくりとまとめてみようというのがこの連載企画だ。第9回の今回は、平成25〜27年(2013〜2015年)の3年間にフォーカスして、この時代をデジタルガジェットたちとともに振り返ってみよう。

平成25年(2013年)スマホは大画面化し、カメラも音楽もハイレゾ化が進む

平成25年を代表する出来事と言えば、個人的には、NHKの朝ドラで放映していた「あまちゃん」しかない。2年前の平成22年に起こった東北大震災の記憶もまだ生々しく残っていたこの時期に、その地域をテーマにして、しかもあそこまで笑わせるドラマを作ったというのは、本当に奇跡的なことだったと今でも思う。その「あまちゃん」の放映が終了した9月には「あまロス」という言葉が社会現象になったが、それほど多くの人があのドラマを毎朝見て、その登場人物たちと一緒に泣き笑いしていたのではなかったか。

そんな「あまちゃん」でも描かれた東北大震災を経て、日本の家電業界も大きく変わっていた。それまで売れていた液晶テレビが売れなくなり、テレビメーカー各社はテレビ事業自体を縮小せざるを得なくなっていた。いっぽう、スマートフォンの普及は目覚ましく、これに乗り遅れた日本国内の携帯電話メーカーは相次いで、スマートフォン・携帯電話事業からの撤退を発表。東芝(平成22年)、NEC、パナソニック(スマホのみ)など、メーカーの淘汰が進んだ。全般的に見て、国内のデジタル業界・家電業界は不振の一途で、むしろこの頃は、安定的な地盤を持つ生活家電(白物家電)のほうに家電業界全体の力量がシフトしていったように思う。

ついにNTTドコモからも発売されたアップル「iPhone 5S」

ついにNTTドコモからも発売されたアップル「iPhone 5S」

まず、この当時人気を拡大し続けていたスマートフォン関連だが、アップルはこの年「iPhone 5s」を発売。指紋認証センサー「Touch ID」が初めて搭載された製品で、この頃からスマホの指紋認証が一般化していく。なお、国内市場では、この「iPhone 5s」から、NTTドコモがiPhoneの取り扱いを開始したことが話題となった。これにより、iPhoneは、国内の三大キャリアすべてで扱われるようになり、よりユーザーを増やしていくことになった。

これに対するAndroidスマホのほうも、進化が著しい。この年、ソニーからは「Xperia Z1」が発売された。カメラには、ソニーが製造する2070万画素の裏面照射CMOSセンサーを搭載し、画面は5インチのフルHD対応など、ある意味で、スマートフォンのその後の標準的スペックを先取りしたような製品となった。ライバルのサムスンの「Galaxy S4」もこれと似たようなスペックで、Androidスマホはいよいよ大画面化の道を歩んでいくことになる。また、サムスンからはより大画面の5.7インチ有機ELディスプレイを搭載する「GALAXY Note 3」も登場しており、これらは当時スマートフォンとタブレットの間を担う存在として「ファブレット」(フォン+タブレットの造語)とも呼ばれた。

スリムになって人気が再燃した「iPad Air」

スリムになって人気が再燃した「iPad Air」

いっぽう、タブレットのほうでは、アップルがこの年薄型の「iPad Air」を発売して人気を得ていた。前年くらいから盛り上がってきた7インチタブレットの人気も継続しており、特に、ブラウザーゲーム「艦これ」の人気から、Lenovo「Miix 2 8」など、Windows 8を搭載したWindowsタブレットの7〜8インチモデルが人気を呼んだ。また、10インチクラスのタブレットの中には、脱着型のキーボードを付属し、ノートPCスタイルでも使えることを売りにした2in1タイプのASUS「TransBook T100TA」などの製品が一定の人気を得ており、この流れに乗るような形で、マイクロソフトから純正タブレットの「Surface」がこの前年より発売されて話題となっていた。その初代「Surface」をリファインする形でこの年登場した「Surface 2/Pro 2」が一躍人気に。初代「Surface」の欠点をほぼ改良し、モバイルノートよりもさらに軽量な、仕事でも使えるWindowsマシンとして、ビジネスパーソンを中心に人気を得ていった。

