2020年の東京オリンピック記念デザインモデルとして、2019年7月下旬に発売が予定されているNTTドコモの「Galaxy S10+ (Olympic Games Edition) SC-05L」(サムスン製)。いわゆるデザインコラボモデルだが、ワイヤレスイヤホンがセットになってベースモデルよりもコストパフォーマンスにもすぐれるという一面もある。その先行開発機のフォトレビューをお届けしよう。
「Galaxy S10+ (Olympic Games Edition) SC-05L」は、6月1日に発売された「Galaxy S10+ SC-04L」をベースに、東京オリンピックのロゴマークが入ったオリジナルの背面デザインやオリジナル壁紙が内蔵されるデザインコラボモデル。ワイヤレスイヤホン「Galaxy Budz」も同梱され、限定1万台の特別モデルとして、7月下旬から発売予定。現在予約を受け付けている。
ボディは、auで取り扱いのあるカラーバリエーション「プリズムホワイト」をベースに、背面に東京オリンピックのロゴマークが入っている。オリジナルの壁紙は1種類のみで、ライブ壁紙ではない普通の壁紙だ。総じてデザインコラボモデルとしては抑え目の内容と言える。なお、開発途中版のため、製品版ではコンテンツは変更になる可能性がある。
左が本機、右がベースとなった「Galaxy S10+」。数量限定のデザインコラボモデルと言うより、カラーバリエーションの違いにしか見えない抑えめのデザインだ
東京オリンピックのロゴマークは同系統の白でプリントされている
キーロック画面の壁紙は、東京オリンピックのロゴマークが入ったオリジナルのデザイン
オリジナルの壁紙は上記のデザイン1種類のみ。ライブ壁紙ではない通常画像データとなる
ハードウェアの基本的な部分はベースモデルのGalaxy S10+と全く同じ。ボディは、サイズが約74×(幅)×158(高さ)×7.8(厚さ)mmで、重量は約175g。3,040×1,440のWQHD+表示に対応する約6.4インチの有機ELディスプレイを備える。なお、ボディは、IPX5/IPX8等級の防水仕様と、IP6X等級の防塵仕様をクリアしている。
表面いっぱいに広がる約6.4インチの「Dynamic AMOLED」ディスプレイ。有機ELらしい深みのある発色で、「HDR10+」にも対応している
ディスプレイの一部がくりぬかれており、中にフロントカメラが収まっている
「ディスプレイ指紋認証」を採用。応答速度や認証精度は、通常の指紋認証センサーとそん色ないレベル
Galaxy Sシリーズではおなじみの曲面ディスプレイを採用しており、ベゼルを極限までなくしている
基本性能を見てみよう。SoCは、最新世代に属するクアルコムのハイエンド向け「Snapdragon 855」に、8GBのRAMと128GBのストレージ、512GBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSはAndroid 9。今回使用した「Galaxy S10+ (Olympic Games Edition)」は試作機なので、ベンチマークテストは行っていないが、その代わりとして「Galaxy S10+」を使ったベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」のスコアを参考として掲載する。総合スコアは、359,876(内訳、CPU:116,960、GPU:157,239、UX:73,449、MEM:12,228)で、現状では最速クラスの性能を備えているスマートフォンのひとつだ。
体感速度はさすがに速い。昨年モデル「Galaxy S9+」と比較しても、アプリの起動や画面スクロールなどで処理性能の差を感じる。グラフィック性能が高いのでゲームアプリも快適に動作していた。
AnTuTuベンチマークの総合スコアは359,876。Androidスマホの中ではソニー「Xperia 1」やシャープ「AQUOS R3」とともに最速グループに属する
機能面だが、上記の防水・防塵仕様に加えて、FeliCaポート、NFCポート、フルセグ/ワンセグテレビチューナーを搭載している。こうした機能面の充実ぶりもベースモデルと同様で文句なしだ。今夏モデルを代表する“機能全部入り”の1台と言える。
