2020年6月から7月にかけて、サブブランドの「ワイモバイル」と「UQ mobile」が料金プランの一部改定を行いました。
どちらのプランも大幅な刷新というわけではありませんが、今年の4月に自社回線での正式サービスをスタートさせた楽天モバイルの料金プラン「Rakuten UN-LIMIT」の影響が垣間見える改定で、これまで大容量プランが選べなかったサブブランドの弱点を限定的ながらも補う内容となっています。
そこで今回は、ワイモバイルとUQ mobileの料金プランで改定された部分を確認しつつ、両者のプランを改めて比較してみたいと思います。
※記事中の価格は特に断りがない限り税別です。
まずは先行して料金プランの改定を実施したUQ mobileからチェックしてみましょう。7月17日現在UQ mobileから提供されているスマートフォン向けの料金プランは次の通りです。
なお、月額料金については通話料割引オプションの有無を考慮し、オプションを付けない場合は「通話定額なし」、各通話最初の何分間かが無料になる場合は「準通話定額」、国内通話が話し放題になる場合は「通話定額あり」として試算しています。また、期間限定のキャンペーンや家族割といった月額料金の割引やデータ利用量の増量などは考慮していません(以下同様)。
UQ mobileのスマートフォン向け料金プラン(7月17日現在)
現在UQ mobileで新たに契約できる音声通話に対応したスマートフォン向けの料金プランは、改定前から提供されている「スマホプランS」(毎月3GBまで)と、6月1日から提供が始まった新しいプラン「スマホプランR」(毎月10GBまで)の2つです。どちらも使いきれなかったデータ利用量は翌月に繰り越されます。
通話定額オプションを付けない場合の月額料金は「スマホプランS」が1,980円、「スマホプランR」が2,980円。国内通話が一部を除き話し放題になるオプション「かけ放題(24時間いつでも)」(月額1,700円)を追加する場合はそれぞれ3,680円と4,680円になります。通話定額オプションを付けない場合や無料で通話できる時間を超過した場合の通話料は30秒あたり20円です。
両プランはデータ利用量と月額料金だけでなく、データ利用量を使い切った場合やユーザー自身が通信速度を節約モードに切り替えた場合の通信速度にも違いがあります。以前から提供されてきた「スマホプランS」は上り・下りともに最大300kbpsですが、「スマホプランR」はその3倍以上速い最大1Mbpsとなっており、LINEやSNSの利用はもちろんYouTubeなどのオンライン動画も低めの画質であれば視聴しやすくなっています。
なお、5月31日まで提供されてきた「スマホプランM」(毎月9GBまで)と「スマホプランL」(毎月14GBまで)は、「スマホプランR」の提供開始にともない新規受付を終了しています。
続いてはワイモバイルをチェックしてみましょう。7月17日現在ワイモバイルから提供されているスマートフォン向けの料金プランは次の通りです。
ワイモバイルのスマートフォン向け料金プラン(7月17日現在)
ワイモバイルのスマートフォン向け料金プランは7月1日に改定されましたが、プランのラインアップそのものは従来と変わらず、「スマホベーシックプランS」(毎月3GBまで、月額2,680円)、「スマホベーシックプランM」(毎月10GBまで、月額3,680円)、「スマホベーシックプランR」(毎月14GBまで、月額4,680円)の3つが提供されています。このうち「スマホベーシックプランM」については、改定にともないデータ利用量が毎月9GBから10GBに引き上げられています。なお、3つのプランはいずれもデータ利用量の繰り越しには対応していません。
スマホベーシックプランには各通話最初の10分間が無料の通話料割引が組み込まれており、10分を超えた場合の通話料は30秒あたり20円。「スーパーだれとでも定額(月額1,000円)」を追加することで一部を除く国内通話を話し放題にすることも可能です。
前述のデータ利用量に加えて、ワイモバイルでも速度制限時の通信速度が改定されています。「スマホベーシックプランS」は従来通り上り・下りとも最大128kbpsですが、「スマホベーシックプランM」と「スマホベーシックプランR」は1Mbpsに引き上げられており、先行して改定を実施したUQ mobileの制限時の速度と並んでいます。
最後に、改正後のワイモバイルとUQ mobileの料金プランを比較してみましょう。両社の料金プランを次の表にまとめました。
改定後のワイモバイルとUQ mobileのスマートフォン向け料金プラン比較
データ利用量が揃っているワイモバイルの「スマホベーシックプランM」とUQ mobileの「スマホプランR」は月額料金に700円の差がありますが、UQ mobileでは各通話最初の10分間が無料になる通話料割引オプション「かけ放題(10分/回)」が月額700円で提供されているため、通話料金の条件も揃えた場合は月額料金に差がなくなります。国内通話が話し放題になるオプションを追加した場合も同様です。
単純に料金プランのみを比較する場合、ワイモバイルとUQ mobileのどちらを選ぶべきなのかは「通話定額の必要性」が大きなポイントです。音声通話を発信する機会が少なくて通話定額が不要な人の場合、通話料割引が料金プランから分離されているUQ mobileを選んだほうが、ワイモバイルと比べて毎月700円安くなります。
いっぽう、通話定額を必要とする人の場合、ワイモバイルとUQ mobileの料金プランに価格差は生じないことになるため、回線のつながりやすさや提供されているサービスの内容などを比較して選ぶことになります。上に掲げた表には反映していませんが、ワイモバイルでは初めてスマホベーシックプランを契約した場合に契約翌月から6か月間の月額料金を毎月700円ずつ割り引く「新規割」を提供しています。割引額の合計はほぼ1か月分の月額料金に相当する4,200円なので、通話定額を必要としつつ少しでも節約したいという人にとってメリットと言えます。
また、価格.comマガジンで毎月実施している通信速度調査でも示されているように、格安SIMのなかでもサブブランドの通信環境は比較的良好です。そのため、制限時の速度が最大1Mbpsであったとしても、高速通信時の速度との差が不便に感じられることがあるかもしれません。ワイモバイルが提供している「スマホベーシックプランR」のデータ利用量は「スマホベーシックプランM」および「スマホプランR」の1.4倍なので、なるべく高速通信で過ごしたいという人は「スマホベーシックプランR」を選ぶのもよさそうです。
なお、ワイモバイルとUQ mobileが相次いで導入した「制限時に最大1Mbps」という速度は、楽天モバイルの料金プラン「Rakuten UN-LIMIT」(月額2,980円)を楽天回線エリアの外で利用する場合の制限速度と同じです。
「Rakuten UN-LIMIT」は楽天回線エリアならデータ利用量は無制限ですが、auの回線を利用する国内のローミングエリアでは毎月5GBまでという上限があります。「Rakuten UN-LIMIT」はローミングエリアでも国内宛通話が話し放題になるメリットがあるものの、楽天回線エリアに生活の基盤がなくて通話定額も不要であれば、同じ月額料金で2倍のデータ利用量が付与されるUQ mobileの「スマホプランR」にも注目です。