8インチのWindowsタブレットとして人気だったLenovo「Miix 2 8」

8インチのWindowsタブレットとして人気だったLenovo「Miix 2 8」

脱着型のキーボードを付属した2in1タイプのタブレット、ASUS「TransBook T100TA」

脱着型のキーボードを付属した2in1タイプのタブレット、ASUS「TransBook T100TA」

モバイルノート代わりにビジネスシーンで採用された「Surface Pro 2」

モバイルノート代わりにビジネスシーンで採用された「Surface Pro 2」

デジタルカメラ市場に目を向けてみると、スマートフォンのカメラ性能の向上にともなって、コンパクトカメラ市場は壊滅的な打撃を受けていた。その結果、デジタルカメラは全般的に高級路線への道を歩んでおり、コンパクトデジカメの世界でも、この年リコー「GR」や、フルサイズセンサーを搭載したソニー「サイバーショット DSC-RX1R」などの「本格派」と呼ぶにふさわしい質感を持った製品が話題となった。いっぽうで、ミラーレスカメラの高性能化も著しく、この年ソニーからは、フルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラ「α7」が、オリンパスからはAPS-C機の本格モデル「OM-D E-M1」などが発売され、本格派ミラーレス機の扉を開けた。なお、ソニーは以降、この「α7」を改良したモデルをほぼ毎年リリースしていき、ラインアップを拡充するとともに、対応レンズも着実に増やして、この市場ではほぼ独占的な立場を固めていくことになる。

フルサイズセンサーを搭載した高級コンデジ、ソニー「サイバーショット DSC-RX1R」

フルサイズセンサーを搭載した高級コンデジ、ソニー「サイバーショット DSC-RX1R」

オリンパスのフラッグシップ機として登場したミラーレスカメラ「OLYMPUS OM-D E-M1」

オリンパスのフラッグシップ機として登場したミラーレスカメラ「OLYMPUS OM-D E-M1」

フルサイズミラーレスカメラというジャンルを築き上げた、ソニー「α7」

フルサイズミラーレスカメラというジャンルを築き上げた、ソニー「α7」

こうした本格派デジカメが進化するいっぽうで、スマートフォンには真似のできない使い方をするデジタルカメラというものも、この頃登場してきていた。いわゆる「アクションカム」と呼ばれる製品群がそれで、海外製の「Go Pro」などを中心に人気は出つつあった。これと呼応するような形で、リコーからは全天球カメラ(360°カメラ)と呼ばれる「RICOH THETA」が登場し、ユニークな360°のパノラマ写真が楽しいと話題になった。

全天球カメラ(360°カメラ)という新ジャンルを切り開いて人気となった「RICOH THETA」

全天球カメラ(360°カメラ)という新ジャンルを切り開いて人気となった「RICOH THETA」

このほか、オーディオ市場では、新たに「ハイレゾ」という高音質フォーマットが話題になりつつあり、スマートフォンの音楽再生で一般的なMP3などの圧縮フォーマットに対抗するような形で、オーディオファンを中心に人気を呼びつつあった。この年の前年に、iriverから発売された「Astell&Kern AK100」というハイレゾプレーヤーが、このブームに火を付けた存在となったが、この年には改良版の「AK100MKII」が発売され、高評価を得ている。また、これと並んで、スマートフォンやこれらのハイレゾプレーヤーで使用するためのヘッドホンやイヤホンも高音質化が進み、多くの高級製品が発売されて市場をにぎわせた。

iRiver「Astell&Kern AK100MKII」。ハイレゾ文化を根付かせた高級ポータブルプレーヤー

iRiver「Astell&Kern AK100MKII」。ハイレゾ文化を根付かせた高級ポータブルプレーヤー

こうして音楽の楽しみ方も、以前のステレオコンポからパソコンなどのデスクトップ、さらにはスマートフォンへ、と移り変わっていったが、そんな流れの中で登場したのが、「Bluetoothスピーカー」と呼ばれる、アンプ一体型の小型ワイヤレススピーカーだ。ワイヤレスで場所を選ばず、小型なのにそこそこいい音が鳴らせるとあって、これらのBluetoothスピーカーも一躍人気に。なかでも、老舗オーディオメーカーのBOSEが発売した「SoundLink Mini Bluetooth speaker」は、小型でそこそこ低価格な割にしっかりしたBOSサウンドが楽しめることで人気となった。