先に触れたように、本製品はBluetooth接続の完全ワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds」がセットとなっている。「Galaxy Buds」は、片方の重量が約6gで58mAhのバッテリーを内蔵し、フル充電で音楽再生なら6時間、音声通話なら約5時間の使用が可能だ。なお、ケースには252mAhのバッテリーが内蔵され、約4回分程度の充電が行える。
コーデックは、SBCとAACに加えて、サムスン独自のスケーラブルコーデックに対応している。充電ケースのふたを開けるだけでペアリングが完了するので、誰でもすぐに使い始められるだろう。また、ヘッドホン表面の一部がタッチセンサーになっており、軽くタップすることで、音楽の再生や一時停止、着信への応答などが行える。装着感も悪くなく、操作性も直感的でわかりやすいので、初めてのワイヤレスイヤホンとしても適しているだろう。
表面がタッチセンサーになっており、軽くタップですることで操作が行える
バッテリーを内蔵するケースにも、オリンピックのロゴマークが入っている
ケースのふたを開けるだけでペアリングが完了。そのまま、装着できるので誰でも迷わずに使い始められる
カメラの機能も「Galaxy S10+」と同じ。メインカメラは、広角(約1,200万画素)、超広角(約1,600万画素)、望遠(約1,200万画素)の組み合わせのトリプルカメラだ。いっぽうのフロントカメラは、約1,000万画素の広角カメラと、約800万画素の被写界深度計測カメラを組み合わせたダブルレンズカメラとなっている。
メインカメラは、広角カメラから望遠カメラまでは2倍、超広角カメラから望遠カメラまでなら4倍の光学ズームが可能だ。また、10倍のハイブリッドズーム撮影(広角から望遠カメラの倍率)が行える。
メインカメラは、横1列にカメラの並ぶトリプルカメラ仕様となった。背面にあった指紋認証センサーが廃止されたことでデザイン的にもすっきりした
以下に、本機のメインカメラを使って撮影した作例を掲載しよう。なお、全て初期設定のまま、カメラ任せのオートモード(AIシーン認識付き)で撮影している。
カメラを起動したときに自動で選択される広角カメラは、絞りをF1.5とF2.4で切り替えられるデュアルアパチャー機能を搭載する。画質的に文句がない
超広角カメラは、レンズはF2.2の明るさがあり、35mm換算で13mmの画角となる。作例のように周囲の様子を構図に収めることができる。超広角レンズでは起こりやすい周辺部の荒れやノイズもかなり抑えられている
上の超広角カメラと同じポジションで、望遠カメラに切り替えて撮影。4倍にズームできるので、離れた場所から猫の表情を驚かせることなく撮影できた
本機のメインカメラは、超広角、広角、標準というトリプルカメラとなったことで、光学4倍のズームに対応し、構図のバリエーションが増えた。今回は猫をメインに撮影したが、ペットの表情を離れた場所から撮影できるなど、光学ズームのメリットは大きい。Galaxyシリーズのカメラ機能はもともと評価が高いが、トリプルカメラになることで、さらに表現の幅が広がった印象である。ハイエンドスマートフォンではカメラの高性能化がいちじるしい、本機のカメラはライバル機に対しても、まったく見劣りしない、扱いやすい高機能カメラと言えそうだ。
NTTドコモは今までも、アニメなどのコンテンツや、ファッションブランドなどとのコラボレーションモデルを数々手がけてきた。これらのモデルは、独自のデザイン、コンテンツ、アプリ、パッケージなどを備えることで、ベースモデルに対して高めの価格が付けられることが多かった。
しかし、本機は、ベースモデルとなる「Galaxy S10+」の93,600円に対して、プラス12,600円の106,200円という価格だ。同梱されるワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds」が15,880円(いずれも税別)ということを考えれば、むしろ割安である。
ベースモデルと比べてもおとなしめのデザインだが、オリンピック終了後もしばらく使い続けることを考えれば、本機のような抑制の効いたデザインのほうがむしろあきにくいだろう。来年に迫る東京オリンピックを待ち望む人はもちろんだが、「Galaxy Buds」がセットになったお得なモデルとして、また、NTTドコモ版にはなかったカラーバリエーション「プリズムホワイト」を望んでいた人にも魅力的な1台となるだろう。