ONE-NETBOOK TechnologyはUMPC(ウルトラモバイルPC)を手がける中国の新興PCメーカー。国内ではテックワンが正規版を販売している。そんなONE-NETBOOK Technologyから、“ゲーミングUMPC”の第2弾モデル「OneGx1 Pro」が1月31日に発売された。さっそく実機を試すことができたので、その実力をチェックしていきたい。
7型のディスプレイを搭載するOneGX1 Pro。小さなボディにTDP20WのTiger Lakeを詰め込んでいる。直販価格は168,000円(税別)から
OneGx1 Proは7型のディスプレイを搭載するゲーミングUMPC。重量は約623gで、片手で楽に持てるほど軽い。本体サイズは約173(幅)×136(奥行)×21(高さ)mmと両手で持って親指でキーを入力できるほどのサイズ感だ。正面から見ると普通のUMPCだが、背面を見るとゲーミングPCらしい大きな排気口がある。その排気口をぐるっと囲っている「リングテールランプ」がかっこいい。
アルミニウム合金削り出しのボディは高級感のある仕上がり。ボディの表面には指紋防止加工が施してある。UMPCは手で持って使うことが多いので、指紋が目立ちにくいのもうれしいところだ。
アルミニウム合金削り出しのボディ。排気口で青く光る「リングテールランプ」は、キーボード操作でオン・オフ可能
RGBバックライトを備えるキーボード。Fnキー+Enterキーでバックライトの色の切り替え、Fnキー+1キーでバックライトの速度の切り替えなどが可能
本体重量はカタログスペックで約623gだが、キッチンスケールでの実測は647gだった。カタログスペックよりも重いがUMPCらしく非常に軽量だ
化粧箱は本体同様小さくて凝縮感がある
同社の初代ゲーミングUMPC「OneGX1」と比較してみた。本体サイズと重量はほぼ同じ。デザインもほぼ変わっていないのがわかる。カラーはブルーからブラックに変わり、精悍さが増している。
左がOneGx1 Pro、右がOneGx1。どちらもディスプレイは1920×1200の7型で、本体サイズもほぼ同じ
左がOneGx1 Pro、右がOneGx1。カラーはブルーからブラックに変更された
OneGx1 ProはゲーミングUMPCなので、スペックの高さが最大の特徴だ。CPUには開発コード名「Tiger Lake」の第11世代Coreプロセッサーの、Core i7-1160G7を搭載する。4コア8スレッドで、最大周波数4.40GHzというCPUだ。TDP(熱設計電力)は9W/15W/20Wが設定できる。このサイズで20Wにできるのがスゴイ。熱対策については、デュアルファンと純銅製ヒートパイプとヒートシンクにより、高い冷却性能を実現しているという。
メモリーは16GBで、LPDDR4x-3733からLPDDR4x-4266へ強化されている。このあたりもゲーミングのために高速化されている。ストレージはモデルによって異なり、512GB/1TBの2種類だ。
TDPはデフォルトでは15Wだが、BIOSから20Wに変更できる
Fnキー+2キー/3キーでファンの回転スピードを調整できる
ファンの回転に応じて電源ボタンのLEDの色が変わる
Tiger Lakeの内蔵GPUは、PCゲームを楽しめる性能を持つ「Iris Xeグラフィックス」。もちろん、ヘビーなタイトルは難しいが、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」「Monster Hunter Online」「ストリートファイターX」など国内で人気のタイトルの動作は確認しているという。
筆者が最近ハマっている「フォートナイト」をプレイしてみたが、クオリティプリセットを「高」にした場合は30fpsにいくかいかないほど。「中」にすると60fps近く出た。いわゆる“ガチ勢”ではなく、筆者のようなエンジョイ勢には十分なクオリティで楽しめそうだ。
クオリティプリセット「中」が左、「高」が右
そのほか、定番のベンチマークを実施してみたが、UMPCとは思えないほどのスコアだった。比較用にOneGx1の結果を並べているが、大幅に性能がアップしているのがわかる。Tiger Lakeの性能の高さはもちろんだが、小さいボディながらすぐれた冷却機能を搭載していることが大きい。
