レビュー
格安SIMの新しい形!

「iPhone SE」(第2世代)でIIJmioと楽天モバイルのeSIMを試す


スマートフォンやタブレットといった携帯端末と契約者情報を結びつけるSIMカードは、これまで物理的に着脱可能なものが用いられてきました。しかし近年では、SIMカードの機能が端末に組み込まれた「eSIM」を採用する端末も現れています。

eSIMには物理的なSIMカードを交換することなくキャリアを乗り替えたり、好きなタイミングで通信プランを切り替えたりできるメリットがあります。最近主流の爪に乗ってしまうほど小さなnanoSIMサイズのSIMカードは交換時に紛失してしまう可能性もありますが、eSIMではそのような心配もありません。

日本国内でeSIMが利用できる端末やキャリアはまだまだ限られていますが、普及すればユーザーの利便性が高まることは間違いありません。そこで今回は、eSIMが採用されているアップルの「iPhone SE」(第2世代)を使い、IIJmioと楽天モバイルのeSIMサービスを試してみたいと思います。

※記事中の価格は断りがない限り税別です。

IIJmioは2種類のeSIMサービスを提供

まずはIIJmioのeSIMサービスを試してみました。本稿執筆時点において、IIJmioでは「データプラン ゼロ」および「ベータ版」という2種類のeSIMサービスを提供しています。なお、IIJmioは個人ユーザー向けにNTTドコモ回線とau回線の格安SIMを提供していますが、eSIMサービスではNTTドコモ回線のみが用意されています。また、いずれも音声通話やSMSには対応しないデータ通信専用プランとなります。

IIJmioのeSIMサービス料金プラン

IIJmioのeSIMサービス料金プラン

2020年3月から提供が始まった「データプラン ゼロ」では、データ利用量が付属しない月額150円の料金プランが採用されています。データ利用量はマイページから毎月最大10GBまで1GB単位で追加することが可能で、価格は最初の1GBが300円、2GBから10GBまでは450円/1GBとなっています。

1GBだけ追加する場合の月額料金は450円、10GBまで追加すると4,500円になるため、実質的に450円/1GBの価格設定になっています。通信しない月の料金は150円だけで済み、通信する月は使いたい分だけ支払うという、後払い式の料金プランとプリペイドSIMの特徴を併せ持つようなプランです。なお、データ利用量は余っても繰り越されず、購入した月のみ有効です。

もうひとつの「ベータ版」は2019年7月から提供されている国内初の個人ユーザー向けeSIMサービスで、物理的なSIMカードで契約できるものと同じ「ライトスタートプラン」が用意されています。

月額料金は1,520円で、データ利用量は毎月6GBまで。大容量オプションを追加すれば月額3,100円で毎月20GB、または月額5,000円で毎月30GB増やすことが可能です(2つの大容量オプションを同時に追加することもできます)。eSIM向けの「ライトスタートプラン」もデータ通信専用のプランなので音声通話やSMSは利用できませんが、余ったデータ利用量は翌月に繰り越されます。

どちらを選ぶか検討した結果、今回は正式版サービスという位置付けの「データプラン ゼロ」を契約してみました。

eSIM対応端末は「iPhone SE」(第2世代)を使用

冒頭でも触れたように、eSIMに対応している端末は限られています。IIJmioの場合、スマートフォンでは2018年に登場したアップルの「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」以降や、グーグルの「Google Pixel 4」「Google Pixel 4 XL」が対応端末とされています。

今回筆者が使用したのは、アップルから購入したSIMフリー版の「iPhone SE」(第2世代)(以下、「iPhone SE」)です。iPhoneシリーズのeSIM対応機種はDSDS(デュアルSIM・デュアルスタンバイ)仕様となっており、物理的なSIMカード1枚とeSIMサービスひとつの2回線を同時に利用することが可能です。

2020年4月に登場したiPhone SE(第2世代)

2020年4月に登場したiPhone SE(第2世代)