時代はスマホ全盛期となり、そのスマホはより大画面かつ高解像化していったが、デジカメの世界でもオーディオの世界でも、この流れに連動するような形で、同じようにハイレゾ化が進んでいたのである。

●この年発売された主なデジタルガジェット

・アップル「Mac Pro(2013)」
円筒形のブラックボディをまとった小型の高性能ワークステーション。その斬新なデザインで、多くのMacファンの度肝を抜いた。ただ、小型化のあおりで拡張性が犠牲になったことなどから、セールス自体は不調だったと言われる。

平成26年(2014年)テレビはいよいよ「4K」の時代へ。復活ソニーを印象づけた年

4Kテレビとして高級路線を打ち出して成功した、ソニー「BRABIA X9200A」

4Kテレビとして高級路線を打ち出して成功した、ソニー「BRABIA X9200A」

平成26年の4月、消費税が5%から8%へとアップした。デジタル家電業界はいまだ不振の中にあったし、テレビを中心としたプロダクトも今ひとつパッとしたものが出ていなかったが、この年の前半に、東芝、そしてソニーから、従来のフルハイビジョン(2K)の4倍の情報量を表示できる「4K」に対応したテレビ製品が相次いで発表されて話題を呼んだ。なかでも、ソニーが発表した4Kテレビのラインアップは、完全に高級路線にふったもので、特にテレビの左右に本格的な3WAYスピーカーを備えた「BRABIA X9200A」シリーズは、それまでの薄型テレビの欠点と言われていたサウンド面を大きく改良した意欲的な製品であり、高画質・高音質を指向するハイエンドユーザーを中心に人気を得た。

これをきっかけに、国内のテレビメーカーは相次いで、4Kテレビのラインアップを発表、生産を増やしていくことになる。ただ、このときはまだ4Kネイティブで見られるコンテンツ自体が存在しておらず、主に従来の2Kのテレビ放送を4Kレベルにアップスケールして楽しむというのがメインの楽しみ方だった。こうした事情もあって、2K→4Kへのアップスケーリング技術が、4Kテレビを購入する際の最重要ポイントとなったわけだが、そうした点でも、放送機器の製造で見地を持つソニーのアドバンテージは大きく、4Kテレビの分野では、ソニーが一歩リードする形となった。

ソニー「PS4」。言わずもがなの、現在でも主力モデルとなるハイパフォーマンスのゲーム機だ

ソニー「PS4」。言わずもがなの、現在でも主力モデルとなるハイパフォーマンスのゲーム機だ

そのソニーだが、この年は、相次いで大型のプロダクトを発表して、世間をにぎわせた。ゲーム分野では、この年の2月に次世代ゲーム機の「PlayStation 4(PS4)」の国内発売を開始している。「PS4」は、従来の「PS3」を置き換えるほどの高性能グラフィックと、従来よりも磨かれたネットワーク機能が特徴。ネットワークを通じての対戦プレイはもとより、ゲームプレイをキャプチャしてシェアできる機能や、ゲームデータの自動アップデート機能を搭載するほか、「PS Vita」や「Xperia」シリーズ、パソコンなどからのリモートプレイなどにも対応するなど、ネットワーク時代を見据えて進化したハードとなっていた。初めに発売された「CUH-1000」は価格が39,980円と高価だったことや、対応ゲームタイトルがあまり多くなかったこともあり、スロースタートとなったが、何度かの価格改定や大型ゲームタイトルの発売などを経て、着実にセールスを伸ばしていった。

ファブレットの傑作と言われ、愛用者も多い、ソニー「Xperia Z Ultra」

ファブレットの傑作と言われ、愛用者も多い、ソニー「Xperia Z Ultra」

また、スマートフォンの分野では、この年、名機と言われた主力モデル「Xperia Z3」や、ファブレットの流れを汲む6.44型の大画面モデル「Xperia Z Ultra」を発売。「Xperia Z3」は、5.2インチのフルHD液晶を搭載したモデルで、基本性能が全体的にアップしているほか、高感度撮影に強いカメラ機能や、ハイレゾ音楽再生機能、新たに搭載されたPS4のリモートプレイ機能など、新機軸が多く取り込まれ、バランスのよいハイエンドスマホとして人気を得た。また、「ズルトラ」の愛称で親しまれた「Xperia Z Ultra」は、大画面ファブレットとしての使いやすさを大きく訴求した製品で、「これさえあればタブレットはいらない」と多くのユーザーに言わしめた。今でも愛用者が多いが、後継機はいまだに発売されていない。

