ASUS JAPANが14型の薄型・軽量ノートパソコン「ExpertBook B9」を発表した。今年1月に米国で開催されたデジタル技術の見本市「CES 2020」で発表され、その軽さと薄さで世界中のメディアを驚かせたモデルだ。ひと足先に試す機会を得たので、使い勝手などをレポートしたい。
なお、2画面PC「ZenBook Duo」も同時に発表され、同じく速攻レビューしているので、そちらもチェックしてもらいたい。
14型ノートパソコンとしては世界最軽量クラスをうたうExpertBook B9。その重量は約870g
ExpertBook B9は世界最軽量クラスをうたう14型ノートパソコン。働く場所に縛られない人やノートパソコンに軽さを求めるビジネスパーソンをターゲットとしたモデルだ。
実機を手にするとその軽さに驚く。重量は約870gで、厚さも14.9mmとスリムだ。軽さの理由は素材にある。国内PCメーカーでも採用されている、軽くて丈夫なマグネシウムリチウム合金を天板と底面に採用。同素材を使うのはASUSとしては初だ。加工が難しいと言われる素材だが、コンピューターを使ったCNC-ミドル製法と20以上の工程を経て、薄型・軽量かつ堅牢なボディに仕上げている。
マグネシウムリチウム合金を使った天板。さらっとした手触りで、汚れが目立ちにくい
キッチンスケールでの実測は、カタログスペックよりも軽い860gだった
バッテリー駆動時間が長いのも魅力だ。ExpertBook B9は、33Whrモデルと66Whrモデルの2つのモデルがラインアップされているが、大容量の66Whrモデルは約30時間という24時間超えのバッテリー駆動を実現。カタログスペックの6割が実際に使える時間と考えても、15時間以上使える。さらに、49分の充電で60%使える急速充電に対応。ACアダプターもコンパクトで持ち運びやすい。
なお、バッテリーの大きさが違うと重量も変わってくる。前述の約870gは33Whrモデルのこと。こちらのバッテリー駆動時間は約16時間。66Whrモデルの重量は約995gとさすがに重くはなるものの、1kg切りを実現している。
USB-C接続のACアダプターは小型で、ケーブルのほうがボリュームかさばるほどだ
ビジネス向けということでキーボードにもこだわっている。まず、ディスプレイを開くと、キーボードに145°の傾斜がつくエルゴリフトヒンジを搭載。傾斜のないキーボードよりも打ちやすくて快適だ。キーピッチは18.75mm、キーストロークは1.5mmと薄型ボディながら余裕のある作り。キー配列は標準的でアルファベットキーは打ちやすいものの、Enterキーが細くて少しだけ使いにくい。左側のShiftキーやCapsLockキーを小さくするなどしてほしかった。
ASUSでおなじみの「NumberPad 2.0」も搭載する。タッチパッドをテンキーとして使える機能で、表計算ソフトなどで数値を頻繁に入力する場合に便利だ。バックライトキーボードも備える。
アルファベットが大きく印字されたキーボード。キーピッチ18.75mm、キーストローク1.5mmとアルファベットは打ちやすいが、Enterキーが細く慣れるのに少し時間がかかりそうだ
タッチパッドはテンキーとして利用できるNumberPad 2.0。右上をタッチするとテンキーが出現し、左上を1秒押すと明るさを2段階で調節できる
ディスプレイを開くとキーボードに145°の傾斜がつくエルゴリフトヒンジ
仕事で使うとなると、セキュリティ機能も気になるところ。ログインなどにはIRカメラを使った顔認証機能や指紋認証機能を利用できるほか、Webカメラには物理的なカバーを備える。Webカメラの悪用を防げるだけでなく、ビデオ会議などで自宅の部屋の様子が見られたくない場合にも助かる。
Webカメラには物理的なカバーが搭載されている。ハッカーの悪用を防げるほか、ビデオ会議に参加する時にカメラをオフにするのを忘れた場合も安心。上部には4つのマイクが内蔵されており、ビデオ会議も快適にこなせそうだ
システム管理者にありがたい「ASUS Business Manager」「ASUS UEFI BIOS」という機能も備える。ASUS Business ManagerはUSBストレージの読み書きの禁止やリストアポイントの作成などが簡単に行える機能。ASUS UEFI BIOSは、同社製マザーボードでおなじみのマウス操作可能なBIOS。さらに、有線LAN接続時にMacアドレスがUSBアダプターのものになるのを防ぐ、チップ内蔵MacアドレスのmicroHDMIポートも管理者の手間を減らしてくれるだろう。
microHDMIポートを使って有線LAN接続するためのアダプターが付属。USBアダプターを使うとMacアドレスが変わるのを防げる
CPUには第10世代Coreプロセッサーを搭載。個人向けモデルは、大容量バッテリー(66Whr)モデルと標準バッテリー(33Whr)モデルの2タイプあり、合計4モデルをラインアップする。主なスペックと直販価格は以下の通り。
B9450FA-BM0295TS(66Whr)/B9450FA-BM0323TS(33Whr):Core i7-10510U、16GB、1TB SSD、Office Home and Business 2019、219,800円(税込)〜
B9450FA-BM0501TS(66Whr)/B9450FA-BM0500TS(33Whr):Core i5-10210U、8GB、512GB SSD、Office Home and Business 2019、139,800円(税込)〜
PCパーツメーカーでもあるASUSらしく冷却性能にもこだわっている。ファンにはメタル素材を使っているほか、傾斜角を工夫することで冷却性能の最大化を図っているという。さらに、パームレスト部分と底面に熱拡散・放熱効果のあるグラファイトシートを採用。薄型ボディでも高い冷却性能を実現している。
パソコンの総合的なパフォーマンスを測定する便利マークソフト「PCMark 10」の結果。今回はCore i7-10510Uを搭載した上位モデル(33Whr)を試したが、トータルスコア3565と高いスコアを記録した
ストレージの読み書き速度を測定するベンチマークソフト「CrystalDiskMark 7.0.0 x64」の結果。PCIe 3.0 x4 SSDを搭載しており、読み込み3438.44MB/s、書き込み2395.44MB/sの高速な読み書きを記録
外部インターフェイスはThunderbolt 3ポートを2基、USB 3.1を1基、HDMI、Macアドレス対応microHDMIポート、マイク入力/ヘッドホン出力を搭載。Thunderbolt 3ポートは充電、映像出力、データ転送に利用できる。薄型ボディなので、カードリーダーは搭載しない。
薄型ボディだが、Thunderbolt 3ポート、HDMI出力、Type-AのUSB 3.1ポートなどを備える
ExpertBook B9は軽さと薄さにこだわったノートパソコンだ。14型のディスプレイは、じっくり作業する場合にも見やすいサイズで、在宅勤務にもよさそうだ。堅牢性も高く、バッテリー駆動時間も長いので、頻繁に持ち歩いて、いつでもどこでもバリバリ仕事がしたいという人にもピッタリ。Core i5モデルの価格は税込み13万円台からとASUSらしいコストパフォーマンスの高さも見逃せない。外出先で長時間使いたい人は、66Whrの大容量バッテリーモデルを選ぶといいだろう。仕事用パソコンを探している人はぜひチェックしてみてほしい。