UMPCは好きだだが、キーボードが小さすぎてなかなか選べないという人も少なくないだろう。OneGx1 Proはキーピッチが15mmほどで、Fnキーもあり、意外と普通に入力できた。もちろん、長時間キー入力をするのにはオススメしにくい。キーボードよりも気になったのが、光学式ポインティングデバイス。思った通りカーソルを動かせずに、ついついタッチで操作することが多くなった。発売前の試作機だったせいかもしれないが、画面をタッチして操作するか、マウスを使う機会が増えそうだ。
UMPCはキーボードの打ちやすさは二の次という感じだが、OneGx1 ProはFnキーをつけるなど、小さいながらも普通に近いキー配置となっている。UMPCとしては入力しやすいキーボードと言える
キーピッチは実測で14mmほど
外部インターフェイスはUSB Type-C(USB4.0)を2ポート、USB 3.0を1ポート備える。右側面にはMicro HDMI出力を、左側面にはSIMカードスロットを搭載。今回は試していないが、OneGx1 Proは4Gモデルと5Gモデルもラインアップされている。なお、OneGx1ではSIMカードスロットとmicroSDカードスロットが兼用だったが、OneGx1 ProにはmicroSDカードスロット排除されている。
背面にUSB Type-C(USB4.0)を2ポート、USB 3.1ポートを備える。イヤホン端子も背面
右側面にSIMカードスロットを、右側面にMicro HDMI出力を備える
OneGx1 Proの最大の特徴と言えるが別売のコントローラー(税込5,940円)が用意されていること。これがゲーミングUMPCのゆえんでもある。さすがにこのサイズのキーボードでゲームをするのは難しいが、このコントローラーがあれば任天堂のNintendo Switchのようなスタイルでゲームを楽しめるのだ。
コントローラーをスライドして本体に固定する仕組み。接点などはなく、コントローラーに電源を入れると自動でペアリングされる。接続すると「Xbox 360 Controller for Windows」として認識され、ゲームパッドと同じように操作可能だ。左右のコントローラーを別々に使うこともできる。L3+Powerボタン、R3+Powerボタンを押してBluetooth接続に切り換えるなど少し面倒だが、対戦プレイや協力プレイもできる。モードの切り替えは左右のコントローラーのホームボタンを動じ3秒感長押しすると切り替わる。切り換えられるのは、セット使うXinputモード、別々に使うDinputモード、それにマウスとキーボードのモードだ。
別売の専用コントローラーは持ち運びに便利なケース付き。直販価格は5,980円(税込)
専用コントローラーを装着すれば、完全に携帯用ゲーム機に変身する
Nintendo Switchと比べると、OneGx1 Proのほうがひとまわり大きい
プレイ中に熱くなって手に力が入ると、コントローラーと本体の接続部分が少しガタついてしまう
専用コントローラーは、ペアではなく別々のコントローラーとして利用することもできる
実際の使い勝手だが、取り付け部分が少しゆるくてコントローラー部分が上下に少しだけ動くのが気になった。それでも、ボタン類はよくできており、アナログパッドも軽すぎず、重すぎず、しっかりと操作できる。フォートナイトも問題なくプレイできた。ゲーミングUMPCとして検討している人は、別売のコントローラーとセットで購入するとよいだろう。
専用コントローラーは充電式。充電用のUSB Type-Cポートは底面にある
OneGx1 Proは、UMPCとしては非常に性能の高いモデルだ。Tiger LakeがすぐれたCPUということもあるが、それを7型の小型・軽量ボディに詰め込んだONE-NETBOOK Technologyの技術力の高さも光る。専用コントローラーというアイデアも面白い。価格は168,000円(税別、直販価格)からと、さすがに価格は高めだが、ガジェット好きの心をくすぐるのは間違いないだろう。
どこでもPCゲームを楽しみたい人にとって、OneGx1 Proはまさにぴったりのモデルだ。4Gモデルや5Gモデルを使って、外出先で楽しむという使い方もあるだろう。バッテリーは12000mAhと大容量だし、ACアダプターも小型。USB Power Delivery対応なので、モバイルバッテリーも使える。長時間ゲームをバッテリー駆動で遊ぶのは無理だが、電源周りが充実しているので外出先でも存分にゲームを楽しめるだろう。
本体と比べると大きく感じるが、持ち運びやすい小型のACアダプター