なお、本稿はUQ mobileのSIMカードをセットした状態でeSIMサービスの導入を行っています。また、IIJmioのeSIMサービスを利用する場合、SIMフリー端末もしくはSIMロックを解除した端末が必要とされています。

契約手続き開始から15分ほどで通信可能に

「データプラン ゼロ」の契約手順そのものは一般的な格安SIMと比べて大きな違いはなく、オプションの選択、契約者情報の入力、説明事項の確認といった手順を経て契約が成立します。ただし、「データプラン ゼロ」はeSIMサービスなので、SIMカードのサイズを選ぶ必要がありません。また、手続きと設定が完了次第すぐに使えるように、事前にデータ利用量をどれくらい追加しておくか決めることができました。

「データプラン ゼロ」は契約時にデータ利用量を追加購入しておくことが可能です。画像は10GB分を指定したところ(手続き完了後に購入することもできます)

契約手続きを終えて準備が完了すると、IIJmioからアクティベーションコードを表示するためのURLがメールで通知されます。iPhone SEでQRコードを読み取ることになるため、パソコンやほかのスマートフォンといった機器からアクセスする必要があります。

iPhone SEで「設定」→「モバイル通信」→「モバイル通信プランを追加」の順にタップするとカメラが起動するので、表示されたアクティベーションコードのQRコードを読み取ります。すると「モバイル通信プランのインストール」が始まるので、手順にしたがってモバイル通信プランの名称、電話の発信やメッセージの送信に使用する通信プラン、モバイルデータ通信に利用する回線などを選択していきます。

QRコードをカメラで読み取るとモバイル通信プランのインストールが始まります

QRコードをカメラで読み取るとモバイル通信プランのインストールが始まります

通話の発信やSMSの送信に利用したい回線を指定することができます(後から変更することも可能です)

通話の発信やSMSの送信に利用したい回線を指定することができます(後から変更することも可能です)

モバイル通信プランのインストールが完了すると、アンテナピクトが2段に分かれて表示されるようになります。上段は現在モバイルデータ通信を使用中の回線、下段はもうひとつの回線の電波強度を示しています。

コントロールセンターを開くと、SIMカードをセットしているキャリアとeSIMのモバイル通信プランをインストールしたキャリア(ここではUQ mobileとIIJmio)の名称が表示されているのがわかります。

なお、キャリア名の先頭にある四角で囲まれた部分には、設定した通信プランの名称の頭文字が表示されます。名称は必要に応じて入力し直せるので、見分けやすいように変えておくと便利です。

eSIMのモバイル通信プランがインストールされると、左上のアンテナピクトが2段に表示されるようになります

eSIMのモバイル通信プランがインストールされると、左上のアンテナピクトが2段に表示されるようになります

コントロールセンターを開いたところ。上段が現在モバイルデータ通信に使用されている回線です

コントロールセンターを開いたところ。上段が現在モバイルデータ通信に使用されている回線です

モバイルデータ通信に使用する回線を切り替えるには「設定」→「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」の順に進み、使用したい回線をタップします。iPhone SEの場合、この画面で「モバイルデータ通信の切替を許可」をオンにしておくと、電波状況などに応じて回線が自動的に切り替わるようになります。

モバイルデータ通信に使用する回線をeSIMに切り替えたところ。アンテナピクトの脇に表示されるキャリア名が「IIJ」になっています

長野県に住む筆者の自宅周辺では、山間部などでドコモかauどちらかのネットワークにしかつながらないような場所もあります。新型コロナウイルス感染症の影響もあり自宅から遠く離れたところでの使い勝手は未確認ですが、ひとつのキャリアだけではつながりにくい場所でもモバイルデータ通信が途切れにくくなることが期待できそうです。

なお、「データプラン ゼロ」の申し込み手続きを始めてからeSIMで通信ができるようになるまで、15分ほどしかかかりませんでした(筆者はすでにIIJmioのユーザーだったので、住所の入力やクレジットカードの登録などを省略できたことも影響しています)。