さらに、カメラ分野でも、前年に発売したフルサイズミラーレス機「α7」が好調で、この年はその改良版となる「α7II」が発売された。初代モデルと大きな機能差はないが、手ぶれ補正機能がついたり、連写が高速化されるなど、さらに使いやすくなったことで、完成度を高めて人気となった。なお、「α7」シリーズでユニークなのは、今に至るまで、初代モデルからすべて現行モデルとして販売が続いているということである。ユーザーとしては、機能を確認して、必要なモデルを価格と相談しながら決めればいいということで、こうした販売戦略も、今に続くαシリーズの人気を支えるひとつの理由となっているのだろう。

このように、平成26年は、それまで不振が続いていた家電業界の中でも、いち早くソニーが復活ののろしを上げた年であった。従来の生業であるエレクトロニクスの復活を旗印に、さまざまな社内改革を行ってきたソニーが、ここへ来て、そのエレクトロニクス技術を中心に、スマートフォン、ゲーム、デジタルカメラ、そしてオーディオと、次々と注目のプロダクトを世に送り出していた。そんな年であった。

リストバンド型のスタイリッシュな活動量計として人気を集めた「Jawbone UP24」

リストバンド型のスタイリッシュな活動量計として人気を集めた「Jawbone UP24」

ソニー以外に目を向けると、スマートフォンと連携させられるデバイスとして、さまざまな「活動量計」と呼ばれる製品が話題を呼んだ。代表的な製品としては、「Jawbone UP24」や「Fitbit Flex」などがある。これらの製品は、リストバンド型のシンプルなボディの中に加速度センサーなどを搭載し、歩いた歩数や、睡眠の状況などを記録するもの。スマートフォンにワイヤレス接続することで、アプリ側で詳細なログやカロリー消費などを見える化できることから、健康志向の強いユーザーを中心に人気を呼んだ。この流れが、後のスマートウォッチにつながっていくことになる。

また、デジタルカメラの分野では、アクションカムが徐々に市民権を得てきていた。その代表的なブランドであるGo Proからはこの年、最新モデル「HERO4」が発売され、アクションカムの普及が遅れていた日本市場でも一定の知名度を得るに至った。

このほか、USBメモリーサイズのボディに、小型パソコンの機能を詰め込んだ「スティックPC」というジャンルの製品も登場した。なかでも有名なのが、Googleが発売した「Chromecast」とう製品。テレビのHDMIポートに差し込むことで、テレビにインターネット接続機能を提供するというもので(この当時、まだテレビでインターネットを本格利用するというユーザーは少なかった)、1〜2万円台で購入できる手軽さもあって人気に。ちょっとした調べ物をしたり、YouTubeなどの映像コンテンツを大画面で楽しんだりという、新たなインターネットの楽しみ方を提案した点で、画期的な製品となった。

●この年発売された主なデジタルガジェット

・キヤノン「EOS 7D Mark II」
キヤノンのデジタル一眼レフの主力モデルとして人気を博した製品。APS-Cサイズの約2020万画素CMOSセンサーを搭載し、最高約10コマ/秒の高速連写や、最大65点のクロス測距が可能なAF機能を搭載するなど、高性能かつ扱いやすい製品として人気となった。

・XYZプリンティングジャパン「ダヴィンチ 1.0」
この当時、流行りだした「3Dプリンター」。69,800円という、家庭でも購入しやすい低価格で話題を呼び、どんなものなのか使ってみたいという個人ユーザーから人気を得た。

・ソフトバンクロボティクス「pepper」
ソフトバンクロボティクスが発売した量産型の人型ロボット。198,000円という低価格で売り出したことで一気に話題に。とはいえ、ロボット的な可動部分は少なく、主にAIを使った会話のやり取りを楽しむ(利用する)用途で、企業の受付業務などを中心に使われた。