2012年に筆者が初めて契約した格安SIMもIIJmioでしたが、なるべく早く使い始めるために、SIMカードの在庫がある取り扱い店舗まで往復1時間の距離を車で移動したことを憶えています。要した時間の違いに8年間の進歩を実感しました。

iPhone SEでは動作保証外ながら楽天モバイルも利用可能

続いて、楽天モバイルが自社回線で提供しているeSIMを試してみました。楽天モバイルではオリジナルのAndroidスマートフォン「Rakuten Mini」向けにeSIMサービスを提供していますが、そのほかのeSIM対応製品として「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」以降のiPhoneシリーズや「Google Pixel 4」「Google Pixel 4 XL」が挙げられています。

ただし、楽天モバイルではiPhoneやiPadでの初期設定方法も案内してはいるものの、本稿執筆時点ではiPhoneでeSIMを利用することは動作保証外とされています。また、コミュニケーションアプリの「Rakuten Link」はAndroid版しか用意されていないため、iPhoneでは「Rakuten UN-LIMIT」の特徴のひとつである国内宛通話のかけ放題が利用できず、通話料は30秒あたり20円の従量制となってしまいます。これらの点はあらかじめご了承ください。

楽天モバイル自社回線の場合も、契約手続き自体は物理的なSIMを利用する場合と同じです。申し込みが完了するとQRコードが印刷されたスタートガイドが配送されるので、iPhone以外の端末で読み取って回線の開通手続きを進めます。すると設定用のQRコードが表示されるので、IIJmioの場合と同様にiPhone SEの「設定」→「モバイル通信」→「モバイル通信プランを追加」の順にタップして起動したカメラで読み取り、モバイル通信プランをインストールします。

楽天モバイルの回線をオンにした状態でeSIMに切り替えたところ。上段のキャリアがRakutenと表記されています。なお、本稿執筆時点では長野県はまだ楽天回線のエリア外となるため、auのネットワークにつながっています

すでにeSIMを利用している状態で新たにモバイル通信プランをインストールすると、追加した回線が自動的にオンになり、以前から使っていた回線はオフになります。物理的なSIMの場合、端末にセットできるSIMカードの枚数はSIMカードスロットの数に左右されますが、eSIMでは端末内にモバイル通信プランが保存されているので、いつでも切り替えることが可能です。

今回の場合、楽天モバイルのモバイル通信プランをインストールしたことで、IIJmioはオフになりました。再びIIJmioのeSIMサービスを利用するには、iPhone SEの場合は「設定」→「モバイル通信」でIIJmioの回線を選び、「この回線をオンにする」をオンにします。

「設定」→「モバイル通信」と進めたところ。IIJmioの回線がオフになっています

「設定」→「モバイル通信」と進めたところ。IIJmioの回線がオフになっています

「この回線をオンにする」のスイッチをタップするとIIJmioの回線がオンになり、楽天モバイルの回線がオフになります

自宅にいながら短時間で使えるようになるのは便利! 今後の普及に期待

今回はアップルのiPhone SE(第2世代)を用いてIIJmioと楽天モバイルのeSIMを試してみましたが、申し込みからものの十数分で使えるようになる手軽さは改めて便利だと感じました。

惜しむらくはeSIMサービスを提供するキャリアが非常に限られていることですが、今年の5月に総務省が大手キャリアに対し、MVNOでもeSIMサービスの提供が可能となるよう要請を行っています。今後はIIJmio(BIC SIMも含む)や楽天モバイル以外でもeSIMサービスを提供するキャリアの登場が予想されます。

また、eSIMに対応する端末もまだまだ限られているものの、iPhoneシリーズが対応してから今年で2年、今後は大手キャリアのiPhoneを利用するユーザーの多くがeSIM対応機種を所有することになります。対応端末とサービスを提供するキャリアの双方が増えることで、eSIMの普及に弾みがつくことが期待されます。

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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