平成27年(2015年)「Windows 10」発売。スマホは高性能なキャリアモデルと低価格なSIMフリー機の2極化へ

平成27年の流行語として話題になった言葉に「爆買い」がある。その名の通り、訪日中国人が秋葉原などの家電量販店を訪れ、炊飯器や掃除機などの家電製品を大量に買っていくという姿がよく見られた。しばらくの間不振が続いた家電業界も、生活家電を中心としてこうした爆買いの恩恵を受け、少し持ち直した感が出てきたのがこの年。ただ、そのいっぽうで、老舗メーカーの東芝が不正決算問題などで大きく揺れるなど、家電業界を取り巻く状況はまだまだ厳しかった。

マイクロソフト「Windows 10」。不評だった「Windows 8」の後を継いで登場した最新OS

マイクロソフト「Windows 10」。不評だった「Windows 8」の後を継いで登場した最新OS

そんな中、パソコン業界では、マイクロソフトから新OS「Windows 10」が発売となった。この3年前にも、「Windows 7」の後を継ぐ「Windows 8」が発売されていたのだが、「Windows 8」では、タブレット端末などのモバイル機器を強く意識したタイルメニューを搭載したり、スタートメニューを廃止するなどの変更が加えられたもののこれがパソコンユーザーからはかなりの不評を呼んだ。そこで、新たに登場した「Windows 10」では、このタイルメニューをスタートメニューと統合させ、スタートメニューを復活。これによって、「Windows 8」の不評を挽回した形となった。

それでも、スマートフォンの躍進に押されるような形で世界のパソコン市場全体は、2012年(平成24年)でピークアウトした後、縮小の一途をたどっていた。この頃になると、パソコンは儲からないビジネスと言われるようになっており、国内のパソコンメーカーも、NEC(平成23年)、ソニー(平成26年)と相次いでパソコン事業から撤退。もっぱら売れているのは、LenovoやHP、DELLといった海外ブランドの製品ばかりというような状態が続いており、日本国内のパソコン事業はもはや風前の灯火という感じになっていた。

低価格かつ十分な性能を備えSIMフリー機として人気となったASUS「ZenFone 2 Laser」

低価格かつ十分な性能を備えSIMフリー機として人気となったASUS「ZenFone 2 Laser」

そんな国内勢を尻目に、パソコンの製造で実力を付けていたのは、台湾のASUSやAcerなどのメーカーである。特に、ネットブック「Eee PC」シリーズで人気を得たASUSは、その後もパソコンのほか、スマートフォンの製造にも力を入れており、この頃、同社のオリジナルブランド「ZenFone」シリーズを日本国内にも展開して一定の人気を得ていた。「ZenFone」はいわゆるSIMロックフリー(SIMフリー)機として量販店などで販売され、当時はまだそれほど一般化していなかったMVNOの格安SIMカードを使って、通信料金を安く抑えられるのが魅力。端末の本体価格も安く、この年、MVNO各社などから発売された「ZenFone 2 Laser」は、2万円台で購入できる格安スマホとして大きな人気を得た。この頃から、価格.comのスマートフォン人気ランキングでも、SIMフリー機がランキング上位の定番となりつつあり、一般ユーザーにも徐々にSIMフリースマホが浸透し始めてきていた。おりしも、この年、総務省から全通信キャリアに「SIMロック解除」の義務化を決定しており、これ以降、スマートフォンのトレンドも、通信キャリアが販売するいわゆる「キャリアモデル」から、SIMフリーモデルへのシフトが鮮明になった。

サムスン「Galaxy S6 edge」。得意の有機ELパネルを折り曲げて、側面まで広げたエッジディスプレイが斬新だった

5.5型大画面のソニー「Xperia Z5 Premium」。スマホ大画面化の流れがこの頃から加速する

5.5型大画面のソニー「Xperia Z5 Premium」。スマホ大画面化の流れがこの頃から加速する

いっぽうのキャリアモデル側では、ハイエンドスマートフォンの高性能化がさらに進んでいた。この年発売された、サムスンの「Galaxy S6 edge」は、曲面ガラスを使った「2.5Dディスプレイ(エッジディスプレイ)」を採用。同社が得意とする有機ELパネルのメリットをフルに使ったこのエッジディスプレイは大きな話題を呼んだ。また、ソニーの「Xperia Z5」は、画面サイズ5.2型のスタンダードモデルのほかに、4.6型コンパクトボディの「Xperia Z5 Compact」と、5.5型大画面の「Xperia Z5 Premium」というバリエーションを用意。こうした画面サイズ違いのバリエーションモデルは、この前年に発売された「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」でも見られたものだが、以降、サムスンの「Galaxy」シリーズ、ソニーの「Xperia」シリーズもこの流れに乗って、サイズ違いのバリエーションモデルを展開していくこととなり、スマートフォンの大画面化の流れは加速していくことになる。

ガラホの代表的モデルとなったシャープ「AQUOS K」

ガラホの代表的モデルとなったシャープ「AQUOS K」

また、スマホ全盛となったこの時期にも、まだ従来の携帯電話の愛用者は多く存在した。こうした携帯電話ユーザー向けに、ケータイの形状と利便性はそのままに、スマホのアプリなども使えるようにした「ガラスマ」「ガラホ」(ガラケー+スマホの造語)といった製品も登場した。この年発売された代表的な製品としては、シャープ(au)が発売した「AQUOS K」がある。従来のガラケーのボディにAndroid OSを搭載し、音声通話のよさはそのままに、「LINE」などの人気アプリをプリインストールするなどして利便性を高めた、まさにシャープが得意とする、スキマ製品と言える。ただし、この後、このガラスマ、ガラホの流れはあまり盛り上がらず、ガラケーはガラケーとして一定数のユーザー向けに存続するという道を選ぶことになる。

スマートウォッチという分野を切り開いたアップル「Apple Watch」

スマートウォッチという分野を切り開いたアップル「Apple Watch」

なお、アップルは、この年「iPhone 6S/Plus」を発売したが、それよりも話題になったのは、スマートウォッチとして発表された「Apple Watch」の存在だろう。スマホで世界をリードしてきたアップルだったが、この頃Android勢の追い上げもすさまじく、そろそろ次の新たなデバイスの登場が求められていた。そこへ登場したのが、iPhoneと連携して、さまざまな情報を手元で呼び出せるスマートウォッチ「Apple Watch」だったのだ。腕時計サイズというボディ制約がある中で、バッテリー持続性を維持しながら、できるだけ高機能に作られた「Apple Watch」であったが、こうした諸処の事情から、当初は単体でのLTE通信やGPS通信は見送られ、基本的にはiPhoneと組み合わせて使うデバイスとして登場した。それでも、バッテリーは丸1日持つ程度で、毎晩の充電がかかせないなど、さまざまな課題はあったが、この後毎年徐々にブラッシュアップが重ねられて進化していくこととなる。

12.9インチという大画面を備えた「iPad」の上位モデル「iPad Pro」

12.9インチという大画面を備えた「iPad」の上位モデル「iPad Pro」

また、これと同時に、タブレットでは「iPad」の進化形ともいえる「iPad Pro」と「iPad mini 4」も発表されている。なかでも「iPad Pro」は、従来の「iPad」とは一線を画した処理性能を持つ製品で、12.9インチという大型のディスプレイを備えるほか、「Apple Pencil」というスタイラスペンで、精緻なイラストなどを描くことができるという触れ込みで、プロフェッショナル向けに訴求する製品となった。

●この年発売された主なデジタルガジェット

・ニコン「COOLPIX P900」
当時最高の光学83倍ズームを搭載したレンズ一体型のデジタルカメラ。その驚異的なズーム性能で、主に屋外での撮影を趣味にしているユーザーに一躍人気となり、非常に高い評価を得た。高倍率ズームモデルの名機。

・DJI「PHANTOM 3 STANDARD」
この頃流行り始めていた「ドローン」の人気モデル。安定した飛行性能と、30fpsで2.7K HD動画を録画できるカメラ性能を持ち、価格も7万円前後と安かったことから、入門用ドローンとしての地位を確立した。

鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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